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(23.11.16) NHK よみがえる黄金都市 奥州のグローバルシティ 平泉

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 NHKが放送した番組の、この表題を見たとき「また大げさな表題をつけたものだ」と思った。
特にグローバルシティとは番組を見るまで何を言っているのか皆目検討がつかなかった。
泉って、あの芭蕉が『夏草やつわものどもが夢の跡』と歌ったあの場所だろう、一体あそこに何があったのだろうか?」
すでに芭蕉が平泉を訪ねた頃には、夏草が生い茂る荒蕪地にすぎなかったのだから、ここがグローバル都市だなんて誰も思うはずがない。

 しかしこの番組を見て認識を新たにしてしまった。
当時(12世紀平泉人口10万の大都市で、京都でさえ10万から20万の間と言われていた時期に堂々たる東の都といえる。
ここを支配していたのは奥州藤原氏である。
奥州にいながら藤原氏とは不思議だが、平泉に大都市を建設しここを本拠地としたのは11世紀半ば陸奥の守として派遣されてきた藤原常清の息子、藤原清衡(きよひらである。

注)当時中央の上級遺族以外は、地方の国司になりその後土着するものが多かった。中央に戻ってもうだつが上がらない中級貴族でも、地方では絶対の名門貴族で、自身で荘園開発を行って地盤を強化することが多かった。常清もそうした土着した中級貴族

 私は東北の歴史をほとんど知らない。前にNHKの大河ドラマ「炎(ほむろ)立つ」を見たが、京都中心の信長や秀吉や家康のドラマがほとんど見る前から筋書きが分かるのに対し、東北の歴史はローカルでわかりづらい。
まあ、東北の歴史なんて日本史の傍流にすぎず、特に知らなくても支障あるまい」そう思っていた。

 しかしこれは非常な間違いで、確かにその後の歴史は鎌倉頼朝政権による奥州藤原氏の滅亡と言う形で決着したが、当時のイメージでは平家、源氏、奥州藤原氏が鼎立し、どこが覇権を握ってもおかしくないような状態だった。
場合によったら、奥州藤原氏が日本国を統一していたかも分からないのだ。

 そしてなぜこれほどまでに平泉が栄えたかの理由はすべてにあったという。当時東北は日本の一大金生産の土地で、この金を使用した外国貿易で巨万の富を蓄えていた。
外国貿易とは当時ので藤原氏は博多のチャイナタウンの貿易商と取引があり、遠くアフリカの象牙や東南アジアのシタン(硬い木材)を宋経由で入手し、その支払は金をあてたという。

 マルコポーロが東方見聞録で記載した「黄金の国ジパング」とはこの何でも砂金で決済した平泉政権のことを言っていたのだそうだ。
その証拠は平泉中尊寺の金色堂で、ここには中国からもたらされた象牙シタン、それからフィリピンからもたらされた夜光貝螺鈿細工に使用)が惜しげもなく使用されている。

 ところが平泉は宋との貿易だけでなく、北方貿易さえしていたのだという。北方とは今の北海道、サハリン、アムール川流域に住むアイヌやシュクシンやユウロウと称された部族との交易で、その証拠が矢羽だというから驚いた。
平安時代の武官はどちらかと言うと貴族化していて、いわば格好づけのためにのみあったが(クレムリンの衛兵のようなもの)、その武官が背中にしょっていた矢羽大鷲の尾羽だった。知床の流氷の上で魚を捕らえているあの大鷲である。

 こうした大鷲の尾羽は特に珍重され、またアザラシの毛皮は武士が馬に乗るときの鞍の敷物になっていた。
この交易路を確保するため、藤原清衡白河の関から平泉を通って青森の外が浜までの幹線道奥大道)整備していたというのだから、なにかローマの道路建設とセンスが似ている。

 こうして奥州藤原氏は貿易により巨万の富を蓄え、東北に一大拠点を設立し、主として外国貿易正確には宋と北方貿易)による通商国家を目指していたというのだから、イメージは清盛の平家とそっくりだ。
もう一つ似ているところはどちらも鎌倉の農業政権に打ち倒されてしまったところで、「昔から日本は通商団体が農業団体に敗れるのが常なのか」と思わず笑ってしまった。

 しかし正直に言って奥州藤原氏の規模とその広がりには心底驚いてしまった。
これは日本史の中で奥州藤原氏の果たした役割を正当に評価する必要がありそうだ
深く反省させられる内容だったといえる。

 

 

 

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コメント

当時は、所謂「小氷期」の前で、東北は温暖だったらしいですね。
藤原氏は気候変動に敗れたのでしょう。

投稿: バイオマスおやじ | 2011年11月16日 (水) 22時37分

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