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(23.8.5) アラブの春は終わったのか? リビア カダフィ政権の頑張りとシリア アサド政権の強攻策

P7231111  
マッスルさん 撮影 山崎 編集

 (23.9.8)追加
 私の予想はカダフィ政権については外れてしまった。カダフィ政権は首都トリポリを追い出され、カダフィ大佐自身もリビア国内を逃げ惑っている。
ただエジプトやチュニジアとは違い、カダフィ政権を支持する軍はなかなか抵抗をやめない。

 フランスとイギリスを中心とするNATO軍はカダフィ大佐の追い出しに成功したが、リビアが今後安定するかどうかは予断を許さない。反カダフィ派は一枚岩でないからだ。
カダフィ派の巻き返しも予想され、アフガニスタンのような状況になることが予測される。

 なお、シリアのアサド政権については予測どおりの推移をたどっている。

(本文)

 チュニジア、エジプト
と続いた「アラブの春」はリビア、シリアの独裁政権の踏ん張りで春が終わってしまったかのようだ。
リビアのカダフィ政権は首都トリポリに立てこもって、反政府軍と都市の取り合いをしており、NATOによる空爆も誤爆が続いたりしてさっぱり効果をあげなくなった。

 当初はすぐにでもカダフィ政権が崩壊するものと思っていたが、すでに半年あまり経ってもカダフィ大佐は意気軒昂だ。
俺はリビアの父だ。リビアを離れる時は死ぬ時だ」一歩も引く気配がない。

 元々反政府勢力は軍事訓練もしていない一般市民のかき集めだから(ただし寝返った政府軍兵士もいる)、カダフィ大佐の政府軍とまともに戦えば勝てるわけがない。
頼りはNATOの空爆だが、これは首都トリポリの住民を殺害するわけには行かないのでピンポイントの空爆が必要だが、その能力は米軍にはるかに劣る。
住民を殺害するたびにカダフィ大佐側からの、「非人道的空爆だ」とのキャンペーンがされてすっかり戦意を失っている。

 なぜカダフィ大佐ががんばれるかの最大の理由は、確実にターゲットをしとめる能力の有るアメリカ軍が参戦していないからだろう。
リビアへの投資は主としてイタリア、フランス、ドイツ資本が主体で、アメリカから見れば「それはヨーロッパの問題」と言うことになる。
それでなくてもアメリカはイラクアフガニスタン勝算なき闘いを続けており、後はどのような形で「不名誉な撤退」を避けられるかだけが問題になっている。
とてもリビアまで手が回らない。

 さらにアメリカ軍にとって頭が痛いのは、オバマ政権が今後10年間で3500億ドル約27兆円)の軍事予算削減を議会に約束していることで、「金もなく名誉もないなら、もはや海外派兵はこりごり」というのが軍中枢部の本音だ。

 それがはっきりと目に見える形で現れているのがシリアに対するアメリカの態度だ。
シリア
では反政府勢力がアサド大統領の大弾圧で死亡者が数百人規模と増大しているが、オバマ大統領の非難声明も単なるリップサービスに終わっており、本音は「勝手にやってくれ」と言うところだ。

 NATOもシリアへの空爆は反対で、国連安保理の決議がなければ参戦しないと予防線を張っている。シリアは旧ソ連時代からロシアとの関係が深く、ロシア軍の海軍基地がおかれているほどで、どう見てもロシアが決議に賛成するはずがない

注)実際国連安保理は議長声明を出してシリアを非難したが、これは拘束力のないリップサービスに過ぎない。

 アサド大統領はアメリカもNATOも介入しないことが分かっているので、思うままに反体制派を弾圧している。
アラブ独裁政権が崩壊するパターンは決まっていて、軍部が独裁者を見限った時だ。
この点カダフィ大佐アサド大統領も用心深く、正規軍の他に一種の親衛隊を組織し、装備は正規軍よりも充実している。
しかもこの親衛隊の指揮官は一族の者かきわめて忠誠度の高い部下を配置しているから、おいそれと寝返ることはなく、死ぬまで戦う。

 結局世界の警察官アメリカが出てこないと戦況は変化せず、一方アメリカはリビアにもシリアにも介入するつもりはないので、この膠着状態は今しばらく続きそうだ。
こうして「アラブの春」は一時の熱狂がさめ、第一次世界大戦の西部戦線のように塹壕戦のにらみ合いになってしまった。


注)アメリカは今後自国の安全が脅かされるような緊急の事態が発生したとき以外は、海外に軍隊を派遣することはなくなるだろう。したがって地域紛争はその地域で解決しなくてはならなくなるので、いつまでたってもだらだらと継続することが予想される。

なお「アラブの春」にかかる記事は以下の通り
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat42912271/index.html



 

 
 

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