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(23.7.23) NHK クローズアップ現代 迫る「食料高騰」時代

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 NHKが昨日(20日)のクローズアップ現代で「食料高騰時代」と言う番組を放映していた。
かつてリーマンショック前に同様の食料高騰時代があったが、今はその第2弾だ。

 なぜ食料価格が高騰するかと言うと、傾向的に新興国と言われる中国やインドで食料需要が増加しているからだが、本当の理由は投機資金による値上がりである
日本、アメリカ、EUがこぞって金融の超緩和策をとり続け、あまった資金が「何かないか、子猫ちゃん」と言う感じで徘徊している。

注)リーマンショック前は超金融緩和策をとっていたのは日本一国だけだったが、それでも食料価格の高騰が起こった。今回はそれにアメリカとEUが参加している。

 おかげで大豆などは5年前に比較して2.3倍の高さになっている。実際は遺伝子組換え大豆等の高収穫量の大豆が栽培され、増産につぐ増産になってもである。
その他に小麦1.8倍トウモロコシ2.9倍だという。

 今世界中で食料価格の高騰に伴うデモが発生し、アラブ諸国ではチュニジアとエジプト政府が倒れ、今リビア、シリア、イエメンが風前の灯になっている。
隣の中国では通貨元の元安政策をとり、ドルにペッグさせているため食料価格の上昇がそのまま食料品価格の上昇になって、各地で小規模の暴動が発生し始めた。
豚肉も食えないのか」というのが中国人の不満だ。

 日本では幸いに円高が進んでいたためこの国際価格の上昇をかなりマイルドにすることに成功している。
120円程度だった円が今は80円程度だから、単純計算で33%の円高だ。
このためたとえば大豆が2.3倍になっても、2.3×0.67=1.5倍となり、ドルにペッグしている国の価格上昇に比べれば上昇幅は小さい。

 それでもここに来てパンやパスタや砂糖や大豆油の価格が上昇し始めた。
あるスーパーでは128円だった食パンを138円に、80円だった菓子パンを90円に値上げしていた。

 こうした状況がいつまで続くのかとの予想で、国際機関が10年間続くといっていたがそうした言い方は単純すぎる。
本当の予想は日本、アメリカ、EUが金融の超緩和策を止めて新興国から資金を引き上げる時であり、そのときはリーマンショックと同様に今の価格の約半分程度まで価格が低下する。
投機資金が剥げ落ちるまでと言うのが正しい言い方だ。

  ところが一方で大豆やトウモロコシの価格高騰が日本農業に思わぬ影響を与え始めた。
日本農業は長い間何をやっても駄目と言うのが実態で、北海道の大規模農家が次々と離農していたが、今その離農した土地を農業生産法人が借上げて大豆の生産に乗り出したという。
規模が1000haと言うからオーストラリアの農場の規模で、ここで取れた大豆をもとに自社工場で豆腐を生産し、契約したスーパーに納入していた。

 もう一つの例は鹿児島の肥料用トウモロコシ生産の事例で、商社が資金を出して肉牛用の肥料生産に乗り出していた。
ここでも輸入の配合肥料が高騰したため十分競争力があるのだという。
又民主党政権が行った農業保護政策が思わぬ成果を挙げ始めた。休耕田で肥料用米を栽培すると10a当たり8万円の補助金が出るのだが、農家が積極的に肥料用米を作りブロイラーの餌にしているのだという。

 私自身は政府の低金利政策や資金超緩和策にあきれているのだが、これが世界中の食料価格を高騰させ、日本国内でも農業が成立できる条件が整うとは驚きだ。
だから資金の超緩和策にもメリットはあるのだが、少なくとも生活が厳しいアフリカ諸国では生き死にの問題になりつつある。

 皮肉な言い方をすれば、食料価格の上昇により貧しい人々が死に絶えてしまうので、その結果価格は再び低下するといえないこともない。
しかしこの超資金緩和策を継続して、貧しい人々を死に追いやる方法はどう見ても人道的とは言えず、それよりも金融を正常化して実需で食料価格が決定される世界に戻すのが適切なやり方だろう。

 食料価格の高騰はアフリカ、アラブ、東南アジア、中南米といった貧しい諸国に劇的な作用を及ぼしつつあり、このまま推移すれば世界のフレームワークが崩壊するほどの影響が出そうだ。

 

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