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(23.9.4) NHKワールド・ウェーブ 世界の高速鉄道計画 新幹線が日本を救う

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 昨日(2日)のNHKワールド・ウェーブ・トゥナイトの特集をみて、日本の経済を救う切り札は新幹線ではないかとつくづく思った。
日本では東京オリンピックの年に東海道新幹線が開業し、以来日本人にとっては日常的な乗り物になっているがヨーロッパを除く世界では航空機自動車の時代が続いてきた。

 高速鉄道が注目されるようになったのは、地球温暖化問題が発生し環境問題がかまびすしくなったからである。
なにしろ飛行機にしろ自動車にしろ二酸化炭素をばら撒いて走っているようなもので、どう見ても一世代前の乗り物だ。
それに飛行機での移動が必ずしも便利だとはいえなくなってきたことが大きい。

注)飛行場での手荷物検査やボディーチェックは厳密を極め、出発前2時間程度の余裕がないと飛行機に乗れない場合がある。それに騒音問題があって飛行場は郊外に設置しており成田を見ても分かるようにアクセスが非常に悪い。
日本国内の旅行であれば東京周辺の人にとって北海道・四国・九州・沖縄や離島をのぞけば新幹線のほうが便利な場所がほとんどだ。


 今世界各国で高速鉄道の建設計画が目白押しになっている。

・アメリカ 13700km 事業費 カリフォルニアだけで3兆3000億円
・オーストラリア 1700km 事業費 8兆7000億円
・ブラジル 500km 事業費 1兆6000億円
・ベトナム 1600km 事業費 4兆3000億円
・イギリス
・インド


 今回の特集はオーストラリアの高速鉄道計画についての特集だった。
オーストラリアではメルボルン、シドニー、ブリスベンと言った東部の人口密集地帯に1700kmに及ぶ高速鉄道を敷設する構想がたちあがった。
この構想に対して日本の新幹線とフランスのTGVが懸命に売り込みを図っており、ワールドカップのなでしこジャパンのような闘いになっている。

 世界で最も信頼され、実際に輸出されている高速鉄道は日本の新幹線台湾)とフランスのTGV韓国)だけであり、中国に対しては日本とドイツが実際に車両を売っているのだが、中国は独自技術で開発した中国独自の車両だと公表している。

注)中国はこのCRHと言う車両をアメリカのGMと共同でアメリカに販売する計画だったが、最近の高速鉄道の事故で安全性を無視した設計であることが分かり世界の信用をなくしている。
また韓国はKTXと言う車両を開発したがフランスのTGVのコピーなのでフランスとの間で特許権問題が発生しそうだ。

 実質的に日本とフランスの戦いなのだが、日本の最大のセールスポイント安全性であり、一方フランスのセールスポイントはスピードと在来の線路でも走ることができると言う便利さだ。
実際フランスに行ってTGVに乗ろうとするとき日本人が戸惑うのは、日本のように専用のホームがなく日本で言えば山手線や中央線のホームにTGVが入ってくることだ。

注)私はTGVの専用の路線とホームがあるものと思って、パリでTGVの改札口を探し回ってしまった。なお在来の線路を走るときはスピードを落として在来線と変わらない速度で走っていた。

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 21世紀は信じられないことに高速鉄道の時代になろうとしてる。航空機はオーストラリアではこれ以上離発着をさせられないほど混雑しており、一方従来の鉄道は時速80km程度でなんとしても遅い。
鉄道の乗客がインタビューに答えて「日本と違ってオーストラリアの鉄道は遅いのよ」とこぼしていた。

 この特集を見て私は新幹線こそが21世紀の日本を支える最高の技術だと思うようになった。
高速鉄道の技術を本当の意味で完成させているのは日本とフランスだけで、日本は世界の最先端に位置している。

 人口が多く移動が頻繁な地域では航空機は人を大量に運ぶのには不便だし、自家用車ではあまりにコスト高だ。
安全と信頼性抜群の新幹線だが、しかしライバルフランスに勝つためにはそれだけでは勝負に勝てないだろう。

 特に資金面で問題がある国に対しては、ありあまる外貨を使用する手段が残されている。相手国の建設国債等を購入する等の資金援助や、実際の技術援助が是非必要だろう(少なくともベトナムとカリフォルニアは資金不足で計画が頓挫しそうだ)。
中国が相手だと技術を盗んですべて自国技術だと公表するがさすがにオーストラリアになるとそのような窃盗行為はしない。

 日本はほかにベトナムやアメリカへの売り込みに熱心で、オーストラリアを含めて日本の新幹線が世界標準になったらどんなにすばらしいしと思うし、世界に誇る輸出産業になることは確かだ。

 21世紀は環境に易しい技術の時代だ。
そうした意味で国内の移動手段としての飛行機と自動車の時代は終わろうとしており(ただし電気自動車で復権するかもしれない)、日本の新幹線かフランスのTGVの時代に代わろうとしている。

注)飛行機と自動車の時代は20世紀文明の主要技術だったが、21世紀はより環境に易しい高速鉄道と自転車の時代だと思っている。
最近は通勤に自転車を使用する人が飛躍的に増加しており、自転車通勤がナウな生活スタイルとして定着しつつある。

 

 

 

 

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