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(23.11.30) NHK ドキュメンタリーWAVE 本土妊婦は香港をめざす

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 「上に政策あれば下に対策あり」と言うことわざは中国のことわざだが、この「本土妊婦は香港をめざす」を見て、「さすが中国人だ」と感心してしまった。

 中国では香港と中国本土の間では法体系が異なり、一国2制度のもと異なった取扱が行われている。
そのうちの一つに中国本土で大々的に行われている一人っ子政策は香港では実施されていない。
そしてこれが一番大事なのだが、香港で生まれた子供は親が中国本土の中国人であっても、香港に居住権を持つことができる。

注)2001年、香港の最高裁判所で上記のような判決が出ている。

 法の裏やグレーゾーンを見つけて、網の目を潜り抜けることについて中国人ほど巧みな民族はいない。
なら子供は何とかして香港で生もう。居住権は取得できるし、何人子供を生んでも罰金はとられない金持ちの中国人が目の色を変えた。

注)中国では一人っ子政策に反して2人目以降の子供を生むと一人当たり160万円相当の罰金と、公務員であれば免職になるという。

 しかし本土の中国人が香港で子供を生むのは何かと厄介だ。第一通常の中国人が香港に入国するためのビザは観光旅行として必要な1週間程度しか許されない。
この最低限の日数で病院を探し、出産の予約をして香港で子供を生むなんて神業だが、そこは中国人だ、この隘路を抜けるための斡旋をする業者が現れた。

本土に住んでいる金持ち階級に働きかけて、香港で子供を生ませるビジネスを始めれば絶対に儲かる
病院の予約からホテルの手配、そして居住権の申請事務を引き受ける斡旋業者が香港の隣のシンセンに100社以上生まれているのだそうだ。

注)斡旋業者の重要な事務は出生証明書を登記所で受け取らせ、それを持って入国事務所から通行証を発行してもらうことにある。さらに中国旅行社で回郷証を発行してもらうと幼児は回郷証で中国本土に戻り通行証で香港に自由に入国できるようになる。

 中国人にとって香港で生まれて居住権を持つことの最大のメリットは、香港のパスポートを手に入れることができることだ。
中国のパスポートではほとんどの国に行くのにビザがいるが、香港のパスポートなら反対にほとんどの国にビザなしで行ける

 現在中国は改革解放の波に乗って商取引が完全に自由だが、この自由がいつまた共産党原理主義者によって覆されるか分からない。
もしそうなると文化大革命のときのように金持ち階層は走資派といわれて糾弾され、場合によっては殺されてしまう。

 そうしたとき香港のパスポートを持っていれば、直ちに海外に出国できるし、危ういと思ったらその前から資産を海外に移し変えることもたやすい。
自分は香港の居住権がなくても子供に居住権があれば、最悪でも子供は逃げられるし、子供のつてでアメリカやオーストラリアやヨーロッパに逃げることも可能だ」そう考える金持ちの中国人がワンサカ香港に押し寄せることになった。

 現在香港で出産する子供の二人に一人は本土の中国人の子で、2010年には4万2千名の子供が生まれたが、これは10年前の約5倍になっている。
斡旋者のパーティーで集まった人たちが「我々が中国の一人っ子政策の問題を解決している」と言っていたが、香港は中国人の出産ラッシュで病院も出産ビジネスも大流行になっていた。

 しかしやりすぎは中国人の癖とは言え、あまりの出産ラッシュに香港人の出産に支障が出てきて病院の予約もできなくなってしまった。
なにしろ病院としては本土人からいくらでも金を巻き上げられるのだから、勢い本土人の出産ビジネスに傾斜する。

注)一人当たりの出産費用は病院やホテル代斡費用を含めて140万円が相場になっていた

 映像では香港政府が規制に乗り出して公立病院での出産の受付を香港人に限り(私立の病院はこの限りでない)、香港で生まれる中国人の数を来年は4万2千名から3万5千名に削減するという。
このため斡旋業者間での競争が激しくなって、出産の事前予約これがないと香港で子供を生めない)の奪い合いが激しさを増し、インターネットでのパスワードの盗みあいまで発生していた。

注)競争相手の斡旋業者のパスワードを盗んで、競争相手の事前予約を取り消す手続きをして、そこに自分が斡旋する妊婦の予約を入れ込む。

上に政策あれば下に対策あり」の中国人だからこの程度の規制でくたばることはなさそうで次々に新手を編み出すだろうが、改革解放を進めた鄧小平氏は草葉の陰で苦りきっているだろう。

 しかし今回の番組で中国の金持ち階級の悩みがよく分かった。
金は稼いだがいつ鵜飼の鵜にされるか分からないので、その前に何とか資産と子供を外国に逃げ出させようと狙っているのだから、政府がインターネットの監視をするのもうべなるかなと笑ってしまった。

なお中国関連の記事はいかにまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

 

 

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