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(23.9.14) NHKスペシャル 東日本大震災 追いつめられる被災者

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トシムネさん撮影 山崎編集

 日本人は特別に忘れっぽい民族で、半年前に発生した東日本大震災の記憶も薄らいでいたところに、NHKが特別番組を編成して2日間にわたり大震災関連の放送を行った。
そのうちの一つに「追いつめられる被災者」と言う番組があり、私のように大震災の対応は政府や自治体が十分にしていると思っていたものにとっては驚くべき内容だった。
こんなことになっているのか」という驚きである。

 この番組は3件の事例を追って、その内容を分析したものだった。

① 宮城県石巻市の仮設住宅難民の事例

 石巻市は三陸沿岸では16万人の人口を持つ最大の都市だったが、一方で最も津波の被害が大きかった市で、8mを越える津波が押し寄せてきた結果、死者・行方不明者3959人住宅の約30%に相当する2300戸が全半壊した場所である。

 菅前総理の掛け声もあり、8月末までに約6000戸仮設住宅を建設し、希望者全員が仮設住宅に住めるように建設を急いだが、実際の入居率は83%で、なお1500人が避難所で暮らしたり、自宅の2階以上の水が入らなかった場所でガス・水道・電気のない生活をしている多くの住民がいると言う。

 私は仮設住宅が整備されれば避難所や崩壊した住宅に住んでいる人はすぐにでも仮設住宅に移り住むものと思っていた。
なにしろそこは電気・ガス・水道だけでなくキッチンセット・冷暖房設備・冷蔵庫等の生活用品一式が用意されているのだから、はるかに生活環境が改善される。

 しかし仮設住宅の半分は街から離れた山間部に建設され、そこにはスーパーも病院も学校もバスもなく、自動車を持っていなかったり、病気がちだったり、子供がいたりすると、実際問題として住むことができないのだと言う。
勢い市内に建設された仮設住宅に応募が殺到して、入れない人は相変わらず避難所か崩壊した家屋に住んでいるのだそうだ。

注)映像では崩壊した家屋の3階に住んでいる女性が紹介されていたが、電気・ガス・水道がないため、食料は配給所(まだ7500人が利用している)で入手し、電池式のランタンの下でお弁当を食べていた。

そうか、単に家があっても買い物も病院通いもできず、また学校がないと子供を持った家族では住めない人がいるんだ
国や市町村もそうした実情は分かっていたのだが、バス路線を開設する費用が7月までは自治体もちだったため、自治体は二の足を踏み、さらに8月以降は国から年間3500万円の補助が出ることになったが、これでは十分なバス路線が開設できないのだと言う。

 こうして仮設住宅は戸数としては十分だが、実際は入居ができない人が溢れているのだとレポートしていた

 NHKのレポーターが平野担当災害担当大臣にたいして、「3500万円では1日に1便程度しか運行できない」と言っていたが、そうしたレベルのようだ。

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(トシムネさん撮影 山崎編集)

② 岩手県の大船渡市の復興計画の遅れの事例

 大船渡市では死者・行方不明者452人、住宅の全壊2700戸の被害が出ていた。
この場所は過去に何回も大津波に襲われており、51年前のチリ大地震に伴う大津波78年前の三陸海岸大津波の被害にあっている。

 このため大船渡市では二度と津波被害が出ないようにと市全体を高台に移転することにして、7月末を目処に復興計画を作成しようとしたが、国の基本方針が揺れて復興計画の策定ができなくなった

 実際は政府の復興構想会議の提言等はあったのだが、予算をつけた国の支援がないため構想が描けないと言う。
当初の高台への全面移転には数百億円の費用がかかるが、国はこの予算手当てができていない。
仕方がないので道路をかさ上げして堤防の変わりにしようとしたが(二線堤という)、国はこのかさ上げ予算も計上していないという。

 そうしている間に市街地に新たに家を建てる人が出てきたり、半壊しているホテルが営業を再開したりして、高台に移転しようとした復興計画が実質的に骨抜きになりつつある。
これじゃ、また今までの大船渡市と同じで、次の津波には耐えられない・・・・」自治体の担当職員は半ば諦め顔になっていた。

 国の基本方針とははっきり言って予算措置のことだが、これは民主党と自民党の確執で第2次補正予算を通すのがやっとだった。第3次補正予算に移転費用が計上できるか否かだが、これとても自民党の反対は強そうだ。
復興よりも党利党略が全面に出てきて何も決められず、一方で被災者は取り残されている。
こうした時はオールジャパンで対応してほしいものだが、日本の政治力の貧困はどうにもならない段階に達しており、この中で大船渡市は翻弄されていた。

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(トシムネさん撮影 山崎編集)

③ 福島県の放射能汚染地域の除染問題


 福島県南相馬市緊急時避難準備地域に指定され2万5千人が避難していたが、国は原発事故が収束に向かっているためこの指定を解除する検討を始めた。
しかしこの解除を行う前提として汚染された公共施設(特に学校、公園、道路)の除染が必要だが、現状は小学校の校庭の除染が始まったばかりだった。

 紹介された事例では南相馬市のある小学校の児童196人が隣接した小学校で授業を受けているものの、その人数は73名で、およそ3分の2の児童は他府県等に避難をしていると言う。
大人はたとえ放射線を浴びてもたいした影響は出ないが、子供はどうなるか分からないので放射能の影響がない場所に疎開している。

 それに公的な場所や施設は国や地方自治体が除染作業をするが、個人の住宅は対象外(実際に人手がなく除染できない)なので、放送では南相馬市に一人で住んでいる男性(家族は仙台市に移り住んでいる)が高圧洗浄機で家の周りの洗浄をしていた。
しかし個人的な洗浄には限界があり、いくら自宅を洗浄しても外から放射能物質が飛んできたり、コンクリートの隙間に放射性物質が入り込んだりして、なかなか洗浄が進まないのだと言う。

これじゃ家族を呼ぶことはできない、子供の住むところじゃない」その男性はそうつぶやいていた。
平野担当大臣は除染は国の責任で行うと明言していたが、南相馬市の全地域の除染をするのはどう見ても無理そうだ。
ちょうど地雷の除去作業のように、結果的にはここは安全、ここは近づくなと言うような対応になるのだろう。

 そしてそうした場所に特に幼児を持った家族が帰ってくる可能性は低い。放送ではすでに74人規模の中小企業で、若い主婦の従業員20名が退職して南相馬市を離れてしまったと言う。
ここの社長はこのまま南相馬市にとどまるのか、それとも会社を移転すべきか悩んでいた。中小企業も経営が成り立つか否かの瀬戸際に立たされていた。
人口が激減しているのだ。


 今回のNHKスペシャルは私には衝撃的だった。東日本大震災はすでに過去の歴史として認識していたが、実は進行形の歴史だったことをこの番組は私に教えてくれた。
野田総理の言う「福島の復活なくして日本の復活はない」と言う言葉は本当だったのだ。

 

 

 

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