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(23.7.3) IMF前専務理事ストロスカーン氏をはめたのは誰か? 冤罪の構図

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 IMFの前専務理事ストロスカーン氏(62歳が女性好きだったのは事実としても、5月14日の氏の逮捕は明らかにアメリカ政府とフランス政府のできレースだったようだ。
被害にあったと訴えたギニア出身のホテルのメイド(32歳)は薬物密売やマネーロンダリングにも関連した札付きの女性で、いわばプロの女性であり、そうした女性が性的暴行を受けることなどありえないからだ。

注)2008年にストロスカーン氏は部下の女性にセクハラを強要したとしてIMFの内部調査が行われた。

 ストロスカーン氏とこのメイドは合意の下に性的関係を結んだのだが、なぜか急にこのメイドは「ストロスカーン氏から性的暴行を受けた」と訴えでた。
ニューヨーク市警はストロスカーン氏が飛行機に乗り込んでいたところを逮捕したのだが、この逮捕の判断が市警の判断であるはずがない。

 ストロスカーン氏はIMFの最高職である専務理事であり、そのようなトップの人を逮捕するのにアメリカ政府の同意がなかったことなどありえない。
誤認逮捕にでもなればニューヨーク市警のお偉方を始め関係者の首が飛ぶ。
しかも訴えでた女性の身元や過去などすぐに分かるのだから、この女性が裏の社会の女性であることはすぐに把握できたはずだ。

 だからストロスカーン氏の逮捕はアメリカ政府が元々仕組んだか、あるいはストロスカーン氏の行状から見ていつかは女性スキャンダルが起こることを想定して見張っていたかのどちらかになる。

 問題は「なぜアメリカがストロスカーン氏の失脚を狙ったか」と言うことだ。
IMFはもともとブレトンウッズでの戦後処理の一環として発足した銀行だが、最大のポイントは出資比率によって投票権が当てられるので、過去は出資比率の大きいアメリカの独断場だった。
その後日本の経済発展によって日本の出資比率が向上したが、それでも1位アメリカ、2位日本の順であり、日本はアメリカのイエスマンだから投票権での問題は発生しなかった。

注)現在アメリカと日本の出資比率をたすと約25%程度だが、最近は中国をはじめとする新興国の比率が高まっている。かつてのようなアメリカの意志がそのままストレートに通るような体制でなくなってきていた。

 問題が発生したのはトップの専務理事を西欧出身者の固定ポストにしたことで(一方世銀はアメリカの固定ポスト)、専務理事がアメリカのイエスマンであれば問題がなかったのだが、ストロスカーン氏はそうした玉ではなかった。

 ストロスカーン氏はフランス人だが、フランス社会党の出身で2007年11月から専務理事を務めている。任期は5年だから2012年11月まであるが、この2012年に行われるフランス大統領選の社会党の有力候補だった。
対抗馬は現大統領の保守派のサルコジ氏で、世論調査では常にストロスカーン氏がサルコジ氏を圧倒していた。

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 もしストロスカーン氏がフランス大統領になればEUの盟主で、ドイツのメルケル首相と共にEUならびにユーロ圏の維持拡大に責任を持つ立場になる。
一方ユーロ圏は現在国家存亡の危機にあるギリシャや、ポルトガルやスペインといった倒産前国家が目白押しで、こうした国家群をEUと共にIMFは積極的に支えてきた。

 だが、こうした国々はヨーロッパ組のシマで、アメリカ組のシマの話ではない。もし崩壊しそうな国家が日本のようなアメリカ組であればIMFは積極的に融資を行うと共に、その国家のあり方を市場経済中心に組みなおして、アメリカ資本が自由に活躍できる体制に変えることができる。
IMFはアメリカ的市場経済を世界に広げる先兵だからだ。

 しかしストロスカーン氏はアイルランドやギリシャやポルトガルの支援を積極的に行ったが、すべてユーロ圏のためで、アメリカが望むようなアメリカ資本のために動いたのではなかった。
特にギリシャ支援は最悪で、ギリシャを国家として存続させるだけの理由(ユーロを崩壊させないため)で次々に大金をつぎ込んでいる。
ストロスカーンは駄目だ。あいつはユーロ圏の手先で、次のフランス大統領になることしか頭にない。だがあいつは助ベーだからどこかで尻尾を出す。そのときはスキャンダルにして辞めさせよう」アメリカ政府は虎視眈々と機会を狙っていた。

注)10年5月、EUとIMFはギリシャに1100億ユーロ(EU800億ユーロ、IMF300億ユーロ)の支援を決定した。さらに今年に入り追加の支援1200億ユーロが必要と想定されており、ストロスカーン氏の指示でIMFはギリシャに追加融資を行なおうと動いていた。

 今回プロの女性との情事をつかんだアメリカ政府が、女性に金を渡して「強姦されたと訴え」ださせたのだが、当然アメリカ政府はフランスのサルコジ大統領の許可を取ったはずだ。
都合のいいことにストロスカーン氏はサルコジ氏の宿敵だ。ストロスカーン氏がゴシップでつぶれればサルコジ氏の再選が有利になる。
後任にサルコジ政権のラガルド財務相を専務理事にしてくれるなら、ストロスカーンを逮捕していい」との裏約束があったのだろう。

 アメリカの思惑通りストロスカーン氏を辞めさせることができたので、用のなくなった件の女性を捨てることにし「プロだったので裁判をしても維持できない」と担当検事が白々しい弁解をした。
あわてた裁判所はストロスカーン氏の自宅軟禁の措置を解いて完全な自由の身にした。

 フランス人は女性好きで、フランス本国であったらゴシップにもならないが、アメリカではハニー・トラップの餌食になってしまう。
IMFを西欧の復活のために利用しようとしたストロスカーン氏の野望はこうしてアメリカ政府の謀略の前に潰えてしまった。

なおギリシャ経済の分析は以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44468201/index.html

 

 

 

 

 

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