« (23.10.4) 韓国の自殺率の高さと大学改革 | トップページ | (23.10.6) アメリカの分裂 左翼と右翼の闘い ウォール街を占拠せよ »

(23.10.5) 世界経済は奈落に落ちそうだ  ギリシャ支援の頓挫

052

 世界経済に大激震が走っている。
どうやらギリシャ支援の枠組みが失敗しそうになってきているからだ。
この7月第二次支援枠として総額で1090億ユーロ約11兆円)の支援を決定したが、その前提になっていたギリシャの財務状況の改善がまったく進まない

 ギリシャ政府は2日、財政赤字が約束のGDP対比7.5%にするのは不可能で8.5%になると発表した。
ギリシャの真意は「ギリシャがデフォルトになるのがいやならさっさと支援をしろ」ということだ。
今月末までに第一次支援枠1100億ユーロ第6次分80億ユーロ(約8000億の融資がなされる計画だが、この80億ユーロの融資がなければ、ギリシャは確実にデフォルトになる。

注)第1次の6回目となる80億ユーロについてはEUとIMFがギリシャの財務改善状況を精査して融資するか否かを決定することになっているが、ギリシャが居直っているため結論がなかなか出せないでいる。

 この状況にユーロ圏の各国はルクセンブルグに集まり、ユーロ圏財務相会議を開催した。私は当初「ギリシャがあぶないから早く2次支援策を各国で承認しろ」(17カ国の議会での承認がないと発効できない)と言う督促会議かと思ったがそうでなかった。
反対に「ギリシャ国債の保有者にさらなる損失の拡大を迫る」と言う修正案の協議だったから、市場は腰を抜かさんばかりに驚いた。
この財務相会議でドイツが「国債保有者のロスカットは21%以上にすべきだ」と表明したらしい

注)7月の第2次枠組みでは国債の保有者に期間の延長を求め、ロスカットは21%となっていた。ところが今回の会議では21%ではたらず、さらなるロスカットを求めるものに変わっていた。

そのような変更は到底受け入れられず、市場の信頼は得られない」ドイツ銀行のCEOが驚いてさっそく声明を発表したが、ドイツやフランスの銀行にとっては死活問題になった。
ドイツの修正案は1090億ユーロの第二次支援策に各国の国民が反対しているため、ギリシャ支援を金融機関に押し付けようとしたものだ。

注)ギリシャ国債の残高は約3720億ドル(約28兆円)、うち80%(約22兆円)がギリシャ以外の金融機関が保有。

 市場には激震が走りヨーロッパ市場はフランクフルトもパリもロンドンも大幅な株安に見舞われた。もちろん株価が大幅に下がったのはドイツ銀行UBSやその他ギリシャ国債を大量に保有している金融機関の株式だ。
そればかりではなく、ユーロが円やドルに対して売られ、ユーロはついに100円になってしまった。この価格は2001年6月以来だから10年ぶりの安値だ。
このユーロの激震はヨーロッパだけにとどまらずニューヨークでも株安が進み、一万ドルの大台割れが近づいてきた。
新興国の株式も総崩れで、特にEUとの貿易取引の大きい中国の株式も暴落だ。

 世界中がEUの動きに一喜一憂しているが、ますます状況は悪化している。市場はイラついて株式市場もコモディティ市場も総崩れで、今資金はもっぱらアメリカ国債日本国債に向かっている。
これはもう駄目だ、リーマンショックの二の舞だ」悲観論が大勢を占めている。

 実はギリシャの財務改善ができないのは構造的なもので、いくら各国がギリシャ政府の尻をたたいても無駄だ。このことはブログに記載してきた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/23925-2186.html
EUやユーロ圏諸国はこのまま果てしないギリシャ支援を行うか、どこかで諦めてギリシャをデフォルトさせるより仕方ないところまで追い込まれた。

 しかしデフォルトとなるとギリシャ国債の保有金融機関がばたばたと倒産してしまう。
フランス、ドイツ、スイスの金融機関が特に危ない。
金融機関の倒産を防ぐにはふたたび国家資金を注入するしかないが、それがいやならギリシャ支援を続けるよりほかに手はない。
ギリシャをデフォルトにするのと、金融機関を助けるのとどっちが安くあがるんだ」当局者は頭を抱えている。

 ギリシャの根は深い。ギリシャが倒れれば次はイタリアスペインだ。ここに火がつけばヨーロッパはもう持たない。
世界経済は完全にリーマン・ショックの二の舞になるが、今度はそれを助ける白馬の騎士(金融と財政を緩和してくれる国)は現れそうもない。

注)おそらく今回も80億ユーロの融資を実施して当面の資金繰りをつけるだろうが、ギリシャ問題はどんどん悪化していき、最終的には秩序あるデフォルト(金融機関等との事前の話し合いがされるデフォルト)になるだろう。
その時のギリシャ国債のロスカットは50%程度になるとみたほうがいい。


なおギリシャ経済については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44468201/index.html

 

 

|

« (23.10.4) 韓国の自殺率の高さと大学改革 | トップページ | (23.10.6) アメリカの分裂 左翼と右翼の闘い ウォール街を占拠せよ »

評論 世界経済 ギリシャ経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (23.10.4) 韓国の自殺率の高さと大学改革 | トップページ | (23.10.6) アメリカの分裂 左翼と右翼の闘い ウォール街を占拠せよ »