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(23.10.24) ブラジル経済は世界の救世主になるか

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 ブラジルのルセフ大統領がギリシャ危機が深刻化しているヨーロッパに対し「ヨーロッパのパートナーであるブラジルを頼りにしていい」と言い切ったのには驚いた。
中国が先に「イタリア国債を購入してヨーロッパを助ける用意がある」と言っていたが、ヨーロッパ経済に対する救世主はブラジルや中国のようだ。

 ブラジルは人口約2億の大国で、日本との関係はジーコをはじめとするサッカー選手がJ1やJ2の選手として活躍しているので、サッカーがまず頭に浮かぶが、それ以外では資源大国で特に鉄鉱石の輸出企業ヴァーレが有名だ。

 かつて世界の鉄鉱石価格は新日鉄とヴァーレ間で年一回の価格交渉で決まっていたが、今では中国とヴァーレ間で決めた価格が世界の標準価格になっていて、新日鉄は価格形成者としての立場を奪われてしまった。
鉄鉱石以外ではコーヒー豆やトウモロコシの生産が多いが、日本との関係は中国や韓国やタイ等に比較するとかなり薄いものだ。

 もっともブラジルには戦後多くの日本人が移民をしており(私の父親も失職していた頃移民を検討し「次郎ブラジルに行くか」と言っていた)その子孫が特別ビザで日本の労働力として最近まで働いていた。
しかし東日本大震災の影響や日本経済の低迷もあって、多くのブラジル人が故郷に帰ってしまったが、現在ブラジル経済は絶好調と言ってよい状況で失業率も低くブラジル国内で容易に職を見つけることができる。

 ブラジル経済にとっての悩みはインフレと最近まではレアル高だった。
インフレは国内消費が旺盛なためで、かつての日本のように家電製品や自動車が飛ぶように売れ、また住宅投資も活発に行われている。

 あまりの消費過熱を恐れたブラジル中銀は政策金利を12%程度に引き上げたが、これを見た世界の投資資金が一斉にブラジルに押し寄せてしまった。
ブラジルは経済が堅調なのに金利は12%だ。絶対ぼろもうけできる
このため通貨レアルがドル対比でレアル高に振れ、2009年から2011年8月頃までほぼ40%のレアル高になった(レートが高くかつ通貨高に向かうの通貨が最高の投資先になる)。

注)11年8月頃からギリシャ危機が発生し、ヨーロッパやアメリカの資金がブラジルから引き上げているので現在はレアル安の方向に傾いている。

 ブラジル政府の悩みはもてるものの悩みだ、国内の消費を抑えようと金利を上げたら、外国から怒涛のように資金が入ってきてレアル高になってしまう。
レアル高は輸出商品の価格を引上げ、その結果安価な中国製品に席巻されてしまった。
こりゃだめだ、このまま行くと国内の中小企業が全滅だ

注)中国の場合は為替管理によって外国資金の流入を食い止められるが、ブラジルははるかに市場が自由なので外国人でも株式や投資信託の購入が自由にできる。

 この8月から政策金利の引下げを始めたら、こんどは消費者物価が従来の6%台から7%台に跳ね上がってしまった。
えー、いったいどうすりゃいいんだ」ブラジル中銀は頭を抱えている。

 しかしGDPの伸び率は昨年は7.5%、本年度はヨーロッパやアメリカの経済が低迷しているため4%程度の伸び率しか期待できないとは言え、日本のようなマイナス成長とはまったく異なる。
輸出はレアル高で苦戦していると言うものの鉄鉱石価格はリーマン・ショック前の価格をはるかに越えているし穀物価格も値上がりしており、さらに国内消費は旺盛そのものだから、ルセフ大統領が「ヨーロッパを助けてやる」と言うほどの余裕があることも事実だ。

 ブラジル経済は世界の救世主になれるだろうか。そうあってほしいが本当の実力はこのヨーロッパに始まった経済危機を乗り切れるかどうかで決まるのだろう。

なお、鉄鉱石価格の決定方法の推移は以下のブログ参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/2242-0706.html

 

 

 

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評論 世界経済 ブラジル経済」カテゴリの記事

コメント

ここ最近、自由化が義務化されているような状態ですが、国民を守るための関税も必要じゃないか、と考えされました。

投稿: ふくだ | 2011年10月25日 (火) 20時32分

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