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(23.11.4) パパンドレウ首相のロシアンルーレット

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 とうとうギリシャのパパンドレウ首相ロシアンルーレットを始めた。
ロシアンルーレットとは、リボルバー式拳銃に一発だけ弾丸を装填し、適当にシリンダーを回転させてから自分の頭(特にこめかみ)に向け引き金を引くゲームで私は映画ディア・ハンターでその内容を知った。

 パパンドレウ首相とゲームをさせられているのはEUの首脳サルコジ大統領とメルケル首相)である。
パパンドレウ首相は先のEU首脳会議で決められたギリシャ支援策を認めるとギリシャ国民が暴動を起こし、反対に支援策を受け入れなければEUが頭にきて融資を凍結しギリシャが倒産する瀬戸際に追い込まれている。
よしこうなったら、後は知らん、ロシアンルーレットだ
パパンドレウ首相は切れてしまった。

 この3日から4日にかけてフランスでG20が開催されるのだが、それにあわせて先週のEU首脳会議でようやく纏め上げたギリシャ救済策とは以下のようなものだった。

① ギリシャ国債の元本の半減
② 欧州銀行の資本増強
③ 欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充


 そしてその見返りにギリシャが行う緊縮財政策は ① 公務員の給与カットと3万人の一時帰休(実際は首切り)、② 高額年金支給者(12万円以上)の年金の20%カット、だった。

 サルコジ大統領とメルケル首相はこうしたギリシャ再建策の実施をG20で声明し、中国や日本からEFSFに資金提供をしてもらう腹だった。
ギリシャ危機はEUだけでは手に負えない。どうか中国さん、日本さん、EFSFが発行する債券を購入してください

 ところがこの筋書きをいっぺんで覆すほどの衝撃的な方針を、パパンドレウ首相が誰とも相談せずに突然緊急閣議を開催して決めてしまった。

我々は第二次支援を受けるべきか否かを国民投票にかける
これにはサルコジ大統領メルケル首相も腰を抜かさんばかりに驚いた。

お前一体何を言い出すんだ。国民投票でNOといわれたらどうするんだ
うるさい、俺は腹を決めたんだ。ロシアンルーレットだ、死ぬのは誰か決めよう

あのね、冷静になって考えなさいよ、今国民投票をやっている場合じゃないでしょ
うるさい、俺は分からず屋のギリシャ国民を抱えているんだ。あいつらをぎゃふんと言わさない限り俺の立場がなくなる

あんたはギリシャだけのことを考えているようだが、ユーロ全体のことはどう思っているんだ」
しらねえ、俺はギリシャの首相でEUの首相じゃない。そんなことはお前達が考えろ

それじゃ、支援はできないわ。当面の資金繰りも凍結するわ
おお、いい度胸じゃねえか、ギリシャがつぶれるかEUがつぶれるか勝負だ」

 4日に内閣の信任投票、5日にユーロにとどまるか否かの国民投票法案の採決を行うという。パパンドレウ首相の基盤は弱い。議会の定員は300人だが、与党全ギリシャ社会主義運動の議員数は152名だ。
数人が内閣不信任に投票すれば内閣そのものが倒れてしまうので、その後の国民投票法案は宙に浮く。

(23.11,8追加)結局パパンドレウ首相は白旗を揚げ、国民投票は実施せず、議会で第二次支援の承認を行うこととし、自身は辞職することになった。

 市場はびっくりしてギリシャ国債の利回りは28%になり、つられてイタリア国債の利回りが6.2%に跳ね上がった。
ユーロ危機はパパンドレウ首相ロシアンルーレットで本当にギリシャがつぶれるかユーロがつぶれるか、あるいは両方かの瀬戸際に追い込まれてしまった。
だからギリシャなんかユーロに入れるべきじゃなかったんだサルコジ大統領のボヤキが聞こえるがもう手遅れだ。

 ギリシャ問題はますます混迷の度合いを深めていく。ギリシャがつぶれれば次はイタリアスペインだ。
この2国の問題はギリシャ問題の比ではない。
1990年以降日本が成長路線から滑り落ちたが、今EUがギリシャ問題(その後はイタリア問題)で日本の後を追っている。

 すでにEUは成長できる時代が終わり長期低迷の時代に突入した。 


なおギリシャ問題の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44468201/index.html

 

 

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評論 世界経済 ギリシャ経済」カテゴリの記事

コメント

「「EU全体」なんてあるんでしょうか。あるのは、「ドイツとフランス」対「ギリシア、スペインとイタリア」ではないでしょうか。ギリシアにしてみれば、EUに留まっている限り経済再建など夢のまた夢であり、ここは一つ死ぬ思いで(実際死ぬ人がでると思いますが)、自国経済の真の実力を国民が思い知った方が、はるかに経済を再建しやすいかもしれません。。
パパンドレウにして見れば、どちらも地獄ならば、EUを離れた方がまだましだと考えても不思議ではないとも思います。
EUが日本の後を追っていると言いますが、日本は中産階級が健在です。スペイン、イタリアはどうですかね。政治体制を覆すほどの変動がなければ良いのですが。すでに韓国では中産階級が壊滅的打撃を受けていますから。

投稿: 縄文人 | 2011年11月 4日 (金) 14時20分

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