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(23.11.2) 冷めた為替介入への評価 輸出産業は日本を見捨てている

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 この10月31日に行った野田内閣の戦後最大8兆円規模の為替介入を産業界はほとんど無視と言う態度で見ている。
従来ならば1ドル75円台と言う歴史的円高になると、輸出業界から悲鳴のような円高対策の要求が発せられ、マスコミもこぞってその必要性を強調していた。
しかし今回の産業界の対応は「まあ、しないよりはマシ」と言う冷めた対応になっている。

 産業界、分けても輸出産業界が悲鳴をあげなくなったのは、日本政府に対する長年の失望感からすでに円高対策が完了しているからだ。
それが誰の目にもはっきり表れていたのが今回のタイの洪水である。
タイの工業団地の冠水で私が一番驚いたのは、そこに進出している企業のほとんどが日本企業で、まるで日本国内の洪水のような状況になっていたことだ。
タイは日本かい????」

 ホンダなどは四輪車工場が完全に水没したことから、生産能力24万台の工場が約半年間操業不能になり、かつアメリカでの生産も部品不足から半分程度に落ち込むという。
輸出産業はすでに日本をみすててタイインドネシアベトナムカンボジアといった比較的対日感情が良く、政府が企業誘致に熱心な場所に進出しており、日本国内には本社機能と比較的効率の良い工場ぐらいしか残していない。

 私の住んでいる千葉でも近くの茂原市に進出していたパナソニックの液晶テレビ用パネル生産工場が閉鎖されることが発表され、1000人あまりの従業員の今後の行方が注目されている。
日本企業はこのように日本にある工場を閉鎖するか操業短縮を実施して生き残りを図っており、政府の円高対策を待っているわけではない

 安住財務相は「納得のいくまで介入する」と胸を張ったが、一体誰が納得するのだろうか。本来一番納得しなければいけない輸出産業は日本を見捨てて国外に逃げ出しており、もはや納得するのは安住財務相ぐらいなものだ。

 私が何度も記載している通り、日本ほど輸出産業にとって不適な場所はない。リーマンショック以降日本政府の一枚看板だった金融緩和策がまったく効果がなくなった。
それは当たり前でアメリカとEUが日本と競争して金融緩和策を実施して、ドルもユーロも通貨の安売り合戦になって、円だけが安いといったリーマン・ショック以前の状況は失われた。

 おかげで通貨円は対ドルで40%程度の円高水準になり、隣の韓国がドルに通貨をディペンドさせている関係から、ウォンも日本円に対し40%程度の引下げになっている。
日本輸出産業の最大のライバルは韓国で、おかげでサムスン、LG電子、ヒュンダイといった企業に日本は太刀打ちできない。

注)私も最近購入したdocomoの携帯はサムスン製を使っている。またパソコンのディスプレイなんかはサムスンが一番安い。

 特に世界最強と言われていた自動車産業などは東日本大震災やタイの洪水の影響があったこともあるが、アメリカ市場でヒュンダイに猛追されており、トヨタもホンダも青息吐息だ。
したがって今回政府がおこなった為替介入は75円台は許さないというシグナルだとしても、「だからどうなのよ」という水準で、輸出産業が「しないよりましだ」と思っていることは明白だ。

 企業レベルで言えば生き残り策は日本から出て行くことが一番で、国策として外国企業を誘致していて反日感情がない場所が一番になる。
そうした意味でタイは日本産業の一大基地となっていたのだが、今回の水害でその脆弱性が露呈してしまった。
中国は政治的リスクが大きすぎていつ反日感情の標的にされるか分からず、インドはまだインフラが未整備だ。
日本輸出産業としては打つ手段がないという状況で、「いったいどうすりゃいいんだ」と言う状況になっている。

 今は出るも地獄、残るも地獄と言う状態だ。
今回日本政府は単なるパフォーマンスとしての円高対策を実施したが、日本に輸出産業が残ってもらいたいならば、法人税や固定資産税をゼロにして、あらゆる規制を緩和するぐらいの措置を採らないと無理だろうし、TPPに参加をすることも必要だ。
だがそれは見果てぬ夢だから、たとえ水害が起こっても輸出産業が海外に逃げ出すのを防ぐことは無理だろう。



なお、円高問題についての記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45690596/index.html
 

 

 


 

 

 

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評論 日本の経済 為替相場」カテゴリの記事

コメント

為替介入は税金の無駄遣いだから、やめてほしいです。
とっくにメーカーは、輸出向けは日本で生産してませんから。

サムスンは韓国の国営企業みたいなもんですが、安売りし過ぎて、赤字も多いらしいですよ。

投稿: ふくだ | 2011年11月 2日 (水) 22時11分

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