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(23.6.13) インド経済の展望 中国に勝てるか?

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 私とインドとのかかわりは今から25年ぐらい前にインドの子供のフォスター・ペアレントになって毎月5000円を送付していたことだ。
当初私はこの資金が私が面倒を見ていることになっているフォスター・チャイルドの元に送金されているのだと思っていたがそれは誤解だった。

 インドと日本の所得格差は約40倍程度有るのだから、日本の5000円はインドでは20万円程度の価値になる。こんなお金を子供に与えたら日本からの送金で家族全員が働かないで暮らすことになってしまう。
実際はインドに有るNPO法人の活動資金として使用され、フォスター・チャイルドには帳面とか教科書が配布されるが、それもそのNPO法人が対象としている児童全員に配られていたことを知った。

注)2010年の一人当たり実質GDP  日本42、820ドル、中国4、382ドル、インド1、032ドル

 私は長い間インドはとても貧しい国と思っていたが、それは昔の話で最近の経済成長率は目を見張るものがある。
年率で8%前後なのだから中国には及ばないが立派なものだ。

 人口は約12億人で中国とどっこいどっこいだし国土も広いので中国的なイメージを持つが、こと経済に関しては中国とはまったく異なる。
中国が改革開放で外国資本を導入し貿易立国で国の成長を図っているのに対し、インドは貿易障壁を高くしてインド資本との競合をさけ、国内産業の保護に重点を置いた成長戦略をとってきた。

注)インドは1991年から開放政策に切り替えたが、中国とことなりおっかなびっくりの解放で国内産業と競争するものは関税障壁で守っている。

 中国では製造業の躍進が目覚しいが、インドはスズキタタといった自動車産業があるものの国内生産向けであり、輸出産業としては育っていない。
これは貿易統計を見ると明らかなのだが、輸出品で最もウェイトが高いのが宝飾品であり、インドはアントワープのダイヤの下請工場だし、安い金加工も盛んだ。
2番目の輸出品は石油精製品だが、インドは海外から原油を輸入しそれを精製して主として中近東に販売している。これは中近東の精錬所を引き受けているからだ。
3番目は繊維品だからどう見ても中国のような工業国家とはいえない。

 一方輸入は自国で使用する原油と精製用の原油でこの輸入量が全輸入量の約3割を占めており、昨今の資源価格高騰によって貿易赤字は慢性化している。
この赤字を埋めるのがインド得意のソフトウェア産業で、主としてアメリカのIT産業の下請けで膨大なサービス収支の黒字を計上している。
さらにインド人は世界中に出稼ぎに行っているので出稼ぎ先からの送金が多く、サービス収支とこの移転収支の黒字で貿易収支の赤字を補填するのが基本的なパターンだ。

注1)一時経常収支は黒字化したが、昨今は資源価格の高騰で大幅な貿易赤字を計上しており、サービス収支で経常収支を補填できない状態が続いている
注2)経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支(利息・配当)+移転収支(送金)


 インドの成長戦略はソフトウェアを中心とするIT産業だが、IT 産業の従事者は最低でも大学を卒業したインテリ階層であり、一方大多数のインド人はまともな教育を受けていない。
この低学歴層を対象にしたのがインド国内の製造業やサービス業で、この職場を確保するためにインド政府は明確な関税障壁や非公式な参入規制を行ってきた。
貧しいインド人の職場を守らなければ政権が持たない」と言う感じだ。

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 インドの経常収支は赤字だが、幸いなことに経常収支の赤字は準備通貨の減少と海外からの借入(投資)によってファイナンスされており、インドに対する成長期待が強い間は海外からの投資が細る心配がない。
現在のインド政権は中道右派だから、投資家は安心して投資が可能と思っており、最近は日本からの投資も増えている。

 インドがおっかなびっくり改革解放をとっている本当の理由は中国からの輸入品攻勢と投資攻勢におびえているからだ。
インドの最大の貿易相手国は中国で、少しでも関税率を引き下げると怒涛のごとく中国製品がインドに出回ってしまう。
これを許すとインドの国内産業はたちまちのうちに疲弊してしまうので政治危機が発生するし、又政治的にはインドの仮想敵国は中国で、その中国に経済でがんじがらめにされることを恐れているのだ。

注)カシミール紛争ではインドは中国にいいようにあしらわれカシミールを中国に支配された。インドはこの敗戦に懲りて中国との軍事バランスをとるために核兵器の開発を行った。

 そのためアセアンや日本との関係を強化し、自由貿易協定を締結してこことの貿易拡大を目指している。
もっともインドは貿易立国ではなくサービス立国だから、積極的にIT産業を誘致し、アメリカのIT産業の下請けでプログラム開発をしたりしてサービス収支の拡大する方が本命だ。

 21世紀の大国、中国とインドの勝負はどうなるだろうか。今のところは圧倒的に中国がリードし、一人当たりのGDPも中国はインドの4倍だ。
だが、21世紀はハードよりもソフトが重要になる時代だ。日本はあまりにハードにこだわったために21世紀レースで脱落した。
はたしてインドのソフト戦略は成功するだろうか?
現在はもっぱらアメリカのIT産業の下請けに甘んじているが、そのうちインドからアップルやマイクロソフトのような会社が出現するかもしれない。
10年単位で見るとインドの追い上げはかなり有望と言えそうだ。

なお、これまで記載してきたインド関連の記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat41656754/index.html

別件)「おゆみ野四季の道」、「おゆみ野四季の道その2」のカウンター10000を「おゆみ野四季の道 新」に加えました。

 

   

 

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評論 世界経済 インド経済」カテゴリの記事

コメント

インドの農業方面では深刻な遺伝子汚染が拡がっているそうです。
モンサント社の遺伝子組み換え綿花を文盲をいいことに売りつけて高い農薬も買わせ、最終的には失意のうちに自殺してしまう例が後を絶たないとのこと。
http://www5.plala.or.jp/nijiya231-9288/Q_A/idennsi/hatake_0512_idennsi.htm
http://togetter.com/li/108382

日本でも数年前に使用したいという申請があり、この時は関係者の猛反対で退けられたものの、また申請があり、農水省と環境省でパブコメが行われています。
日本の種子業界も買収されてきている現状では、対岸の火事ではなくなっています。

パブコメ 6/21必着
農水省 http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/110523.html
環境省 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13803

投稿: 横田 | 2011年6月13日 (月) 22時58分

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