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(23.8.1) NHK ワールド・ウェーブ 開発進む日本の翼 ホンダと三菱重工の挑戦

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 先日(29日ワールド・ウェーブの特集を見て、さすがにホンダは元気だと感心してしまった。特集の内容は世界の航空機市場にホンダ三菱重工が乗り出しているのだという。

 ホンダが参入するのはビジネスジェットの分野で、アメリカの富裕層がステータスシンボルとして乗っている最大でも10人乗り程度の小型機で来年から発売されるという。

 一方三菱重工が参入するのは客席100人以下の旅客機の分野で、これは旅客機としては小型機と分類され、カナダボンバルディアブラジルエンブラエルがこの市場を握っている。
旅客機の大型機・中型機はボーイングエアバスががっちり市場を握っているのでとても参入ができないが、小型機の分野ではまだ競争が可能で、近年中国とロシアがこの分野に一足先に参入するので、日本も2014年からMRJと言う航空機を参入させることにした。

 なぜ日本のメーカーが飛行機製造分野に進出するかと言うと、日本の製造業の競争力が極端に落ちてしまいかつては得意だった家電やメモリーや液晶や太陽光発電等の分野で韓国や台湾や中国にまったくかなわなくなっているからだ。
こうした分野で韓国等と競争しても勝ち目がないので、高付加価値で技術力勝負の航空機分野に進出するのだという。

注)日本の製造業の国際競争力は1990年は世界1位だったが、2011年には26位に落ちている。

 かつてホンダオートバイメーカーだったが果敢に小型自動車分野に進出して成功した経緯がある。当時は「オートバイメーカーに車が作れるのか」と疑念の声があり、当時の通産省が待ったをかけようとしたがその圧力を跳ね返した日本でもバイタリティーに溢れる会社だ。
今回公開された小型ジェットを見てみたが、いるかのような斬新なデザインで、燃費効率が20%程度アップし、居住性もとても良いのだという。
金額は1機4億円で、同型の機種に比較しても安いのだそうだ。
すでに100機以上の予約があるというからかなり有望で、ぜひとも日本製造業の底力を見せてもらいたいものだ。

注)ただしこのホンダの会社はアメリカのニュージャージー州にあって、企業としては現地法人になる。なぜアメリカかと言うと主要な市場がアメリカだということと、日本で製作すると円高の影響で安価な飛行機を作れないからだろう。

 三菱重工MRJの場合は、挑戦と言うよりもどちらかと言うと追い詰められた選択と言う側面が強い。
従来三菱重工はボーイング社の下請けで、最新鋭のボーイング780約35%の生産を行ってきた。
下請けとしては高く評価されてきたが、今後中国が航空機産業に進出するとその下請けを中国に奪われてしまう危険性が高い。
そのためボーイングの下請けでなくなっても自立できるように小型機に進出するのだそうだ。

 ホンダ小型ジェットにしろ三菱重工MRJにしろ技術では世界トップなのだそうだが、いずれも先行したメーカーがあるのだから競争はかなり厳しそうだ。
しかし日本の製造業が生き残るにはこうした最先端の商品開発に果敢に挑戦する以外に道はない。

 何度も記しているように日本では傾向的に円高になり、日本の輸出産業は毎年のように収益が圧迫されるのだから、韓国や台湾や中国との競合製品をいくら製造してもシェアを奪われるだけだ。
ただ政府に「円高対策をせよ」と言っているだけでは企業はジリ貧になるだけだし、実際そうなっている。

注)韓国や台湾や中国は基本的にはドルにペッグさせる為替政策をとっている。したがって円高になると日本の輸出品より常に韓国、台湾、中国の製品が価格が安くなってしまう。

 日本製造業が久しぶりに見せた挑戦であり、ホンダ三菱重工の日本の翼が世界に羽ばたくことを願って已まない。
この闘いに勝利すれば日本に新たな産業が生まれることになり、日本製造業がふたたび世界の製造業となる可能性が高い。
成功することを祈りたいものだ。

注)かつて日本はゼロ戦と言う名機を生むほど航空産業のレベルが高かったが、戦後7年間航空機製造を止められたことと、1962年に投入したYS11が経営的に失敗したことから、その後は航空機産業への進出に消極的だった。

 

 

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評論 日本の経済 経済成長」カテゴリの記事

コメント

製造業で新しい分野を開拓したとしても、生産が海外なら、日本人の雇用は増えないので、虚しく感じます。

戦後、輸出で儲けて経済成長し、半世紀で成熟したとすると、今、とてつもない速度で成長している中国なんかが、何年で成熟化するか、という予測をしたら、意外と競争力の平準化は短期間かもしれません。

日経ビジネスで、サムソンがピークを過ぎた、という記事がありました。

投稿: ふくだ | 2011年8月 1日 (月) 19時15分

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