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(23.9.13) 中国の経済成長の転換点 ピークアウトした中国経済

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トシムネさん撮影 山崎編集

 かつて日本経済が日の出の勢いの頃、GDPでアメリカを追い越すのは時間の問題だと言われていた。あのバブルがはじける前の1980年代の頃である。
現在中国がアメリカのGDPを追い越すのが同じように時間の問題と言われているが、これは現状がそのまま推移すればとの前提条件が成り立てばの話である。

 人口規模で4倍強の中国だから、一人当たりGDPがアメリカの4分の1に到着すれば確かにアメリカを追い越すことになるが、はたしてそうなるだろうか。
中国の経済成長率は毎年10%前後だから躍進目覚しいのは確かだが、この成長はかなりかさ上げがある。

 その典型的な例が最近発生した中国高速鉄道の事故で、中国自慢の高速鉄道の制御システムがまるで機能していないことが判明した。
又中国自慢の新幹線も車両事故が頻発して車両の全とっかえを余儀なくされている。
最高速度も当初の350kmから300kmに引き下げたが、これはシーメンスや川崎重工業が納入した車両の安全速度である。

注)中国鉄道省は無理やりブースターを取り付けて速度アップを図ったが、これが安全性を無視した取り組みであることが世界に知れ渡ってしまった。

 中国は輸出立国でこれは日本と変わりがない。輸出立国が成り立つためにはその製品の購入先が必要だが、昨今の世界的規模の景気低迷で中国の輸出にかげりが出てきている。
アメリカは景気低迷と失業率の高止まりに悩み、EUはギリシャをはじめとする南欧諸国の財政破綻に対処ができない。
日本は東日本大震災と円高でマイナス成長が続いている。

 中国の外需依存度は09年まではGDPの34%程度で推移していたが、10年度25%になり、さらにこの低下傾向は続いている。
中国では輸出に関して新規輸出受注指数と言う数字を発表しているが、これが5ヶ月間にわたって低下している。
そして今まで中国になびいてきた投機資金が逃げ出し始めた。
7月にそれまで増加の一方だった投機資金が680億ドル(約5兆円)の規模で流出したと推定されている。

注)中国の投機資金の推定は以下のように行う。

外国為替資金残高 - (貿易黒字額 + 外国からの直接投資) = 投機資金

 中国に入ってきた投機マネーは主として不動産投資に向けられていたが、中国政府の引締政策もあって不動産価格が高止まりか低下を始めた。
これを見て投機資金は中国を逃げ出し始めたのだろう。

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トシムネさん撮影 山崎編集

 中国政府の悩みは消費者物価の上昇で全体で6%程度、食料価格だけで言えばその倍程度の上昇になっている。
中国人にとって欠かせない豚肉の上昇はさらにすさまじい。
食料品は多く輸入に頼っているので昨今の小麦やトウモロコシ等の穀物価格の上昇が直に現れている。

 不動産は一部金持ち階級のマネーゲームに翻弄され、庶民は消費者物価の上昇に悩まされている。
労働争議は頻発して賃上げ闘争はかまびすしいが、これにより軽工業品の価格の優位性はほとんどなくなった。
もう中国の低賃金の時代は終わった。これからはベトナムやインドやバングラディシュの時代だ」低賃金が唯一の優位性になっている産業は中国では成立しない。

 そして何より悩ましいのが自然災害の多発だ。これは日本も同じなのだが中国では旱魃が最も緊急性の高い災厄になっている。
雲南省ではメコン川の上流をせき止めてダムを建設し、何とか水不足に対応しようとしているがメコン川下流のタイやベトナムと水争いになっている。
水量が豊かと言われていた揚子江周辺も旱魃と水害が交互に訪れて、せっかく作った用水路も中国北部の水不足に対応できない。

 さらに空気は常時汚れて子供達は喘息に悩まされ、公害物質は川に垂れ流されている。かつて日本で起こった四日市喘息や水俣病も頻発しているが、国家警察が武力で押さえつけて表面化を防いでいる。しかしインターネットの時代にいつまでこうした負の遺産を隠しきれるか危うくなってきた。

 中国は安全面や環境面のマイナスを武力で押さえつけてきた国だが、高速鉄道の事故の隠蔽工作でその一部が全世界に知れ渡ってしまった。
中国経済礼賛者は今だ後をたたないが、一方で懐疑派も徐々に増えている。
世界銀行のゼーリック総裁が最近「中国経済は過去の活力を失いかけており、内需拡大の方向転換が必要だ」と述べたが、このあたりが世界の見方の最大公約数だろう。

 私の見方はもう少し厳しく中国経済はすでにピークアウトし、これからは経済成長率の低下がドラスティックに現れて来ると私は思っている。
最も公表数字だけ見ていてはその動きは分からないだろう。

注)中国の統計は過去も今もかなり人為的な操作が加えられているので、公表数字は改竄されている場合が多い。数字分析でなく質的な変化をチェックするのが大事だ。

なお中国経済についての評論は以下のカテゴリー(評論 世界経済 中国経済)にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html




 

 

 

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