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(23.12.31) 24年度当初予算とケインズ理論の崩壊

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 本年いっぱいこのブログを読んでくださった読者の方に感謝いたします。

 24年度当初予算の原案を見て「とうとう日本もここまできてしまったか」とため息が出てきた。
一般会計の歳出は一応90兆円で前年並みだが、外枠で東日本大震災復旧・復興予算が約3.5兆円、基礎年金の国庫負担50%維持のための予算2.5兆円があり、実質的には96兆円で前年対比6兆円の増額だ。

 東日本大震災関連予算は誰もが必要性を認めるが、それなら他の不必要な予算を削って当てるかというとまったくそうしたことはしていない。
かえって八ッ場ダムの建設費用や整備新幹線の復活等、当の民主党が「不必要極まりない」と罵倒して選挙に勝った大型公共工事を復活している。

 社会保障費の増大など知らぬ顔のはんべいで、70才から74才の医療費20%負担は10%に据え置いたままだ
民主党の一枚看板は弱者保護だが、現在の弱者は老人ではなく若者だ。
多くの老人は過去の蓄えや年金で悠々自適の生活をしており、海外旅行やゲートボールにいそしんでいる。
豊かな老人を保護して何の意味があるのだろうかと、老人である私でさえ思ってしまう。

 こうした費用を税金でまかなうことができるのならまだ我慢ができるが、実際は半分は国債発行でまかなっており国と地方の借金は1000兆円を超えてしまった。
おかげでGDP対比212%ダントツの世界一の借金体質だ。
ヨーロッパの倒産国家ギリシャやイタリアでさえ130%前後なのだから、正常な感覚の持ち主なら卒倒してしまうだろう。

 ところが信じられないことに政府や多くの一般国民にそうした危機感がない。
かえって亀井氏のように「国債をじゃんじゃん増発して景気回復を図れ」と発破をかけている。

 どうしてこのような放漫財政で平気でいられるかというと実は理論的基礎があり、それをケインズ政策という。
この国債を増発して景気回復を図るという方法は、ケインズが1930年代の世界恐慌の処方箋として提案したもので、20世紀を通じてその有効性が実証されてきた。
おかげで20世紀の経済学はケインジアンの時代になり、口を開けば財政・金融政策で経済成長を図れということになってしまった。

 しかしこのケインズ政策をいくら実行しても効果のない事例が発生して、経済学者も頭を抱えだした。その事例とは日本である。
日本は1990年のバブル崩壊後長期低迷に陥りGDPは名目でまったく成長していない。
時の自民党政権や現在の民主党政権は赤字財政をものともせず国債の増発を図り、また日銀の尻をたたいて金融緩和策を継続させたのに、まったく効果が上がっていない。
いくら1000兆円もの国債を発行してもまったく経済が動かないのだ

 実は経済政策はそのときの政治・経済にディペンドしていて、、時代が変われば効果もなくなるということにすぎない。1930年代はブロック経済といわれているくらい閉ざされた経済で一国資本主義といっても良いような状況だった。

 この一国資本主義下の経済活性化の理論がケインズ理論で、国と中央銀行が資金を供給すればその資金はほぼすべて国内に止まり、有効需要が発生し産業が活性化され、消費が上向きに転じて不況から脱出できた。
ところが現在の日本はこの一国資本主義とは対極のグローバリズムの世界に入っており、いくら政府や日銀が資金を提供してもすぐさま資金は世界各地に飛散してしまう。

 世界には新興国という経済成長著しい国がいくらでもあり当然資金の利子率(収益)は日本より高く、また鉱物資源や石油や貴金属に投資しても大いに儲けることができる。
おかげで日本経済は資金が回らないので少しも活性化せず、新興国の株式や設備投資ばかりが活況を呈し、日本は赤字財政で苦しむことになった。

もはやケインズ理論は死んだのではないか?」
ケインズ理論は先進国経済の状況を正しく把握することも処方箋も提示できなかったために、アメリカや日本、それにイギリスと言った学会ではマネタリストという経済理論が優勢になってきている。
マネタリストとは簡単に言うと「世界を動かしているのは金融で実体経済ではない」という理論で、「あらゆる物価水準は実需ではなく仮儒で決まる」という理論だ。

 この理論を裏返せば日本政府の財政金融政策などはへェジファンドの餌食になるだけで何の役にも立たないということになり、最適な方法は緊縮財政をとって市場から攻撃されないようにすることになる
実際ギリシャやイタリアやスペイン、ポルトガルと言った西欧諸国が採用している方法はこれで、マネタリストの経済理論の裏の適用といえる。

注)マネタリストそのものは金融こそが世界を支配するという理論だから、アメリカの金融資本のための理論。

 ところが日本はあいも変わらずこのケインズ政策を平気で採用している国で世界の笑いものになっており、他にこの政策を採っているのは中国ぐらいしかいない。
そして意外と中国で成功しているのは為替が自由化されてない閉ざされた20世紀型経済社会だからで、一方21世紀型のグローバルな日本は当然大失敗に終わっている。

 グローバリズムの世界ではケインズ政策は過去の遺物になっており、いくら財政と金融を緩めても赤字が増えるだけなのだから、結局は日本もギリシャのように緊縮財政をとらざる得なくなるのは必然といえるだろう。

注)経済政策はそのときの状況によって変わる。現在隆盛のマネタリストの理論も日本やアメリカがジャブジャブの資金提供をしている状況下で成り立つ理論だから、当然時代的制約を受ける。

なお経済成長の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html

 

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評論 日本の経済 財政金融政策」カテゴリの記事

コメント

>時の自民党政権や現在の民主党政権は赤字財政をものともせず国債の増発を図り、また日銀の尻をたたいて金融緩和策を継続させたのに、まったく効果が上がっていない。

金融緩和は無意味であることはケインズも言ってますね。彼は金融が専門でしたから。だからこそ財政出動が必要だと言っています。1000兆円の国債と言ってもそれはストック量での議論です。小出しに、恐る恐る国債を発行し、積もり積もってしまった訳です。
そうではなくフロー量が問題です。総需要が有効需要に達するまでフローを増加させなければいけません。
私が経済学を勉強したのは、30年以上も前のことです。その当時ケインズはもう古いと言われてました。なぜなら、ケインズはデフレと戦った経済学者であり、その当時はインフレの時代でしたから、ケインズなど役に立たないとも言われてました。確かに有効需要と言われても、総需要が常に総供給を上回っているご時世ではどうでも良いような感じもします。日本中の、いや世界中の経済学者がインフレと戦っているといった様子でした。有名な「サミュエルソン経済学」がソビエト連邦とアメリカ合衆国の成長曲線を載せていて、21世紀までにはソビエトがアメリカ経済を追い抜くといった予想がされていました。ブレジンスキーの「ひよわな花日本」という愚書が発行されたのもこのころです。
ところが、ソビエトの崩壊とともにインフレは突然止まりました。「ユーロダラー」と呼ばれた投機資金もどこかに行きました。そして世界はゆっくりとデフレーションに傾き始めました。価格が下落することは良いことです。消費者にとって実に気分のいいことです。しかし、ゆっくりとデフレーションの真の姿が現れ始めました。失業です。
ケインズの著書「雇用、利子および貨幣の一般理論」は雇用を第一に論じています。すなわち、デフレ経済下では雇用問題が最大の問題であると言っているのです。ところが、現在アメリカ(すなわち世界中)の政策は「貨幣、利子および雇用の経済政策」です。貨幣が一番大事だと言っているのです。オバマの政策をみても雇用問題はポーズだけです。本気で取り組んでいるとはとても思えません。また、たとえ恐慌が起ころうとも「ウォール街」は儲ける方法があることも解ってきました。いや、政府が儲かるような政策をとっているのです。総需要が有効需要に達しなくても、ウォール街は少しも怖くないのです。何をやっても儲かるような仕組みを作っているのです。しかし、これでは恐慌を防ぐことはできません。
では前回の恐慌を世界(アメリカ)はどのように克服したのでしょうか。それは、戦争で、とくにアメリカは日米戦争で恐慌から脱出したのです。

>この理論を裏返せば日本政府の財政金融政策などはへェジファンドの餌食になるだけで何の役にも立たないということになり
金融政策ではないのです。財政政策なのです。金融政策はいまのままでは無意味なのです。アメリカが儲かるだけだから。いや、アメリカが儲かるような金融政策をアメリカ留学帰りのお役人がしてしまうのです。キリスト教と同じですよ。お役人には少しも悪気はありません。と思います。
中国の経済官僚はアメリカ帰りです。同じ発想で考えているはずです。グローバリズムはアメリカのウォール街にとって都合の良いイズムです。ウォール街のための思想です。

投稿: 縄文人 | 2012年1月 4日 (水) 18時59分

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