« (23.12.3) あこがれの長山洋子ショーに行ってきた。 | トップページ | (23.12.5) 欧州金融危機の深刻化とEUの衰退 »

(23.12.4) 経済成長を知らない子供たちの就職戦線

221210_029_2 

  早稲田大学の深川由起子教授が毎日新聞の経済観測12.2に実に興味深い記事を寄稿していた。ポイントは以下の通り。

① この12月に2ヶ月遅れで就職戦線に参入する大学3年生は、大半が1990年以降の生まれで、一度も「成長を知らない子供たち」なのだそうだ。

② デフレが進行して市場と雇用が失われ、国際競争力で負け続けてばかりいる日本だが、その中で最も気の毒なのは今の大学生で、「ゆとり教育」の結果日本人の学力が急低下し、一方知識基盤産業の時代になっても、アホばかり(
これは私の言葉で教授はこんな下品な言葉は使わない)生産してしまった。

③ 数学や英語の実力が韓国などに比較すると数段劣っており、これでは日本が韓国の後塵を拝するのはいたし方がない(
韓国云々は私の挿入句)。

④ だから企業は若者を積極的に海外(新興国)に出してそこで競争させてたくましく育てなければならない。


そうか、経済成長が止まってもう20年以上が経つのに、その間日本の教育も停滞したままだったんだ」感慨深かった。

 最近になりさすがに文部科学省も反省して小中学校の授業時間が増やしており、通常日は6時間授業になっている。昔私が小学校や中学校に通っていた頃はいつも6時間授業だったし土曜日も授業があったが、最近まで午前中だけの授業が多かった。
友達の先生が「いや、忙しくなって大変だ」と言っていたが、私から見ると元に戻っただけに見える。

 私も深川教授の現状認識に賛成で、今は就職の全世界的規模での競争時代に入っている。かつては日本国内だけで競争していればよく海外に出て行くのは商社や輸出産業の現地駐在員程度だった。
しかし今では輸出産業そのものが国内から消え去ろうとしており、また一時IT産業が多くの学生を採用していたがそれも国外にアウトソーシングをはじめ、国内の就職場所が極端に狭められている。

 国内ではよほど優秀な学生か、コネのある人しか望んだ職場に入れないからその他の学生は海外に打って出るより仕方ないのだが、なんとしても学力が心もとない
最低でも英語が流暢にしゃべれなければ国外で就職するなんて夢のまた夢だ。
しかし多くの学生はとてもそんなレベルに達していないので、就職戦線から落ちこぼれてファーストフード店で自給800円程度のアルバイトで糊口をしのいでいる。

 実はこの状況は日本だけでなく世界の先進国共通の現象だ。
アメリカを始めヨーロッパの学生が、「1%が99%の生活を脅かしている」と言って抗議の座り込みをしているが、本当の理由は先進国にあった輸出産業やIT産業や場合によっては国内産業までがいわゆる新興国に出て行ってしまい、国内に就職場所がなくなっているからだ

 私達の頃の日本では、トヨタやニッサンといった自動車産業や、パナソニックやソニーや日立といった家電産業に就職し研究者や工場労働者になるのが、技術系大学や工業高校出身者の最も相応しい将来設計だった。
しかし今こうした職場は中国や東南アジア、主としてタイに移ってしまい日本人の就職場所として失われ、一方新興国はこの新たに発生した工場労働者になって一気に生活水準を向上させている。

 今の日本人に残された道は自らの学力を向上させ、新興国の学生に負けない実力をつけて世界市場で競争することしかない。
しかし深川教授の指摘の通り、日本が衰亡し始めた1990年頃から本格的に採用されたゆとり教育がこの目を摘んでしまった。
これほどまでに時期を失した政策はないが、そもそもゆとり教育が提唱されたのは1980年ごろのバブル真っ盛りで日本が世界を支配できると思っていた時代だ。
日本は世界から学ぶべきことはもはやない。後は楽しく遊んで暮らそう」そう考えた時代だった。

奢れる者久しからず」とはよく言ったものだ。
日本は油断をして教育投資から手を引いたとたんにバブルがはじけ、後は奈落の底だ。
はたして日本は教育国として再生できるだろうか
そうできなければ多くの学生が先進国病と言われる自給800円程度のアルバイトで一生を過ごすことになるのだから、国を挙げての再生のプログラムが必要だが、残念ながらそこまでの覚悟が政界にも教育界にも学生にもあるとは思われない。

注)最近私は数学の大学入試問題を解いているがなかなか面白い。老人でさえこの程度のことはできるのだから若者はもっと懸命に勉強をすべきだ。

なお経済成長に関する記事は以下に纏めてあります。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html

 

 

 

|

« (23.12.3) あこがれの長山洋子ショーに行ってきた。 | トップページ | (23.12.5) 欧州金融危機の深刻化とEUの衰退 »

評論 日本の経済 就職問題」カテゴリの記事

コメント

むやみにグローバル化を進めて、泥沼の価格競争を推し進めたのは、政治の問題であるとも思います。

投稿: ふくだ | 2011年12月 6日 (火) 20時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (23.12.3) あこがれの長山洋子ショーに行ってきた。 | トップページ | (23.12.5) 欧州金融危機の深刻化とEUの衰退 »