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(23.9.5) GDP時代の終焉と幸福の尺度 ブータンのGNH(国民総幸福)の時代

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 今だ世界はGDPで幸せが計られており、日本のように経済が停滞しGDPが低下しようものなら、政府もマスコミも学会も日本が不幸になっていくとばかり大騒ぎだ。
一方中国のように毎年10%程度の高度成長が続いている国を見て、中国こそ幸せそのものの国だと羨んでいるが、はたして本当に日本が不幸で中国が幸せなのだろうか。

 元々GDPは経済学で使用されていた用語で、一年間に生産された物やサービスをドルや円で表示したものだが、元来は技術的経済用語だった。
このGDPがいわゆる幸せの尺度とみなされてきたのは、「物が豊かになれば人々は幸せになれる」と言う価値観をこのGDPに付け加えたからである。

 しかし本当にGDPが増加することが幸せかは従来から疑義があった。
たとえば日本は世界で最も老人の多い国だが、老人は物の豊かさを幸せとは考えないのが普通だ。
これは老人になってみると分かるが、食欲はわかないし、着るものはスポーツウェアで十分だし、家はとうに手当てが済んでいるのでメンテ以外の需要がない。後は外国旅行をしてみたいが時差のあるところは体力的に無理だし、身体はあちこちにガタが来ているので医者通いはかかせないものの、医者にいけるのも体力のあるときだけだ。

 若者が多い国は物が豊かになっていくことが幸せと結びつが、老人が多い国は物の豊かさにはうんざりしてしまう。
そして若者でも無制限に食欲があるわけでなく食欲は胃の大きさが限度だし、着る機会のない衣類は無駄だし、家を建てる事も日本の場合は少子化が進んで父母の家を譲ってもらえるなら無理して手当てをすることもない。

 だから物が豊かになりGDPが増大しても幸福と感じない場合があるように、GDPが減少しても不幸と言うことはない。
このことを示そうとNHKが地球テレビ100と言う番組でブータンと言う幸せいっぱいの国を紹介していた。

 ブータンはとてもユニークな国だ。ヒマラヤ山脈の麓で一見するとスイスのような自然環境ににあり、国土は九州程度の大きさで、人口は約70万人だから、日本的感覚では県程度のイメージだ。
チベット仏教を国教としており、ながらく王様が統治する王国だったが、最近立憲君主国家に変わった国で、国民はいつも日本の丹前のような着物を着ている。

 驚くべきことはブータンの国民に「あなたは幸せか」と質問するとその97%が「幸せだ」と答える国で、これは北朝鮮のように強制されて答えていないところがすごい。
一方日本だとほぼ半数以上の人が不幸だと答えそうだ。

 ブータンの前国王は世界史的に見ても驚くべき資質を持った人で、前国王が提唱して王政を廃止して立憲君主制度を導入した。
国民はこの国王を敬愛していたので、「是非今のままの王政を維持してほしい」と懇願したが、前国王は「国王が悪い人であったとしてもブータンが存続できる仕組みが必要だ」といって08年に日本のような立憲君主制に切り替えてしまった。

注)前国王は昭和天皇の崇拝者だったから日本のようなシステムを導入したかったのかもしれない。

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 この前国王がブータンに導入した国民総幸福度GNH)と言う概念が今国連を含め世界各国で注目され始めた。
前国王がGNHと言う概念を導入したのは今から30年も前のことだが、国民が幸福のためには経済と文化と自然と政治が必要で、それにウェイトをつけて幸福度を計ろうと言う取り組みである。

注)GNHと言う指標に政治が入っているのはそれまでブータンは王政であり民主国家でなかったためにこの項目が必要だったが、日本の場合はあまりに政治が混迷しているので必要性が高い。

 世界中で使用されているGDPと言う指標はこのうちの経済だけをとりあげたものであり、しかも市場で取引されて価格がついたものだけを計測したものである(だから専業主婦の家事労働は計測されない)。

 しかも経済を極大化しようとすれば中国のように自然破壊をいくらしても平然としているようになるし、チベット仏教のような古い文化は打ち捨てられる。
政治は経済発展のためには一党独裁制政治通常開発独裁と言われる)のほうが便利なので、民主政治と無縁になる。

 ブータンの前国王は自然や文化や民主政治と調和した経済でなければ国民の幸せは得られないと判断し、自然破壊を伴う経済発展を許さなかったし、文化を大事にして今でも丹前のような民族衣装を着ている。

 実際にGNHGDPのように数値化されているわけではないが、考え方としては非常に優れたものだ。
フランスやイギリスにおいてもGDPが必ずしも幸せとは関係ないと考えており、GDPに変わる新たな指標の検討に入っている。

 現在GDPの神話にとらわれている国はアメリカと中国だが、日本も相当程度毒されていると言えそうだ。
人間の幸福とは何か、それは本当に物の豊かさか?」このブータンの前国王が発した問いを今世界中の人々が回答を求めて模索している。



 

 

 
 

 

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