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(23.6.19) ベトナムと日本は戦略的パートナー  ベトナム経済の行方

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 ベトナムは日本にとって戦略的に重要な国である。人口は84百万人程度日本の約7割であり、一人当たりのGDP中国の6割程度で、中国の人件費の値上がりに悲鳴をあげている企業にとってはもっとも注目されている国と言える。

 また政治的にはベトナムと中国は仇敵と言ってよいような間柄で、紀元前後から約1000年は中国の支配下にあったし、その後もしばしば中国の圧力を受けてきた。
最近では1979年から1989年にかけて中国と中越戦争を起こしており、ベトナム人がもっとも嫌う国は中国である。

 そして現在の差し迫った課題は南シナ海の南沙諸島西沙諸島の領有権問題に移っている。
中国の海南島とベトナムのちょうど中間地帯にある西沙諸島はベトナム戦争のドサクサで中国に奪われてしまったし(それまで半分はベトナム領だった)、それより南の南沙諸島についてはベトナムがかなりの部分を実効支配しているとは言え、中国が虎視眈々と狙って巡視船を遊弋させている。
西沙諸島を乗っ取られ、今度は南沙諸島か・・・・中国を打倒しろ!!!」

 ベトナム人のボルテージは上がる一方で、通常はデモが禁止なのに中国に対するデモだけは当局は制止しない。
元々これらの島々は漁業資源以外には何もなかったところだが、1970年代に海底油田が確認されたためひどくきな臭い場所になっている。

 一方日本では中国との間で数年おきにトラブルが発生しており、尖閣諸島の領有権問題や漁船の当て逃げ事件日本大使館に対する破壊行為等数え上げればきりがない。
中国から煮え湯を飲まされていると言う点でベトナムと日本はまったく状況が似ているため、戦略的パートナーとして手を結びやすい。

 日本はベトナムのODAの最大の援助国で、タンソニヤット国際空港カントー橋は日本の援助で建設された。
またベトナムでは南北新幹線の計画があり、その技術を日本から輸入しようとしているが、資金面の問題があって決定には至っていない。

 ここ数年のベトナムの経済成長率は6%前後だから、中国ほどではないが立派なものだ。日本のキャノンホンダ、韓国のサムスンがベトナムへの投資拡大に熱心で、中国の次の生産拠点にしようと計画している。
ベトナムを中国と比較した時の問題点はインフラ、とくに道路インフラが整備されていないことで、これは内陸部に生産拠点を建設する場合のネックになる。

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 また最近は輸入物価の高騰にベトナムは悩まされているが、この原因は常に輸入超過で原油や鉱物資源をはじめ食料品の価格高騰の影響をもろに受ける経済構造に有る。
中国やタイやインドネシアの消費者物価の上昇が5%台なのに対して、ベトナムは10%~20%近くの上昇になっており、庶民の暮らしを直撃している。

注)読売新聞の解説ではベトナムでは製油施設がないため、特に原油価格上昇の影響を受けやすいと書いてあった。ただしベトナムにもわずかではあるが原油が産出する。

 このためベトナムの金融当局は経済成長一辺倒から物価上昇の抑制に舵を切っており、銀行の融資額を抑えたり公共投資削減に乗り出した。
ベトナムの高成長もインフレの影響で今後はかなりマイルドにならざる得ない。
新幹線も公共投資削減の影響を受けることは間違いなさそうだ。

 ベトナムは日本にとって共通の敵中国と言う意味でパートナーを組みやすい相手だ。
日本資本が中国からベトナムにシフトしていけば、タイのような日本企業のアセアンにおける重要拠点にすることができるだろう。
ベトナムは輸入品の物価高騰に弱い面があり、通貨ドンの値打ちも下がっているが、将来的には中国並みの経済発展が望める国と言えそうだ。

注)現在中国は東日本大震災で苦境に立っている日本を理不尽な理由でいじめないようにしているが、またいつ牙をむいてくるか分からない。そうした意味でベトナムとの間で非公式の相互援助体制を築いておくことが日本の戦略上重要になる。

 

 

 

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