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(23.10.29) NHKスペシャル 中国人ボスがやってきた レナウンの400日

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(この写真は「千葉公園のベンチから アタシはコーギー犬のココ」(リンクが張ってあります)と言うブログから借用。とても美しい写真だったので友達のヨシミで使用させてもらいました。このブログは銚子について知るには絶好のブログです


 久しぶりに見た衝撃的なドキュメンタリー番組だった。
私の若かった頃日本のアパレル業界をリードし、日本中の女性をレナウン娘にしてワンサカワンサカ エーイエーイ エイエイと騒ぎまわっていたあのレナウンが中国の企業に40億円で実質的に身売りをしたと言う。

 私はこの業界のことが疎かったので知らなかったが、レナウン1990年前後のバブル崩壊から長期低迷状態に陥り、その間黒字決算ができたのはたった1回だけだというから驚いた。

 レナウンが低迷した原因はデパート業界と一蓮托生の運命をたどったことと、SPAという製造小売ビジネスモデルに出遅れたからだといわれる。
製造と小売を一緒にして売れ筋をすばやく捕らえては追加生産をするこのSPAは、在庫にすると腐っていくといわれるアパレル業界の救世主といわれたが、採用に遅れたレナウンは在庫を腐らせるままに任せたらしい。

注)アパレル業界の言葉で半値、八掛け、2割引と言う言葉があるが、最初は半値にし、さらに売れないとその8割程度の価格で販売し、最後は2割引にして在庫一層を図る。最終的には正札の3割程度の価格になる。

 消費者の立場から見るとレナウン製品女性の場合はシンプルライフやマーノ、男性の場合はダーバン)は質がとても良いが高価な商品だった。それでもバブル崩壊前は私もダーバンを好んで着ていたものだ。
それがバブル崩壊を期に、私は恐る恐る洋服を紳士服の青木に代えてみたら品質はさして変わらないが価格が約半分になってしまった。
さらにジャスコで1万円台の安売りが始まると青木の半額程度のそこそこ着れる紳士服が現れた。
これでは誰もダーバンを着る人がいなくなるのは当たり前だ。

 こうしてレナウンは在庫が積みあがり赤字決算に悩まされ、倒産か買収かの瀬戸際に立たされた。結果的にレナウンを救ったのは中国のサントン・ルーイーと言う繊維会社だが、レナウンの株式の約41%、金額にして40億円の投資をしてくれた。昨年の7月のことである。

 当初私はサントン・ルーイーがレナウンの価値を認めてレナウンが独自方式で再建するのを支援した(投資収益だけを求めた)のかと思っていたが、まったくの間違いだった。
サントン・ルーイー薫事長代表取締役会長)のチュー・ヤーフ氏がさっそくレナウン本社に乗り込んできて管理職を前に最初に言った言葉がすごかった。
莫大な投資をしたのは中国人である。そのことを日本人はよくわきまえろ。日本人は根本的に変わらなければならない

 かつて日本が日の出の勢いだったバブルの頃、日本人もアメリカやイギリスの現地職員を捕まえて同じようなことを言っていたが、今度は中国人に言われる立場に逆転していた。
しかしこのときチュー・ヤーフ氏の真意を理解した日本人管理職は一人もいなかったと思う。

 チュー・ヤーフ氏の意図は以下のようで、実質的な経営権の乗っ取りだった。

① レナウンは市場規模が縮小している日本での販売を諦め、毎年20%の伸び率で伸びている中国に経営資源を集中する。

② 中国での商売はできるだけ早く市場を押さえてしまうことが大事で3年で300店舗、10年で2000店舗の店舗展開を図る。

③ 中国では中国人が好むアパレルがあってそれは日本のアパレルとはまったく異なるので、日本式を導入してはならない。

④ 店舗展開は北京から行うのではなく地方都市からせめて最終的に北京に登ってくれば良い。

⑤ 早い店舗展開のためには手段を選ばない。店が安手であってもよく、直営でなくてもアパレルに関心を持っている投資家をフランチャイズ方式で取り込め。

 このチュー・ヤーフ氏の指示のもと、北京にレナウンサントン・ルーイー合弁会社を作ったのだが、そこで働く日本人スタッフの苦労は並大抵のものではなかったようだ。
社長の大桐さんが「ストレスを残さないようにすることが大事だ」と言っていたがまともに考えていたら精神が崩壊したのだろう。
実際大桐氏は社長ではあっても実質的な社長はチュー・ヤーフ氏の娘のチュンランさんが握っていて、チュンランさんの決裁がなければ何事も決まらない。

 日本人スタッフは当初北京の一流デパートに一号店を出し、そこでの知名度を高めたあと地方に進出する計画を立てたが、中国でのレナウンの知名度は低く、そのため一流デパートは相手をしてくれない。
ようやく見つけたシンガポール資本のモールは中国独特の政治的駆け引きの道具となって契約をキャンセルせざるえなくなっていた。

 私は中国式ビジネスと言うものをはじめて知ったが、なにしろスピードが一番で、品質については二の次であることに驚いた。
しかし考えてみればこれは当然で、本当に品質を求める中国人はパリでもニューヨークでも東京でもいつでも出かけていって一流品を購入できる。

 一方中国国内から外には出られないがそこそこの収入がある人々は、一流に見えさえすれば何でもよく、本当の意味の一流品は求めていない。
実際映像ではレナウン東京本社の製作した商品を中国向けに修正している場面があったが、ひらひらをくっつけたりして派手派手しくしてはいるが、日本人の目から見るとひどくダサイ製品だった。

注)レナウンでは商品企画はすべて東京本社が握っていたが、それでは中国人の好むデザインはできず売れ筋の販売ができない。ブランドイメージが崩れるほどダサくても中国人が好めば変更しなくてはならない。

 だが中国の現在が求めている製品は、少しばかり外国の息吹がして恐ろしく派手で、価格もそこそこの商品なのだ。
この中国市場に完全にディペンドしたのが韓国のイーランドで、ナウな商品を一時代前のスタイルに直して爆発的な営業展開をしていた。

早く、安く、ちょっとだけナウな商品」それを中国人は大量に求めているようだ。
何か日本の60年代のような雰囲気だが、それこそが売れ筋ならば企業のほうがあわせざる得ない。

 中国に取り込まれたレナウンは大変だ。スタイルをほぼ40年前にタイムスリップさせ、もう一度「プールサイドに夏が来りゃ エーイエーイ エイエイ」と中国企業になりきってがんばってもらうしかないのだろう。

なお中国関連の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

 

 

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コメント

「本当に品質を求める中国人はパリでもニューヨークでも東京でもいつでも出かけていって一流品を購入できる。一方中国国内から外には出られないがそこそこの収入がある人々は、一流に見えさえすれば何でもよく、本当の意味の一流品は求めていない。」まったく同感です。これがよく言われる、「お客さんのことを知る」ことなのでしょう。お客さん、マーケットを知るには情報の集積が必要で、結局ビジネスの成否は国内外を問わず情報収集能力が大きく物を言うと思います。日本企業に製造業力があるとすれば、海外での成否はことさらにこの情報収集能力に大きく左右されると感じています。

投稿: X | 2011年11月 1日 (火) 17時57分

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