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(23.10.9) 東電の賠償金額算定と総括原価方式のトリック

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 3日、政府の東電調査委員会の報告書が野田総理に対して提出された。
これによると向こう2年間で必要な賠償額は4.5兆円で3年以降についても相当規模の賠償額が想定されるが、今回は計算対象からはずされていた。

 報告書では東電に対し厳しいコスト削減要請がだされ、東電が当初予定していた10年間で1.2兆円の経費削減策に対し2.5兆円の削減を求めている。
人員削減の更なる増加(グループ全体で14%削減)や企業年金の引下げ(運用利回りを2.0%から1.5%に引き下げる)等で東電試算の2倍の経費削減が可能で、また資産売却を積極的に進めること(3年間で7000億円規模)等が主要な内容になっていた。

 収支については試算によれば原発が再稼動したとしても年10%程度の電力料金の値上げをしないと、東電は12年度2931億円の債務超過に陥ってしまうという。

注)原発の再稼動がなく、電力料金の値上げがなければ債務超過に陥り、東電は倒産すると言う意味。

 だが、今回の調査委員会の報告書でも触れているように、現行の東電の電気料金の算定方法はコストはかかっただけ利用者に押し付けるというもので(コスト+利潤方式と言って独占企業特有の価格設定方法)、どう転んでも赤字にはならない仕組みになっている。

注)したがって現行方式を踏襲すれば必ず料金の値上げが発生する。

 この料金算出方式は「総括原価方式」と言うのだがこれは東電にとっては夢のようなシステムなのだ。
なにしろ、広告宣伝費も政治家に対する寄付金も業界の拠出金も出向者の人件費もすべてコストに計算される

ジャンジャンオール電化生活を宣伝して、政治家のパーティー券を購入し、出向者(東電の社員でないようにカモフラージュされた職員)の人件費も出してやれ。コストはすべて利用者におしつければいい
調査委員会もあきれて過去10年間で約5000億円の過大なコストの見積もりがあったと報告したが、実態はさらに金額が大きいはずだ。
東電は地域独占体で価格を意のままに決定できるからこうした組織はどうしてもコスト意識が薄くなる。

 私はかつて金融機関に勤めていたのだが金融機関も護送船団方式で大蔵省に守られ競争が制限されていた預金利率や貸出し利率を大蔵省が決定しており、経営規模の弱い金融機関が赤字にならない水準に決められていた)。
そのため強い金融機関はいくらでも収益が上がったため、職員の給与が飛び切り高く、厚生施設にも恵まれていたのを思い出す。

注)長銀と日債銀に政府資金が導入された20世紀の末頃から金融機関の給与は急速に低下した。

 今回原発停止処理に伴うコスト増についても、当初「コストを全額値上げで解消することになる」と経済産業省が言っていたがこれは役人の論理(東電をつぶすと天下りができなくなる)で、さすがに枝野経済産業相は「東電は利益が確実に確保される企業体だから、公務員や独立行政法人と同程度の給与であっておかしくない」と電気料金アップの前に人件費の圧縮を求めた。

 報告書は出たが、東電問題としては以下の課題が残されており道半ばだ。
① 原発をいつ再開するのかまたはしないのか、② 電気料金を値上げするのか、③ 3年以降の賠償金額はいくらになるのか、④ 金融機関も相応に貸出金の債権放棄に応じるのか、⑤ 株主責任はどうするのか、等の不確定要素が山積みしている。

 今後の日程は東電が今回の調査委員会の報告を受けて特別事業計画を策定し、枝野経済産業相の認定を得ることになっている。
この認定が得られれば、支援機構からの融資が得られるのだが、問題が複雑になれば支援機構は融資ではなく資本注入をして国家企業として再建を図ろうとするだろう。

 私の予想はあまりに不確定要素が多すぎて、いくら支援したらいいのか金額が確定できないので一時国有化して再建を図らざる得なくなるのではないかと思っている。
この場合は債権者金融機関や社債保有者、株主)も当然相応の負担を強いられ、最終的には電気料金の値上げにより解決が図られるのだろう。

なお東電の経営問題の過去に記載した記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43519325/index.html

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