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(23.12.17) ロシアの冬が始まった プーチン政権の終わりの始まり

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  信じられないような激変がロシアに起ころうとしている。しばらく前までは実質的な指導者であるプーチン氏の政治的基盤は磐石でゆるぎないものだと思われていたが、ここにきて逆風が吹き荒れだした。それを毎日新聞は「ロシアの冬」と称している。

 プーチン氏の逆風は12月4日に行われたロシア下院議員選挙の結果に現れ、プーチン氏率いる統一ロシア得票率49%で、議席数は315議席から238議席と77議席激減した
最もこれでも過半数は確保しており、与党支持の公正ロシア64議席自民党56議席を加えれば日本の民主党と同様の圧倒的多数を確保したといえる。
だから後退したとは言え安定多数は確保したと私は思ったものだ。

 しかしここからがすこぶるロシア的で、投票の不法行為がインターネットで次々に暴かれ始めた。ロシアのマスコミは政府が完全に抑えているので不正追求はもっぱらインターネットを通じて行われる。ロシアのインターネット人口は5000万といわれて日本の約半分の規模だからかなり多い。

 私も見たが投票所の責任者のような人が投票用紙を書き換えていた場面がWebに流れていた。欧州の監視団は「開票手続きなどで違反や問題があった」と正式に表明し、アメリカがロシアの選挙結果に対し異議を申し立てたものだからプーチン首相は劣勢に立たされた。

 さっそくテレビでプーチン首相の反論が始まったが「選挙結果は民意を反映しており再選挙をするつもりはない」と居直った。
さらにロシア的なのはプーチン首相の報道官が「選挙違反はあったとしても0.5%程度だ(だから問題ない」と発言したことで、日本だったら大騒ぎになるが、ロシアでは0.5%は問題にしないらしい。

 プーチン体制がほぼ磐石と見えたのは石油天然ガスを新興資本家から国家権力を総動員して取り上げ、国家の支配下に置きふたたび社会主義的な政策をとったからである。
日本もこの影響を受け三井物産・三菱商事ロイヤル・ダッチ・シェルが開発したサハリン二号油田を強引に召し上げられている。
ロシアの国家予算はほとんどが石油と天然ガスの販売益からなっており、国家企業ガスプロム等からの運上金(日本で言えば法人税)によって成り立っている。

注)歳入はそのときの石油とガスの価格によって決まり、歳入の50%から70%が石油・天然ガス企業からの税金。価格が下がって予算が不足するとそれまで溜め込んでいた基金を取り崩す。

 ロシア経済はリーマン・ショックで大打撃を受け、GDPは2009年▲7.9%に落ち込んだがその後の各国の金融緩和策で投資資金が石油に流れ込み価格が上昇に転じたのでロシアにとって追い風になっていた。
2010年は4.0%、今年は3.5%程度の成長が見込まれており、日本から見たらまずまずの成長力に見えるがそうもいっていられない事情が発生してきている。

 対外的には特に欧州危機がロシア経済に与える影響が深刻で、石油と天然ガスの最大の輸出先ヨーロッパの経済停滞はそのままロシアの停滞につながる。
ロシアの予算は石油価格の動向に左右されており、しばらく前には予算の均衡点1バーレル70ドルと言われていたのが、最近は1バーレル110ドルに跳ね上がってしまった。
日本と同じで年金・医療等の支出が増大し、それを石油と天然ガスの収入で補う構造になっているためだ。しかし世界経済が失速し110ドルはとても行きそうにない。

 そうなると福祉の切り捨てか今までの積立金(日本で言えば埋蔵金)の取り崩しを行うことになるが、ここからが再びロシア的な問題が発生する。
ロシアの官僚機構は黒い頭のネズミ(正確には栗色のネズミ)だから、こうした積立金がいつの間にか喪失してしまっていることが多い。
せっかくの貯金が大王製紙の会長のような遊蕩でなくなっているので、結果的には福祉の切り下げをせざる得なくなる。

 プーチン首相のような愛国者にとっては自分を支持している官僚機構や統一ロシアが黒い頭のネズミになっていることに歯ぎしりする思いだろう。
この腐敗を正そうとすると自らの基盤に切り込むことになり、一方腐敗を放っておけばプーチン人気にかげりが発生する。

 ロシアはあくまでも石油と天然ガスの国だ。この価格が上昇している間は問題ないが、一旦下落に転じるとあらゆることが裏目に出てしまう。
今ヨーロッパに危機が発生し、さすがの石油価格も低迷が始まった。ロシアに冬が訪れプーチン人気の終わりの始まりが始まった。

なお最近のロシア経済の動向は以下の通りです。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44368795/index.html

またリーマン・ショック後に記載したロシア経済の分析記事は以下の通りです。http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/201124.html

 

 

 

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コメント

いくら資源があっても、他国の経済動向に左右されるので、輸出に頼ることが危険なものだと気付きました。
やはり、自国、もしくは地域で経済を回せるような体制を作るべきですね。

(山崎)ロシアの場合は資源しかないというところが問題だと私は思っております。

投稿: ふくだ | 2011年12月18日 (日) 00時05分

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