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(23.7.10) 井沢元彦 逆説の日本史 17江戸成熟編

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 私は井沢元彦氏の「逆説の日本史」のファンである。このシリーズはすべて購入して読んでいるが、最新の「17 江戸成熟編」「アイヌ民族と幕府崩壊の謎」を読んでみた。
この本は元々は週刊誌の週刊ポストに連載されているものを年に1回程度のペースで取り纏めシリーズの単行本として発売されている。

 なぜ私がこのシリーズのファンになったかと言うと、それまでの日本史がひどすぎたからである。日本の歴史を体系的に学んだのは高校の日本史においてであるが、今から思えばそれは日本の歴史ではなく、唯物史観で都合よく料理されていたプロパガンダだった。

 当時は学問の分野では左翼全盛時代で、私が学んだ高校の教師は共産党員だった。
共産党員としてはとても優秀な人で、学生を左翼運動に導くのに実に適格な指導をしており、私の友達の多くがその後共産党員になっている。

 授業は珍しく大学で行うようなセミナー形式で、しかも授業中に居眠りなどしようものならすぐさまつるしあげを行うような厳しい授業を行った。
あんた、寝ていたがこの○○について答えてみろ
答えられないと「立ってそこで反省していろ」と小学生に対するような罵声を浴びせるので、それ以降は誰も居眠りをしなくなったものだ。

 しかし日本史の授業そのものは最悪だった。日本人は昔から朝鮮民族を圧迫し、秀吉の朝鮮征伐、西郷隆盛の征韓論、明治政府の日韓併合、そして第二次世界世界大戦での中国人民への圧迫等、日本人は極悪非道な民族であること教えられた。
また国内においては武士は百姓を「生かさぬように殺さぬように」支配したトンでもない搾取階級だ、と言うのが日本史のエッセンスだった。

 日本史を学んで私は「こんな嫌な日本人であるのは止めてしまいたい」心底そう思ったものである。
私はすっかり日本史の授業が嫌になり、二度と日本史を学ばないことが精神衛生上最高の方策だと思うようになっていた。

 それから数十年、この井沢元彦氏の「逆説の日本史」を読んだときには驚いた。
井沢氏の方法論は日本の歴史を体系的にに追うことと、当時の世界の水準と常に比較対照し世界史レベルの中で日本はどうであったかとに比較する方法論を採用していた。
常に世界史の中の日本と言う比較歴史学になっていた(世界史的な視点で見ると、特に日本人が極悪非道と言うことにはならない)。

 さらに私が過去に学んだ歴史は唯物史観で歴史を切るというもので、「下部構造が上部構造を決定する」と言うもので、経済現象ですべての歴史が理解できるというものだった。
一方井沢氏の方法論は日本人の心の奥に潜む怨霊(おんりょう言霊(ことだまといった精神構造が歴史を動かしていくファクターになっており、「上部構造が下部構造を決定する」という側面を強調していた。

注)井沢氏は必ずしも上部構造だけが歴史の要因とは言ってはおらず、たとえば武士の誕生は農地の支配の仕方が基本的ファクターだと述べている。正確には上部も下部も相互に作用するというのが正しいのだが、それまでの歴史学が下部構造一辺倒だったため、井沢氏の主張は上部構造に力点がおかれている。

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 今回のシリーズでとても面白かったのは、「ユートピアとしての江戸論」で、この中で以下のようなクイズを出していた。
日本、エジプト、中国、韓国、タイを舗装率を高い国順に並べよ」と言うものだがうまく答えられるだろうか。
正解は「タイ、韓国、中国、エジプト、日本の順」なのだ。

 なぜ日本の舗装率が低いかと言うと「馬車の文化がなかったから」と言うのがその回答になっている。最近は自動車文明の只中にあって、舗装していない道路を探すのが難しくなってきているが、近代までは馬車を主要の交通手段にしていた国の舗装率が断然高かったヨーロッパは古代ローマの時代から主要道路は舗装率100%だった)。
そしてその影響が現在まで及んでいて日本の舗装率が低いのだという。

 日本だけが馬車の使用を禁じたのだが、これは江戸幕府が主要な川に橋を架けなかったのと同じで、馬車などがあると道路が整備され、その高速道路を使ってすぐに江戸に攻め込まれてしまう危険性が高くなるからだった。
そのためわざとと言う遅い乗り物を強要したのだという。

 江戸時代とは便利さを捨てて安全を重視した時代で、菅政権が福島第一原発の事故に懲りて「原発については電力供給よりも安全性を重視する」といっている心と同じともいえる。
私が昨日も書いたように日本は江戸化し始めているのだ

注)江戸化については昨日の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/2379-a891.html

 

 

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