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(23.12.30) 東電の独占体質は改まることはない

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  東京電力西沢社長が12月22日に「企業向け電気料金を来年4月から20%値上げをする。今の状態が続けば経営が成り立たなくなるので経営者としては当然の措置だ」と言ったのには心底驚いた。

注)家庭向け電気料金は政府の認可が要るので10%程度の値上の申請を別途行う計画になっている。

 この西沢社長の説明に私が驚いたのは、もしトヨタの社長が「トヨタ車を平均で20%値上げをする。これが当社が赤字にならないための経営者の責任だ」と言ったらどうなるかを考えてみれば分かる。
現代GMホンダといった競業他社が「それチャンスだ。トヨタの車が高くなるからその間でトヨタのシェアを奪ってしまえ」と激を飛ばすことは確実で、トヨタは世界市場から締め出されることになる。

 東電とトヨタの相違は独占企業競争企業かの相違だが、独占企業は常にコストを顧客に転化できるので企業努力をほとんどしない
役員の給与も従業員の給与も目一杯奮発するし、役所の天下りもいくらでも受け入れる。
税金を払うよりは設備投資をしたほうがいいので不要とも思われる設備投資を行って、「世界で最も品質のいい電気を供給している」と自慢している。

 子会社や関係会社の支払は「どうせコストに反映させるのだから」と大盤振る舞いをするので東電グループはわが世の春を謳歌できてみんなハッピーだ。
もちろん政治献金もばっちり行うので政治家も佐賀県知事この場合は九電だが)のように電力会社のためなら一肌も二肌も脱ぐ。

 学会は東電その他の電力会社も同じ)から厚い資金的支援を受けているので東電が気を悪くするようなことは言わなくなり、「原発は安全で安価」の大合唱になってしまった。
東大をはじめとする有名校の教授にとっては子弟を送り出す最も相応しい職場だから、東電に異議を申し立てるような野暮なことは勿論しない。

 こうして東電グループ他の電力会社も同じ)は鉄のトライアングルと言える政財学の結びつきをふかめ、収益の囲い込みを行ってきたのだが、不幸なのはこの電力を使用する企業と一般家庭で不要なコストを払い続けなくてはならない

 特に競争下にある企業にとって電力は大きなコスト要因だ。これが20%あがってしまっては日本での生産を諦めなければならない企業が続出するだろう。
個人にしても毎年毎年給与が下がっている中での値上げだからたまったものではない。

 さすがに枝野経済産業相が「(東電問題ではあらゆる選択肢を排除しない」と言ったのは、「独占企業である限りは経営努力には限界があり、東電を競争下に置くために発電と送電の分離を行うことを視野に入れている」と言う意味だ。
現在発電はどの企業でも参加できるのだが、実際は発電量の6%程度のシェアしかない。

 その最大のネックは送電網を東電が独占しているため、この送電網に乗せるための基準が厳しく(東電並の品質を要請される)、さらに送電使用料が高価なためほとんど発電事業がペイしないことにある。
ここでも東電の言いなりなのだ。

 独占企業というものはその企業関係者だけハッピーで、それとは関係しない企業や一般の消費者を不幸にする仕組みだと言える。
それでも日本が成長期にあった時はこの高コストに耐えられたが、衰退期に入ればとても耐えられるものでは無い。

 今までは東電の地域独占の牙城を誰も崩すことができなかったが、福島第一原発の事故がこの鉄のトライアングルを崩壊させる契機になった。
政府からの借入なしには被害者への損害賠償もまた化石燃料を使用することによる追加負担にも耐えられないからだ。

 民主党政権で唯一と言っていいほど判断力と決断力をもった枝野氏だから、この東京電力の牙城を切り崩してほしいものだが、民主党政権そのものが明日をも知れぬ身なので発送電分離ができるかどうかは予断を許さない。

なお東京電力の経営状況については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43519325/index.html

 

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コメント

自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部の2009年分政治資金収支報告書で、個人献金額の72・5%が東京電力など電力9社の当時の役員・OBらによるとの記事が共同通信に記載されていました。民主党は力不足ですが、自民党は電力業界との関係が深すぎます。困ったものです。

投稿: X | 2011年12月30日 (金) 05時17分

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