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823.7.7) 刑事コロンボのピーター・フォークさんが亡くなられた。

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 私の大好きだったテレビドラマ、「刑事コロンボ」の主人公を演じていたピーター・フォークさんがなくなられた。享年83歳だった。

 刑事コロンボがアメリカで放送開始したのは1968年だが、日本ではNHK1972年から放送を開始している。総本数は69本だそうだが、私はそのほとんどのシリーズを見ている。何か日本の「男はつらいよ」のアメリカ版みたいなテレビドラマだ。

 1972年は私がサラリーマンになって2年目頃のことであるが、そのドラマの作り方の新鮮さに度肝を抜かれた。それまでの刑事物やスリラー物は犯人は当初誰だか分からず、それを刑事や探偵が追い詰めていくという構図がほとんどだった。

 しかしこの刑事コロンボでは最初に犯人が完全犯罪をねらって周到な殺人を犯し、アリバイ工作もばっちりと固めているのだが、それをコロンボが些細な相手のミスを見つけて精神的に追い詰めていき、犯人がボロを出して自滅すると言う構図をとっていた。

 このシリーズが大ヒットした理由に「犯人は大抵がアメリカ社会の上流階級であり、それをさえない中流以下に見えるコロンボが追い詰めるという構図」が、特にそうした立場に有るアメリカ人の溜飲を下げたからだともいわれていた。
確かにそうした面はあったかもしれないが、本当の面白みは完全犯罪を暴いていくコロンボの手腕だったと思う。

 捜査方法のなかで犯人と想定される人物にしつこく付きまとって質問を繰り返し、相手がイラついて怒りに任せて犯行を自供してしまうような場面は特に秀逸で、人間心理の研究に役立つ。

 私がこのシリーズの中でもっとも好きな一本は第19作目の「別れのワイン」で日本では1974年に放送され、その後何回か再放送されている。
今回ピーター・フォークさんの死去を悼んでNHKが「人気の高かった番組」の再放送をしたが、そのうちの1本の中にこの「別れのワイン」が入っていた。

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 「別れのワイン」がなぜ評判の1本になったかは理由がある。
他の作品に出てくる犯人は大抵が強欲な人か、過去に傷を持つゆすられていた人で当初から完全犯罪を目指す。
しかし「別れのワイン」の主人公はワイン生産に一生をささげている誠実な企業家で、一方殺された主人公の弟は金使いの荒いプレーボーイで、金のためにこのワイン工場を売り払おうとしているトンでもない男との設定になっている。

 主人公の兄は25年間に渡りこのワイン工場の社長をしていたが、実際のオーナーは殺された弟で、弟は地味な商売をするのが嫌で、この工場を兄に任せて本人は自動車のレーサーやスキューバダイビングを楽しんでいた。
そして工場に現れては兄に金の無心をしていたが、今度は「工場を他の安ワインを製造している会社に売り渡す」といったために、兄が衝動的に弟の頭を殴打する。

 弟は気を失っていただけだったので、会社に有る最高級ワインの貯蔵庫に手足を縛って弟を閉じ込め、空調をとめることによって窒息死をはかり(死ぬのに2日間ばかりかかった)、その間兄はニューヨークに出張してアリバイ工作をする。
そして窒息死した弟にスキューバ・ダイビングの装備を着せて海に放り投げることによってアリバイが成立したことになっていた。

 「別れのワイン」がとても感動的なのは殺人者の兄が誠実な企業家で殺された弟が強欲であることと、コロンボが犯人を追い詰めていく過程でコロンボ自身もワインの専門家顔負けの知識を有して犯人と対等に渡りあうやり取りに有った。
最後はコロンボが主人公を高級レストランに招き、特別高級なワインを注文する。
それが40度を越える猛暑の中に置かれていたため酸化してしまっているワインであることを、犯人である主人公が見抜いて怒りに震える場面がこの映画の見所で、これで主人公が犯人と分かってしまうと言う筋立てだった(普通の人は酸化がわからない)。

 このワインは実は主人公の酒蔵に有った一品で、それをコロンボがくすねて(これは犯罪ではなかろうか)、高級レストランのワイン担当と示し合わせてそれを主人公に飲ませるトリックだった。
弟を窒息死させるために酒蔵に手足を縛っておいて空調を止めたために、その間に40度を越す高温の日があって主人公のもっとも大事なワインコレクションがすべてが酸化し無駄になっていたからだ。
失意の主人公がそれを海に捨てているところで、コロンボが現れ自供する筋立てになっていた。

 主人公のワインを愛する気持ちがひしひしと伝わってきて、コロンボも主人公に対して尊敬と易しさを持って接しており、私もこの主人公に感情移入した。
最後にコロンボと主人公がコロンボの用意した最高級ワインを「別れのワイン」として飲むシーンで終わっていた。

 私が見たアメリカ映画のシリーズでは、この「刑事コロンボ」が一番好きだ。
就職してから引退した今までこの映画はいつも楽しませてくれた。
ピーター・フォークさんのご冥福を祈りたい


なお最近書いた他の映画評論「岳」は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44036154/index.html



 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

私も大好きでした!
ピーターフォークのあの仕草、ほほえみ、そして小池朝雄の吹き替え…本当に素晴らしい作品、シリーズでした。

投稿: takezo! | 2011年7月 9日 (土) 00時18分

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