« (23.7.3) IMF前専務理事ストロスカーン氏をはめたのは誰か? 冤罪の構図 | トップページ | (23.7.5) 中国の不動産バブルは崩壊前夜 »

(23.7.4) 東京電力解体極秘プラン  毎日新聞のスクープ

2362_040  

 福島第一原発の事故に伴う賠償金を誰が払うかで、東電と政府が綱引きを行っている。
東電の勝俣会長が「原子力損害賠償法」の「巨大な天災地変の免責条項」を楯に、「東電が賠償金を支払う義務はない」と詰め寄ったが、この件の責任者である仙石官房副長官から「それなら東電を解体する」と逆提案されてしまったと毎日新聞が報じた。

 確かに法的には東電に賠償金を支払う義務はない。今回の東日本大震災は誰が見ても「想定外」で、福島第一発電所の予備電源がすべて水に浸かり稼動しなかったのは東電の責任とは言いがたい。
しかし「だから東電には責任がない」と言うことになると、誰に責任があるかと言う問題になってくる。

 考えられる責任の所在は以下の通り

① 誰も責任がない。想定外の事故で責任のとり様がない。
② 東電の責任とする。絶対に原発事故は起こらないと明言していた。
③ 政府(行政)の責任とする。数千年に1回は起こる巨大地震の対応を東電に指示しなかった。
④ 東電と政府の責任とする。両者は想定外を想定していなかった。

 現状はで東電も政府も被害者救済に当たろうとしているが、その中身となると同床異夢だ。
この6月に「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定したまではいいが、法案は与野党対決国会で成立の目処が立っていない。
そしてこの法案の中身はできるだけ電力会社に拠出金をださせそれを賠償に当てようというもので、不足をすれば政府が公的資金を出すというものだ。

 当然いくつかの問題がある。

 東電以外の電力会社は拠出金を出すことを嫌がっている。
「原発事故は東電の問題で、その他の電力会社の責任ではない」
「まあ、出してもいいが一番多く出すのは東電で、その他は付き合い程度だ」
「賠償額がいくらになるか見当がつかないのでいくになるか見当もつかない」

等である。

 また東電にしても経営問題があるから、「原子力損害賠償法」を楯に拠出金の支出を渋る。
「責任は東電にないと、法律に書いてある」
「出すとしても経営に支障が出るような大金は出せない」
「電力各社が経営状況に応じて拠出金を出せばよいので残りは政府出資にさせよう」


 一方政府としては赤字国債を発行するための法案一つ国会を通すことができない状況で、自民党は子供手当ての見直しがなければ法案に賛成しない。
被害者の損害賠償しようにも法律は一切通らず、金はないので原発の被害者に保障ができない。
だから当面は東電が一時金を出せ」
「基本は東電がすべての保障をすべきで政府は出すのはおかしい」
「東電が渋るなら東電を解体して解体資金で賠償をしよう
」と言うことになってきた。

 この最後の案が東電の発送電分離案で、発電会社、送電会社、配電会社に東電を分離し、現状の資産7兆円のうち約5兆円を民間の他の会社に売り払ってその資金で損害賠償に当てろと言う案である。
毎日新聞のスクープはこの分離案が政府首脳の間での確認事項になっているのに、分離するための法改正が当面成立の目処が立っていないと言う。

2362_043  

 なぜ政府首脳、分けても菅総理がこうした分離案に傾くかと言うと、政府に支払う金がないこともあるが、今のままでは絶対と言っていいほど再生可能エネルギーへの転換ができないからである。
一番のネックは送電網にあり、この送電網を電力会社が押さえている限り、風力発電や太陽光発電は日の目を見ない。
風力発電所を新規参入の会社が建設しても、東電が送電線を引っ張ってくれない限り消費者に電気を送ることができないからだ。
NTTの回線網とソフトバンクの闘いと同じことがここでも発生する。
電気は作ったが、どこにもって行けばいいの????」

 東電は送電線網を管理しているので、本音は再生可能エネルギーをつぶそうとしている。うまくつぶせば原子力発電を維持することもできる
そして何より経済産業省は東電の味方で、賠償額はすべて電気料金に反映して16%程度値上げするのが適当との試算までしている。
経済産業省にとって東電のような立派な企業がなければ天下り先がなくなってしまうし、それに現在の電力体制を築いてきた自負も有る。
どうせ菅政権はレームダックだ。賠償金は消費者に押し付けてしまおう

 どうにもならないというのはこういうことを言うのだろう。
福島の原発被害者に被害の補償が遅々としてすすまず、政治は脳死状態で何も決められず、東電は解体の危機のなかで汚染水の処理だけに集中し、経済産業省は東電を維持して天下り先の確保をすることしか頭にない。

 日本と言う国が静かにメルトダウンしているとしか言いようのない状況だ。

なお、東電の経営問題に関する過去の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/2349-2d4a.html


 

 

 

|

« (23.7.3) IMF前専務理事ストロスカーン氏をはめたのは誰か? 冤罪の構図 | トップページ | (23.7.5) 中国の不動産バブルは崩壊前夜 »

災害 東日本大震災 東電の経営問題」カテゴリの記事

コメント

良い記事、ありがとうございます。
復興そっちのけの東電・政府・経済産業省の綱引き、まさに日本のメルトダウンですね。

投稿: 燈明日記 | 2011年7月 4日 (月) 09時03分

原子力利権というのは、強大ですね。
どうしたら利権を解体できるのか、国民が真剣に考え、そろそろ行動に移さないとマズイのではないでしょうか。

投稿: ふくだ | 2011年7月 4日 (月) 18時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (23.7.3) IMF前専務理事ストロスカーン氏をはめたのは誰か? 冤罪の構図 | トップページ | (23.7.5) 中国の不動産バブルは崩壊前夜 »