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(23.11.19) ユーロ崩壊前夜 次はスペインとフランス

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 ギリシャに始まった欧州債務危機はイタリアのベルルスコーニ政権を崩壊させ、次はスペインフランスにターゲットが絞られてきた。
ドイツとフランスが懸命にギリシャ危機の封じ込めを行い、一時的に小康状態になったとたんイタリア経済が火を噴き、この対応が決まらないうちに今スペイン経済が火を吹き始めている。
そしてその先にはフランスがあり、ほとんどドミノ現象といってよい。

 スペインの国債の利回りはイタリアとおなじ7%前後に上昇し、市場ではスペイン国債の買い手がいなくなっている。
ただ一人ECBヨーロッパ中央銀)がスペイン国債の買い支えを行っており、今までのギリシャ国債イタリア国債に続いてECBのバランスシートには不良債権が積みあがっている。

 ギリシャ支援の枠組みとしてEFSF(欧州金融安定化基金)を今までの40兆円規模から100兆円規模に増額することは決まったものの、この60兆円を拠出してくれる先が見つからない。
当初は中国ブラジルが「ヨーロッパを救う」と大言壮語していたが、危機が深刻化してくるにつれ「EFSFもつぶれたらどうしょう・・・」と言う状態になってきた。

 EFSFの発行債券はドイツやフランスやオランダといったトップクラスの財務格付を持つ国が保証することによって資金調達ができていたが、フランスさえも危なくなれば保証に疑問符がつく。
こりゃ駄目だ、フランスもEFSFの支援対象国になれば後はドイツしかない。だがドイツはユーロ各国の債務危機を一人で救えるだろうか???」
誰もが感じる不安を市場は共有している。

 フランスはユーロ圏第2位の大国だが、この国の経済状況は実に把握しずらい。ドイツのような輸出立国であれば輸出入の動向を把握していれば経済状況は確実に抑えられる。
一方フランスはここ数年貿易収支も経常収支も大幅赤字が続いている。
この赤字分を埋めるために海外から資金を取り入れて経済運営を行っているのだが、ちょうどアメリカの経済運営にそっくりだ。

 いわばアメリカと日本の関係がヨーロッパではフランスとドイツの関係に相似形をなして存在していると思えばいい。
EFSFに対する拠出も何かといえばドイツに頼るのだが、フランスには元々拠出する金などはないからだ。

 これが明確に分かるのがGDP対比の財政赤字イタリアが4.6%なのに対し、フランスは7.1%とイタリアより高い(日本は12%程度)。
この高い財政比率を見て市場がフランス国債の売却を始めた。国債利回りは瞬く間に上昇して3.8%になってしまい、またCDSフランス国債の保険料率)は2.36%に上昇している。

注)通常国債の償還が危ぶまれる場合は国債購入者は保険をかけようとする。その保険料率が2.36%と言うことは、国債購入者の実質利回りは3.8% - 2.36% =1.44%となってドイツ国債の利回りとほぼ同レベルになる。

 ヨーロッパの金融機関の財務状況は意外なほど分からない。かつての日本の金融機関のようなもので含み損含み益がいたるところに隠れているので、ストレステストを行ってもまったく意味がない。
その証拠が最近倒産したデクシアで、ほぼ3ヶ月前にストレステストでデクシアの経営状況は良好と宣言したばかりだから世界中でヨーロッパの信用が失墜した。
やはりヨーロッパの金融機関は魑魅魍魎の世界だ・・・・・・

 実際はフランスにしろスペインにしろ、金融機関はリーマンショック時の不良資産の償却が済んでおらず、今回さらにギリシャ国債の5割が返済不能となった。
ギリシャにはフランスの金融機関が最も多くの貸し込みを行っている。
まずいじゃないか、このままでは金融機関はドミノ倒産だ。今のうちに危ない国債は売却しろ
こうして今、イタリア、スペイン、フランス国債のたたき売りが始まった。

 ユーロは崩壊前夜に差し掛かっている。EFSF60兆円の資金調達先はなく、結局は各国の国債はギリシャ国債がそうであったように棒引きをするしか方法はない。
ヨーロッパの金融機関はフランスを中心に大量の国債を持っているから、自己資本比率が急激に悪化する
金融機関は政府からの資本投入がなければ、自己資本比率を上げるために資産である融資や投資資金を引き上げて支払に備えることになる。
そうすれば新興国から資金がヨーロッパに回帰し、世界的な不況が始まる。

注)自己資本比率は資産を分母とし自己資本を分子にするから、資産が小さくなれば自己資本比率は上がる。

 何回も同じことを言って恐縮だが、日本で1990年から始まった長期不況が、今ヨーロッパに確実に広がろうとしている。
日本がそうであるようにヨーロッパも成長の時代が終わった。今年から来年にかけて成長はほとんどせず、マイナス成長も予測される。
ユーロと言う枠組みが成長でなく衰退の枠組みに変わってしまったからだ。

 こうしてユーロは崩壊過程に入りユーロ発足時の1ユーロ80円レベルに急速に落ち込もうとしている。
かつて来た道に戻っているのだ。

なお欧州債務危機についての記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43160490/index.html

 

 

 

 

 

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コメント

大恐慌後の米国では金利の正常化に30年を要し其の間いわゆるインベストメントバンカーの給与水準はコマーシャルバンカーのそれを下回り続けたという話を聞きました。戦争を経てもそれだけの時間がかかったわけで、戦争を起こさないで問題解決を考えると新興国の需要をどれだけ維持拡大させられるかが課題と思います。さて日本はおよそ20/30年、欧米は3/30年と考えると相対的な日本の立場と言うものが変化してきてもいいはずですが、ポイントは日本企業にリスクテイクの覚悟と戦略があるかということになると思います。過去の経験則にとらわれずに欧米の右ならえから脱却できるでしょうか?

投稿: | 2011年11月19日 (土) 13時50分

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