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(23.6.11) ロシアはロシア 人口減少でもGDPは拡大する

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 ロシアという国の統計数字の中で最も目を引くのは人口減少である。日本は2005年あたりから人口減少国になっているがロシアはそれより10年以上も前の1992年をピークに傾向的に人口が減少している。

注) 1992年 149百万人  2011年 140百万人 

 信じられないような数字だがこの原因は少子低齢化である。日本のように少子高齢化の世界に住んでいるととてもイメージできないが、ロシア人の平均寿命は低下しているのだ。
ロシアがソビエト・ロシアと言われていた時代からロシア人の生活は厳しかった。
一部のエリートを除くと消費物資は満足に入手できず、食料はダーチャと呼ばれた家庭菜園で育てた野菜やジャガイモでしのいでいた。

 私にはロシア人の友達がいてバイカル湖の近くのアンガルスクと言う街に住んでいたので訪問したことがあるが、ロシア人は休日にこのダーチャで農作業をしなければ生きていけないことを知った。市場に物が出回らないためまさに自給自足経済なのだ。
そして1990年前後のソビエト・ロシアの崩壊でかろうじて機能していたソビエト式医療体制が崩壊し、1994年ごろは平均寿命はさらに低下してしまった。
この状態は2000年のプーチン大統領就任で改善されたが男性の最近の平均寿命はなんと62歳である。

注) 平均寿命の推移
    1990年ごろ    1994年    2008年
男性     65歳       58歳      62歳
女性     75歳       71歳      74歳


ロシアには高齢化問題は存在しない。なぜなら高齢者になる前に死んでしまうからだ」と冗談交じりに言われる。
男性の平均寿命は63歳だから、私などはロシアにいたらとうに死んでいたことになる。

 死因で多いのは心血管系の死因で、ありていに言えば心筋梗塞である。それと男性は自殺と他殺が多い。
世界の自殺率の順位のベスト3はベラルーシ、リトアニア、ロシアだがすべて旧ソビエト諸国であり、一方他殺率は南米のベネズエラ、グアテマラ、ブラジルやアフリカのソマリアやスーダンといいとこ勝負だ。

 ロシアは自然環境が厳しく生きるのが難しい場所だ。そうしたところで医療体制が崩壊し、かつ経済体制が崩壊すると、男は頭に来てウォッカを浴びるほど飲み体調を壊したり、思い余って自殺をしたり、酒や麻薬で殺し合いをするということのようだ。

 2000年に大統領になったプーチン氏はこうしたロシアの社会情勢を立て直そうと、これもロシア式に相当荒っぽい方法で解決をはかった。
それまで経済についてはまったく無知蒙昧だったエリツィン大統領が国有財産を切り売りして新興財閥の好き勝手な社会になっていたのを、暴力やかなりいい加減な法解釈で新興財閥のリーダーを片っ端から裁判にかけ監獄に押しこめてしまった。
こうでもしないと秩序もへったくれもなくウォッカをがぶ飲みして暴れまわる国民を統治できないのだとプーチン氏は悟っているみたいだ。


注)法を無視したプーチン氏のやり方に怒ったジャーナリストがキャンペーンを張ったが、こうした人たちはほとんどが非業の死を遂げいまだに犯人は分からない。
もちろん犯人の指令者はプーチン氏なのだが警察と検察と裁判所はプーチン氏の子飼いがボスだから誰も犯人捜査を真面目にしない。


 ロシアはいつまでたってもロシアだ。こうした手段で石油会社やガス会社を国有化しそこからの運上金で国家財政を建て直し切り盛りしている。年金も軍人の給与改善もすべてこの国有化政策の恩恵で生活は改善に向かった。
国家予算の約7割が石油会社とガス会社からの税金だからだ。

 
注)ロシア人はまともに税金を払う習慣がない。かつては全員が国営企業の従業員で企業が代表して国家に税金を払って残りを従業員に分配していた。したがって自分から税金を払っていると言う意識はなかったし、今も同じ。

 ロシア経済ほど分かりやすい経済はない。ロシアは鉱物資源と軍需産業で持っている国で、わけても石油と天然ガスの価格に左右される。
最近の鉱物資源価格の高騰はロシア経済を潤しているが、天然ガスについては問題が発生した。

 従来ロシアは世界最大の天然ガスの供給国で特に東欧や西欧諸国にパイプラインで天然ガスを供給していた。そしてウクライナのような反ロシア政権が誕生すると天然ガスの供給を停止したり縮小したりして圧力をかけてきた。
ところが最近アメリカでシェールガス革命が起こって、世界最大の天然ガス産出国はアメリカになり、さらにアメリカが天然ガスの輸出国になってしまった。

 これに驚いたのが中東のカタールで最大のお得意先のアメリカが輸出国になってしまったために輸出先をヨーロッパに変更し、ロシアと天然ガスの販売で競合し始めた。
おかげで12ドル程度だった天然ガス価格は4ドルと3分の1まで急落している。

 ロシアにとっては踏んだり、蹴ったりだ。天然ガスではヨーロッパ市場から追い出されそうになっているが、それでも石油や石炭価格が上昇しているので、ロシアのGDPは順調に伸びている

 ロシアは日本と同様に人口が逓減しているのにGDPは伸びている不思議の国だ。そのからくりは鉱物資源価格の高騰で、アメリカやEUや日本が湯水のように資金を供給して鉱物資源価格の高騰を助けているので、人口が7%程度逓減しても、石油価格や石炭価格が2倍や3倍上昇するのだからGDPは増加する。

 だから今後とも鉱物資源価格の大暴落がない限りロシア経済は安泰といえそうだ

 

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評論 世界経済 ロシア経済」カテゴリの記事

コメント

山崎様
いつも楽しくブログ読ませて頂いております。今回はロシアの平均寿命が下がっている理由として医療機関の崩壊を上げられていました。私が覚えているソビエト連邦は、常に食料を手に入れるために行列を作っている極貧のソビエト連邦です。テレビで放映されていた貧しい人々の姿には本当に驚かされたのを覚えています。果たして当時のソビエト連邦にそもそもまともな病院があったのでしょうか?現在、北朝鮮などの病院が時々放映されますが、テレビに放映されるほどの国家に近い病院でもまともな医療器具はなく、そんな病院でも行けるのは国家の権力に近い人達のみです。どうしても当時のソビエト連邦に一般の人々の健康を維持するだけの、まともな医療機関があったとは思えないのです。崩壊する医療機関がそもそもなかったのではと考えております。
平均寿命の件はむしろ、チェルノブイリ原発の影響があるのではないでしょうか?チェルノブイリに近い国々の平均寿命は94年頃一気に下がり、それ以降若干はもしなおしますが世界的に見て低い値です。あのようなグラフは戦争以外では出てこないものだと思いますが、チェルノブイリから近いこともあり、原発の影響ではないかと思っております。このような可能性は無いでしょうか?

(山崎)ソビエト時代の医療は無料で誰でも受けられると言うのが自慢でしたが医薬品の不足や医療技術がつたなく世界的レベルでは相当遅れていました。
そうした意味もあってソビエト時代から平均寿命は低かったと言われています。
チェルノブイリについては事故があったのは現在のウクライナですので、そこの平均寿命の調査が必要になります。
現在のロシアの平均寿命とチェルノブイリとの関連は低いと私は思っています。

投稿: 斉藤 | 2011年6月11日 (土) 20時59分

 1986年4月のチェルノブイリ原発事故後7-8年経て、ウクライナとベラルーシは激しい人口の自然減に見舞われた。その要因は「出生」(生児出生)の急激な減少と「死亡」の急増だった。「人口統計学上の大惨事」といわれるゆえんである。その人口変動のカーブは驚くほどよく似ている。
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/ukraine3.html


でそれをおもいっきり否定するサイト
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.html

チェルノブイリの直接の死者数十人 間接的な犠牲者数に関してはいまだに議論が続いているようですが、何十万人の直接の死者が出た広島・長崎という都市を持つ日本では、きっと一億人ぐらいが間接的に犠牲になっているのでしょうね 


投稿: 通りすがり | 2017年12月19日 (火) 22時40分

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