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(23.11.21) 就職戦線の超氷河期と日本の衰退

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  先日文部科学・厚生労働省が発表した来春卒業予定の大学生の就職内定率10月1日現在)は59.9%で昨年同時期の57.6%を上回ったものの、過去2番目の低さで、就職戦線の超氷河期が続いていると伝えていた。

 超氷河期が続いている原因を、卒業後3年は新卒扱いにするように政府が指導していることと、東日本大震災で企業が被災して採用活動が遅れていることを理由にしていたが、これは本当の意味での超氷河期の原因ではない。

 一番の原因は日本から輸出産業が消えていることで、昨今のタイの洪水被害を見て誰しもその現実を把握したはずだ。
アユタヤやその他の工業団地に進出している企業群は、日本を代表する輸出産業ばかりでタイの工業団地が日本国内の工業団地と思えるほどの進出ラッシュになっていた。

注)日本国内にあるはずの工場がタイに一斉に移動してしまったような光景だった。

 しかも大企業ばかりでなく中小企業も日本での生き残りを諦め、通貨が安く自由貿易を標榜している韓国等に進出し始めている。
こうして輸出産業は日本から消え去ろうとしており、当然のことにそこの就職先が日本から失われている。

 日本に残っているのはスーパーやコンビニや医療のような国内産業輸入産業、それと公務員といったところで、こうした就職先も熾烈な競争が行われており、有名校の卒業者かコネのあるもの以外は就職戦線から落ちこぼれている。

 私が大学を卒業したのは今から40年も前の高度成長期で、就職先は溢れんばかりにあった。私自身も4社の就職が内定していたが、それ以上内定をもらうと断るのが大変なので就職活動を止めた経験がある。
それから40年以上経ち日本を取り巻く状況は激変してしまった。高度成長は夢のまた夢になり、ここ20年にわたって日本経済は成長していない。

注)私が内定していた職場は今の大学生だったら一も二もなくいきたいような職場だった。

 本来はこうした状況下では新産業を育てて若者の就職場所を提供するのが政治と言うものだが、実態は今までの産業構造を維持するだけでただ衰退を待っているだけだ。
とくに今回のTPPの参加問題では農業団体が大反対をしているが、農業で日本の再生ができない以上TPPに参加せざるを得ないのに野田総理の対応は要領を得ない。

注)日本の農業はオーストラリアのように耕地が広いわけでなく、またアメリカのような遺伝子組替作物で収穫量の増大を図るような農業でない。農業をいくら保護しても農業人口は傾向的に減少し、若者は農村から出て行く。

 こうした状況下で若者の対処する方法は限られている。

① 勉強をして優秀な成績をとり有名大学を卒業して、大企業や役所に採用される。
② 親のコネを最大限に利用して何とか大企業や役所にもぐりこむ。
③ 日本を諦めて海外に活路を求める。この場合は語学の才能がいる。


 これ以外の対処方法はなく、それ以外の就職先はファーストフードの販売員のように時給800円月収10万円程度)で生きるか、生活保護を受けて生活するより方法はない。

 私は何回もこのブログに書いているのでいささか恐縮なのだが、就職先を確保するには日本に新産業を育成する以外に方法はない。
新産業の育成のためには規制をできるだけ排除する必要があるが日本は規制だらけだ。
そして旧産業の保護は単に衰退の時間を遅らせるだけの効果しかない。

 私が新産業として期待しているのは、金融業と、世界最先端にある医療産業だが金融業は実質的規制(形式的には規制が排除されているが実際は財務省と日銀が金融機関を牛耳っているでがんじがらめに縛られ衰退産業になっている。
そして医療産業ではTPPの参加について医師会が「世界に誇れる皆保険制度が崩壊する」といって反対している。

 医師会の反対は意味不明で、実際は日本では最も優秀な学生が医者になっており、日本の人的資源をほとんど医療につぎ込んできた。
その結果として日本の医療水準は世界的にトップ水準で、最も競争力のある産業になっている。

注)友達の歯科医に聞いたところ、歯科医療で世界のトップはアメリカで、次が日本と北欧と韓国だと話してくれた。


 この医療機関を世界にオープンにして日本で医療行為をするのが最も世界の人にとって幸せだという状況を作れば、世界各国から人々が押し寄せ、日本は世界最高の医療王国になることができる。
そうすれば医者や看護師だけでなく、製薬会社や仲介エージェントといった周辺産業を含めた就職先が激増することが期待できる。
しかし実際は医師会は保険診療と自由診療の混合診療に反対し、日本を世界の医療機関にすることなど考えが及ばず現状維持を望むだけだ。

 日本は輸出産業にとっては最悪の環境だが、一方金融業や医療産業にとっては最高の環境だ。
輸出産業が日本から出て行ってしまい就職先の確保がままならない今、医療産業を世界の医療産業にすることが急務だが、実際は政治が停滞してただ衰退だけが進んでいる。
大学生にとって口惜しいことだろう。

本件と関連するブログ「若者は荒野をめざせ」は以下の通り。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/22831-937f.html

 

 

 

 

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評論 日本の経済 就職問題」カテゴリの記事

コメント

医師会がTPPに反対しているのは些事だと思いますよ。医師会は圧力団体としては無力ですし、また一枚岩というわけでもありません。開業医でもTPPに賛成している人は結構いると思います。
問題は厚生労働省がTPPに反対していることです。私自身はTPPに反対ですから、別にどうでもいいんですけど、マスコミが、厚生労働省が反対の立場であることを報道しないのは、たぶん祟りが怖いからでしょう。
医師会の反対は多分に厚生労働省のダミーという要素が強いように思います。
保険診療と自由診療の混合診療というより、保険診療と「自由保険診療」の混合診療になるのではないかと思います。

投稿: 縄文人 | 2011年11月21日 (月) 07時09分

成長しなければ解決しない、という思考回路は、時代錯誤だと思います。

アメリカ的な市場原理主義の導入で、所得格差が広がってしまったことを危惧する人が少ないのは何故なのか、とても不思議です。

一人あたりGDPは、世界的に高い水準なはずなのに、貧困層が増加しているのは、明らかにおかしいし、所得配分を是正すれば、格差が緩和するのは確実でしょう。

今の日本で問題だと思うのは、高齢の権力者が隠居せず、世代交代を遅らせていること、かと。

投稿: ふくだ | 2011年11月21日 (月) 21時17分

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