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(23.10.31) 東電のコストはなぜ高い ゼロ連結会社のトリック

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 昔経済学を学んでいた時に、商品の価格決定方法としてコスト・プラス法と言うものがあり、コストに一定の利益を上乗せして価格を決めるという説明があった。
私は「当たり前だろう」と思ったが、実際の市場ではコストに利益を上乗せすることが難しい。
それは市場が競争下にあるからで、企業としてはコスト・プラス法で価格を決めても(メーカー希望価格と表示されている)、競争価格はそれよりかなり低く決まってしまい場合によってはコスト割れする。

 しかし一方で無競争状態であれば、コストに利益を上乗せしても消費者は他に選択の余地がないからその価格を受け入れざる得ない。
そしてそのコストが適正価格ならばさして文句の言う筋合いはないが、実際はコストは企業の都合であらゆる費用がつぎ込まれ、消費者は法外な価格を受け入れさせられる

 その最適な例が東電の電気料金だ。
政府の第三者委員会の経営・財務調査委員会が先に「東電は原価の見積もりに過去10年間で約6000億円過大に計上していた」との報告をしていたが、その内訳として ① 電気事業連合会等の関連団体への会費、② オール電化工事の宣伝費、③ 福利厚生費、を上げていた。

注)東電のこの価格決定方式は統括原価方式と呼ばれているが、何でもコストに加えてしまうという東電にとって実に都合の良い方式。

 「まあ、たぶんそんなところだろう」と私は思ったが実はそればかりではなかった。
このような過大なコストは序の口で、今回毎日新聞が30日の朝刊でスクープした記事では「東電のゼロ連結会社が46社あり、この会社と連結会社関電工の電気関連工事の受注は約9割にのぼり、受注コストは競争入札に比べて約1割高価だ」と報じた。

 このゼロ連結会社とは東電との資本関係はないが、職員のほとんどが東電OBで、かつ役員は元東電のお偉方である。
たとえば「東電同窓電気」という実に正直な名前の会社は、社員360名の会社で、経常利益が常に黒字の超優良会社だが、売上げの70%を東電関連から受注し、役員も職員もほとんどが元東電職員だという。

 なぜこのような正直な名前の会社ができたかと言うと、昭和59年当時、東電の電気工事を関電工1社で受注しているのは競争原理に反するとの批判が出たからだそうで、それならばと東電OB会社をいたるところに作って、いかにも競争下にあるように見せかけたのだと言う。

注)資本関係が有るとばれるので資本金は東電OBが拠出している。

 一般に会社のOBが退職して会社を作りもとの会社の部品等を受注することはよくあるケースだ。自動車業界などもそうした事例はいくらでもあり、これが問題にならないのは、親会社そのものが競争下にありたとえばトヨタはホンダやニッサンや外国企業との競争で負けないためにOB会社といえども特に優遇策を講ずることがないからである。

 それに対して地域独占を許されている東電はまったく違う。OB会社を優遇した付けをすべて消費者に転化する方法があるからで、OB会社は「我々の仕事は特殊技術が必要で、他に発注すればさらに高額になる」といい放っている。

 実際、価格はOB会社の言い値を東電はほとんど受け入れているのだが、いくら高価でも支払は消費者だからまったく東電の懐は痛まないし、それ以上にそのOB会社に将来世話になるのだから、OB会社を優遇することは担当者の利益になる。

 すべては地域独占企業として価格をコスト・プラス法で決定できるからだが、海外では発電と送電と電力販売が別会社になっている。
そうしないと独占価格を消費者におしつけるからで、特に電力販売は競争が激しく、前に報道で見たアメリカの事例では、「電力販売会社を変えたらこんなに電力料金が安くなったわ」なんて主婦が言っていた。

 日本では談合こそが文化の国だから、競争より独占が好まれ、いくら設備投資をしても電気料金に反映できるため電気の質は不必要なまでに高められている
電気の質も家庭と工場やオフィッスでは違い、品質が少々悪くても(停電時間があっても)いい人はいくらでもいるのだから、日本のような地域独占体はやはり見直しが必要だろう。

注)なおこれは東電だけの問題ではなくすべての電力会社に共通した問題だ。

 
東電の経営問題については毎日新聞のスクープが多い。経営問題の記事は以下にまとめてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43519325/index.html

 

 

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コメント

官僚の天下りにしても、何で退職した人が金を奪おうとするのでしょう。
そんなことをするから、若年層が就職に困って、日本の経済循環が悪くなり、社会保障のコストが上がっていくのに、と。
自分さえ良かったらいい、という発想が、日本を苦しめているような気がします。

投稿: ふくだ | 2011年11月 1日 (火) 20時24分

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