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(23.6.10) 世界経済の乱気流と中国経済の行方 ソフトランディングかジェットコースターか?

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 今世界の市場関係者の関心はただ一点に絞られている。中国経済が減速するとしてもそれはソフトランディングジェットコースターかと言うことだ。
もし前者であれば国際商品価格原油、鉄鉱石、石炭、銅、食料等)の値下がりは軽微にとどまるが、後者で有ればリーマン・ショックの再来で50%から75%程度の値下がりは避けられない。

 現在先進国経済についてはイエローカードが出されているのは誰の眼にも明らかだ。
日本は東日本大震災と福島原発事故の影響で11年度のGDPはマイナス成長が予想されるし、EUはいくらギリシャに資金を提供しても(ドイツ人の言葉で言えば自堕落なギリシャ人がすぐさま放蕩して)ギリシャ経済はデフォルトしそうだし、アメリカは住宅価格が相変わらず低下の一途をたどっているのでどうもがいてもサブプライムローンの桎梏から逃れそうもない。

 だから世界経済の救世主は世界経済第2の大国、中国の経済成長にかかっているが、ここでは多くの阻害要因が現れ始めた。
最も問題は輸入インフレが収まらないことで、おかげで消費者物価指数は5%程度の上昇が続いており、食料品価格だけで言えば10%程度だ。
住宅価格の上昇は中国政府の土地資金融資の絞込みによって弱含みに転じているし、は慢性的な水不足が解決できず、電力供給も石炭価格の上昇で思うに任せない。

 「もしかしたら中国経済の躍進もピークを打ったのではないか」と市場は疑心暗鬼になっている。おかげであれほど急激に上昇していた商品相場が乱気流に突入してしまった。
原油価格は一頃115ドルを突破し、リーマン・ショック前の150ドルになると市場は囃していたが、実際はそこから急降下して今では100ドルを挟んで乱高下している。

 鉄鉱石石炭も一時の一方的な値上がりは収まって、上げ下げどちらに行くのか分からないような状態だ。
先行指標と言われる株式相場はアメリカもEUも日本も中国も大きく低下し始めた。
これは単なる踊り場か、それともリーマンショックの再来か?」
市場が疑心暗鬼になるのは当然で、今までつぎ込んできた資金を引き上げるかそれとも強気でがんばるか選択を迫られている。

 おりしも米エール大学のスチーブン・ローチ教授が「中国経済が崩壊しない10の理由」と言う論文を発表した。
http://topics.jp.msn.com/wadai/searchina/article.aspx?articleid=604796

 一般的に欧米の学者は中国経済に対し悲観論を、中国の学者は楽観論を述べるのが普通なので、興味があってその紹介記事を読んでみたが思わず笑ってしまった。
かつて日本が70年代から80年代にかけて高成長をしていた時の日本経済強者論とそっくりだったからだ。

① 長期戦略
中国は1953年以来5カ年計画を作成し、特に今回の5カ年計画では生産型モデルから消費牽引型モデルに明確に舵を切った。

日本は通産省の指導により、計画的に成長産業を選択し集中的に投資を行ってきた。日本は資本主義国と言うより官僚指導の社会主義国であり、明確な長期戦略の基に日本経済を主導している

② 安定を保つ規律
中国は安定を最優先課題として、規律を重視しリーマンショックを乗り切った。

日本は終身雇用制により従業員は企業に対する忠誠心が高く、残業もいとわず仕事をする企業戦士であり、これが日本経済の原動力になっている

③ 貫徹する力
中国は企業と金融市場が改良され、一層の改革が今なお進んでいる。

日本の企業は世界企業としてシェア拡大がとどまらず、又金融機関は世界の10大銀行の約半分を占めるほど大躍進している

④ 高い貯蓄率
中国の貯蓄率は50%を越え、これが投資に向かっている。

(日本人は老後が不安のため貯蓄にはげみ消費を抑えるので、この貯蓄された資金が投資に回ってますます企業の規模拡大が進んでいる

⑤~⑧ 潜在力ある消費
中国の消費の潜在力は大きい。中国政府が投資から消費に舵を切り替えたことで消費拡大が期待できる。

日本では中曽根首相をはじめ前川レポートで国内消費の拡大に取り組んでおり、輸出主導型の経済から国内消費型の経済に切り替えようと努力している

⑨ 教育レベルの全体的向上
中国は教育に投資を増大しており、これが経済発展の原動力になる。

日本の教育水準は先進国の中でも突出して高い。特に高校までの教育は充実しておりこれが中堅技術者を大量に生み出し日本の経済を支えている

⑩ 活発なイノベーション
世界第3位の特許出願国になった中国は「戦略的新興産業の振興」に目標を据えた。

日本の特許出願件数はアメリカに迫り特に戦略的分野での特許数が多い

 私が笑ってしまったのもうなずけると思う。現在中国に言われていることは、バブル崩壊前の日本に言われていたこととほとんど同じなのだ。
成功している時は成功の原因を、失敗している時は失敗の原因を学者はそれらしくいうもので、ローチ教授の話もその例に漏れない。

 中国ははたしてソフトランディングするのだろうか、それともジェットコースターになるのだろうか、今のところ誰も予測は不可能だが、そうした疑問を呈しなければいけないほど世界経済が乱気流に入ったことだけは確かだ。


なお、中国経済に関する過去の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

 

 

 

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