« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »

2011年9月

(23.9.30) ためしてガッテン めまい・耳鳴り・不眠解消法 今回はガッテンできない

008

 今回のためしてガッテンはめまい・耳鳴り・不眠解消法だったが、私には残念ながらガッテンがいかなかった。
番組ではある種のめまい・耳鳴り・不眠が長い間の片頭痛に原因があり、さらに片頭痛は脳の過敏状態に原因があるという。

 片頭痛そのものが脳の過敏状態であることは理解できるのだが、それがなぜめまいや耳鳴りや不眠になるかのメカニズムが番組では分からなかった。
どうやら頭痛学会でも定説になっているわけではなく、最近1年間の間に発見された新説であって、現象的にはいえても原因の解明のメカニズムまではいってないようだ。

注)長期間、脳を過敏状態にするとこうした症状になると言うのだが、番組ではそれがなぜめまい・耳鳴り・不眠になりたとえば肩こりや胃腸病等にならないかの説明がなかった。

 しかし現にめまい頭痛不眠に悩まされている人が従来は癲癇うつ病の薬であった抗てんかん剤抗うつ剤を投与するとひどいめまいや耳鳴りや不眠が大幅に解消されるのだと言う。

 東京女子医科大学の清水教授は、片頭痛を長く患った患者がこうしためまいや耳鳴りや不眠という不定愁訴を訴えるケースがあったことから、脳の中のセロトニンに注目し、これが減少することが片頭痛の原因で、それが結果的にめまいと等の症状に転化することを突き止めたと言う。

注)ただし抗てんかん剤や抗うつ剤でめまい等はなくなるのだが、隠れていた片頭痛が再発して(今まではめまいがひどかったので忘れていたが)その後頭が痛むのだそうだ。

 私が知っているセロトニンうつ病と関係し、このセロトニンが少なくなると何事に対しても消極的になるうつ状態になるもので、とくに高齢者に多い症状と言うものだ。
この番組ではセロトニンの減少で血管が広がり(このメカニズムの説明もなかった)、その結果血管の周りに痛み物質が出て頭痛を引きおこすと説明していた。

注)元々脳には痛みを感ずる神経がないから痛みそのものは血管の痛みである。

 私自身はほとんど片頭痛の経験がない。たった一度だけ30歳を少し過ぎたころに、やたらと細かいことを言う同僚がいてその人の話を聞くたびに頭痛が走ったことを覚えている。
幸いにその人とはその後一緒に仕事をすることがなくなって偏頭痛からは解放された。
今はひどい耳鳴りがしているが、これは真珠腫性中耳炎の影響で、片頭痛は関係していないと思っている。

 上記の清水教授とは別に頭痛学会平田教授が出演し、片頭痛が発生しているときは一般の消炎鎮痛剤ではだめで、トリプタンという頭痛薬を飲めば根本治療になり片頭痛が治癒すると説明していた。

 片頭痛はセロトニンが減少して起こる症状だから、トリプタンがその減少を抑える働きがあるのだろう。なお生理の時の頭痛も(脳のセロトニンが減少することが原因で)このトリプタンを飲むことによって防ぐことができると説明していた。

 それにしても今回のためしてガッテンがどうしてもガッテンできないのは、片頭痛のメカニズムセロトニンが不足すると血管が広がり頭が痛くなる)と片頭痛からめまい等に移って行くメカニズムが分からない点にある。

 対処療法的にはめまい等は抗うつ剤等を投与すれば直るが、めまいの原因だった片頭痛そのものはトリプタンという頭痛薬を飲まないと直らないということのようだ。
最も療法なんかは病気を直すことができればそれでいいのだから、別段メカニズムが分からないからその薬を使用しないというものではない。

 しかし、ためしてガッテンガッテンをすることが重要で、今回のような「理由は分からないがともかくそうなるんだ」と言う話ではとてもガッテンができたと言うことができない。
ためしてガッテンとしては消化不良の番組だった。


別件)台風15号のおゆみ野地区の樹木に対する影響を専門家の佐々木さんが調査してくれました。以下のURLをクリックすると確認できます。
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/mamoribito/2011/09/post-933b.html

 

| | コメント (0)

(23.9.29) プロジェクトWISDOM 世界の知性が泣いている ドル凋落の危機

040


 24日に放送されたプロジェクトWISDOMには笑ってしまった。なんともタイミングが悪いのだ。
ここ数日ギリシャの債務問題でEUがユーロを守れるか否かの瀬戸際に立たされているときに、ユーロとは関係ない「ドル凋落の危機 そして日本は」をテーマに世界の知性を集めたのだから、NHKもやきが回ったのかと思ってしまった。

 確かにアメリカ経済が危機にたたされていることは事実で、イラク・アフガン戦争による戦費の増大とリーマン・ショックによる財政・金融出動でアメリカの財政赤字がGDPの100%に達している(日本は200%だからさらに悪)。

 失業率も9%台に高止まりして、番組では元メリル・リンチの部長が失職して再就職は電気店の販売員になっていた。
株も冷蔵庫も売ることには変わりがない」と本人は言っていたが本音ではないだろう。
世帯所得も2000年の73千ドル約550万円)から2010年は67千ドル約500万)に落ち、消費が低迷して日本で言う100円ショップ99セントショップ)が大繁盛していると言う。

 こうした状況を見てとうとう格付会社のS&Pがアメリカ国債の格付を最上位から1ランク落してしまい、さらに今後の見込みもネガティブと評価している。

 番組ではS&Pの引下げに伴って世界経済に衝撃が走り、世界各国の株価の大暴落が発生したと紹介していたがこれは違う。
株の大暴落はアメリカ国債の評価が下がったからではなく、ギリシャの債務危機が再び顕在化したからだ。
今回の危機はアメリカ発ではなくヨーロッパ発であり、アメリカの財政再建策ではなくEUがギリシャ支援に適切な措置を講じない限り解決しない。

 それは為替の動向を見ても明らかでドルは円以外の通貨に対して上昇しており、ユーロの低下が著しい。
この通貨の動きは市場が資金をユーロや新興国の株式市場やコモディティ市場から逃げ出してアメリカ国債や日本国債に資金を移動させていることの裏返しである。
実際問題としてアメリカ国債は市場から信任されている。

 今回の知性はいつものフランスのジャック・アタリ氏とアメリカからは経済学者のディーン・ベーカー氏、そして日本からは辛口経済学者の浜矩子氏が参加していた。
他にイギリスのパオラ・スバッキ氏、アメリカのアリシア・オガワ氏が参加していたが、残念ながら世界の知性とはいいがたい)。

 さっそく界経済の危機の原因について、ベーカー氏アタリ氏のやりあったが、ベーカー氏「ユーロ危機をEUが抑えることができれば、第二のリーマンショックが起こることはない。アメリカは基軸通貨国だから、金融緩和をおこなうことでドル安を誘導し貿易収支を黒字化することができれば、経済は上向く。
最も成長率は1%程度の低成長になるだろう
」と説明していた。

 一方アタリ氏は「ユーロの問題は大きな問題ではなく、ギリシャ経済はEUのほんの一部の経済でしかない。EU 全体で見ると債務はゼロであり非常に健全でアメリカの10兆ドル(約760兆円)の債務とは大違いだ。
アメリカはインフラ面での整備で問題があり、飛行場や道路が古いままでまた初等教育が崩壊の危機にある。
 
 そして特に問題なのは富の偏在化であって、富めるものと貧しいものとの富の格差の是正が是非とも必要だ。そうしたアメリカの取り組みがなければアメリカ発の危機は免れることができない
」と言っていた。

 ベーカー氏はEUの責任を追及し、アタリ氏はアメリカの責任を追及していたが、現在の危機はユーロ危機であるからベーカー氏の方に分がある。
これに対し浜矩子氏はいつものように口をへの字にまげて「このメルトダウンまじかな時期に、責任問題云々を行っている場合でなく、世界中が協力して対処すべきだ」と言っていたが具体的な処方箋はよく分からなかった。

 浜矩子氏が真骨頂を発揮したのは、司会のアナウンサーが「円高と日本の影響」について話題を転じたときで、「世界の知性を集めているのだから、円高の影響について云々するようなレベルの低い討論はやめて、今後世界各国がどうしたらよいかを考えるべきだ」と言い放った時だ。

 実際私も「円高=日本の経済危機」という図式にはうんざりしていた。
確かに円高になれば輸出産業にとって厳しいのは分かるが、それは同時に輸入産業にとってはわが世の春を迎えることだし、金融業にとってはM&Aを仕掛ける絶好の機会になる。それに海外から労働者を導入すれば外国人労働者は自国に帰れば信じられないような優雅な暮らしができるのだから喜んで働き手になる。
いくらでも対応策が考えられるのに、相も変わらず日本経済の危機論では、知性も話すのが嫌になるだろう。

 それでもベーカー氏が「円高も徐々に進むのであれば問題なく、2008年にもこうした状況があった。いまは円に資金が集中しているが中国が元の自由化を行えば資金は円ではなく元に向かうだろう」と指摘していたが、これは正しい指摘だ。
円に資金が集まって円高になっているのは他に自由に売買できる適切な通貨がないからであって、本来なら元が買われてしかるべき状況だ。

 今回のプロジェクトWISDOMは明らかに失敗だったと思う。
テーマがそのときの経済状況を反映しておらず、世界がユーロ崩壊に注目している時に、アメリカのドルの凋落を話題にしては時期を失しているし、浜矩子氏が言うように「円高の日本経済に対する影響」などは世界の知性が話し合う内容ではない(日本の実務者レベルの話題に過ぎない)。

 円高の影響などはすでに誰でも知っていることで、知性に問うのであればこうした状況下で世界の中の日本としては
いかに対処すべきかと問うべきだ(日本だけが助かると言うような小さなテーマは知性向きでない)。

 NHKが間違ったのは「円高=日本の経済危機」と言う図式から抜け出せず、相もかわらず危機意識をあおることを目的に設問を構成していたからだ。
これでは浜矩子氏ならずとも「NHKはもう少し勉強をして世界経済の現状を把握し、日本経済だけに特化した狭い見方をやめてもらいたい」と思うのは当然だろう

なお、過去のプロジェクトWISDOMの記事は以下参照

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/nhk_4/index.html
 

 

 

 

 



 

| | コメント (0)

(23.9.28) ニュートリノが光より早く飛んだって本当かい???

23823_048


 私のように普段まったく物理学に興味を示さないものでも、今回のCERN(欧州合同原子核研究機関)の発表には度肝を抜かれた。
なにしろ光より早い物質があって、それがニュートリノだという。

注)ニュートリノは素粒子の一種でどのような物質でも通過してしまうほど小さい。

 発表ではCERNから約730km離れたイタリアの研究所に向かって1万5000回にわたってニュートリノを発射しその速度を測ってみたところ、光より1億分の6秒早く到達したのだという。
最もこの結果にはCERNの研究者も驚いており、世界の研究機関にこの追試を依頼し再確認を求めている。
拙速に結論は出せない。事実の確認をしてほしい

本当かい、実験装置が狂ってるんじゃないかい」思わずそう思ってしまった。
なにしろアインシュタイン1905年に発表した特殊相対性理論では「質量のあるもので光より速い物質はない」となっていたからだ。
ニュートリノに質量があることは最近証明されたばかりだが、相対性理論の世界ではニュートリノが光より速いはずはないのだ。

注)なお光(光子)には質量がない。質量があれば重くなって光より遅くなるのだろう。

 それにスーパーカミオカンデ小柴博士ニュートリノを検出した時も、超新星爆発で出た光とニュートリノはほぼ同時刻に観測されたという。
もしニュートリノの方が光より1億分の6秒速いとすると、ニュートリノは光より1年前に到着しなければおかしいという。

ほれみたことか、アインシュタインを越えるなんて大それたことができるはずがない
私のようにアインシュタインのファンは相対性理論がかつてのニュートン物理学のように、ニュートリノによって乗り越えられてしまうのが我慢できない。
それに正直言うと私は物理学が苦手だ。この苦手の物理学の中でようやく相対性理論を受け入れられるようになったのに、さらにニュートリノの出現で時間の概念が変わってしまっては、私の頭がパニックになってしまう。

注)相対性理論の中で最もインパクトがあるのが時間の概念で、時間は光速に近づけば近づくほど遅くなり、光速と一致すると時間がゼロになると言う。確かに私達は光の速度でやってくる現象を認識しているのだがら、移動が光と同じになればすべてが止まってしまうのだろう。

 しかしSF作家SF漫画家は大喜びだ。
これでワープを実際に行うことができる理論的根拠ができ、タイムマシーンの出現が可能だと言う。
なにしろ光より早く移動するなら、ニュートリノの速度で前に進むことは光の世界からすると未来に行くことだし、反対に光の速度で進んでニュートリノの世界を見れば過去に行くことになる。未来にも過去にも自由に移動することができる。
SF作家が興奮するのも無理はない。

 しかし今最も必要なのはCERNの実験結果の追試で、これが確認できなければCERNの実験結果は実験器具等の不具合と言うことになる。
アインシュタインのファンの私としてはCERNの実験が間違っていることを望むばかりだ。

 日本でもさっそく追試に取り掛かっているそうで、反対にこのSERNの実験結果が本当だと言うことになったら、ニュートン物理学アインシュタイン物理学の他にSERN物理学ができてしまうことになる。
またこの年になって物理学を学びなおさなければならなくなるなんて気の重いことだ。

 

 

 

| | コメント (1)

(23.9.27) 不動産価格はいつまで下がるのだろうか 基準地価の低迷

022

 国土交通省
が発表した7月1日現在の基準地価を見て、あらためて日本の地価はどこまで下がるのだろうかと考えてしまった。
バブルが崩壊した1992年以降一貫して下がり続けてはや20年になる。
日本経済の失われた20年とこの地価の動向はパラレルだ。

 私が学生だった頃父親は不動産関連の仕事をしていたが、「次郎、家を建てる土地を購入するときは必要な面積の2倍の土地を購入するんだ。そして家を建てるときは半分を売ればその金で家が建つ」と言っていたものだ。
確かにバブルが崩壊するまではこの法則が成り立っていたが、今では土地を持てば持つほど資産価値の低下に悩まなければならない。

 バブルが崩壊してしまえば不動産もただの商品だから需要と供給で価格が決まる
日本全体では05年前後から人口が停滞し減少局面に入ったが、個別に見ると都市部の人口がほぼ同じなのに対して地方の人口減少が激しい。
若者が職を求めて都市部に集まり、一方地方は老人比率が高くなり老人の寿命がその地方の寿命になってしまった場所も多い。

 不動産価格を見てみると、全国平均では▲3.4%だが、都市部では商業地が▲2.2%、住宅地が▲1.7%なのに対し、地方圏では商業地が▲4.8%、住宅地で▲3.7%と圧倒的に地方圏の価格低下が激しい。
そしてこの傾向がほぼ20年にわたって続いていて、都市と地方の価格差が開いている。

 住宅地に比べて商業地の地価の低下が激しいのは、企業が日本から消えているからバブルの頃進出してきた高級ブティック金融機関投資会社が、この20年間に潮が引くように日本から撤退してしまった。
銀座にユニクロが出店できるほど地価は低下している。

注)企業の国外への移動のほうが人の国外への移動より早いので、商業地の価格の低下が住宅地の価格の低下を上回る

 また日本の輸出産業も生産拠点を中国や東南アジアにシフトさせているから、バブルの時期に開発した工業団地も閑古鳥が鳴いている。
おかげでこうした団地の開発を行ってきた第3セクターは次々に解散に追い込まれているし、工業団地にはぺんぺん草が生えひばりが飛んでいる。
なれや知る、都は野辺の 夕雲雀 ( ゆうひばり ) 、あがるを見ては落つる涙は」は応仁の乱で廃墟になった都を歌った歌だが、工業団地はまさにそうした状況だ。

 ここ千葉もご他聞にもれず地価の低下が進行しており、今年は9割以上の地点で下落して平均で住宅地で▲2.5%商業地で▲2.4%だという(住宅地の低下のほうが大きいのは東日本大震災で湾岸の住宅地に液状化現象が出たため)。

 私の住んでいるおゆみ野は人口が増加している場所なので地価は上がるかと思っていたら、ここでも下がっている。
一番近い場所の基準地価が930千円で昨年が950千円だから、▲2.1%だ。
なんでだろう、人口増加地帯で価格が下がるなんてことがありえるのだろうか
とても不思議な気がしたが、周りの価格が下がっているときは人口増加地帯と言えどもそれに引っ張られて価格が下がることに気がついた。

注)反対に価格上昇期には本来は価格が上がりそうもない場所の価格も上がっていた。
こうした周りの影響を受ける現象を地価の波及効果と言う。


 不動産価格は日本経済の現状からみて、今後とも傾向的に下がっていくことは確かだ。
あがる要因がまったくなく、人口が減少企業が海外に出て行けば不動産に対する需要が低下するのは当然だ。
だから、この下がっていく価格をせめて現状維持程度に止めるためには、住環境をよくして住みたいと思う人を増やすしかない。
幸いここおゆみ野の人口は毎年2000人程度増加して、45000人規模になっている。
日本でも人口が増えている稀有な場所の一つだ。

 遊歩道や公園はUR都市機構が最後の大規模開発と思ってそれまでのノウハウをすべて投入したような場所だからとても美しい。
問題はそのメンテナンスが十分に行われないことで、ベンチのペンキがはげていたり、せっかくの芝生が手入れをされないために雑草だらけになっていたりしている。

 景観もメンテナンス次第だから、私は毎日清掃活動をしてゴミを遊歩道沿いに残さないようにし、ベンチや街路灯のペンキ塗りをしたり、落書きはすぐに消しこむようにしている。
また街路樹の景観維持についても千葉市のみどりの協会とタイアップして維持に努めている。

 こうした活動はかなり効果を挙げてはいるものの、おゆみ野を組織として守っているわけでないので、私が疲れてしまうと一気に環境は悪化してしまいそうだ。
そうなると地価も大幅に低下することは確実で、現状維持などは夢のまた夢だ。
現在は不動産の価値すらこうした維持活動をしなければならない状況になっている。
幸いおゆみ野では景観を守る運動を組織化する機運が出てきているので、市民運動のひとつの形態として実現できたら幸いだ。


なお、最近のおゆみ野の状況は以下のブログ参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-6213.html


別件)「おゆみ野四季の道」、「おゆみ野四季の道 その2」のカウンターを10000加えました。

 

 

 

 

 


 

 

 

| | コメント (1)

(23.9.26) アジア危機の再来か!! 新興国の通貨防衛策

017_2  

 信じられないような為替相場の変動が起こっている。
新興国が相次いで為替に介入しているのだが、それも自国通貨を高めに維持するためだ。
通常新興国は輸出振興のため自国通貨を安くする方向に為替相場を誘導する。
韓国が典型的にそれで、「ウォン安こそが自国の利益」と思っている。

 ところがギリシャ危機を発端とするユーロ圏の動揺が、市場の動きを狂わしてしまった。
市場の資金はとてもナーバスで危ないと思ったところからは怒涛のごとく資金が引き上げられる。
現在新興国といわれていた韓国、インド、タイ、フィリピン、ブラジル、ロシア、シンガポール、インドネシア、台湾から資金が逃げ出した。

 逃げ出した先の運用は当面は現金で保有するか、最も安全と言われている資産に逃げ込む。
アメリカ国債日本国債スイス国債あたりが最も安全で、さらに安全なのはだ。

注)現在は金価格は低下しているがこれは新興国の株式投資で損失を出た分を、利益のある金の売却を行うことで調整しているためで、調整が終われば再び金価格は上昇に転ずる。

 現在新興国の株式市場からは資金が引き上げられて、どこの株価も急落だし、通貨は低下の一途をたどっている。
この状況に驚いた新興国は自国通貨防衛のための買い上げを行い、ドルの売却に乗り出した。

注)インドのルピーは対ドルで2年4ヶ月ぶりの安値になり、ブラジルのレアルはここ4営業日で10%下落した。他の新興国もほとんど同じ。

 これは何か1997年に起こったアジア危機を彷彿とさせる。当時はどこの通貨もドルにペッグしていたが、当時のアメリカは今とまったく反対にドル高政策をとっていた。
このため新興国の通貨はどこも割高になり、輸出が振るわなくなってきたがそれでもドルペッグをやめなかった。
チャンスだ、タイとインドネシアと韓国の通貨を売りまくれ
ヘッジファンドが空売りを仕掛けた。タイや韓国の通貨は必ず下がると読んだのである。
その結果アジア通貨は低下の一途をたどり、外国資金は逃げ出して韓国はIMFに支援を仰がざる得なくなった。

注)から売りはたとえば円が安くなることを見越して将来のある時点で円を100円で売る約束をする。この円がさらに大幅な円安になって150円になれば、100円渡して1ドル入手し、このドルを再び円に変えれば150円になり差し引き50円の儲けになる。
下げの局面で利益を上げる特別な方法。



 今回は空売りとは無関係だが、ユーロに端を発する世界景気の悪化で市場の資金が安全を求めて津波の引き潮の勢いで引いている。
新興国の命綱はアメリカや日本やユーロからの投資資金だ。
中国のように十分な外貨があるところは別だが、外貨準備の薄い国は外国からの投資資金だけで持っているようなものだ。

 あわてて自国の通貨防衛に乗り出した。しばらく前までは新興国に湯水のように資金が入っていたのに様変わりで、経済の潮の変わり目にはいつも驚かされる。

 今世界経済はリーマン・ショック後の二番底をじっと伺っている。
あの時はまだアメリカとEUが財政・金融出動をする余裕があった。今その余裕があるのは中国等一部になってしまった。

 世界経済はアメリカ・EU・日本といった先進国は完全に成長余力がなくなり、一方中国やインドやブラジルが世界経済を引っ張るのは力不足だ。
おそらくこれからの10年間はアメリカとEUが日本の失われた10年の後を追い続け、新興国も成長率が鈍化して世界経済全体としたら停滞局面に入っていくのだろう。

注)私の正直な予測はEUは日本に続いて中世に入ってきたと言うものだ。中世とはGDPの成長を求めない社会で、足るを持ってよしとする社会である。
このことは何回もブログに記載しているので詳細は以下参照

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-4a0a.html

| | コメント (0)

(23.9.25) ユーロはルビコン川を渡れるか? ユーロ崩壊か財政統合かの瀬戸際!!

23725_001  

 とうとうヨーロッパ経済は瀬戸際まで追いつめられてしまった。
G20主要20カ国・地域財務省・中央銀行総裁会議)は22日開催され、悲鳴とも言える緊急声明が出されたが実際は何も決められなかった。

 今回の会合では① 新興国がEU諸国の国債の買い支えを具体的に行うか、そして② EUが欧州金融安定化基金を拡充して危機に対処できる体制を取れるか焦点だったが、いづれも声明レベルであり、具体的な行動をとろうとしなかったからである。

 「こりゃ、駄目だ。ギリシャ危機は深まるばかりで、次はイタリアとスペインだ
市場はEUを見放しユーロのたたき売りが始まり、対円で102円まで値下がりし、ヨーロッパの株価はどこまで下がるか分からない状況になっている。

 当のギリシャ危機対応についても7月に決めた第2次追加支援については加盟国全員の承認が必要で、10月10日までに承認を目指しているものの、ドイツやオランダは国内に反対の動きがある。
それに10月の第一次支援80億ユーロの資金繰りについても、ギリシャが財政再建の約束を守っていない以上融資もできない。

注)第一次支援の金額は1100億ユーロ(約11兆円)だったが、これでは不足するためさらに第二次として1090億ユーロ(約12兆円)の支援をすることになった。

ギリシャは第一次支援の11年10月分、80億ユーロの支援を受けるため、公務員3万人の一時休職を表明したが、いつものように実施は危ぶまれる


 ギリシャはEUと約束した財政再建策をほとんど守っていないが、実は守れないのだ
公務員の削減や増税はそれだけで消費活動を冷え込ませてしまい、税収が減少する。
そのため経済は縮小し、緊縮財政を行えば行うほど財政が赤字になるのだからギリシャ政府としてはやりようがない。
もういい、煮ても焼いても好きにしてくれ」居直ってしまった。

注)ギリシャ政府は国民が緊縮財政策に同意するか、ユーロから離脱をするかの国民投票を行うことも検討している。

 実際は財政再建の手段は緊縮財政だけでは無理で、金融政策と連動させなければならない
たとえばアジア危機で倒産した韓国では為替の切り下げで輸出を増やし、劇的な復活をして今では日本企業をおびやかしている。

 通常の国家ではこの為替切り下げが最も有効な手段となるが(日本でも倒産すればこの手段を使う)、ギリシャはこれができない
ユーロ加盟国の金融政策はECB欧州中央銀行)が一元的に所管しているから、ギリシャ一国のために金融緩和を行ったり、為替の切り下げをすることができないからだ。

 ギリシャのジレンマ実はイタリアやスペインも同じ)は深い。
金融政策の手段がないため財政政策だけしか使用できず、一方緊縮財政はGDPを傾向的に減少させ、税収の落ち込みにより財政赤字は増大する。
緊縮財政をすればするほど財政再建から遠のいている

注)ただしギリシャ人はほとんど脱税の天才と言っていいような人たちで、いくら所得税や消費税を上げても実質的な増税はまったくできない。
元々税収を上げることなど不可能なのだ。

 結局は欧州単一通貨にした金融政策だけでなく、各国の財政政策も欧州均一にしなければユーロ圏全体としては危機を乗り切ることはできない。
はたして財政政策の統合と言うルビコン川を渡ることができるだろうか。
そうなれば国と言う単位を止めてユーロという拡大した地域連合を作り上げ、今のドイツやフランスがアメリカの州になる。
だがしかしこれは大変な事業だ。

注)たとえば日本と韓国が財政と金融を統合してしまうのと同じだから、税制一つ統一するのだって大変だ

 私の予想は結局は欧州は統合よりも分裂を志向するのではないかと思っている。
あんな遊び人ばかりで、脱税することばかり考えているギリシャとの統合なんて真っ平だ。統合したらあいつらの失業保険をまかなうために税金を納めることになる
とりあえずギリシャをユーロから追い出して、財政赤字をGDPの3%以内に維持できる国だけでユーロを守っていこうとするだろう。

 1999年のユーロ導入から12年、通貨統合に疲れてしまったEUは、財政統合というルビコン川を目指すことなく分裂する方向に舵を切りそうだ。


なお過去のギリシャ経済に関する記事は以下のカテゴリーの中に入っています。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44468201/index.html

 

 
 

| | コメント (0)

(23.9.24) 中国地方政府の苦悩 融資平台の借金返済ができない

23_016  

 中国の不動産バブルがピークを迎えたことは確かだ。中国政府が発表した11年8月全国70都市新築住宅価格統計で、価格が低下または横ばいの都市46都市で、これは7月より15都市増加している。
一方上昇は24都市だったが上昇率の平均は0.4%だった。

 北京政府は過去数年のあまりの不動産価格の上昇に業を煮やして金融引締めに転じたのだが、その効果がようやく出てきた。
やれやれこれで安定成長路線に乗せられる北京政府はホット一息をついたがパニックに陥ったのは郷鎮といった地方政府で、第3セクターの融資平台が資金繰りに苦しみ倒産の危機に陥っている。

 実は地方政府建前上は財政赤字が許されず、また日本のように起債発行もできない
いかにも中央集権国家らしいが、裏があって融資平台と言う日本で言う第3セクターを設立してここが金融機関からの資金調達を行ってきた。
融資平台は地方政府の保証(保障はできる)により金融機関から融資や起債を引き受けてもらうのだが、この金額が10年末に約130兆円規模に登っている。

注)融資平台の数は6000社から8000社程度ある。

 なぜこのように金額が増加したかと言うとすべてはリーマン・ショックに原因がある。北京政府は輸出の落ち込みを内需でカバーしようと約4兆元約48兆円)にのぼる財政資金の投入を行ったが、このうちの約3割は地方政府の支出にした。

だが胡錦濤同志、地方政府には金がありません
ならば融資平台を使って資金調達をすればいいではないか」正式にお墨付きが出た。

 それまでは融資平台の資金調達は北京政府の目を盗んでしていたので、やや後ろめたいものだったが、正式にこれが認められ地方政府は舞い上がってしまった。
道路、橋、鉄道、飛行場、上下水道といったインフラを作りまくった
返済財源は利用料を当てようとしたが、こうした公共的な施設は高額な利用料は徴求できない。中国人の所得は日本人の約10分の1だ。

 しかし中国には絶対的な切り札がある。土地が公有化されているからその使用権を売却することによっていくらでも資金調達が可能になる仕組みだ。
心配するな、土地は無尽蔵にある。これをディベロッパーに売ってそれで融資平台の借金の返済に充てろ

 中国地方政府のうちでの小槌はこの土地使用権の売却だ。政府高官とディベロッパーが結託して土地から農民や市民を追い出し、高級マンションを作りまくった。
たしかに不動産バブルが更新している間は、土地に対する需要はいくらでもあったが、ここにきて不動産価格が下降に転じた。
新規の建設にはストップがかかり、土地使用権の売却が思うに任せない

 雲南省や上海市の融資平台の資金の返済が滞っているとの報道が中国紙に出されていたが、こうした報道は氷山の一角で今後次々に融資平台の経営悪化が伝えられるようになるだろう。

 思えば日本において上総アカデミアパークハウステンボスが倒産したのはバブル崩壊後10年程度経ってからだった。
その間千葉県長崎県は第3セクターを税金で支え続けてきたが、最後は手を上げた。
いくら待っても不動産価格は上昇せず、一方地方財政は火の車となり起債もできなくなったからだ。

 中国もバブルがはじけたからと言ってすぐに融資平台の倒産ラッシュが始まるわけでない。
不動産価格の上昇をひたすら待って地方政府は融資平台を支え続けるだろう。
もし融資平台の倒産すれば、それは地方政府の責任になり、地位を追われる。

 今中国はちょうどバブルがはじけた日本の1990年ごろの段階にある。中国が日本とまったく同じ経過をとるというのは言いすぎだが、中国の不動産バブルを支えた土地価格の上昇が終わったことも確かで、崩壊の推移が注目される

 なお上総アカデミアパークの倒産経緯とハウステンボスの倒産経緯は以下の通り。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/22128-d1af.html

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/2221-66ad.html
 




 

| | コメント (0)

(23.9.23) 日中サイバー戦争 三菱重工業が狙われた

23_007  

 サイバー戦争
はアメリカと中国との間の戦争と思っていたら、ついに日本と中国も戦端を開いた。
日本の防衛産業のかなめである三菱重工業のサーバーとパソコンが中国のサイバー攻撃を受けたからだ。日本から見ると逆真珠湾攻撃のようなものだ。

 この8月中旬三菱重工のサーバーが異常な動きをしていることを、ウイルス検地システムが発見した。すぐさまセキュリティー専門会社に解析を依頼したところ、三菱重工の11箇所のサーバーやパソコンから8種類のウィルスが検出された。

 このうちの一つはトロイの木馬と言って三菱重工のサーバーやパソコンを海外のサイトに強制的に接続し、そこから情報を盗み出す方法をとっていた。
三菱重工は日本の防衛産業のかなめで、特に潜水艦護衛艦原子力プラントの技術では世界最先端にある。
今回の攻撃に対し三菱重工では情報が流失したかどうかは確定できないとコメントしてたが、実際はかなりの情報が盗まれたと思ったほうが良い。

 三菱重工のサーバーやパソコンにウィルスが忍びこむ方法は、「ウィルスが埋め込まれた不正プログラムを添付ファイルにしてメール送信する方法」で、通常であれば受信者が怪しいと気づかなくてはならない性質のものだった。
今回こうしたメールを怪しまず添付ファイルを開封したのは、送り主が実在しており、日常的にメール通信をしており、添付ファイルも普段と変わらなかったからだという。

 これは事前に三菱重工のメールシステムに侵入してそこで使用されたメールをコピーして使用しているからと思われる。
そのようにして偽装されたメールは受信者はいつものメールと思って開封するのでたちまちのうちにウィルスに感染してしまう。

 問題はこうした特定企業を狙った標的型攻撃07年ごろより増加しており、今まではもっぱらアメリカの防衛産業アップルのような先端産業が標的になっていた。
今回それが日本の三菱重工業、IHI、川崎重工業、三菱電機が標的になった。

 従来のウィルス攻撃はもっぱら愉快犯と称されるコンピュータオタクの仕業で、自分のウィルス製造技術がいかに高いかを誇る種類のものだった。ウィルス感染をするとおかしな動画が現れてきたり、ディスク内にあった情報が消されたりしたので、感染すると大変なのだが特に情報が外に流れると言う種類のものではなかった。

 ところが現在問題になっている標的型攻撃は明確な目的意識を持って主として相手の防衛産業や最先端産業の情報と技術を盗もうと言うものである。
すでにアメリカはこうした攻撃が中国からされているとの明確な認識を持って対応策を構築している。

 こうした中で世界で最もセキュリティーが甘く、その一方で防衛や先端産業のレベルが高い日本がターゲットになってきた。
アメリカが無理なら日本から盗もう」と言うことのようだ。
中国には人民解放軍の中にサイバー特殊部隊が設置されており、この部隊がアメリカや西欧諸国、そして日本の防衛技術やハイテク技術を盗んでいる。

 アメリカと中国との間ではこうした情報の盗みあいが行われていて、すでにサイバー戦争と言う言葉が使用されている。
このサイバー戦争がついに日中間でも始まった。最も今は中国から盗まれっぱなしで太平洋戦争のイメージで言えば日本は真珠湾攻撃直後のアメリカと言う立場だ。

 サイバー戦争は人が死ぬわけでなく、また攻撃を偽装してどこから攻撃したか分からないようなステレス攻撃だから、中国は知らぬ存ぜぬのシラを切っている。
いくら日本がサイバー攻撃を詰問しても中国は認めないのだから、いくら言っても無駄だ。
我が国も甚大なウィルス被害にあっている」これが中国の常套句だ。

 日本としてはアメリカ並みのセキュリティー強化に乗り出し(アメリカでは今大々的にハッカーのリクルートを行っている)防衛体制を強化する必要があり、また中国のサーバーを攻撃する必要がある。
サイバー戦争はかつてのスパイ戦争と同じで007が今ではトロイの木馬に変わっただけだ。

注)07年以前の中国のサイバー技術は防衛的なもので、主として中国人民が中国政府にとって不適と思われるサイト(たとえばダライラマや中国人権活動家のサイト)にアクセスすることを防止するのが目的だった。

努力の結果この防止技術が世界最高のレベルに達したため、今度は世界各国の防止技術の穴を狙って攻撃が可能になった。
防衛力が攻撃力に変わった典型的な例である


 日本の反撃としては中国の最大の弱点である、インターネット監視システムを攻撃してここを麻痺させるのが一番効果的だ。
監視システムが動かなくなれば市民は自由に意思表明ができるのだから、中国に春をもたらすことが出るし、そうすれば世界最高峰のサイバー特殊部隊も防戦一方になる。

 サイバー戦争がきって落とされた以上、相手の弱点を最大限に攻撃するのが戦争と言うものだ。

なおアメリカのハッカーのリクルートについては以下の記事を参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/2397-0263.html

 

 
 

 

| | コメント (0)

(23.9.22) 小栗康平監督作品 泥の川

23823_079  

 NHKのBSシネマで放映されている山田洋次監督が選んだ「名作100本、家族編」で小栗康平監督の「泥の川」が放映された。
私はこの作品を昔見てひどく感動をしたのを覚えているが、なぜあれほど感動したかを忘れていた。
今回この作品を見直して、この映画の時代背景が私の少年期のそれであり、この映画に出てくる少年・少女はまごうことなき自分であることを発見した。
主人公の少年二人は小学校3年生の年齢であり、私も当時小学校3年生だった。

 舞台は昭和30年の大阪の安治川である。
この川のほとりのほとんど河川敷と思われる場所で、安食堂を経営する夫婦(晋平と貞子)の息子・信雄とその対岸に一時的に接岸して売春をしている舟(廓舟と言う)の姉弟(銀子と喜一)との淡い友情を描いている。

注)姉弟の父親は腕の良い船頭だったが事故で死亡し、母親が廓舟で売春をしながら子供を育てている。この廓舟は真ん中で区切られていて、一方に子供達の生活をする場所があり、他方が姉弟の母親が商売をする場所になっており、入り口も異なっている。

 食道の主人・晋平を演じたのは06年に亡くなられた田村 高廣さんで、その奥さん・貞子藤田弓子さんが演じていた。
夫婦は当初廓舟の姉弟と息子の信雄が友達になるのを躊躇する。
廓舟と言うことを知らない信雄が二人の姉弟を家に呼びたいといったとき、動揺して拒絶しようとした貞子を制して晋平が言う。
子供は親を選んで生まれてきたわけではない

 実際に現れた姉弟は、信じられないほど素直で、特に姉の銀子は悲しいほど礼儀正しい。
貞子はすっかりこの姉が好きになり、たまたま家にあった洋服を銀子に着せて与えようとするが、銀子は喜んで着たものの帰る時には綺麗にたたんで洋服を返してしまう。
人から物をもらうと言うような親切な扱いを受けたことがないからだろう)。

 この映画は少年二人(信雄と喜一)の友情を縦糸に、廓舟の娘と言う薄幸な少女銀子や戦争で心に傷を持つ安食堂の主人晋平、そして晋平の二番目の妻となった(先妻は京都の病院で病床生活をしている)働き者で心の優しい貞子が横糸を織り成している。

 姉弟は母親が売春婦であることを知っているが、それが生活をするための已む終えない生き方だと母親の生き方を責めない。そしてこの姉弟は学校にも行っていない(廓舟は転々と場所を移動するため学校を特定できない)。

 姉弟と信雄が友達になり、
姉の銀子はこの安食堂が忙しい時に手伝いをするようになった。銀子が手伝いをしながらこの安食堂の米びつに手を差し入れて言った言葉が心を打つ。
冬の寒い時でもなあ、お米だけは温いねん・・・
お米がいっぱい詰まっている米櫃に手ぇ入れて温もっているときが、一番幸せや・・・」

 昭和30年、まだ日本が貧しかったころお米があったかく感じていたことを思い出した。
当時私の家も極端に貧しく、米びつにはほとんど米がなかった。
ある時米が完全になくなり10円玉一つを持ってコッペパンを買いに行ったのを覚えている。
このコッペパンが私の兄弟3人の残された食事だった。
私がそれを平等に三等分したのだが妹が「兄ちゃん、こっちのほうが大きよ」と言っていた。

 夏祭りの夜少年二人は母親の貞子から50円ずつをもらって祭りにいくのだが、そのお金を祭りの最中に落としてしまう。落胆した二人は気を取り直すため廓舟に戻って(夜は廓舟に行ってはいけないと信雄は言われていた)、喜一が仕掛けた蟹とり罠から蟹を引上げ、蟹を油につけてマッチで火をつける遊びを信雄に教える。
信雄は蟹を火で殺すのに耐えられず蟹を助けようとして船から身体を乗り出し、たまたま隣の部屋をのぞくと、姉弟の母親(加賀まりこが演じていた)が男とセックスしているところを見てしまう。
信雄は動揺し家に帰ろうとして橋の途中で銀子とすれ違う。
信雄がいつもの仕種と違うのを見て銀子は自分達の悲しい生活を信雄が知ったことを悟る。

 姉弟の母親は信雄にその場面を見られたことから、この場所にいられないと判断し翌日には引き舟に引かれて川を遡っていく。舟が岸壁を離れたところを事情の知らない母親の貞子がみて、「挨拶もしないでなんで急に行ってしまうのだろうか」と不審に思う。
信雄は当初躊躇して動かなかったが、急に飛び起きてこの廓舟を追って岸壁をはしりながら「きっちゃん」と叫び続ける。何度も何度も「きっちゃん」と叫び続けながら舟を追うが廓舟からは何の返事がないところで映画は終わっていた。

 信雄が「きっちゃん」と叫び続ける場面は「シェーン」のラストシーンを髣髴とさせたが、この映画のトーンは「禁じられた遊び」に近い。
私はこの映画を見て泣いてしまった。止めどもなく涙が流れた。

 田村 高廣さんの演技は一世一代の名演技だ。
特に食堂にいた客の酒飲みが喜一をみて、「こいつは廓舟の子供じゃないか。客引きもしてると言うぞ」と言われた言葉に喜一がうなだれた時に、この酔客を追い出し、子供の気持ちを明るくするために手品を演じる場面は秀逸だ。
いつの間にか喜一は酔客から言われた言葉を忘れて手品に見入ってく。

 藤田弓子さんの演技も良い。この薄幸の少女に優しく接し一緒に風呂に入っているシーンがあった。銀子はほとんど笑わない少女なのだが、身体を洗ってもらいながら明るく笑っていた。
喜一が「あ、姉ちゃんが笑っている」と不思議そうにいう場面もいい。
藤田弓子さんは必ずしも美人女優ではなく、すでに身体の線が崩れていたがこの映画に出ている藤田さんはまばゆいほど美しかった。
美しさとは単に顔の造作だけではないことを私は藤田さんを見て知った。

 そして何よりも感動するのは姉の銀子の存在感だ。学校にも行かず(たぶん小学校5年生程度)母親の代わりに食事をつくり、そして悲しみをじっとこらえながら礼儀正しく生きていく少女の行く末を案じざる得なかった。
そして昭和30年代の貧しくとも懸命に生きなければならなかった日本を映像で残してくれた小栗康平監督に心から感謝しながらこの映画を見た。

注)なお「泥の川」の原作は宮本輝氏の小説で1978年の作。小説と映画では細部で相当内容が異なる。私の正直な印象は小栗康平氏の映画のほうがはるかに芸術性が高く、感動を与える。

 

 

 

 

  

| | コメント (0)

(23.9.21) JR北海道社長中島尚俊氏の自殺とJR北海道の苦悩

23823_039  

 18日
、JR北海道の社長だった中島尚俊氏が小樽沖の海上1km付近で水死体で発見された。
中島尚俊氏は10通の遺書を残して12日から行方不明になり、自家用車が石狩川の海岸近くで見つかっていたので警察で捜索をしていた。
発見時の検視では死後数日経過しており、遺書があったことから自殺だと警察は見ている。

 中島尚俊氏が自殺をする直接の動機は、この5月に起きた勝線トンネルでの特急列車の炎上事故で36名の負傷者を出したことにより国土交通省から業務改善命令を出されたことにあるらしい。
16日がこの業務改善命令の提出日で、それを苦に自殺を図ったものと思われる。
遺書にも「戦線(業務改善命令に対する対応のこと)を離脱することをお詫びします」と記載されていた。

 だがJR北海道が抱えていた問題はこの脱線事故にとどまらない。
そのほかに札幌中央基準監督署から時間外労働の協定違反08年以降810件の超過勤務があった)があったと是正勧告が出されており、これも中島尚俊社長の心を重くしていたはずだ。

 さらにJR北海道には赤字企業としての苦悩があった。
JR北海道の収支構造を見てみると分かるが、営業収入営業支出をまかなうことができず、常に営業利益はマイナスになっている。
このマイナスをカバーするのがさまざまな政府や鉄道運輸機構からの支援で、たとえば経営安定基金6822億円鉄道運輸機構からの無利子の借り入れ2200億円がある。

注)これは元本を使用することはできず、債券等で運用した利息収入だけがJR北海道の営業外収入となる。

 JR北海道は慢性的な赤字会社であり、国や機構の支援なしには経営がなりたたない。
このため経営合理化は必須となり、不採算路線の廃止を積極的に行ってきた。
JR分割時(87年)の21路線、3176kmが現在は14路線、2499kmになって路線もキロ数も大幅に削減されている。特に東部と北部は人口が少ないこともあってローカル線はほとんど廃線になっている。

 しかしそれでも赤字体質は払拭できない。
JR北海道がどうしても赤字から脱却できない原因は、乗客数が毎年減少していることで、これはほとんどの路線についても当てはまる。
たとえば札幌・岩見沢間はドル箱路線の一つだが、乗客数は05年の443万人から09年には411万人と約30万人も減少してしまった。

 J乗客数が減少する理由は北海道の人口そのものが減少していることと(07年569万人 → 20年553万人)と、地方の人口減が激しいことにある。
特に人口の少ない東部や北部ではJR網はなきに等しい。このため地元住民も観光客も自動車による移動に切り替えてしまった。
まるでアメリカの自動車社会と同じで自動車なしに生活できない。

 私は北海道大好き人間の一人でかつJRのファンなのだが、残念ながら北海道の地方の公的交通網の不便さには泣かされてきた。
元々路線も少ないのだが、あっても一日に数本の列車しかこない場所はいくらでもある。幹線でも特急を除けば朝に2本、夕方2本、昼間1本程度だから、小さな駅に降りようものなら4から5時間ぐらいは次の列車を待たなければならない
バスも同様で、こうした場所に住んでいる人は学生や老人を除けば公的交通網を利用することはない。

 地方からは人が居なくなり、北海道全体としても人口が減っているのだからJRの経営基盤は年を追って厳しくなっている。
合理化を進めれば当然人員整理をしなければならず、人員整理は労使問題に発展する。
労使関係はどう見ても協調的とは言えず、その結果石勝線のトンネル火災事故以外にも、信号トラブルの多発や運転手の居眠り運転、列車がドアーを開いたまま発車したり、快速列車と除雪車との衝突事故等数え上げればトラブルがいくらでも出てくる。

 国土交通省が業務改善命令を出さざる得なかったのも、JR北海道の抱えている問題が根が深く、慢性的な赤字経営を現在の経営陣で立て直すことができるかどうかを問いたかったからだ。
87年の分割民営化以降、JR東日本JR東海は日本を代表する優良企業になったが、当時から赤字路線だったJR北海道は経営改善がすすまず、かえって悪化していると言うのが実態だ。

 JR北海道社長中島尚俊氏の苦悩はさぞかし深かったのだろうと同情せざる得ない。
氏は享年64歳だから私とほぼ同じ年で同じ時代を生きたもの同士だし、周囲の評判は「真面目な人」だったと言うから、精神的に追いつめられて自殺を図ったものだと思われる。

 だがJR北海道が抱える経営問題は残されたままで、このままいけばJR北海道の経営基盤は加速度的に悪化し、将来的には基幹部分を残して赤字線は全廃するような事態になるだろう。

 かつて北海道の開拓の歴史は鉄道の歴史でもあった。森進一が歌う「北の蛍」は囚人労働による北海道の鉄道建設を扱った映画の主題歌だが、いま「北の蛍」が舞うべき場所がない。

 

 

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.20) 坐骨神経痛との闘い 対処方法がようやく見つかった

23823_003  

 またやってしまった。この8月に2週間かけてトランスエゾ1100kmに出場し、やっとのことで920km走ったのだが、再び腰にきてしまった。
私は元々坐骨神経痛に悩まされてきたのだが、その症状が悪化した。
やはりそうか、俺はもう無理が利かない身体なのに、920kmも無理して走って腰を痛めてしまった

 坐骨神経痛は坐骨神経が出ている場所の腰椎が段々と圧迫されて神経を痛める病気で、私のように長時間のマラソンを長年やっていると腰椎の間が狭くなってきて坐骨神経痛になりやすい。
症状は坐骨神経の経路にあたる足の大腿部やフクロハギの外側が猛烈に痛むので、筋肉の痛みと間違うが実際は神経が痛んでいるので筋肉そのものには問題がない。
そして座っていたり寝ている間は問題ないのだが、歩くと非常に痛くなる。数百メートルごとに休んで腰の負担を取らないと脂汗が出てきて歩けない。

 私は毎日のようにここ四季の道の清掃をしているのだが、この四季の道は6km以上もあり、あまりにしばしば休まなくてはならないので、清掃活動が嫌になってきた。
もうヤダ、歩けないんだからもう清掃活動は止める」叫びたくなった。

 いままで坐骨神経痛の対策として矢上裕氏自力整体に取り組んだり、ちはら台にある整骨院に通ったが、取り組んでいる間は一時的に症状は好転するがやめるとまた元に戻る。
一種の自転車操業なので段々と意志力が続かなくなる。

 何とか対応策はないかと数週間前から歩き方を研究しているうちに、ついに坐骨神経が痛まない方法を発見した。
おお、これだ、この歩き方だ」叫んでしまった。
ポイントは重心をできるだけ前にかけて、できれば足の親指あたりに重心をかけて歩く方法で、これだとやや前かがみになるだけ腰への負担が軽減される。
それまではゆっくりと(痛むと段々ゆっくりになる)どちらかと言うと重心を足の後ろ側にかけて歩いていたがこれがいけなかった。これでは腰への負担がかかる。

 私はよく自転車に乗ったり、また走ったりするのだが不思議なことにそのときは坐骨神経(実際は右足の外側)が痛まなかった。
自転車の場合は前かがみになって上半身を両手で支えて腰の負担を軽減しているためだと思っていたが、走るときなぜ痛まないか分からなかった。
なぜゆっくり歩くと痛み、走っているときは痛まないのだろう???????

 どうやら走るときも前傾姿勢になり、重心を足の中心より前にかけて走るので、これが腰の負担を軽減していることに気がついた。
そうか、なにしろ重心を前に移して歩いたり、走ったりすれば腰の負担が少なくなり坐骨神経を圧迫しないのだ・・・・・

 先日からこの走り方歩き方に応用して清掃活動をしているが、それまで数百mごとに休まなければならなかったのが休まないで済むようになった。
ただ少し前かがみなのでオラウータンウォークのようになっているのは已む終えない。

 身体が痛んでいるときは誰とも話をするのが嫌だったが、坐骨神経痛が軽減されたおかげでまた多弁になり、毎朝会うワンチャンと会話を交わしている。
どうだい、元気かい、またあったね」なんてハイテンションになれた。

 重心を少し前に移すだけでこんなにも劇的に症状が改善されるとは信じられない思いだ。こんなことなら早くから歩き方を変えればよかった。
私のこの方法がすべての坐骨神経痛患者に効果があるかどうかは分からないが、坐骨神経痛に悩んでいる方はためしてみる価値はあると思う。
次郎版 ためしてガッテンだ。

なお、坐骨神経痛との闘いの記録は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat30198398/index.html

 

 

 

 

| | コメント (1)

(23.9.19) 円高と外貨預金の増大 預金者は覚醒したのか?

23823_107_2   

 17日の毎日新聞の夕刊に「外貨預金が急増」との記事が出ていた。
それによると歴史的な円高が続いているため、外貨預金の残高が増大しており5兆円を越えたという。
増大している背景には円高以外に手数料を低く抑えたインターネット銀行の存在もあり、通常の金融機関の4分の1の手数料で円をドルにかえてくれるという。

注)大手行の手数料は1ドル当たり1円であり、ネット銀行は25銭である。

 ネット銀行大手の住信SBIネット銀行の例では、8月末の外貨預金の残高が前年同月比1.8倍1085億円になったと言う。
特に人気なのはドル預金で前年同月対比2.1倍487億円に増加したと言う。

 この記事を読んで私は不思議な気持ちに襲われた。不思議に思ったのは以下の2点である。

① 日本人の金融資産はおよそ1400兆円で、そのうちの現金・預金は約700兆円である。うち外貨預金の残高は5兆円で、ほとんどとるに足らない金額だがなぜか。

② 外貨預金のほぼ半分は米ドル預金であるが、ドルは円に対し傾向的に低下している。なぜ米ドル預金なのだろうか。

 従来から日本人は日本政府を信頼して円預金をし続けてきたており、このことが政府の国債販売政策に貢献し、国債の95%が日本人の保有となっている。
もしこれがアメリカのように約半分が外国人保有となれば政府の債務がGDPの200%になって平然としていられなかったはずだ。

注)ギリシャは政府債務がGDPの120%になって国債利回りが25%になってしまった。一方日本の国債利回りは1%前後で安定している。

 日本ではあえて外貨預金をしてまでしなくても良いとの判断を金融資産の約8割を持っている多くの年寄りがしている。
このため外貨預金の残高が少ないのは分かるが、これは日本のおかれている現状からは消極的過ぎる対応に見える。

 日本は歴史的円高で輸出産業が崩壊(海外に進出して日本国内は空洞化している)しており、かつてのような貿易収支の黒字で経済を牽引していくことができなくなった。
今残された手段は1400兆円と言われる個人金融資産の有効活用になるのだが、現状は1%以下の国内預金に張り付いたままだ。

 日本の低金利は国債利回りを上昇させないための方策で、金利が上がれば国債の利回りを上げなくてはならない。
そのため低金利でも国民が国内預金をし続ける方策として、国や日銀は外貨預金等のリスクを強調して来た。
外は狼だらけだ

 しかし時代が変わった。
貿易収支で稼げないならば所得収支で稼ぐよりほかに手段はないからだ。
だが当然のことにこの外貨預金の世界は荒波の世界で、通常のリスク管理ではとても対応できない。
そのため日本の金融機関のレベルアップを期待したいのだが、残念ながら日本の金融機関の能力は極端に低い

注)日本では集めた資金を国債購入にあてるか、国内融資に当ててきたため海外で利益を確保する能力がアメリカやシンガポールの金融機関にとてもかなわない。
世界を相手にできるトレーダーが育っていない。

 そのいい例がドル預金の増加である。ドルはリーマン・ショック以降約40%減価しており、現状のオバマ政権の金融緩和策を見ればさらに減価すると予測される。
もちろん為替相場は短期的に上下するから、そのときを狙って収益を上げることはできるが、それはプロの世界の話だ。

 一般のドル預金者がそうした動きに適格に対応できるとはとても思われないので、長期的に減価が予測される外貨に投資すべきでないし、金融機関としては勧めるべきでない。
またユーロも減価が予想されるので対象外だ。

 当たり前のことだが成長著しい国家の通貨やそれに原材料を提供している国の通貨が上昇する。  だから中国元オーストラリアドルあたりが適切(ただし日本人が中国元の預金をすることはできない)だし、円より強い通貨といえばスイスフランだ。

 また通貨以上に上昇が見込まれるのは金で、これは先進諸国の景気停滞で新興国の景気が低迷した時は絶対の資金の避難場所になる。
私は前に「擬似金本位制度の復活」(リンクが張ってあります)と言うブログを掲載したが、混沌の時代は金が最後のアンカーになるのはどこも変わりがない。

注)第二次世界大戦中ユダヤ人は資産を金やその他の貴金属に変えて脱出を図った。

 私は日本人が覚醒し外貨預金に目覚めたのは喜ばしいことだと思っているが、それにしては日本の金融機関の資質が低いのには憂慮している。
政府・日銀の政策に黙って従ってきただけで、自らリスクをとって戦う冒険心も、また能力も不足している。
シンガポールあたりに本店を移し世界の金融市場を勉強して、世界のレベルに一歩でも近づいてもらうのが一番だろう。

 

| | コメント (0)

(23.9.18) NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃 生活保護が食い物にされる

23823_014  

 NHKが16日に放送したNHKスペシャル「生活保護3兆円の衝撃」は日本の現在のありようが明らかに曲がり角に来ており、はっきり言えば間違っていることを如実に示していた。
この放送で訴えたかったことは以下の通りである。

① 本来生活保護を必要としない人が生活保護の受給者になり、半永久的にこの立場を維持しようとしている
② 闇社会がこの生活保護制度を利用して資金源にしており、また受給者自身も闇社会と結託している
③ 自治体はこの状況に悲鳴をあげているが、現状は有効な手段がとれていない


 現在の生活保護受給者は203万人で、年間の生活保護費は3兆4千億円になっている。
一方日本の一年間の税収は41兆円だから、約8%が生活保護費に消えていることになる。
特にここ2年間で生活保護者は40万人増加しているが、その理由は厚生労働省が「稼動能力があることをもって保護の要件を欠くものでない」との通達を出したためで、それまでは稼動能力のある人は生活保護の対象ではなかった。

 厚生労働省がこうした通達を出したのはリーマン・ショックで日本の産業界がそれまで雇っていた派遣労働者の馘首を大々的に行ったため、政府としてセーフティーネットを広げる必要があったからだが、その効果が効き過ぎた
確かに40万人にのぼる新規の生活保護者がこの恩恵によくしたが、そのうちの約7割20歳台から50歳台までのいわゆる生産人口で、こうした人たちがこの生活保護の恩恵を受けた後ほとんど働くなってしまったという。

 理由はなおも就職事情が厳しいことと、この生活保護費で十分生活ができることに気づいたからだという。1ヶ月の生活保護費は大体12万円前後なのだが、この数字は最低賃金(1時間当たり779円)で1ヶ月働く金額にほぼ等しい。
1ヶ月働いても、遊んでいても同じなら、働かない方がいいや。それに12万あれば生きていける

 憲法では国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障している。その金額が生活保護費12万前後と言うことになっている。
政府や自治体に有余る資金があり、いくら生活保護者が増えようが問題がないのであれば特に目鯨を立てる必要はないが、実態は火の車だ。
日本全体としても自治体レベルでも財政はほとんど崩壊している。

 特に大阪市は日本で最も多い生活保護者16万人を抱えており、予算の17%がこの生活保護費になってしまった。
あまりの増大に困惑した大阪市はケースワーカーを800人から1000人に増員して働ける人には就職斡旋を行っているがほとんど効果がなく、就職斡旋を行った7258人のうち実際に就業したのは164人と、全体の2%に過ぎなかった

 実は大阪市の場合は特に問題が複雑で、新規に生活保護を申請した人のかなりの部分が闇社会、特に山口組系の暴力団と関係していると言う。
暴力団関係者の関わり方は、路上生活者を見つけると支援団体と称する団体が生活保護の申請を行い、用意したアパートに住まわせて住居費等を天引きする方法で、映像に出た男性は「13万円のうち10万円を天引きされて残るのは3万円だ」と証言していた。

 この人は「それでも路上生活よりはマシだ」と言っていたが、4畳半程度の部屋に液晶テレビがあったし、冷蔵庫もあったから確かにそうだろうと思われた。
これは闇社会の貧困者を対象にした生活保護費のピンハネビジネスである。
しかし問題はこれだけにとどまらない。
さらに問題なのは生活保護者の医療費は無料なのだが、このことが大阪市の医療費の増大にさらに拍車をかけていた。

 これは前にNHKで放映されたので見た人もいると思うが、大阪市には生活保護者を対象とした病院がいくつかあり、ここにかかるとありとあらゆる薬を大量に出してくれる。
病院は要らない薬でも出せば儲かるからだ」と生活保護者の一人が言っていた。
そしてこのうちの一部(特に睡眠導入剤)は暴力団が購入してくれるし、残った薬は路上で生活保護者が販売をしていた。
この薬を売ることで毎月約2万円程度の収入があるそうだ。

注)放送ではそれ以外にも生活保護者を集めて山口組系暴力団が闇の賭博場を開設して、生活保護費を巻き上げていた。

 大阪市では生活保護制度を悪用し、闇社会一部の病院生活保護者自身も生活保護制度を食いものにして生きている。
これがどの程度の国や自治体の支出になるかと言うと、30歳から65歳まで生活保護で生活し続けると仮定し、そうでなかった場合に比較して約5000万円がかかるのだと言う。

注)生活保護費 3500万円 + 納めたであろう税金 1500万円 = 5000万円
300万人がこれを受給すると仮定すると150兆円になる。


 なんてことはない、生活保護制度のかなりの部分が闇社会を育てるために支出されており、このままではますます闇社会が肥え太っていく構造なのだと言う。
さすがに地方自治体もこのまま放っておくわけにはいかなくなって、政令都市19の市長が集まって共同声明を出した。

① 生活保護者には一定期間ボランティア活動をさせて、その間働く意思の確認を行う
② 働く意思がなく生活保護費で一生暮らそうとしているものや、暴力団関連のものには支給を停止する

 実際にボランティアをさせてみると言う方法はなかなかのアイデアだ。私は毎日四季の道の清掃活動ペンキ塗り落書き消し植栽の手入れを行っているが、こうした活動を生活保護者にしてもらえば街が瞬く間に美しくなっていく。
私は良いアイデアと思ったが、この提言にも生活保護者を支援する会が反対していた。

 私の目から見ると今の日本は崩壊前夜のローマ帝国のように見える。
当時市民権を得たローマ市民はパンとサーカス食料と娯楽)が帝国から無料で提供されることを約束され、一方市民の義務である軍務はガリアあたりの野蛮人の仕事として逃れていた。
政府はローマ市民をこうして無料で養っていたが(生活保護費を支払っていたが)、帝国の領土が増えなくなり、税収も伸びなかったため軍事費にも事欠くようになってしまった。

 前線の戦士は給与がもらえないので自分で生活の糧を求め士気は低下し、そしてゲルマン人の侵攻を誰も食い止めることができなかった。しかしそうした状況下でもローマ市民は政府にパンとサーカスを求め続けていたと言う。

なお暴力団が生活保護者を利用していわゆる向精神薬を入手する手口は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/221130-atoz-ed9.html

 

 

 

 

| | コメント (4)

(23.9.17) NHKためしてガッテン 腎臓が突然だめになる 沈黙の新現代病

23823_110  

 NHKが放送している「ためしてガッテン」はいつ見ても面白い。特に最近は健康問題を取り上げることが多いが、世界最速の老齢化社会で、医療費が止まるところなく増大している日本にとって最も関心のあるテーマであることは間違いない。

 今回のテーマは沈黙の新現代病と言われている腎臓病を取り上げていた。
番組によるとここ40年間の間に腎臓の機能が低下して人工透析を受ける患者が40年前の215人から現在は30万人に急拡大しているのだそうだ。
設備が整ってきて人工透析を受けやすくなったと言う側面はあるにしても、この数の上昇はすさまじい。

 そして何より問題なのは人工透析はとても費用がかかり、1年間の医療費は一人当たり約600万円だと言うから30万人の医療費は2兆円弱になる。
このため人工透析患者を一人でも減らすことができれば、自治体等の医療費負担は劇的に減少することになる。

 実際にこうした取り組みをしている自治体として尼崎市があり、ここでは18年に85人の新規透析患者がいたが、21年には67人まで減少させることに成功したと言う。
どのようにして減少させることができたかと言うと、ある数値を加工して市民に通知したのだそうだ。
その数値はクレアチニンで、人間ドック等の検査ではほとんど検査対象になっている項目だが、重要なのはその数値を加工し、誰でも理解できる数値に置き換えることだそうだ。

 クレアチニンの数値を加工してできた数値は腎臓の何%が機能しているかの値で、これはかなり難しい方程式によって導き出される。
最も数値は簡易読み取り表で簡単に症状を理解できる仕組みができており、尼崎市ではこれを使用して市民に腎臓の稼働率を通知していた。
たとえば腎臓の稼働率15%未満になれば即人工透析が必要で、一方60%未満が3ヶ月連続して続けば要注意なのだそうだ。
そうして必要な人には腎臓病にならないための健康指導を行っていた。

私の場合の腎臓の働きはどの程度なのだろうか」とても気になった。なにしろ説明では自覚症状がなくても突然人工透析が必要な患者がいると言う。
早見表が「ためしてガッテン」のホームページに掲載されているので見てみることにした。
早見表で確かめると、今年の私の人間ドックの検査結果ではクレアチニンの値は0.95でこれは65歳の場合、約65%の稼働率だと分かった。
そうか俺の腎臓もかなりくたばってきていて、35%は稼動を止めてしまったのか
それでもこの年齢なら問題のない値だとわかってほっとした。

 腎臓が老廃物をこしとり、尿として排出する機能を有していたことは知ってたが、その機能が徐々に低下していくメカニズムは番組を見て始めて知った。

 腎臓には約100万の糸球体があり、ここで老廃物と身体に必要な糖やたんぱく質を分離している。
ところが糖や脂肪が血液中に多くたまるようになると、こうしたものが糸球体から無理やり出ようとして糸球体のろ過機能を壊してしまうのだと言う。
その結果壊れた糸球体を回復させようと血小板が集まってくるのだが、実際は糸球体の周りの血管を血小板が塞いでしまい、結果として腎臓が働かなくなるのだと言う。
映像では働かなくなって硬直した恐ろしい姿の腎臓が映し出されていた。

 こうして深く静かに腎臓の機能は低下していき、気がついたときは人工透析による老廃物のろ過が必要になる身体になってしまうのだそうだ。
そして何より大変なのは、この人工透析はやたらと時間がかかることで、週に3回、一回あたりの時間は4時間だというから、これでは人工透析をするために生きているようなものだ。

  この腎臓の機能を低下させないためには、高血糖高血圧内臓脂肪に気をつけることと痛風にならないことがポイントだと言っていた。
私の場合は血圧は正常で、年がら年中運動をしているので高血糖や内臓脂肪とは無関係だが、痛風は要注意だ。
尿酸値が常に6.9前後で痛風の限界値7.0以上の近くにへばりついている。
ときどき足の親指が痛むことがあるので、もしかしたら痛風の気があるのかもしれない。

 何はともあれ人工透析を受けなければならない身体になったら、好きなマラソンも登山もできなくなるのだから、このクレアチニンの数値には常時注意を怠らないことにしよう。

なお早見表は以下のようなもの
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110914/P20110914_001.html
 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.16) ギリシャ危機とユーロの崩壊前夜 リーマン・ショックと似てきた

23823_031_2  

 ギリシャ危機
は収まるどころか段々と規模が拡大し、今にも爆発寸前になっている。
この10月、ギリシャはEUIMFから80億ユーロ8400億円)の支援を受けることになっているが、その前提条件である財政改善はまったく進んでいない。

 当初の目標は財政赤字を本年度GDPの7.6%に抑える約束だったが、最近になってギリシャ政府はそれは不可能で8.2%になると発表した。市場の見方はさらに厳しく8.8%になると予想している。

注)EU加盟国は財政赤字をGDPの3%以内にすることを義務付けられているが罰則規定はない。

 このギリシャ政府の発表を聞いてドイツとオランダが切れてしまった。
オランダのルッテ首相が「財政規律を守れない国は、ユーロ圏から離脱する選択肢がありうる」と公言すれば、ドイツのレスラー経済相は「秩序あるデフォルト対応を検討しようと言うものだから市場はパニックに陥った。
まずい、ギリシャが倒産すれば次はイタリアとスペインだ。ユーロは崩壊する

 たちまちのうちにギリシャ国債のたたき売りが始まった。
10年物国債の利回りは25%を越え、1年物117%と言うのだからすさまじい。
25%と言うことは元本回収に4年間かかると言うことだから、反対に言えば4年間以内にギリシャは倒産するという判断で、一方1年物で117%と言うことは誰も貸し手がいないと言うのと同じだ。

注)実際ギリシャに対するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は5年以内の倒産確率を97%とはじいている。

 問題はそればかりではなくイタリア国債の利回りも5%以上に上昇し、さらにギリシャ危機はヨーロッパの金融機関、分けてもフランスの金融機関に飛び火しはじめた。
フランスを代表する金融機関、BNPバリバソシエテ・ジェネラルクレディ・アグリコルといった金融機関の株価が急落し、ムーディーズソシエテ・ジェネラルクレディ・アグリコルの格付を一段階落とし、さらに状況を見ながらさらなる引下げを検討していると言う。

注)フランスの金融機関が保有するギリシャ、イタリア、スペインの国債残高は約12兆円と推定されている。なかでもソシエテ・ジェネラルの保有が多いと市場は見ている。

 ギリシャのデフォルトはどのような対応策を取っても不可避の段階に達している。
いくら公務員給与を引き下げ、消費税をあげても税収は落ちるばかりで財政は好転せず、かえって財政赤字が増大しているからだ。
ギリシャは倒産させるより仕方がない」ここにきてドイツとオランダはそう判断し始めた。

注)なぜギリシャの財政赤字が改善しないかの本当の理由は、緊縮財政だけでは景気が後退するだけだからだ。
ギリシャはユーロ加盟国のため金融政策はECB(ヨーロッパ中央銀行)の所管になっている。そのためかつての韓国が採用したような金利の引下げや通貨の切り下げで輸出振興策がとれず、結果的に財政改善はできない。


 しかしそれではフランスの金融機関が持たない。14日サルコジ大統領メルケル首相の尻をたたいて脅した。
倒産するのはフランスの銀行だけでない。ドイツの銀行も同じだ。リーマン・ショックを思い出せ

 仕方なくドイツもギリシャ支援に同意し「ギリシャはユーロ圏にとって不可欠だ」との共同声明を出すことにした。市場は一安心し株価もユーロも上昇したが、もちろんドイツの本音はギリシャのデフォルト、ユーロ圏からの離脱だ。

 ドイツにとって「ギリシャが秩序あるデフォルト」になり、イタリアとスペインの国債が暴落するようなことはなく、ドイツの金融機関に政府資金を投入することが避けられれば、ギリシャを救う理由はない。
あんな、遊ぶことばかり考えているヤツの尻拭いはごめんだ。必ず追い出してやる

 ところがここにきてEUにとっては思わぬ味方が現れた。中国である。
中国は有余る外貨でドルやユーロへの投資を進めてきており、外貨の約25%がユーロ関連になってる。
かなり前からアメリカをけん制するためにスペインポルトガルギリシャの国債を購入してきたが、この中国の戦略が裏目に出た。
こうした国の国債が暴落を始めたからだ。
驚いた中国は「イタリア国債を購入してユーロを支える」と温家宝首相が公表した。

 本音はこれ以上ユーロやユーロ圏諸国の国債が値下がりすると含み損が膨大になり、せっかく稼いだ外貨が持っているだけで減価してしまうからだ。
ちょうど日本のバブル崩壊後の不動産所有者のような立場になってしまい、中国はユーロと一蓮托生の運命になった。

 こうしたドイツと中国の動きを見て市場は一安心をしているが、ギリシャはどう努力しても財政再建はできないのだから今はひと時の安息日に過ぎない。
今回危機を抑えられたとしても、ギリシャ危機は再発する。
あのリーマン・ショック時のアメリカと同じであり、市場の圧力には抗しきれないだろう。

 結局はユーロを守るためにギリシャをユーロから離脱させるしか有効な手段は残されていない
そしてヨーロッパの金融機関はフランスを中心に相当の国家資金の注入をして生き延びる以外には対応策はないだろう。
こうしてヨーロッパは日本と同様の失われた10年に突入した。

なお、ユーロの崩壊については以下の記事も参照してください。http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/23912-g-5ed9.html

| | コメント (2)

(23.9.15)  八ツ場(やんば)ダム栄えて日本国滅ぶ 国交省と知事の暗躍

23823_074  

 やはり日本と言う国は衰亡せざる得ないのではないかとしみじみ感じてしまった。
このたび国土省関東地方整備局八ツ場ダム必要性を認める検証結果を発表したからだ。
この発表に関係6都道府県知事は手放しの喜びようで、上田埼玉県知事は「民主党はマニフェストに乗せた手前、振り上げた拳を下ろせなくなったのだ」と皮肉交じりのコメントしたが、上田知事は自身が元民主党の代議士であったことは忘れたらしい。

  八ツ場ダムについては09年9月、当時の国交相だった前原氏無駄な公共工事の代表例として工事中止を表明していたものだが、その後6都道府県と国交省の巻き返しがあり、他の代替案との比較をすることになって昨年から関東地方整備局が作業を進めてきた。

 その結果治水・利水ともダム建設が最もコストがかからず、他の代替案はいずれもコスト的にも期間的にも優位性がないと結論付けた報告書が作成された。
しかしこの代替案との比較は最初から無理があり、 八ツ場ダム建設が最も優位性があるのは検討前から分かっていた。

注)国交省と関係6知事は、この比較を行わせることで、ダム建設の再開を図る戦略を立てた。

 なにしろ 八ツ場ダムについては1992年に着工が決められてから、ダムの本体工事を除いて関係する道路建設、代替の鉄道建設、ダムに沈む地域の高台移転が行われており、半分近くは工事が完成している。
一方代替案はいづれもこれから用地買収をしたり、地権者との相談が必要になり費用が最終的にどの程度かかるか、またいつまでに完成するか分からないようなものだ。
このような比較は成人と幼児を比較するようなもので、代替案が八ツ場ダムより優位性がないのは明らかだった。

注)代替案の中には富士川から水路を引いて利水を行う案があったが、これは 八ツ場ダム建設の16倍の費用がかかると積算されている。

 上田知事は「ほれ見たことか」と満面の笑みを浮かべていたが、 八ツ場ダム問題の本質は他の代替案との比較ではなく、「本質的に不要なものを途中まで作ってきたからといってそのまま作り続けてよいか」と言う問題だったはずだ。

 八ツ場ダムの建設を検討したのは1949年のことで今から60年も前の利水・治水状況を前提に建設を決めたのだが、その後状況は一変してしまった。
利水問題については、たとえば東京都は水道水が有余ってしまっているし、また治水についても当の国土省が懸命に推進したスーパー堤防により治水問題の大方が片付いてしまっている。

 今回の試算では 八ツ場ダムの本体工事約800億円の費用がかかるとのことだが、今問われているのは、不必要な800億円を世界で最も財政状況が悪い日本がなぜ追加投資をして完成する必要があるかと言うことだ。
東日本大震災の復旧・復興費用すら十分に資金手当てができずに困惑しているのに、さらに国債を発行して、何の役にもたたないダムを建設する意味は何かと言うことである。

注)完全に無駄な工事でも建設会社には売上げになるので相応の雇用効果はある。ただしできたダムは不要なので、毎年5億円の維持費は関係自治体の負担になるが、天下り先は確保できる。そうした意味では当事者にとっては意味はある。

 地方自治体の長が選挙地盤を意識してそこに利益誘導をする気持ちは分かるが、しかし一方で日本がおかれている状況も斟酌すれば、無駄な工事はやめようとの結論でないとおかしい。
しかし関係6都道府県の知事は残念ながら利益誘導しか念頭にない。
日本がつぶれようがどうしようが、埼玉県さえ良ければいいんだ。そして俺が知事でいられればいい上田知事の判断である。

 思えば1990年を境に日本の衰亡が始まっており、回復する目処は立っていない。
世界から日本は見放されており、最近開催されたG7では日本は蚊帳の外だった。

 「日本はなぜ衰亡するのか
いくら金があっても何も役に立たない 八ツ場ダムそのほかにも熊が遊ぶ高速道路やウサギが遊んでいる飛行場や、漁船のない漁港等がある)のような公共工事を続ければ、国の借金が雪達磨式に増えるのは当たり前だ。
こうして無駄に無駄を重ねながら、日本は新たな産業を創設することなく衰亡してきた。

 さすがに前原前国交相は憮然として「私に事前に相談がなかった」とコメントしたが、前原氏は内閣のかなめの一つの現政調会長だから、 八ツ場ダム建設をとめることができる立場にある。
私は前原氏が断固 八ツ場ダム建設に反対することを期待しているが、もしこの建設が許可されるようでは日本を諦めたほうが良いだろう。

 日本が再生できるか否かのリトマス試験紙がこの 八ツ場ダムの建設の動向にかかっている。

なお、 八ツ場ダム建設の過去の歴史等は以下のブログ参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat45800757/index.html

 

 


 

| | コメント (1)

(23.9.14) NHKスペシャル 東日本大震災 追いつめられる被災者

Cimg5923  

トシムネさん撮影 山崎編集

 日本人は特別に忘れっぽい民族で、半年前に発生した東日本大震災の記憶も薄らいでいたところに、NHKが特別番組を編成して2日間にわたり大震災関連の放送を行った。
そのうちの一つに「追いつめられる被災者」と言う番組があり、私のように大震災の対応は政府や自治体が十分にしていると思っていたものにとっては驚くべき内容だった。
こんなことになっているのか」という驚きである。

 この番組は3件の事例を追って、その内容を分析したものだった。

① 宮城県石巻市の仮設住宅難民の事例

 石巻市は三陸沿岸では16万人の人口を持つ最大の都市だったが、一方で最も津波の被害が大きかった市で、8mを越える津波が押し寄せてきた結果、死者・行方不明者3959人住宅の約30%に相当する2300戸が全半壊した場所である。

 菅前総理の掛け声もあり、8月末までに約6000戸仮設住宅を建設し、希望者全員が仮設住宅に住めるように建設を急いだが、実際の入居率は83%で、なお1500人が避難所で暮らしたり、自宅の2階以上の水が入らなかった場所でガス・水道・電気のない生活をしている多くの住民がいると言う。

 私は仮設住宅が整備されれば避難所や崩壊した住宅に住んでいる人はすぐにでも仮設住宅に移り住むものと思っていた。
なにしろそこは電気・ガス・水道だけでなくキッチンセット・冷暖房設備・冷蔵庫等の生活用品一式が用意されているのだから、はるかに生活環境が改善される。

 しかし仮設住宅の半分は街から離れた山間部に建設され、そこにはスーパーも病院も学校もバスもなく、自動車を持っていなかったり、病気がちだったり、子供がいたりすると、実際問題として住むことができないのだと言う。
勢い市内に建設された仮設住宅に応募が殺到して、入れない人は相変わらず避難所か崩壊した家屋に住んでいるのだそうだ。

注)映像では崩壊した家屋の3階に住んでいる女性が紹介されていたが、電気・ガス・水道がないため、食料は配給所(まだ7500人が利用している)で入手し、電池式のランタンの下でお弁当を食べていた。

そうか、単に家があっても買い物も病院通いもできず、また学校がないと子供を持った家族では住めない人がいるんだ
国や市町村もそうした実情は分かっていたのだが、バス路線を開設する費用が7月までは自治体もちだったため、自治体は二の足を踏み、さらに8月以降は国から年間3500万円の補助が出ることになったが、これでは十分なバス路線が開設できないのだと言う。

 こうして仮設住宅は戸数としては十分だが、実際は入居ができない人が溢れているのだとレポートしていた

 NHKのレポーターが平野担当災害担当大臣にたいして、「3500万円では1日に1便程度しか運行できない」と言っていたが、そうしたレベルのようだ。

Cimg5913 

(トシムネさん撮影 山崎編集)

② 岩手県の大船渡市の復興計画の遅れの事例

 大船渡市では死者・行方不明者452人、住宅の全壊2700戸の被害が出ていた。
この場所は過去に何回も大津波に襲われており、51年前のチリ大地震に伴う大津波78年前の三陸海岸大津波の被害にあっている。

 このため大船渡市では二度と津波被害が出ないようにと市全体を高台に移転することにして、7月末を目処に復興計画を作成しようとしたが、国の基本方針が揺れて復興計画の策定ができなくなった

 実際は政府の復興構想会議の提言等はあったのだが、予算をつけた国の支援がないため構想が描けないと言う。
当初の高台への全面移転には数百億円の費用がかかるが、国はこの予算手当てができていない。
仕方がないので道路をかさ上げして堤防の変わりにしようとしたが(二線堤という)、国はこのかさ上げ予算も計上していないという。

 そうしている間に市街地に新たに家を建てる人が出てきたり、半壊しているホテルが営業を再開したりして、高台に移転しようとした復興計画が実質的に骨抜きになりつつある。
これじゃ、また今までの大船渡市と同じで、次の津波には耐えられない・・・・」自治体の担当職員は半ば諦め顔になっていた。

 国の基本方針とははっきり言って予算措置のことだが、これは民主党と自民党の確執で第2次補正予算を通すのがやっとだった。第3次補正予算に移転費用が計上できるか否かだが、これとても自民党の反対は強そうだ。
復興よりも党利党略が全面に出てきて何も決められず、一方で被災者は取り残されている。
こうした時はオールジャパンで対応してほしいものだが、日本の政治力の貧困はどうにもならない段階に達しており、この中で大船渡市は翻弄されていた。

Cimg5899 

(トシムネさん撮影 山崎編集)

③ 福島県の放射能汚染地域の除染問題


 福島県南相馬市緊急時避難準備地域に指定され2万5千人が避難していたが、国は原発事故が収束に向かっているためこの指定を解除する検討を始めた。
しかしこの解除を行う前提として汚染された公共施設(特に学校、公園、道路)の除染が必要だが、現状は小学校の校庭の除染が始まったばかりだった。

 紹介された事例では南相馬市のある小学校の児童196人が隣接した小学校で授業を受けているものの、その人数は73名で、およそ3分の2の児童は他府県等に避難をしていると言う。
大人はたとえ放射線を浴びてもたいした影響は出ないが、子供はどうなるか分からないので放射能の影響がない場所に疎開している。

 それに公的な場所や施設は国や地方自治体が除染作業をするが、個人の住宅は対象外(実際に人手がなく除染できない)なので、放送では南相馬市に一人で住んでいる男性(家族は仙台市に移り住んでいる)が高圧洗浄機で家の周りの洗浄をしていた。
しかし個人的な洗浄には限界があり、いくら自宅を洗浄しても外から放射能物質が飛んできたり、コンクリートの隙間に放射性物質が入り込んだりして、なかなか洗浄が進まないのだと言う。

これじゃ家族を呼ぶことはできない、子供の住むところじゃない」その男性はそうつぶやいていた。
平野担当大臣は除染は国の責任で行うと明言していたが、南相馬市の全地域の除染をするのはどう見ても無理そうだ。
ちょうど地雷の除去作業のように、結果的にはここは安全、ここは近づくなと言うような対応になるのだろう。

 そしてそうした場所に特に幼児を持った家族が帰ってくる可能性は低い。放送ではすでに74人規模の中小企業で、若い主婦の従業員20名が退職して南相馬市を離れてしまったと言う。
ここの社長はこのまま南相馬市にとどまるのか、それとも会社を移転すべきか悩んでいた。中小企業も経営が成り立つか否かの瀬戸際に立たされていた。
人口が激減しているのだ。


 今回のNHKスペシャルは私には衝撃的だった。東日本大震災はすでに過去の歴史として認識していたが、実は進行形の歴史だったことをこの番組は私に教えてくれた。
野田総理の言う「福島の復活なくして日本の復活はない」と言う言葉は本当だったのだ。

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.13) 中国の経済成長の転換点 ピークアウトした中国経済

Cimg5688   

トシムネさん撮影 山崎編集

 かつて日本経済が日の出の勢いの頃、GDPでアメリカを追い越すのは時間の問題だと言われていた。あのバブルがはじける前の1980年代の頃である。
現在中国がアメリカのGDPを追い越すのが同じように時間の問題と言われているが、これは現状がそのまま推移すればとの前提条件が成り立てばの話である。

 人口規模で4倍強の中国だから、一人当たりGDPがアメリカの4分の1に到着すれば確かにアメリカを追い越すことになるが、はたしてそうなるだろうか。
中国の経済成長率は毎年10%前後だから躍進目覚しいのは確かだが、この成長はかなりかさ上げがある。

 その典型的な例が最近発生した中国高速鉄道の事故で、中国自慢の高速鉄道の制御システムがまるで機能していないことが判明した。
又中国自慢の新幹線も車両事故が頻発して車両の全とっかえを余儀なくされている。
最高速度も当初の350kmから300kmに引き下げたが、これはシーメンスや川崎重工業が納入した車両の安全速度である。

注)中国鉄道省は無理やりブースターを取り付けて速度アップを図ったが、これが安全性を無視した取り組みであることが世界に知れ渡ってしまった。

 中国は輸出立国でこれは日本と変わりがない。輸出立国が成り立つためにはその製品の購入先が必要だが、昨今の世界的規模の景気低迷で中国の輸出にかげりが出てきている。
アメリカは景気低迷と失業率の高止まりに悩み、EUはギリシャをはじめとする南欧諸国の財政破綻に対処ができない。
日本は東日本大震災と円高でマイナス成長が続いている。

 中国の外需依存度は09年まではGDPの34%程度で推移していたが、10年度25%になり、さらにこの低下傾向は続いている。
中国では輸出に関して新規輸出受注指数と言う数字を発表しているが、これが5ヶ月間にわたって低下している。
そして今まで中国になびいてきた投機資金が逃げ出し始めた。
7月にそれまで増加の一方だった投機資金が680億ドル(約5兆円)の規模で流出したと推定されている。

注)中国の投機資金の推定は以下のように行う。

外国為替資金残高 - (貿易黒字額 + 外国からの直接投資) = 投機資金

 中国に入ってきた投機マネーは主として不動産投資に向けられていたが、中国政府の引締政策もあって不動産価格が高止まりか低下を始めた。
これを見て投機資金は中国を逃げ出し始めたのだろう。

Cimg5912_2  

トシムネさん撮影 山崎編集

 中国政府の悩みは消費者物価の上昇で全体で6%程度、食料価格だけで言えばその倍程度の上昇になっている。
中国人にとって欠かせない豚肉の上昇はさらにすさまじい。
食料品は多く輸入に頼っているので昨今の小麦やトウモロコシ等の穀物価格の上昇が直に現れている。

 不動産は一部金持ち階級のマネーゲームに翻弄され、庶民は消費者物価の上昇に悩まされている。
労働争議は頻発して賃上げ闘争はかまびすしいが、これにより軽工業品の価格の優位性はほとんどなくなった。
もう中国の低賃金の時代は終わった。これからはベトナムやインドやバングラディシュの時代だ」低賃金が唯一の優位性になっている産業は中国では成立しない。

 そして何より悩ましいのが自然災害の多発だ。これは日本も同じなのだが中国では旱魃が最も緊急性の高い災厄になっている。
雲南省ではメコン川の上流をせき止めてダムを建設し、何とか水不足に対応しようとしているがメコン川下流のタイやベトナムと水争いになっている。
水量が豊かと言われていた揚子江周辺も旱魃と水害が交互に訪れて、せっかく作った用水路も中国北部の水不足に対応できない。

 さらに空気は常時汚れて子供達は喘息に悩まされ、公害物質は川に垂れ流されている。かつて日本で起こった四日市喘息や水俣病も頻発しているが、国家警察が武力で押さえつけて表面化を防いでいる。しかしインターネットの時代にいつまでこうした負の遺産を隠しきれるか危うくなってきた。

 中国は安全面や環境面のマイナスを武力で押さえつけてきた国だが、高速鉄道の事故の隠蔽工作でその一部が全世界に知れ渡ってしまった。
中国経済礼賛者は今だ後をたたないが、一方で懐疑派も徐々に増えている。
世界銀行のゼーリック総裁が最近「中国経済は過去の活力を失いかけており、内需拡大の方向転換が必要だ」と述べたが、このあたりが世界の見方の最大公約数だろう。

 私の見方はもう少し厳しく中国経済はすでにピークアウトし、これからは経済成長率の低下がドラスティックに現れて来ると私は思っている。
最も公表数字だけ見ていてはその動きは分からないだろう。

注)中国の統計は過去も今もかなり人為的な操作が加えられているので、公表数字は改竄されている場合が多い。数字分析でなく質的な変化をチェックするのが大事だ。

なお中国経済についての評論は以下のカテゴリー(評論 世界経済 中国経済)にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html




 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.12) 空しさの饗宴 G7とユーロの崩壊 誰も何も決められない

Cimg5684  

(トシムネさん撮影 山崎編集

 おそらくこれほど空しい会議はあまりお目にかかれないだろう。フランスで開催されてたG7(先進7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議)のことだが、そこで採択された共同声明は実際は何を述べているのかさっぱり分からないような声明だった。
世界経済の成長に明らかな減速傾向が見られる」のは事実だが、だからと言ってだれも何もできないという。

 日本はこの会議で円高是正のための共同歩調をアメリカ・EU各国に求めたが、各国は馬耳東風で議題はもっぱらEU加盟国、特にギリシャの財政危機問題に費やされた。
日本がまた円高だと騒いでいるが、自国通貨が高く評価されて金持ちになったことを大騒ぎをするような国は無視だ」という感じだ。

 実際今回の最大の課題はギリシャがEU支援各国に約束した財政再建策を実行しないことへの対応に費やされた。
金をよこせ、だが財政再建はできない。EUの言うことを聞いていたらギリシャがつぶれる」ギリシャはほとんど居直っている。

 結局EU加盟国、分けてもドイツがギリシャを救うかどうかが最大のポイントになっているものの、メルケル首相は「ギリシャは約束を果すべきだ」と冷たくギリシャを突き放していた。国内の3分の2がギリシャ支援に反対だからだ。
これではドイツ財務相もドイツ中央銀行総裁もなにもできない。
これを見て市場はユーロを叩き売りをはじめ、1ユーロ105円までユーロ安が進んだ。

注)メルケル首相率いるキリスト教民主同盟はこのところ地方選で敗退を繰り返しており、安易なギリシャ支援ができない。

 アメリカはEU各国に欧州の財務危機に適切な対応を求めたが、本当はアメリカ国内も火の車で、景気が減速して失業率が高止まりしている。
来年は大統領選挙なのにオバマ大統領の支持率は低下したままだ。
このままでは再選は不可能なので、たまりかねて4470億ドル(約35兆円)の景気対策を打ち出したが、議会下院の多数派を占める共和党はこの財政出動に大反対だ。
トンでもない、財政再建が先で財政出動なんて絶対に認められない
ここでも財務相は動けない。

 一方日本の野田新首相は首相就任にあたって「経済成長なくして財政再建なし。財政再建なくして経済成長なし」と公言したが、これほど空虚な言葉はちょっと見つけるのは難しい。
現在日本、アメリカ、西欧各国が直面している危機は、「経済成長か財政再建か、どちらか一つしかありえない」と言う現実に呻吟し苦悩しているからだ。
日本ほどひどい自己矛盾に陥っている国はなく、せっかくの円高を手をこまねいている。

注)高度成長期は税収も上がり健全財政を維持できた。健全財政と高度成長の組み合わせはあるが、低成長と健全財政の組み合わせはない。

Cimg5860  

(トシムネさん撮影 山崎編集

 日本は1990年前後のバブル崩壊以降、経済成長を図ろうと何度も財政出動をした結果、世界最悪の財政状況になってしまった。
今EUもアメリカもリーマン・ショック以降の景気回復のために日本をまねて思い切った財政出動をした結果、日本と同様の財政状況の悪化に悩まされている。

注)アメリカもEUも失われた10年(場合によったら20年)に突入している。

 おかげでギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアと言った主として南欧の各国が国債で資金調達ができなくなり、ECB(ヨーロッパ中央銀)が已む無くこうした国の国債を購入して支えている。
最もこれにはドイツが大反対で最近ドイツ出身のシュタルクECB専務理事が尻をまくって辞めてしまった。
もうやってられねえ、ドイツは真面目に働こうとしない遊び人のためにお金を使うことは断固拒否する

 EUではドイツが離反し、アメリカは共和党下院を説得するすべを持たない。そして日本は円高だと大騒ぎしているが世界はまったく相手にしてくれない。
こんななかでG7が有効な対策が打てると考えるほうがどうかしており、結局「みんなそれぞれ自分の問題は自分で解決しよう」と言うことになって散会した。

 なぜこのように混迷するかの最大の原因は、十分成長した先進国がそれ以上成長をさせようとすると無理な財政出動か、無制限の金融緩和をとらざるを得ず、たちまちのうちに財政悪化に陥るからだ。

 何度も同じことを言って恐縮だが、経済とても無制限な成長はありえず人間が大人になったら身長が伸びないように経済成長も止まる
これは少し考えてみれば当たり前で、衣食住にしても一定の水準が確保できればそれ以上の需要はなくなる。

 無限に経済成長をするという神話は、人間は際限なく食事をし、いらない衣料品を買い込み、使わない家を建て続けるということを想定している。
そんな馬鹿なことはありえず、先進国になればなるほど消費需要は衰えていく
一方新興国は先進国に追いつけ追い越せと努力しているが、ここも先進国レベルになればそれ以上の消費をすることはない。

注)しばらく前まで使い捨て文化が隆盛を極めていた。確かに使えるものでも次々に捨て去れば新規需要が生まれるが、これは資源を過剰なまでに酷使をしてしまい、資源問題に突き当たる。現在日本では「もったいない」と言う思想が定着しつつあり、資源の無駄な使用を控えるようになってきた。

 日本やアメリカや西欧諸国はこの成長の限界に突き当たっている。もはや成長はしないのだから、後は健全財政に取り組むより手はない。
こうした状況下で今問題になっているギリシャはどうなるのだろうか。
ギリシャはユーロに入っている限り他国の支援だけが頼りだがドイツはギリシャを見放し始めた。

注)ユーロに入っていると金融政策はECBが行うため、ギリシャに残された手段は財政政策しかない。健全財政に取り組むと言うことだが、国内の反発は強い。仕方ないので他国からの資金援助を当てにする。

 結局はギリシャはユーロに加わるだけの能力がなかったとユーロ加盟国が見放し、ギリシャはユーロから離脱して独自通貨に戻り、通貨の切り下げを行うと言うのが一番ありそうなシナリオだ。
自分のことは自分で始末しろと言うことだ。

注)すぐにユーロから離脱と言うことはないが、最終的には離脱せざる得ない。

 リーマン・ショックから3年、ユーロ成立から約10年でユーロ圏の崩壊の兆しが見えてきた。経済成長が終わり身の丈にあった生活を先進各国は求められている


 

 

 

 

| | コメント (2)

(23.9.11) おゆみ野最新事情 今年のおゆみ野は静かだ!!

Cimg5724  

(トシムネさん撮影 山崎編集)

 おゆみ野はとても美しい街である。ここはURが最後の大規模土地開発事業として開発した場所だけあって、URのあらゆるノウハウが集結された場所と言っていい。
特に遊歩道がすばらしい。四季の道と称するおよそ6kmの遊歩道や、それ以外にも中の道おゆみ野道と言った遊歩道があり、拠点拠点にはこれもすばらしい公園が設置されている。

 私は職業柄よく日本各地や海外にでかけていきそこでJOGをしたものだが(JOGをするのが仕事ではないが、朝時間を見つけては走り回った)、このおゆみ野隣接するちはら台を含めて)に整備されたような遊歩道や公園にお目にかかることはなかった。

 そうした意味でインフラとしては世界でも屈指の美しさを保っているのだが、問題はそうした美しさをいつまでも維持することが難しいことだ。
新築の家屋は当初はピカピカに光り輝いているが、手入れを怠ればたちまちのうちに古びた住居に変わってしまう。

 特に問題なのは人口が増えるにしたがって、遊歩道をはじめとする道路にゴミが散乱し、景観を著しく損なっていることだった。遊歩道や公園にはゴミ箱を一切置かず、ゴミは各自が処理することが建前だが、実際は遊歩道や道路をゴミ箱代わりにしている人が多い。
こりゃ、駄目だ。人々の道徳心に頼っていてはここおゆみ野はゴミの街になってしまう」

 私が遊歩道に落ちているゴミを拾い始めたのはおゆみ野の住民になってからだから今から16年前になる。
当時は私は現役のサラリーマンだったので、通勤途中にゴミ拾いをすることにしていた。
家から駅まで約1kmだが、遊歩道夏の道)に落ちているゴミを拾ってはジャスコのゴミ箱を拝借して捨てていた。

 私が本格的に清掃活動を始めたのは退職した60歳からだから、今から5年前になる。
自由の身になったので、四季の道6kmの清掃を毎日行うこととした。時間は約2時間かかる。
45Lのゴミ袋と缶を入れるためのビニール袋を持って一周すると、ほぼいっぱいになるのが普通だった。

 朝定期的に会う人から「いつもありがとうございます」という言葉をかけてもらうことが多いが、私の目的はこの世界でも屈指の美しいおゆみ野をいつまでも美しいままで止めておきたかったからだ。

Cimg5739  

(トシムネさん撮影 山崎編集)

 清掃活動を始めて数年経つと協力者も現れて、私はおゆみ野クリーンクラブを立ち上げた。現在まで会員は約15名程度で、各人がそれぞれのテリトリーを持って自由に清掃活動を行っている。
キャッチフレーズは「四季の道を世界で一番美しい遊歩道にしよう」だ。

 清掃活動だけについて言えば、徐々に浸透してきていると言えそうだ。個人でも又集団でも清掃活動をする人が増加しており、私が本格的に始めた5年前に比べるとはるかに放置されているゴミの量は減っている。

 ゴミ以外の問題は落書きがあった。この落書きはとても厄介で特に上に道路が通っているトンネルの壁にされることが多い。
最近は少なくなったが、一頃は特殊な字形の落書きがはやり、おゆみ野周辺の壁と言う壁にこの文字が落書きされるのには閉口した。

 落書きが厄介なのはこれを完全に消し去る方法がないからである。当初は剥離剤を使ってみたがこれは小さな落書き消し専用で壁一面の落書きにはどのようにしても対応ができなかった。
試行錯誤の結果上から同系統の色のペンキを塗るのが一番だと言うことを知った。
いわば全とっかえなのだが、これ以外に方法がない。
ペンキはたとえ同じ種類のものでも時間が経つと色落ちがするので、まったく同じ色が存在しない。
だからすべて上から上塗りをするのが一番なのだ。

 この落書き消しの最大の問題点はペンキの値段が高いことにある。約2L程度の缶が3000円前後し、これで塗れる範囲はあまり多くない。
私はペンキを個人的に購入しているが(一時新都市ライフから支援を受けたことはあった年金生活者の所得には限度があり、無制限にペンキを購入するわけには行かない。
幸いにも最近は落書きが劇的に減っており、落書き消しに費やす労力も費用も減っているのは僥倖だ。

注)落書きや公園で夜飲食をして汚すのはほとんどが中学生の悪がきの仕業である。今年に限って言うとこの悪がきがほとんど見当たらなくなった。学校での指導が行き届いたからだろうか、あるいはたまたま今年の中学生は真面目なのだろうか。

 ここ1年に限って言えば落書きはほとんどなくなったので、今はペンキを遊歩道のベンチの補修に使用している。
遊歩道のベンチは長い間ペンキが塗られていないため、腐ったり壊れたりしている部分が多く、このベンチをできる限り長持ちさせるためにペンキの塗装を行ってきた。
ここでは問題はすぐにペンキが剥がれてしまうことで、特に水生塗料と板との親和性がなく、年に4回程度塗りなおさないとならない。

 あまりにしばしば塗りなおしが必要になるので今は油性塗料に変えた。油性塗料は塗るときにシンナーの臭いがするので好きになれないが仕方がないと思っている。
最もすべてのベンチの塗りなおしができているわけでなく、夏の道の全部と春の道のほとんどを塗っておいたが、春の道のベンチはまだ塗り残しがおおい。

 おゆみ野の街の景観を守る作業として手を抜けないのが植栽の樹形の監理が有る。
特に夏の道にはすばらしく美しいケヤキ並木が続いているのだが、この並木道が約3年前に坊主になってしまった。
高さを12m程度に制限するためにいわゆる筒切りと言う方法で枝を切り倒したからだ。

 おかげでおゆみ野自慢のケヤキ並木がほとんど巨大サボテンの並木に変わってしまった。夏場も木陰ができず、きられたケヤキの中には樹勢が弱まって倒木寸前になるものが現れている。

 これについてはおゆみ野守り人が立ち上がり、景観維持の運動をした結果今では市のみどりの協会ここが実際に剪定作業等を発注している)と事前打ち合わせをすることになっており、私がおゆみ野守り人を代表して参加している。
ここ2年ほどは無理な剪定を行っていないので樹勢が回復し景観も戻ってきた。

Cimg5881  

(トシムネさん撮影 山崎編集)

 以上のように、毎日の清掃活動、落書き消し、ベンチの塗装、ケヤキ並木の維持を行っているが、それでも残った難しい問題がある。

 一つは放置自転車の多さで、実際は駅前の駐輪場に於いてある自転車で鍵をかかっていないものを無断で拝借し、自宅近くの路上に放置している行為だ。
こうした自転車が四季の道や公園に多く放置され、そのうちに段々と壊されていって最後は絶対に乗れないような代物になっている。

 これに対しやはりおゆみ野守り人Fさんが積極的に放置自転車の警察への通報運動を行っているが、組織的な取り組みとしてはまだ弱い。
現在おゆみ野駅周辺には監視カメラが設置されていることになっているが、これが本当に役立つようなシステムを警察と共に検討をする必要があるだろう。

 もう一つの問題は伸びすぎた芝生の維持管理だ。 みどりの協会が年に3回程度(正確に数えているわけではない)業者を入れてくれるが、夏場は雑草の生育が早くたちまちのうちに芝生が覆われてしまう。
私はおゆみ野の森で草刈を毎月行っているのでその延長で芝刈りをしようかと思っているものの、四季の道全体では約6kmもあるので一人では限界があり、業者が使用するような装備も持っていない。
いつもイギリスの公園のように芝生が監理されていたらどんなに美しいかと思うのだが残念だ。

 おゆみ野を世界で最も住みやすい街にする運動は今一歩のところまで来ている。個人的に取り組んでいる人は私をはじめ多くの人がいるが、組織的な取り組みは弱いと言わざるを得ない。
そうした取り組みの強化が必要な段階に来たようだ。

注)おゆみ野にはコミュニティー懇談会(コミコン)があり、ここが中心になっておゆみ野地区の美化運動に乗り出すことになった。私にも声がかかっており、私のできる範囲内で参加することにしている。

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.10) 天平の甍(いらか) 上総国分尼寺

23_001_2  

(国分尼寺のミニチュア

 私の住んでいるおゆみ野から約10km程度はなれた場所に、上総国分尼寺の史跡がある。現在の市原市の市役所が置かれている場所を中心に、奈良時代上総の国府とそれに隣接して上総の国分寺と上総の国分尼寺が建立されていた。

 今から1250年の前の奈良時代の中ごろの聖武天皇天平年間のことである。
聖武天皇は特異なキャラクターを持った天皇であったらしい。なにしろ当時の日本は貧しくとても寺院を建立したりする財力は十分と思われなかったのに、中央には奈良の大仏、そして地方の約60箇所に国分寺と国分尼寺の建立を命じた。

 私が不思議に思うのは当時の農民はいわゆる掘っ立て小屋に住んでいて、食べ物にも苦慮していたのになぜこれほどまでに豪壮な寺院を建てさせたかと言うことだ。
今は礎石しか残っていないが国分寺には7重の塔が建立され、高さは60mを越えていたと言う。

 市原市のこの場所は高台にあり、遠くからも朱色に輝く7重の塔が見えたはずだが、確かに国府の権威はそれで大いに高まったが、建設費用は半端ではなかったはずだ。
国分寺国分尼寺の建設費用は上総の国の農民の負担だったから、農民は餓死寸前に陥ったのではなかろうか。

 しかし聖武天皇の意図は農民を苦しめることではなく、異常気象が続き作物が実らず、飢えや疫病に苦しんでいる農民を救うことにあったという。
国分寺と国分尼寺にはそれぞれ20名の僧侶と尼僧がいて、毎日鎮護国家のための読経をしていた。
こうした僧侶と尼僧の生活を支えるために多くの下僕がいたし、また経済基盤を支えるために口分田が割り当てられていた。

注)当時の僧侶と尼僧は国家公務員であり、食料や衣類等必要なものはすべて国府から支給されていた。イメージは国立大学の教授に近い。

23_011  

(国分尼寺の回廊

 今国分寺は礎石だけしか残っていないが、国分尼寺は市原市が平成2年から復元に着手して、かつての威容の一部を垣間見ることができる。
復元されたのは回廊と回廊の一部にある中門部分であり、金堂講堂は今現在礎石しか残っていない。
展示館の研究員と思しき人が「着手したのはバブル全盛時代だったので、すべての建物の復元を目指したが、その後予算がなくなり回廊部分しか復元できなかった」ととても残念そうに説明していた。

 確かにすべての建物が復元されれば、天平の甍が目の前に現れるのだから、見学者に強烈なインパクトを与えるに十分だったろうが、この回廊部分だけでも相当なものだ。
遠くから見ると朱がとても鮮やかなのだが、近づくとかなり剥げ落ちており、触ると朱が手についてしまう。
研究者の説明では「復元は過去の作業を正確に踏襲した」と言っていたので朱も当時のものと同じだろう。

そうか、朱も常時メンテをしないとペンキと同じで剥がれてしまうのか・・・・・」何か私の四季の道のベンチのペンキ塗りと同じレベルなのには笑ってしまった。
回廊は信じられないことにタイル張りだった。
農民が土の上にゴザを敷いて生活をしていた時代に、この国分尼寺の回廊やその他の建物の床はすべて20cm四方のタイルでひき詰められていた。
そうか、ここは当時の人にとって天国のような一般人は近づけない場所だったんだ・・・」納得した。

注)かつてトルコのローマ遺跡を尋ねたときも同じような気持ちを持った。野蛮人だらけの場所に都市計画された道路や上下水道や円形劇場がそびえていれば、誰でもローマになびく。同じように天にそびえる7重の塔や大伽藍があれば、大和朝廷の権威はそれだけで見るものを威圧しただろう。

23_015  

復元された中門、回廊の真ん中に中門がある

 しかしやはり不思議に思うのは国分寺を建立するだけでも大変なのに、なぜ国分尼寺まで建立したかと言うことだ。
奈良時代は戦後の日本と同様に男女平等の世界だった、なんて話は聞いたことがないので、これは聖武天皇の皇后、藤原光明子の意志だったと思われる。
聖武天皇は非常な病弱でかつ精神的に弱く、さらにうつ病状態で、完全に妻の藤原光明子に頭を押さえつけられていた。

あなた、男寺だけでは鎮護国家はままなりません、是非女寺も必要です
でも、おまえ、そんな費用はいくらなんでも出ないだろう・・・
お黙りなさい、鎮護国家のためです。尼寺をお造りなさい」なんて感じだったのではなかろうか。

 しかしそのおかげで私達は天平の甍がどのようなものであったかを復元された回廊で見ることができる。
上総の国の国分尼寺は歴史に興味のある人は是非見ておきたい場所だ。

注)国分寺も国分尼寺も300年後には建物部分はなくなってしまった。理由は明白でないが戦乱か台風等で焼かれたか壊れてしまったものと推定される。
この平安中期になると国衙領はほとんど荘園に侵食されていたから、実際はこうした寺を維持するだけの人も費用もなくうち捨てられていたのだろう。

なお郷土史に興味のお持ちの方は、このブログのカテゴリー郷土史をご覧ください。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43139758/index.html

 

 

| | コメント (0)

(23.9.9) 異常気象と紀伊半島の豪雨

P7231042  

マッスルさん撮影 山崎編集

 とうとう日本も異常気象の被害から逃れることができなくなってしまった。
台風12号に伴う長雨で紀伊半島上北山村では、なんと4日間で2400mmの雨が降ったという。これは上北山村の毎年の平均降水量の4分の3に相当するのだそうだ。

 一般に雨量が500mmを越えると土砂災害が発生すると言われているが、その5倍近くの雨が降ったのだから、紀伊半島を中心に大規模な土砂災害が10箇所も発生したのは無理もない。
しかもその土砂災害が今まで日本では発生がなかった深層崩壊だという。
これにより死者・行方不明者が110人にのぼっており、平成に入って最大規模の被害になっている。

注)土砂災害は日本ではほとんどが表層崩壊で急斜面の土砂が50cmから2m程度の深さに削り取られる崩壊だった。今回の深層崩壊は比較的なだらかな斜面に起こり、岩盤の上に乗っている土砂がすべて削り取られる崩壊で深さ30mに達していた。

 紀伊半島は日本でも雨量の多い地域で日頃から水害や土砂災害に対する備えが万全だと言われていた。
実際熊野川流域の紀宝町のある地域では高さ9m、長さ1.5kmの堤防を築き鉄壁の水害対策を5年前に施していたが、今回の豪雨で熊野川が氾濫しこの9mの鉄壁の堤防を楽々と越えてしまった。
住民の一人が「これで安全になったと喜んでいたのに、何の役にもたたなかった・・」と寂しそうに述べていた。

 専門家は今回の想定外の豪雨は、① 台風が自転車並みの速度でいつまでも同じところに停滞したこと、② 紀伊半島の地形が急に山が海に迫っており雨が降りやすいこと、③ 水蒸気の通り道になっていたこと、をあげていた。

 確かに今回の想定外の豪雨はそうした理由と思われるが、それにしても想定外が多すぎる。オリンピックの記録みたいに毎年のように想定外に降雨量が増えたり、熱帯夜が増えたり、最高気温が更新されている。
この想定外のオンパレードは気候そのものが質的に変わってしまったことを意味していると私は思っている。
温暖化により日本が温帯気候から亜熱帯気候に変わってしまった」と言うのが正しい理解だろう

P7231046  

マッスルさん撮影 山崎編集

 かつて日本の気候風土は人に優しいマイルドな気象が特色で、日本人の温厚な性格もこの気象によってはぐくまれたと言われたものだ。
しかし昨今の気象はまさに亜熱帯の気象そのものだ。
今年の8月の始め、私は北海道の宗谷岬でマラソンをしていたのだが、そのあまりの暑さに閉口した。
これじゃ、私が住んでいる千葉とまったくかわらん、本当に日本の最北かい・・・・

 最もその頃関東周辺では40度近い気温になっており、東京電力に協力していたけなげな老人がバタバタと熱中症で倒れていた。
今や世界中で気温の上昇が起こっており、これに伴い台風ハリケーンが凶暴化し、乾燥地帯はますます乾燥地帯になり、一方雨の多かった地域には集中豪雨が日常化している。

 おかげで旱魃に悩んだ中国は水の確保に血眼になってメコン川をせき止めるものだから、下流のタイやラオスやカンボジアやベトナムはメコン川の水量が大幅に減少して漁業と農業に甚大な被害が発生している。
オーストラリアロシアの平原もますます乾燥化が進み、アメリカでは常時ハリケーンの猛威にさらされ、竜巻はますます凶暴化している。

 今回の紀伊半島を襲った豪雨もそうした異常気象の一種で、今回だけでなく今後はこうした集中豪雨にいつもさらされると考えたほうがよさそうだ。
日本は東日本大震災に続いて、今回の紀伊半島の豪雨災害と踏んだり蹴ったりだが、世界各地も同様の状態で、世界中が今悲鳴をあげている。

 元はといえば人間が勝手に自然破壊を繰り返し生態系を崩壊させたのだから自業自得で、ちょうど増えすぎたネズミが死の行進をして最後は海の藻屑となるように、世界各地の異常気象は(自然の人間に対する反逆で)人間も増えすぎた代償を払っているようなものだ。

 今世界の中で自然破壊をいくらしても懲りない国は中国アメリカだが、この2国の異常気象は嬉しいことに際立っているから、そのうちに目が覚めるだろう。
人間だけが自然の猛威から逃れられると思っていたが、それが思い上がりで人間も他の動物となんら変わりがないことを思い知らされている。

なお台湾を襲った深層崩壊の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/5-3970.html

 



 

 

| | コメント (0)

(23.9.8) クローズアップ・現代 超円高に立ち向かえ 海外進出の新戦略 中小企業は韓国になびく

P7231102  

(マッスルさん撮影 山崎編集

 円高になるたびに輸出企業は悲鳴をあげていたが、いくら悲鳴をあげても仕方がないことを悟り始めたようだ。
最近の円高は76円から77円歴史的円高で、リーマン・ショック以前の120円前後から比較すると約4割も円高が進んでいる。

 この円高に対し政府・日銀は4・5兆円規模円売り・ドル買いの為替介入をして数日間は80円程度の円安になったが、瞬く間のうちに元の円高に戻っている。
政府・日銀はなおも[必要があれば今後とも介入する]といっているが、実際はまったく介入効果がないことにいらだっている。
なんてことだ、いくら為替介入しても焼け石に水だ・・・・・・

 実際今回の円高はヨーロッパ経済とアメリカ経済が失われた10年に突入したために起こっている円高なので、日本がいくらがんばっても効果がない。アメリカとEUが超金融緩和策を推し進めている限り円高は収まらない。

注)アメリカとEUはドル安とユーロ安で輸出産業をバックアップしており、日本の円高は願ってもない状況なので協調介入をする気はさらさらない。

 日本では過去において2回円高にともなう輸出企業の海外進出ラッシュがあった。
一回目1985年プラザ合意直後の数年間で、250円前後だった為替相場が120円近くまで円高が進んだあのジェットコースター並みの円高の時代である。
この時期に海外進出をしたのは日本を代表する輸出産業群で、こうした親会社は海外に出たが1次・2次レベルの下請け会社は国内にとどまり部品の供給を続けていた。

 二回目1995年の前後の超円高水準の時期で一時的にしろ76円の円高になっていた時期である。このとき海外進出したのは1次・2次下請けと言ったそれ自体も大企業の企業群だった。
その結果日本に残ったのは特別なノウハウを持った企業か、孫受けと称される従業員規模が100人以下の中小企業になってしまった。

 そして日本の物造りの基礎を支えていたのはこうした中小企業群で、特に金型製造のような1000分の1ミリの精度を誇る金型などは日本の中小企業のお家芸と言ってよいようなものだった。

 今回の海外進出は3回目の波だが、主役はこの孫受けの中小企業群である。
現在親会社は中国や東南アジアに進出してしまい、海外進出した親会社は日本からだけでなく韓国・中国・台湾の企業から安価で相応の品質の部品供給を受けている。

注)海外進出した企業は日本の部品を使わなければならないと言う制約から解放されており、安価な部品を使用することにより競争力のある製品を造ることができている。

 このため日本の中小企業に対する価格引下げの要請は非常に厳しく、韓国や中国並みの価格を要請されており、3割から4割の引下げ要求になっている。
しかし国内の中小企業にとってそれはまったくできない相談だ。
輸出産業の中小の部品メーカーは今仕事を止めるか、海外に活路を見出す以外に選択の余地がないまでに追い詰められた。

P7231076  

マッスルさん撮影 山崎編集

 クローズアップ・現代
ではこうした多くの中小企業が今海外に工場を建設してコストダウンを図っている事例を紹介していたが、最も注目された中小企業の戦略は韓国への進出や韓国企業との提携だった。
かつて日本の繊維や雑貨や食品加工のような企業群が韓国に安価な人件費を目指して進出していた時期があったが、今回の進出は日本の輸出産業を支えてきた中小企業の韓国進出である。

 韓国は現在輸出環境としては最高の状況にある。韓国ウォンはドルにペッグしているからやはり4割程度日本円に対してウォン安になっており、このため人件費も電力も水道料金も日本の約半分のイメージだ。

注)韓国政府は表立ってのウォン安政策はとってないが、輸出企業に対し獲得したドルをウォンに変えさせないとか(ドルをウォンに変えるとウォン高になる)さまざまな手段でウォン安を誘導している。
これが可能なのはウォンが円のように国際通貨として機能していないので為替操作に目くじらを立てるのは競争相手の日本だけのため。

 
クローズアップ現代で紹介されたある自動車部品メーカーは韓国に進出し価格を2分の1まで引き下げることに成功していた。今までは国内メーカーだけの取引だったが、現在自動車との取引が行われるようになって2年間で3倍の売上げが増加したと言う。
このメーカーは基幹部品は日本で生産し、それ以外の部品は韓国で調達して組み立てを韓国で行っていた。
基幹技術を日本に止め、かつ売上げを伸ばす唯一の方法は輸出基地である韓国に進出することのようだ。

 日本の輸出産業はこうして基幹技術を日本に残しながら、親会社、一次・2次下請け、孫受けとも海外進出を図るようになり、輸出産業の時代が終わっている
何度も言うが現在の円高は数年規模で続き、その後も更なる円高になる可能性が高い。
日本は輸出基地としては最悪の環境下にあり、基幹部分競争力のある部分)を除き、日本で生産を続けるメリットはまったくなくなってしまっている。

注)円高になると輸出産業は今にも倒産しそうなことを言うが、実際は海外生産のウェイトを増やしたり、海外からの部品調達を増やしたりして対応している。
今本気で政府に泣き言を言っているような企業は倒産するのが当然の企業としかいいようがない。

 なお、円高対応については以下の記事も参照されたい
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/2384.html

 

| | コメント (4)

(23.9.7) アメリカと中国のサイバー戦争 中国のサイバー攻撃を打ち破れ

P7241204  

  (マッスルさん撮影 山崎編集


 昨日(5日)のNHKワールド・ウェーブ・トゥナイトの特集の「サイバー戦争」はとても面白かった。サイバー戦争の主役がハッカーになっていると言う。
通常私達がハッカーと言う言葉を聞いてイメージするのは、「不法に政府や企業や個人のシステムに侵入し、そこにあった秘密情報を盗むコンピュータのスペシャリスト」と言うイメージだが、それは正しくないと言う。

 ハッカーとは「コンピュータやネットワークの働きを詳しく理解することに喜びを見出す人」なのだそうだ。この定義ではハッカーは単に「コンピュータとネットワークが大好き人間」と言うイメージである。

 実際この特集で強調されていたことは「倫理観を持ったハッカー」と「倫理観を持たないハッカー」で前者を善玉ハッカーといい、後者を悪玉ハッカーと言うのだそうだ。
笑ってしまった。一頃までハッカーといえばヤクザやテロリストとさして違いない人種と言われていたのに、今や善玉と悪玉の区別がされている。

 しかも信じられないことにアメリカのラスベガスで世界的規模のハッカーのオリンピックが堂々と開催されていた。出場者は1万2千名におよび、アメリカ、韓国、日本、ロシアハッカーがほぼ全員集まったような大会だ。
ルールは何人かのグループに分かれて互いのコンピュータに進入して情報を盗むと言う方法で、先に進入ができたほうが勝ちと言うゲームのようだ。

注)ここには中国のハッカーがいないことに注意。

 19年前に始まったこの大会は当初はハッカー同士のオタクの集まりだったが、今や世界中のインテリジェンスを扱う組織(CIA、FBI、MI6、モサド等)やIT企業のリクルータがブーツを開設して、優秀なハッカーのリクルートをする場に変わっていた。

 なぜそのようにしてまでハッカーをリクルートするかと言えば、現在中国政府の秘密組織がアメリカや西側諸国の政府や企業に対し実に大規模で効果的なサイバー攻撃を仕掛けてきているからだ。

注)現在の戦争は陸・海・空・宇宙の他にサイバー空間で行われる。そしてこのサイバー空間での戦争がアメリカと中国の間で行われている実際の戦争である。

 最近の最も大きなサイバー攻撃と知られているのはグーグルのメールサービスに対するハッキングだったが、これはアメリカの政府高官のメールを特定した中国のサイバー攻撃だった。
グーグルはこれに抗議して中国本土から撤退したが、中国は濡れ衣だといっている。

 アメリカ政府が本腰を入れてハッキング対策に乗り出すことにしたのは、国防総省のコンピュータがハッキングされ、次世代戦闘機の情報を盗まれたからで、これは明確に中国の仕業である。
そしてアメリカ政府関連のコンピュータへの進入は今年すでに42000件に及んでおり、昨年同期比対比40%増だそうだ。
このすべてが中国筋と言うのは言いすぎだが、アメリカ政府は政府関連コンピュータにハッキングしているのは中国の関与が強いと分析している。

P7241194  

  (マッスルさん撮影 山崎編集

 問題は中国は国家政策としてハッカーを育成しているのに、アメリカを始め西側諸国はハッカーをアウトローとみなしていたため、対サイバー攻撃の育成を組織内の要員でまかなおうとしたことだ。
しかしこれは大失敗で中国はプロ集団、西側諸国はせいぜいセミプロレベルだからサイバー戦争に勝てるわけがない。
次々に情報を盗まれてついにアメリカ政府も決断した。
強盗を捕まえるのには強盗が一番だ

 アメリカ政府が採用した方法はハッカーを善玉ハッカー悪玉ハッカーに分けて、この善玉ハッカーをリクルートすることで中国のサイバー攻撃に対応する方法だった。
もちろんアップルやその他のIT産業もノウハウを中国のハッキングから守るために善玉ハッカーをリクルートしている。

 今回リクルートブーツを出していたのはアメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国だったが、日本のブーツがないことが気がかりだった
日本でも政府関係、特に防衛省のコンピュータが狙われており、また日本の先端企業のノウハウも中国に盗まれているのに、まったく何事もないかのように装っている。

 元々日本人は泥棒に泥棒を捕まえさせるような手段は忌み嫌うのだが、実態はそんなことを言っていられないほど中国のハッキンググループの能力は高く、日本も優秀なハッカーをリクルートする以外に対応策がないのも事実だ。
現在のサイバー戦争の勝者は中国で、アメリカや西欧諸国は優秀な善玉ハッカーをリクルートして、巻き返しを図ろうとしている。

)参考 「Googleと中国の仁義なき闘い」は以下のURL参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/22326.html

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.6) NHKスペシャル 脳がよみがえる 脳卒中 リハビリ革命

23725_082   

 最近私は不思議な経験をしている。物を強く握れなくなり急須や茶碗やコップを床に落としてしまうのだ。急須などは注ぎ口がかけてしまい又購入しなければならなくなったが、この原因がなぜか分からなかった。
別段脳卒中を患ったわけではないが年をとり手の筋肉が弱くなり、一方つかむと言う脳からの指令が従来のままだったので、物を落とすことに気がついた。
なんだい、年をとると筋肉が弱まるので、脳からの指令を強くしなければいけないのか・・・」悟らされた。

 こうした時とても興味深い番組が放映された。
脳はよみがえる 脳卒中 リハビリ革命」という番組である。
この番組では脳卒中で手足が動かなくなった患者が、新たなリハビリ方法が開発された結果、劇的に症状が改善することを紹介していた。

 脳卒中は脳の一部が壊れた結果、そこの神経を通って伝達していた脳波が手足に届かなくなりマヒしてしまう病気である。
私のように別に脳が壊れなくとも常時脳波の動きを調整しなければ物を落としてしまうのに、神経回路が不通になれば手足が動かなくなるのは当然だ。

 しかし脳には神経回路を回復させる機能があり、脳の壊れた場所を迂回して新たな神経回路を構築しようとする。
それを手助けするのがリハビリだが、従来リハビリには6ヶ月間の壁と言うジンクスがあり、6ヶ月を過ぎると症状が固定してしまい、それ以上は改善しないのが普通だったと言う。

23725_027  

 今回の番組のレポーターはNHKの元解説委員の藤田さんだったが、藤田さんは4年前に脳卒中で倒れ、その後4年間懸命なリハビリを行ってきたが、指で物をつかむ行為ができないでいた。藤田さんは親指と人差し指でワッカを造れず、両指がくっついて硬直してしまうためだ。

 ところが今回鹿児島大学霧島リハビリテーション川平教授のリハビリを受けると、たった1分程度のリハビリで、両指で輪を作ることができ物をつかむことができるようになった。
「へー、できるんだ、ぼくも・・・・・・」藤田さんの驚きの言葉である。

 なぜ4年間もできなかった行為が1分間でできるようになったかの科学的説明は、促通効果だという。
藤田さんの事例では、脳の壊れた場所を迂回しながら何本も新たに神経細胞をのばしていたのだが、脳からの指令がそのうちの最適な回路を探しあぐねていた状態だったのだと言う。

 したがってこの最適な神経回路を刺激して、指令をこの回路を通って流れるようにすればよく、そのためには両指で輪を作るときの腕の筋肉を刺激してやればよいのだそうだ。
そうすると脳は「ああ、この回路が輪をつくる回路なのか」と認識して、それからはこの回路にだけ指令を出すようになる。そうして両指でワッカを作り物をつかめるようになるのだそうだ。

 ポイントは「筋肉を刺激する場所とタイミング」が大事で、このための研究を川平教授10年間に渡って研究してきたと言う。
この川平教授のリハビリが従来のリハビリと異なる最大の特徴は筋肉の刺激を施術者が行うことで、一方従来のリハビリは患者自らが行い施術者はただ見ているだけだった。

 ただしこの川平教授のリハビリ方法ですべての人が改善すると言うわけでなく、重度の脳卒中の患者や、病気になってから年数が経ちすぎた患者には効果がないのだという。
その理由はせっかく作った神経回路がつながらなかったため、脳が強い脳波を送ることを止めてしまい、回路がほぼ消えてしまっているためだという。

23725_057  

 回路はあるのだがそのうちどの回路を使用するか分からない場合と、回路そのものが消えたか消えかかっている場合の相違である。
後者の場合は回路そのものの再作成が必要で、そのための基礎的研究も行われていた。

 一つは理化学研究所が行っている研究で、脳波をロボットアームに送り、その行為(たとえば手でつかむ行為)を確認させることで脳波を強化する方法と、もう一つは慶応大学で行われている脳からの信号が出た時は機械で手首を動かし、だんだんと回路が出来上がってきたら自分で手首を動かす研究だった。
後者については49歳の脳卒中患者が取り組んでいたが、今まで動かなかった手首が動くようになり、又歩行もできるようになっていた。

 このようにリハビリの研究では、① まず回路が消えて脳波が出ない場合は回路の復活と強い脳波の伝達を促し、② 次にできあがった回路から適切な回路を選んでその回路を強化することで日常の生活ができる様になる。

 川平教授の患者の事例では手首が回らずものをつかめなかった患者が、2ヶ月間のリハビリで日常生活で困らない程度の回復を見せ、退院後自動車を運転して樹木の剪定作業をしていた。

 そしてもうひとつ効果抜群なのは「褒める」と言うリハビリだとは笑ってしまった。
患者は褒められると脳の報酬系と言う部分が刺激され、そこからドーパミンが出て神経細胞の動きが活性化してリハビリ効果が上がるのだそうだ。
これは教育者なら誰でも知っている効果で、特に子供達は褒めると運動も学業も急激に伸びるものだ。

注)反対にけなされると段々とその通りの人間になっていくことも真理だ。

 またこれは記憶の研究の応用だったが、リハビリ効果を高めるためにはすぐに寝ることが必要で、寝ている間に特殊な脳波が出て学習効果を高めるのだと言う。

 今回のNHKスペシャルは約279万人いると言われる脳卒中患者には朗報だろう。
なにしろ一生身体が動かないと言われていたのが、リハビリの方法で身体が元のように回復するのだからすばらしい。
藤田元NHK解説委員でなくとも小躍りしたくなるようなリハビリの進歩で、このリハビリで救われる人が今後飛躍的に増大しそうだ。

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.5) GDP時代の終焉と幸福の尺度 ブータンのGNH(国民総幸福)の時代

23725_017_2  

 今だ世界はGDPで幸せが計られており、日本のように経済が停滞しGDPが低下しようものなら、政府もマスコミも学会も日本が不幸になっていくとばかり大騒ぎだ。
一方中国のように毎年10%程度の高度成長が続いている国を見て、中国こそ幸せそのものの国だと羨んでいるが、はたして本当に日本が不幸で中国が幸せなのだろうか。

 元々GDPは経済学で使用されていた用語で、一年間に生産された物やサービスをドルや円で表示したものだが、元来は技術的経済用語だった。
このGDPがいわゆる幸せの尺度とみなされてきたのは、「物が豊かになれば人々は幸せになれる」と言う価値観をこのGDPに付け加えたからである。

 しかし本当にGDPが増加することが幸せかは従来から疑義があった。
たとえば日本は世界で最も老人の多い国だが、老人は物の豊かさを幸せとは考えないのが普通だ。
これは老人になってみると分かるが、食欲はわかないし、着るものはスポーツウェアで十分だし、家はとうに手当てが済んでいるのでメンテ以外の需要がない。後は外国旅行をしてみたいが時差のあるところは体力的に無理だし、身体はあちこちにガタが来ているので医者通いはかかせないものの、医者にいけるのも体力のあるときだけだ。

 若者が多い国は物が豊かになっていくことが幸せと結びつが、老人が多い国は物の豊かさにはうんざりしてしまう。
そして若者でも無制限に食欲があるわけでなく食欲は胃の大きさが限度だし、着る機会のない衣類は無駄だし、家を建てる事も日本の場合は少子化が進んで父母の家を譲ってもらえるなら無理して手当てをすることもない。

 だから物が豊かになりGDPが増大しても幸福と感じない場合があるように、GDPが減少しても不幸と言うことはない。
このことを示そうとNHKが地球テレビ100と言う番組でブータンと言う幸せいっぱいの国を紹介していた。

 ブータンはとてもユニークな国だ。ヒマラヤ山脈の麓で一見するとスイスのような自然環境ににあり、国土は九州程度の大きさで、人口は約70万人だから、日本的感覚では県程度のイメージだ。
チベット仏教を国教としており、ながらく王様が統治する王国だったが、最近立憲君主国家に変わった国で、国民はいつも日本の丹前のような着物を着ている。

 驚くべきことはブータンの国民に「あなたは幸せか」と質問するとその97%が「幸せだ」と答える国で、これは北朝鮮のように強制されて答えていないところがすごい。
一方日本だとほぼ半数以上の人が不幸だと答えそうだ。

 ブータンの前国王は世界史的に見ても驚くべき資質を持った人で、前国王が提唱して王政を廃止して立憲君主制度を導入した。
国民はこの国王を敬愛していたので、「是非今のままの王政を維持してほしい」と懇願したが、前国王は「国王が悪い人であったとしてもブータンが存続できる仕組みが必要だ」といって08年に日本のような立憲君主制に切り替えてしまった。

注)前国王は昭和天皇の崇拝者だったから日本のようなシステムを導入したかったのかもしれない。

23725_022  

 この前国王がブータンに導入した国民総幸福度GNH)と言う概念が今国連を含め世界各国で注目され始めた。
前国王がGNHと言う概念を導入したのは今から30年も前のことだが、国民が幸福のためには経済と文化と自然と政治が必要で、それにウェイトをつけて幸福度を計ろうと言う取り組みである。

注)GNHと言う指標に政治が入っているのはそれまでブータンは王政であり民主国家でなかったためにこの項目が必要だったが、日本の場合はあまりに政治が混迷しているので必要性が高い。

 世界中で使用されているGDPと言う指標はこのうちの経済だけをとりあげたものであり、しかも市場で取引されて価格がついたものだけを計測したものである(だから専業主婦の家事労働は計測されない)。

 しかも経済を極大化しようとすれば中国のように自然破壊をいくらしても平然としているようになるし、チベット仏教のような古い文化は打ち捨てられる。
政治は経済発展のためには一党独裁制政治通常開発独裁と言われる)のほうが便利なので、民主政治と無縁になる。

 ブータンの前国王は自然や文化や民主政治と調和した経済でなければ国民の幸せは得られないと判断し、自然破壊を伴う経済発展を許さなかったし、文化を大事にして今でも丹前のような民族衣装を着ている。

 実際にGNHGDPのように数値化されているわけではないが、考え方としては非常に優れたものだ。
フランスやイギリスにおいてもGDPが必ずしも幸せとは関係ないと考えており、GDPに変わる新たな指標の検討に入っている。

 現在GDPの神話にとらわれている国はアメリカと中国だが、日本も相当程度毒されていると言えそうだ。
人間の幸福とは何か、それは本当に物の豊かさか?」このブータンの前国王が発した問いを今世界中の人々が回答を求めて模索している。



 

 

 
 

 

| | コメント (0)

(23.9.4) NHKワールド・ウェーブ 世界の高速鉄道計画 新幹線が日本を救う

23725_027  

 昨日(2日)のNHKワールド・ウェーブ・トゥナイトの特集をみて、日本の経済を救う切り札は新幹線ではないかとつくづく思った。
日本では東京オリンピックの年に東海道新幹線が開業し、以来日本人にとっては日常的な乗り物になっているがヨーロッパを除く世界では航空機自動車の時代が続いてきた。

 高速鉄道が注目されるようになったのは、地球温暖化問題が発生し環境問題がかまびすしくなったからである。
なにしろ飛行機にしろ自動車にしろ二酸化炭素をばら撒いて走っているようなもので、どう見ても一世代前の乗り物だ。
それに飛行機での移動が必ずしも便利だとはいえなくなってきたことが大きい。

注)飛行場での手荷物検査やボディーチェックは厳密を極め、出発前2時間程度の余裕がないと飛行機に乗れない場合がある。それに騒音問題があって飛行場は郊外に設置しており成田を見ても分かるようにアクセスが非常に悪い。
日本国内の旅行であれば東京周辺の人にとって北海道・四国・九州・沖縄や離島をのぞけば新幹線のほうが便利な場所がほとんどだ。


 今世界各国で高速鉄道の建設計画が目白押しになっている。

・アメリカ 13700km 事業費 カリフォルニアだけで3兆3000億円
・オーストラリア 1700km 事業費 8兆7000億円
・ブラジル 500km 事業費 1兆6000億円
・ベトナム 1600km 事業費 4兆3000億円
・イギリス
・インド


 今回の特集はオーストラリアの高速鉄道計画についての特集だった。
オーストラリアではメルボルン、シドニー、ブリスベンと言った東部の人口密集地帯に1700kmに及ぶ高速鉄道を敷設する構想がたちあがった。
この構想に対して日本の新幹線とフランスのTGVが懸命に売り込みを図っており、ワールドカップのなでしこジャパンのような闘いになっている。

 世界で最も信頼され、実際に輸出されている高速鉄道は日本の新幹線台湾)とフランスのTGV韓国)だけであり、中国に対しては日本とドイツが実際に車両を売っているのだが、中国は独自技術で開発した中国独自の車両だと公表している。

注)中国はこのCRHと言う車両をアメリカのGMと共同でアメリカに販売する計画だったが、最近の高速鉄道の事故で安全性を無視した設計であることが分かり世界の信用をなくしている。
また韓国はKTXと言う車両を開発したがフランスのTGVのコピーなのでフランスとの間で特許権問題が発生しそうだ。

 実質的に日本とフランスの戦いなのだが、日本の最大のセールスポイント安全性であり、一方フランスのセールスポイントはスピードと在来の線路でも走ることができると言う便利さだ。
実際フランスに行ってTGVに乗ろうとするとき日本人が戸惑うのは、日本のように専用のホームがなく日本で言えば山手線や中央線のホームにTGVが入ってくることだ。

注)私はTGVの専用の路線とホームがあるものと思って、パリでTGVの改札口を探し回ってしまった。なお在来の線路を走るときはスピードを落として在来線と変わらない速度で走っていた。

23725_039  

 21世紀は信じられないことに高速鉄道の時代になろうとしてる。航空機はオーストラリアではこれ以上離発着をさせられないほど混雑しており、一方従来の鉄道は時速80km程度でなんとしても遅い。
鉄道の乗客がインタビューに答えて「日本と違ってオーストラリアの鉄道は遅いのよ」とこぼしていた。

 この特集を見て私は新幹線こそが21世紀の日本を支える最高の技術だと思うようになった。
高速鉄道の技術を本当の意味で完成させているのは日本とフランスだけで、日本は世界の最先端に位置している。

 人口が多く移動が頻繁な地域では航空機は人を大量に運ぶのには不便だし、自家用車ではあまりにコスト高だ。
安全と信頼性抜群の新幹線だが、しかしライバルフランスに勝つためにはそれだけでは勝負に勝てないだろう。

 特に資金面で問題がある国に対しては、ありあまる外貨を使用する手段が残されている。相手国の建設国債等を購入する等の資金援助や、実際の技術援助が是非必要だろう(少なくともベトナムとカリフォルニアは資金不足で計画が頓挫しそうだ)。
中国が相手だと技術を盗んですべて自国技術だと公表するがさすがにオーストラリアになるとそのような窃盗行為はしない。

 日本はほかにベトナムやアメリカへの売り込みに熱心で、オーストラリアを含めて日本の新幹線が世界標準になったらどんなにすばらしいしと思うし、世界に誇る輸出産業になることは確かだ。

 21世紀は環境に易しい技術の時代だ。
そうした意味で国内の移動手段としての飛行機と自動車の時代は終わろうとしており(ただし電気自動車で復権するかもしれない)、日本の新幹線かフランスのTGVの時代に代わろうとしている。

注)飛行機と自動車の時代は20世紀文明の主要技術だったが、21世紀はより環境に易しい高速鉄道と自転車の時代だと思っている。
最近は通勤に自転車を使用する人が飛躍的に増加しており、自転車通勤がナウな生活スタイルとして定着しつつある。

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.3) NHK世界のドキュメンタリー 石油支配 OPEC 50年の闘い

23823_020  

 以前録画をしていた「石油支配 OPEC 50年の闘い」と言うドキュメンタリー番組を見直している。この番組は2010年に放映され、さらに今年の7月に再放送されたものだ。
この番組を見て1973年世界史の分水嶺であったことをしみじみと感じた。
それは今では第一次石油ショックと呼ばれているが、石油とその価格を誰が支配するかの闘争史だった。

 私が今とても残念に思うのは当時ブログと言うようなシステムが存在していたら、この世界史の分水嶺を私がどのように感じ見ていたかの記録を残せたはずなのにと言う気持ちだ。
1973年は私が社会人になって3年目のことだが、当時は下っ端の金融機関の職員として預金の勧誘を行っていた頃だ。
熱意と体力だけが勝負と言うような仕事の世界にいたのだから、この世界史の分水嶺の意味を知る由もなかったし、またたとえ知ったとしてもブログのような個人的見解を世の中に公表する手段はなかったが、それにしても残念だ。

 今回このドキュメンタリーを見て当時の石油ショックを思い出した。それはこの年にはじめてOPECがメジャーから価格決定権を取り上げ、一方的に石油価格を値上げを実施した年だった
それまで1バーレル2~3ドルだった原油価格を10ドル~12ドルにおよそ4倍の価格アップを図ったあの時のことである。

注)それまでは反対に石油メジャーが一方的に価格を決定していた。産油国は不満だったが、「値上げの前には事前通告をしていただきたい」と言う申し入れをするのがやっとの状況だった。

 この結果世界中がパニックに陥り、日本ではトイレットペーパーがなくなると主婦がスーパーに押し寄せたし、物価が狂乱物価といってよいような上昇をした。
今では原油価格が100ドル前後で推移しているのだから、10~12ドル程度の価格はとても上昇と言えるような水準ではないが、当時世界中がパニックに陥ったのはそれまで原油価格は傾向的に低下していたからだ。

注)なおこの年を境に10%以上だった日本の高度成長が終わり、安定成長と言われる5%程度の時代に入っている。この石油ショックが日本の時代にかげりを出させた最初の事件だった。

23823_022  

 この価格低下に不満を持っていたリビア、イラクと言った石油産出国が武力を背景に石油採掘事業の国有化を進め、さらにOPECと言う生産カルテルを結成して石油価格を支配していたメジャーに対抗した。

注)OPECそのものは1960年に設立していたが、本当の意味でOPECが力を発揮したのは石油採掘事業の国有化を推し進めた後の1973年のことである。この年第4次中東戦争(エジプトとイスラエルの戦争)が勃発し、OPECはエジプトを支援するため石油価格のアップとアメリカや西欧に対する禁輸措置を取った。

 なおリビヤやイラクが石油事業の国有化をできたのはソ連の支援を得ていたからで、メジャーは国有化の背後にソ連がいることで泣く泣く採掘権を放棄した。


原油価格は誰が決めるのか。それはOPECだ
1973年以降サウジアラビアのヤマニ石油相の一挙手一動が新聞の紙面に踊った。
そして当時言われていたことはOPECには強硬派穏健派があり、強硬派の筆頭はイランで穏健派の筆頭がサウジアラビアと言われていた。

 イランは常に石油価格の大幅上昇を主張し、一方サウジアラビアのヤマニ石油相は段階的な値上げを主張していた。
なぜサウジアラビアが大幅な価格上昇に反対したかの理由は当時私には分からず、ヤマニ氏が先進国の味方のように見えたが、実際はヤマニ氏は先を見ていた。

せっかくメジャーから石油採掘権を取り上げ、価格決定権を獲得したのに原油価格が上昇してしまうとメジャーが黒海やアラスカやメキシコでコスト高の原油採掘を可能にしてしまう。そうなるとOPECの価格支配権が失われてしまうではないか
ヤマニ氏はOPECの力を維持するために価格上昇に反対したがイランをはじめ他国は聞く耳を持たなかった。
うるさい、そんなことよりも今石油代金がほしいんだ

 特にイランは石油価格のアップを声高に叫んだが、これはパーレビ国王の戦略だったのだと言う。パーレビ国王はアメリカの支援でソ連よりの左派政権を倒し、一時亡命していた外国から再び国王に返り咲いたのだが、それは1953年のことである。
その後軍備拡張に乗り出し、特に友好国のアメリカから大量の軍用機や武器を輸入していた。
アメリカも中東の警察官の役割をイランに期待し大量の武器をイランに輸出していたが、その代金決済は石油代金だった。

 今でこそアメリカとサウジアラビアの関係は蜜月状態だが、当時アメリカはイランと蜜月状態で一方サウジアラビアとは対立していた。
OPECが力を持っていた1973年以降約10年間のことである。

注)イランのパーレビ国王は1979年のイラン革命で再び王位を奪われ、ホメイニ氏が帰国して国政を担当するとアメリカとの敵対政策をとるようになった。イランから追い出されたアメリカはその後急速にサウジアラビアに接近した。

23823_025  

 1979年
から1980年第2次オイルショックと呼ばれている。1979年にイラン革命が勃発し、さらに1980年イラン・イラク戦争が勃発して10ドル程度だった原油価格が40ドル前後に4倍に上昇したからである。
そしてこの1バーレル40ドルと言う原油価格は同時にOPECの価格支配力の終焉を意味していた。

 なぜなら中東から追い出された石油メジャーはその後黒海やアラスカ、メキシコ等で盛んに石油採掘事業を展開していたが、コスト面でどうしても経営に載せることができないでいた。
しかし第二次石油ショックで原油価格が40ドルに跳ね上がると一気に中東以外の場所での石油採掘が採算可能ベースとなり、急激に産出量が増加し始めた。

注)73年から81年までの生産量の推移を見ると、OPECのシェアが51%から39%に低下し、一方非OPECのシェアが45%から61%に上昇している。

 ヤマニ氏の予測が的中したのは1983年のことで、この年メジャーは黒海原油の価格を29ドル55セントとOPECの公示価格30ドル90セントより安い価格を提示してOPECの価格決定権を奪い返した
当時のOPECの動揺は非常なもので、何日間も討論してやっと出した価格は28ドル78セントというOPEC創設以来始めての値下げ価格になった。
結局OPECが原油価格を支配できたのは1973年から1983年までのほぼ10年間だったが、その後もOPECは相応の価格決定権があるものと世界からは恐れられていた。

 ヤマニ石油相はいう。「だからいったじゃないか。OPECが力を持ち続けるためにはメジャーが石油開発をしても採算割れになる価格を維持するのがOPECが20世紀を通じて石油を支配するために必要だったのだ

 さらにこの年ニューヨーク商品取引所石油先物価格の取引が始まった。ここで扱われる原油はアメリカ中西部で産出されるWTIと言う種類の原油で、世界の総生産量のわずか0.6%のシェアしかないローカルな原油だ。

 しかしその後この原油価格が世界の原油価格の指標になったのには訳がある。
OPECが価格決定権をメジャーに再び奪われたものの、メジャーも継続して価格を決定するような力はなく、結局価格を市場任せにせざるえなかったことに有る。

注)石油先物価格の市場を育てたのはレーガン政権である。当時アメリカは不況のどん底にあり新たな産業の育成が必要だった。そのため石油価格を政府が決めていた規制を取り払い、自由に石油価格を決めさせる自由化措置を取った。
市場の取引量は飛躍的に増大し、世界の産出量に匹敵する金額の取引が行われるようになったが、実際のWTIのシェアはたった0.6%に過ぎない。
しかしこの取引量の多さが世界の石油価格の指標になり、アメリカは石油先物市場と言う新たな産業の育成に成功した。


23823_026  

 1980年代から2000年ごろまではこのWTIの石油先物システムがよく機能して、原油価格はほぼ20ドル前後で長期安定し、その間世界経済も順調に拡大した。
この原油価格安定の時代を崩壊させたのは日本である。
日本は1990年前後のバブル崩壊以降超低金利政策をとり続け、その間低利の資金を世界中にばら撒いた。

 この資金を使って世界の資源を買いまくったのがヘッジファンドで、特に中国が石油資源の確保に血眼になっていたため、資金を原油に集中的に投資した。
あのリーマン・ショック前の1バーレル150ドル前後の原油価格の時代である。

 今は原油価格は市場参加者によって石油先物価格として決定されている。生産者も消費者もこの市場の支配から逃れることはできない。
リーマン・ショック後世界中にアメリカとEU と日本の低金利資金がばら撒かれているため、日本一国が資金をばら撒いていた時代よりも市場の支配力は強くなっている

 OPECの時代は1983年には終わっていたが、その後も戦争や経済危機が発生するたびにOPECがどの程度石油を供給してくれるかは話題になった。
価格決定権はなくてもサウジアラビアを中心に供給力は維持していたからだ。

 今回のドキュメンタリーを見直して、かつて私が金融機関の職員として過ごした時代を思い出している。
当時は何が起こっているのかも分からず、OPECの存在を恐れを持ってみていたし、石油先物価格の市場がどのような意味を持つのか分からなかった。
もし私が当時からブログを書いていたら、内容はともかく私がどのように時代を見ていたか検証できるのに残念でたまらない。

 今65歳になり、神様のお迎えが近い年齢になってこうした世界経済の推移を追っているが、これを数十年前から行っていたら私の世界経済を見る目はもっと養われていたはずなのにと思うからだ。

なお、過去に記載してきた石油・ガス関連の記事は以下の通り
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat33369765/index.html

 

 

 

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.9.2) ためしてガッテン もみ出し&マッサージ ホントの実力大検証

23823_130  

 最近のためしてガッテンはとても面白い。司会の立川志の輔師匠とレギュラー出演者のまみちゃんのやり取りなどいつも笑ってしまうが、その他の出演者もなかなか愉快だ。
特に最近は健康問題を取り上げることが多いが、見ていてとてもためになる情報が多い。

 今回は「もみ出し&マッサージ」の効果の大検証を行っていた。
一般に言われている効果は、① 脂肪を減らすこと、② 高血圧を治すこと、③ 認知症の症状を改善すること、だそうだがそれを実験を通して検証していた。

 私は今までエステマッサージを受けたことはない。エステの効果は①の脂肪を減らすことだが、私のように四六時中運動をしている者はそもそも脂肪が身体についていない。体脂肪率は通常は14か15で、一日12時間を越すウルトラマラソンをした後は10前後に下がってしまう。
裸になると腹と背中がくっつきそうなくらいになっているので、エステにかよう理由がないからだ。

 今回実験に参加したお嬢さん3人はかなり太めで、確かにエステに通えばそれなりの効果が期待できそうだった。
実験では「もみ出し&マッサージ」をすれば腹回りと大腿部の脂肪を取れるというキャッチフレーズだった。
実際にやってみると確かに腹回りも大腿部も数センチ規模で細くなるのだが、体脂肪率はかえって増えており、脂肪が燃焼して細くなっていると言うことではなかった

注)エステの効果としてもみ出すことによって、脂肪が遊離脂肪酸となって血管内に溶け出すと言うのがうたい文句だが、実際に調べてみると血管内の遊離脂肪酸は減少していた。

 
実際はほぼ90分間にわたって温水高周波マシーンアロマオイルを使用して揉み解すと体内から水分が汗となって噴出し、平均して2kg程度体重が低下していた。
エステの効果とはこの体内水分の減少である。

「なんだ、それじゃ私が行っている運動と同じじゃないか
私はほぼ毎日1時間程度のJOGか水泳を行っているが、体中から汗が噴出し運動後は平均して2kg程度体重が低下する。

 エステ専門学校校長先生が番組で証言していたが、「エステで脂肪がなくなることはなく、水分が汗となって出て行くのでむくみが取れてすっきりした身体になる」のだそうだ。
そうか、エステと運動は汗を出すと言う意味では同じ効果があるのか」納得した。

23823_067  

 マッサージの効果として、② 高血圧が治る、というのは今回初めて聞いた話だ。
私自身は最高血圧が120前後、最低血圧は75前後で、これは若い頃からまったく変わっていないので特にマッサージをする必要もないが、高血圧の人には良法だろう。

 このマッサージの原理は動脈をもむと血管を広げる物質が出てきて血管が拡張するので血圧が下がるのだと言う。
私のように運動を常時している人は経験的に知っているが、腕立て伏せをすると腕の血管が膨らみ、ランニングをすると足の血管が膨張している。一時的に太くなり、血管が皮膚に浮き出ている。
このマッサージ効果も運動効果と同じものだと私は理解した。

 マッサージ効果の③ 認知症の症状を改善する、と言う効果は本当に驚いた。認知症と診断された年配の女性が非常に攻撃的な態度をとり、徘徊を繰り返していたのがすっかりその症状がなくなったと言う。
映像ではとても認知症とは思われないおだやかになった女性に変わっていたが、これはさすることでストレス物質の排出が3分の1以下になったからだと言う。

 私はよく犬や小さな子供をなぜてやることがあるが、そうすると本当に気持ちよさそうに静かにしている。
この方法はスゥエーデンでほぼ50年前に開発されたタッチケアと言う方法で、毎秒5cm程度の速度でさするのがコツで、日本には5年前から紹介されたと看護士さんが説明していた。

 私は脂肪も高血圧も無縁だが、最後のタッチケアは四季の道でよく会うワンチャンにしてやると効果がありそうだし、孫娘にもさっそく応用してみたいと思った。

 

| | コメント (0)

(23.9.1) アメリカに踊らされた国策捜査の破綻 旧日債銀経営陣に対する無罪判決

23823_069  
ニシン漁の番屋

 無理に無理を重ねてきた国策捜査が破綻し、旧日債銀の元会長、頭取、副頭取の無罪判決が高等裁判所で言い渡された。

 事件は98年3月期旧日債銀の決算において、会長らが共謀して1529億円の不良資産を隠蔽し、粉飾決算をして有価証券取引法違反に問われたものである
旧日債銀はその年の12月に経営破綻し一時国有化されたあと、2000年に投資グループに売却され、2001年にあおぞら銀行として再建されている。
そしてその間約5兆円に登る国費が投入された。

 東京地検は日債銀の倒産原因は粉飾決算にあったとして窪田会長を含め経営者3名を98年7月に逮捕して裁判にかけたのだが、当初からかなり無理筋の裁判だった。
最大の問題は「何が粉飾決算に相当するか」明確でなかったからだ。

 当時の大蔵省はアメリカからの強い要請を受けて不良資産の査定基準の厳格化を図ろうと97年3月に新基準を作成して金融機関に通達したが、問題はこの新基準を98年3月期決算に適用すべきかどうかだった
大蔵省は98年3月期はまだ過渡期であり、旧基準でも新基準でもOKとの回答をしており、実際日債銀は大蔵省に事前に相談をして98年3月期決算を公表している。

注)この頃まではまだ大蔵省はアメリカからの要請を和らげるバッファーの役割をしており、アメリカには厳格な査定基準を作ったことを説明し、一方国内には98年3月期はまだ過渡期であり適用しなくても良いというような説明していた。
当時の大蔵省はアメリカと国内に対しダブルスタンダードをとっていた。


 だから日債銀としては「大蔵省にOKをもらった決算書がなぜ違法なのか」との反論を当初からしていた。
これに対し東京地検が無理やり当時の経営陣3名を逮捕し有価証券取引法違反で裁判にかけた理由は、98年3月に日債銀に対し600億円の国費を投入しているのに誰も責任を取らなければ政権が持たないと言う政治的理由からだった。

注)97年と98年の間に金融政策の大転換があった。97年に三洋証券、北拓、山一證券が倒産するとパニックになり、98年には国費を投入して金融機関を救済しなければならなくなっていた。このため国費を投入するためにイケニエがぜひとも必要だった。

大蔵省がなんと言ったかは知らないが、何でもいいから日債銀に責任を取らせろ。そうでないと公費を投入する説明ができない
その後日債銀は98年12月金融監督庁(金融庁)の査定で2700億円の債務超過を理由に倒産したのだが、この債務超過については同年10月に制定された金融再生法を厳格に適用したものである。

注)日本のダブルスタンダードに業を煮やしたアメリカは、強く日本政府にせまり98年10月には債務超過に陥った金融機関はすぐさま国有化するという金融再生法の成立を強要した。これにより旧長銀、旧日債銀の倒産が確定した。

23823_073_2  

 今回の高裁の裁判はアメリカそのものがリーマン・ショックに伴うサブプライムローンの不良資産計上の猶予をしたと言う状況下で行われた。
過去あれほどまでにグローバルスタンダードによる厳格査定が必要と言われていたものが、アメリカの都合で一方的にサブプライムローンが優良債権に変わってしまったわけだ。
なんだい、不良資産の厳格な査定なんて当初からご都合主義だったんじゃないか。ダブルスタンダードとはアメリカのことか・・・・・」誰もがそう思った。

 裁判も時の政治・経済情勢を無視して判決が出されることはない2004年の一審、2007年の2審判決までは、グローバルスタンダードの神話が生きていたため被告3名は有罪となった。
一方2009年の最高裁は、リーマンショックの後であり、アメリカを始めヨーロッパ諸国が不良資産の計上を自分の都合で優良資産にしてしまった後だけにさめてしまった。
最高裁は「98年3月期の決算において前年に出された通達を適用する必要はなく、旧基準で判断すべきで、そうした場合に不良資産になるかどうか再検討をしろ」と高等裁判所に差し戻した。

 そして今回差し戻された高等裁判所の判断は「旧基準では不良資産とはいえないので、旧経営陣3名は無罪とする」と言うものだった。

 今から思うと97年から98年にかけて吹き荒れた金融の嵐はグローバルスタンダードの名の下にアメリカが仕掛けたものだが、今ではグローバルスタンダードがアメリカのご都合主義であることが分かっている。
しかし当時の橋本政権小渕政権もこのアメリカの要請を受けて、日本の金融機関の不良資産の査定に邁進した。
その後小泉政権になって竹中平蔵氏が徹底的な資産査定を実施し、日本の金融機関の中の不良資産を一掃した。

 世の中は禍福が転ずると言うが、今度はリーマンショックの対応で、アメリカとEU諸国が不良資産の隠蔽を始めたため、世界の金融機関の中で最も不良資産が少ない金融機関は日本と言うことになってしまった。
アメリカやEUの景気後退が報道されるたび、資金が円に流れて円高になるのはそのためだ。

 私達は竹中平蔵氏に感謝すべきなのだろうか、それともあまりにナイーブにグローバルスタンダードを信じたことは間違いだったのだろうか。
とまれグローバルスタンダードの精神の元に行われた日債銀の裁判はグローバルスタンダードの崩壊によって、日債銀の経営者を指弾する根拠を失い無罪判決が出された。

 

 

| | コメント (0)

« 2011年8月 | トップページ | 2011年10月 »