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(23.9.1) アメリカに踊らされた国策捜査の破綻 旧日債銀経営陣に対する無罪判決

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ニシン漁の番屋

 無理に無理を重ねてきた国策捜査が破綻し、旧日債銀の元会長、頭取、副頭取の無罪判決が高等裁判所で言い渡された。

 事件は98年3月期旧日債銀の決算において、会長らが共謀して1529億円の不良資産を隠蔽し、粉飾決算をして有価証券取引法違反に問われたものである
旧日債銀はその年の12月に経営破綻し一時国有化されたあと、2000年に投資グループに売却され、2001年にあおぞら銀行として再建されている。
そしてその間約5兆円に登る国費が投入された。

 東京地検は日債銀の倒産原因は粉飾決算にあったとして窪田会長を含め経営者3名を98年7月に逮捕して裁判にかけたのだが、当初からかなり無理筋の裁判だった。
最大の問題は「何が粉飾決算に相当するか」明確でなかったからだ。

 当時の大蔵省はアメリカからの強い要請を受けて不良資産の査定基準の厳格化を図ろうと97年3月に新基準を作成して金融機関に通達したが、問題はこの新基準を98年3月期決算に適用すべきかどうかだった
大蔵省は98年3月期はまだ過渡期であり、旧基準でも新基準でもOKとの回答をしており、実際日債銀は大蔵省に事前に相談をして98年3月期決算を公表している。

注)この頃まではまだ大蔵省はアメリカからの要請を和らげるバッファーの役割をしており、アメリカには厳格な査定基準を作ったことを説明し、一方国内には98年3月期はまだ過渡期であり適用しなくても良いというような説明していた。
当時の大蔵省はアメリカと国内に対しダブルスタンダードをとっていた。


 だから日債銀としては「大蔵省にOKをもらった決算書がなぜ違法なのか」との反論を当初からしていた。
これに対し東京地検が無理やり当時の経営陣3名を逮捕し有価証券取引法違反で裁判にかけた理由は、98年3月に日債銀に対し600億円の国費を投入しているのに誰も責任を取らなければ政権が持たないと言う政治的理由からだった。

注)97年と98年の間に金融政策の大転換があった。97年に三洋証券、北拓、山一證券が倒産するとパニックになり、98年には国費を投入して金融機関を救済しなければならなくなっていた。このため国費を投入するためにイケニエがぜひとも必要だった。

大蔵省がなんと言ったかは知らないが、何でもいいから日債銀に責任を取らせろ。そうでないと公費を投入する説明ができない
その後日債銀は98年12月金融監督庁(金融庁)の査定で2700億円の債務超過を理由に倒産したのだが、この債務超過については同年10月に制定された金融再生法を厳格に適用したものである。

注)日本のダブルスタンダードに業を煮やしたアメリカは、強く日本政府にせまり98年10月には債務超過に陥った金融機関はすぐさま国有化するという金融再生法の成立を強要した。これにより旧長銀、旧日債銀の倒産が確定した。

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 今回の高裁の裁判はアメリカそのものがリーマン・ショックに伴うサブプライムローンの不良資産計上の猶予をしたと言う状況下で行われた。
過去あれほどまでにグローバルスタンダードによる厳格査定が必要と言われていたものが、アメリカの都合で一方的にサブプライムローンが優良債権に変わってしまったわけだ。
なんだい、不良資産の厳格な査定なんて当初からご都合主義だったんじゃないか。ダブルスタンダードとはアメリカのことか・・・・・」誰もがそう思った。

 裁判も時の政治・経済情勢を無視して判決が出されることはない2004年の一審、2007年の2審判決までは、グローバルスタンダードの神話が生きていたため被告3名は有罪となった。
一方2009年の最高裁は、リーマンショックの後であり、アメリカを始めヨーロッパ諸国が不良資産の計上を自分の都合で優良資産にしてしまった後だけにさめてしまった。
最高裁は「98年3月期の決算において前年に出された通達を適用する必要はなく、旧基準で判断すべきで、そうした場合に不良資産になるかどうか再検討をしろ」と高等裁判所に差し戻した。

 そして今回差し戻された高等裁判所の判断は「旧基準では不良資産とはいえないので、旧経営陣3名は無罪とする」と言うものだった。

 今から思うと97年から98年にかけて吹き荒れた金融の嵐はグローバルスタンダードの名の下にアメリカが仕掛けたものだが、今ではグローバルスタンダードがアメリカのご都合主義であることが分かっている。
しかし当時の橋本政権小渕政権もこのアメリカの要請を受けて、日本の金融機関の不良資産の査定に邁進した。
その後小泉政権になって竹中平蔵氏が徹底的な資産査定を実施し、日本の金融機関の中の不良資産を一掃した。

 世の中は禍福が転ずると言うが、今度はリーマンショックの対応で、アメリカとEU諸国が不良資産の隠蔽を始めたため、世界の金融機関の中で最も不良資産が少ない金融機関は日本と言うことになってしまった。
アメリカやEUの景気後退が報道されるたび、資金が円に流れて円高になるのはそのためだ。

 私達は竹中平蔵氏に感謝すべきなのだろうか、それともあまりにナイーブにグローバルスタンダードを信じたことは間違いだったのだろうか。
とまれグローバルスタンダードの精神の元に行われた日債銀の裁判はグローバルスタンダードの崩壊によって、日債銀の経営者を指弾する根拠を失い無罪判決が出された。

 

 

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