« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

2011年6月

(23.6.30) 日本の新幹線技術を盗み取れ 中国南車の戦略 「 日本のものは俺のもの」

112  

 やはりといおうか当然といおうか、中国の北京と上海を結ぶ新幹線1318kmの車両は日本とドイツのコピーだが、中国政府は独自技術による開発だと胸を張った。
車両は2系列あり、CRH30Aは日本の川崎重工業の車両、CRH30Bはドイツのシーメンス社の車両である。

 中国が独自技術だといったのは、「時速380kmをスムーズに走行できるように、台車や車両の先端部、車体の外板を改良し、その費用に12億円以上をかけた」のが根拠だという。
その証拠は中国の新幹線は川崎重工業の車両の安全速度が300kmであるのに対して、中国の車両は350kmで営業運転するからと公表していた。

 しかしこれを公表した前鉄道相約120億円の賄賂を受け取った疑いで解任され、同じく解任された副チーフ・エンジニアがメディアに「前鉄道相が300kmが安全速度としていた車両で勝手に高速運転を指示しただけで、中国の独自の技術などない」と公表したため大騒ぎになってしまった。
あわてた現鉄道相チーフ・エンジニアはこの副チーフ・エンジニアの証言は「妄言だ」と否定したが、底が割れている。
その証拠は350kmで営業運転をすると言っていたのに、実際の営業運転は300kmだと修正したからだ。
川崎重工業の車両の安全保障速度が300kmだから安全を考慮すれば当然の措置だ。

 中国はいつでも日本を侮るが今回も同じで、川崎重工業のコピー車両を作った中国南車がアメリカでこの車両の国際特許の申請をしている。
日本はいつものように文句を言うまい。シーメンスはタフだからまず川崎重工業の技術を中国のものとして奪ってしまおう」という計算らしい。
中国南車はアメリカのGEと組んで、カリフォルニア州等で建設が計画されている新幹線の入札に参加する予定だ。
GEを巻き込めばアメリカは文句を言うまい。これで日本の新幹線技術は中国のものよ!!!」高笑いが聞こえる。

100  

 この川崎重工業の車両はJR東日本で使用されている「はやて」でJR東日本の許可の下に中国に9両輸出したものだが、中国南車がこれに改良を加えて51両製造している。
JR東日本が「はやて」を中国に販売した時JR東海の葛西社長が「中国はすべての技術を無料で移転しようとしている(中国に新幹線を売るなんてJR東日本はきちがい沙汰だ)」と警告していたが、それが現実になってしまった。

 川崎重工業は「移転した技術は中国国内だけで使用する約束なのに、米国やサウジアラビアやブラジルで使用するとは約束違反」と言っているが犬の遠吠えになるだろう。
日本製品より20%程度割安で、すべて日本の技術ならば、世界各国とも導入にやぶさかでないだろう。
もっとも日本の部品メーカーは「どうせ部品は日本から調達するのだから、まあいいじゃないか」という態度だ。

 それに何より日本政府が東日本大震災対応で脳死状態になっているから、今なら何をしても日本政府は対応を取れまいという読みも有る。
中国は実にタフな国だ。他国の技術を無料で奪取しながら、独自技術だと公言してアメリカのメーカーを巻き込んで売り込みを図っている。
おまけに担当の鉄道相は賄賂を取り放題なのだから、個人的にも国家的にも儲かって仕方がないというところだろう。

 本来日本はアメリカと共同で特許侵害を訴えるべきだが、すでにGEは中国の手の内に取り込まれている。後はドイツのシーメンスとの共同対応だが、中国は用心して特許申請は日本のメーカーだけに絞っている。
どうやら中国は日本を食い尽くす戦略に出てきたようだ。
JR東海の葛西社長の読みは完全に当たってしまった。

注)なお私は中国がことさらひどい国だといおうとしてこの記事を記載しているのではない。そうではなくて中国のような対応が国際社会では普通で、油断をすればすぐに足元を見られるという例に過ぎない。
中国は口で友好をといて足で蹴っ飛ばすのだが、それが当たり前だという感度を持たないと、日本は永遠に中国のカモにされる。

 アメリカもトヨタを理不尽な理由で陥れたが、これはGMとクライスラーを復活させるための実に有効な手段だった。
中国やアメリカはこうした行為を戦略と呼んでいるが、日本も国内的な感度で相手を信頼するのではなく、国際的な感度で戦略を練る必要があると何回も実地教育をされているのだ。

なお過去に記載した中国経済に関する記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

| | コメント (0)

(23.6.28) 世界遺産の崩壊の危機とおゆみ野の世界遺産保護活動

086_2    

 私の最近のお好み番組はNHKのBS1で夜10時に放送されているワールド・ウェーブ・トゥナイトと言う番組で、これを録画しておき毎朝チェックすることにしている。
その日に世界各国の放送局が放映したニュース番組や世界情勢をコンパクトにまとめてくれるのと、毎日特集を組んでくれるのがいい。

 昨日(27日)の特集はユネスコの世界遺産が保存の危機に瀕しているという特集だった。
日本では小笠原諸島奥州平泉の中尊寺が新たに世界遺産になったと喜びを爆発させていたが、実際はユネスコの世界遺産のかなりの物がこのまま維持できるかどうか危ぶまれているのだそうだ。

 現在ユネスコが認定した世界遺産は911だそうだが、このうち35が危機遺産で、さらに危機遺産予備軍が134あり、合計169世界遺産がこのまま放っておくとそのうち遺産としての価値がなくなってしまうのだという。
私は誤解していたが、世界遺産になればユネスコから資金と人材が派遣されてその世界遺産の保存をユネスコの責任で守ってくれるのかと思っていたら、そんな資金はユネスコはないのだと言う。

 せいぜい遺跡保存のノウハウを教えるのと、ユネスコ主催のキャンペーンをしてお金を集める手助けをするくらいで、実際に世界遺産を維持するためには地元政府やそこの住民が身銭を切らなくてはならない

 保存が危機に瀕している原因は大きく4つあって
① 宗教戦争あるいは地域戦争の犠牲になって世界遺産が破壊される例(
バーミヤンの石仏)、
② 遺跡を保存する担い手が居なくなる例(
フィリピンの棚田等)、
③ 風化が進んで資金と保存作業が追いつかない例(
イタリアの古代ローマの遺跡等)、
④ 観光開発が進みすぎて生態系に影響が出る例(
アメリカのエバーグレーズ国立公園等だそうだ。

 世界遺産を維持するのも大変で、最近イタリアでは国庫からの補助が削減されているため、NGOが集められた資金の範囲内で優先順位をつけながら何とか維持作業をしているのだという。

075  

 実を言うと私自身はこの古代の遺跡を守るという作業がことのほか好きだ。定年退職した時に退職後は遺跡発掘調査の作業員になりたくて近くの千葉市埋蔵文化財調査センターの作業員募集に応募したものだ。
これからは自由の身だ。はれて発掘作業員になろう!!!」

 ここおゆみ野には縄文時代から人々が住んでおり、宅地開発が進むたびに発掘調査をしているので、そこの作業員になろうとしたのだ。
ところが信じられないことにこの作業員は農家のおばちゃんの良いアルバイトらしく、既得権益になっていて私のようなずぶの素人は相手にしてくれなかった。

バイト代はいりませんから是非採用してください」と懇願したのにだめだった。
何と言うことだ。私のような優秀な作業員を断るとは調査センターの明日はない」悲憤慷慨していた。

 しかし分からないものだ。ここおゆみ野には一般には知られていないがユネスコの裏支部があり、そこの支部長を私の知り合いのカメゴンがしているという。
さっそくカメゴンに掛け合ったら理由があってあっさりと作業員に採用してくれた。
カメゴンによると、カメゴンがおゆみ野の世界遺産として夏の道のケヤキ並木と、四季の道のベンチを推奨したのだが、ユネスコ本部から「ケヤキ並木は巨大サボテンのような並木で景観がいいとはお世辞にも言えず、またベンチは世界中にあるので世界遺産にはしがたい」と理不尽な回答が来たのだという。

 カメゴンとしては憤懣やる方ない気持ちでおり、何とかしてこの景観をおゆみ野支部が認定する世界遺産にするので私にその作業を手伝ってほしいという。
私は千葉市埋蔵文化財調査センターにはあっさりと断られて怒っていたので、ユネスコの作業員になることは是非もないことと喜んで採用してもらった。

山崎さん、あなたにしてほしいことはケヤキ並木が昔のような枝が十分に張った美しさを取り戻させることです。このままではユネスコが正式に認定するには確かに貧弱すぎます。

また剥げ落ちたベンチのペンキ塗りも必要です。確かにベンチはどこにもありますがここおゆみ野のベンチはおゆみ野にしかないので世界遺産としての資格はあります。


ケヤキ並木とベンチが世界遺産として正式に登録されるようがんばりましょう


カメゴン先生、燃え尽きるまでがんばります

 こうして私はユネスコ裏支部の作業員としてケヤキ並木の維持とペンキ塗りをしている。世間では何の資格もないのに、まあ奇特な人だぐらいに見ているが、実際は国連のエージェントなのだ。
しかしこれはパン事務総長からも国連のトップシークレットなので他言は絶対にしてはいけないと言われている。
このブログを読んだ人もそんな訳で私の秘密の資格を他人に公表しないでもらいたい。

なお、発掘作業に関係する過去に記載した記事は以下のとおり
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/22613.html

 

| | コメント (0)

(23.6.28) 美男・美女対決はどちらが勝利するのか? タイの総選挙

23618_002  

 タイは民主主義と強権支配の中間にあるような国だ。
なにしろ選挙を行うとタクシン派と言う元タクシン首相(2006年のクーデタで失脚。現在外国に住んでいるが率いる政党(今回はタイ貢献党と称している)が第一党になるのだが、そうなると軍隊はクーデタを起こし、最高裁判所はタクシン派の選挙違反を追求し、首相をでっち上げ容疑で有罪にしてタクシン派を引き釣り降ろしてしまう。

 日本の場合は選挙結果がすべてで、クーデタなど起こりようがないが、タイでは何でもありだ。
今回の総選挙は3年半ぶりなのだが、世論調査では現首相のアピシット氏が率いる民主党が振るわず、野党のインラック氏(タクシン氏の妹)が率いるタイ貢献党が再び第一党になると予想されている。
アピッシット氏はことの他美男子で、インラック氏も美女なので、美男・美女対決なのだそうだ。
もっともどちらも過半数には届きそうもないので、少数政党との連立は避けられそうもない。

 アピッシト首相は危機感にかられて、昨年タクシン派が焼き討ちしたバンコクのショッピングセンターの前で支持者を前に演説した。
タクシン派のような暴徒集団に政権を渡していいか!!! 見てみろ、あの派の候補者は暴徒ぞろいだ!!!」

 
もっともアピッシット派も野党の時の2年前には首相府を占領したり、空港に座り込んで空港を閉鎖したりしていたのだからどっちもどっちなのだが、昨年は90人余りの死者が出たところが今までと異なる。
それまでタイではクーデタがいくら起こっても流血騒ぎになることはなく、デモも流血を避けようとしていたし、一方警察も軍隊もデモ隊の排除をしないのが普通だった。
人が死なない限り警察も軍隊も動かない」のがタイの不文律といわれていた。
それが微笑みの国と言われた所以だが、昨年は一転してアピッシット首相が警官隊を導入して実力でタクシン派を排斥したため大量の死者が出てしまった。

 外部から見ていてなんとも不思議なのは民主党にしろタイ貢献党にしろさして政権公約に違いがなく、違いといえば支持層の違いだけだ。
民主党はバンコクの富裕層や中間層、および軍隊や官僚層に支持されており国王も民主党の味方のように見える。日本的な意味では自民党といった感じだ。

 一方タイ貢献党の支持者は北部や東部の貧しい農民層と、都市部の貧困層でこうした人々にクレジットカードの交付や安価な医療保険、それと村落開発基金を約束している。
もっぱらばら撒き政策が中心で、日本的な意味では民主党と社民党をミックスしたような政党だ。

注)従来タイでは階級闘争と言う側面はなく農村と都市の対立が主だったが、昨年頃から都市部の富裕層と貧困層との対立がこれに加わった。昨年の90名余りの死者が出たデモは従来の対立に加えて階級闘争の側面が出て先鋭化したもので、強硬派が封鎖を解かなかった。

23618_026  

 タイは都市部を除くと貧しい農民が大半なので選挙を行うと必ずタイ貢献党の勝利になる。
それを実質的権力集団が実力でひっくり返すのがタイ式の政治になっている。
タイの経済はリーマン・ショック後立ち直り、10年度のGDPは7.8%の上昇だったが、四半期ごとに成長率は鈍化しており、最近(11年度第一四半期)は4%程度に落ち込んでいる。
最大の理由は2009年から始まったバーツ高と世界各国の経済が下降線をたどっていることでGDPの6割にもなる輸出の伸び率が振るわなくなりつつあるからだ。

 さらにタイ当局の頭を悩ましているのがここでも消費者物価の上昇で平均では4%を少し越えるぐらいだが、特に食料価格の上昇が激しくこれが都市貧困層の不満となってタクシン派の支持を広げている。
選挙はタイ貢献党の勝利で終わるだろが、問題はそれからだ。従来であれば実質的権力集団が軍や裁判所を使って巻き返しに出るのだが、今度はどうなるだろうか?

 私はタイを見ていると、一人当たりGDPが5000ドルを越えた中級国家の中での富める者と貧しい者の対立の構図に見える。
金持ちはいいが、俺達貧乏人の生活も見てくれ」ということだが、民主主義国家だけに(中国とは異なって)選挙では数が多い貧しい者が勝利し、それを富めるものが実力で覆すパターンが繰り返されるのだろう。



なおタイの経済・政治について過去に記載した記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat35184635/index.html

 

| | コメント (0)

(23.6.27) 復興構想会議の提言  防災から減災へ

23624_001_2  

人間もようやく謙虚になったものだとつくづく思ってしまった。菅総理の肝いりで発足した復興構想会議が12回の会合を経てまとめた復興ビジョンを菅総理に提出したが、人間の努力の限界を明記したと言う意味で画期的な提言だ。

 それまでの提言は人間の能力は無限大で自然をいくらでも制御できるとの前提に立っていた。たとえば原発を建設しても「日本の防災は完璧で絶対に原発事故は起こらない」と言い放っていたものだ。

 今回の東日本大震災は人事の及ばない災害があると言うことを誰の目にも明確に教えてくれた。そして構想会議のメンバーはそれを素直に認めている。
防ぐことが不可能な災害があるということは少し考えてみれば当たり前のことだ。
たとえば今回の地震の規模はM9.0だったが、津波対策として新たにM9.0に耐えられる防波堤を造ったとしても、もしM9.1の想定外の地震が発生すれば耐えられないことになる。

 それならばとM9.1に耐えられる防波堤を造ってもM9.2の想定外の地震が発生すれば耐えられない。いくら防災を施しても限界があるのだから、防災より減災に災害対策を移しハードでなくソフトで対応するのが災害対策だと言う。

 ソフトなんていわれると、「はて???」と言う感じだが、ありていに言ってしまえば「さっさと逃げろ」と言うことだ。
いくら防災対策を施しても不可能な津波の襲来はあるのだから、すぐに逃げられる訓練をしておけと言うことだ。
今回の津波被害でもっとも悲劇的だったのは、小学生が多く被災にあったことで、校庭で先生が点呼を取っている間に津波が押し寄せ、一瞬のうちに流されてしまった。
ささっと裏山に逃げていれば多くの児童の命が救えたので残念でならない。

注)宮城県石巻市の大川小学校の児童108人のうち74名が津波に流されて死亡した。

23624_016  

 生き残るためにはサバイバル訓練が必要になる。
最近日本人はサバイバルの訓練をしないので、サバイバル能力が落ちていると懸念している。
小学生にとって必要な訓練は月に1回程度の割合で近くの高台にかけ上がらせる訓練で、何はともあれ逃げることだ。
点呼など取っていたら逃げ遅れるから駆け上がった後に点呼を取るのがミソで、自衛隊が行っているスクランブルと同じだ。

 私は小学生のマラソン教室の教師をしているからよく知っているが、こうした訓練はなれればなんと言うこともなくやってしまう。そして小学生の運動能力は非常に高い。
津波が襲ってきたような場合子供達の生命を守ることが一番で、運動能力が落ちた年配の教師が点呼を取っておぼつかない足取りで山に引率していくよりははるかに生存確率が高い。

 なぜ点呼などと言う形式を重んずるかと言うと、日本では教師の引率責任を問われるからだ。
だから「形式はちゃんと踏みました」と言うことが大事になる。
このように日本では行政の責任を問うことが多く、自己責任が忘れ去られている傾向に有る。
たとえば公園で何か事故が発生すると公園管理者の責任を問うので、公園管理者は危ないと思われる遊戯をすべて撤去している。

 しばらく前にあった裁判では、幼児が背もたれのない公園のベンチで遊んでいて落下して怪我をしたのだが、両親は背もたれを作らなかった公園管理者の責任を追及していた。
私は呆れ返ってしまい、「ではそのとき両親は何をしていたのだ」と思ったが、自分の責任を放棄して行政にすべての責任を転嫁するようではいざと言うときには生きながらえない。

 今回の東日本大震災の最大の教訓は、人間の能力には限りがあり自然の猛威の前には無力なのだから、さっさと逃げられるだけの訓練と体力をつけておくことが必要だと悟らされたことだろう。
生きるためには形式よりサバイバル能力が必要なのだ。


注)私は個人的には移動には自動車を使わず、歩くか走るか自転車で移動している。また年に1回程度は誰もいない場所で1週間程度テントを張ってサバイバル能力が落ちないように訓練している。


  

 

 

| | コメント (0)

(23.6.26) フィリピンの経済成長 ついに離陸した NHK ワールド ウェーブ

23624_021  

 アジアで経済成長から取り残された国と言えば、日本、北朝鮮、そしてフィリピンと相場が決まっていたのだが、ついにフィリピン経済が離陸を始め、残されたのは日本と北朝鮮だけになってしまった。
フィリピンの2010年のGDP成長率は7.6%で実に立派なものだ。

 フィリピンの経済成長が他のアジア諸国より遅れたのは内戦で国内の治安ががたがただったからである。
モロ国民解放戦線、モロ・イスラム解放戦線、新人民軍、アブ・サヤフグループと言った私には区別が不可能な反政府勢力と政府軍が常に戦闘状態にあり、クーデタも日常的に発生していた。

注)モロ国民解放戦線とは1996年に停戦協定が結ばれた。ようやく内戦は21世紀になって下火になってきた。

 そのため外国からの投資、特に製造業の投資がなされなかったため(製造業では工場建設に莫大な資金が要るため危険な地域への進出はリスクが高すぎる)、国内に仕事がなく勢い外国に職を求めるより仕方がない状態だった。

 フィリッピンの人口は約1億人弱でその10%、約1000万人が海外で働いていると言われている。送金額もGDPの約1割(これは統計で捕らえられる送金額で持ち運んだり地下銀行からの送金が正式な送金と同じくらいあると推定されている)と言われるほどの大産業で、フィリピンは海外組みの仕送りで支えられていた国と言われていた。

 私がフィリピンを訪問したのは今から15年ほど前だが、当時のフィリッピンは税関職員が汚職ばかりしているような国で、飛行機に同乗していたヤクザの兄ちゃんがパスポートに1000円を挟んで税関をフリーパスで通過していた。
なんでもこれでOKよ!!!」と私に目配せして教えてくれたものだ。

注)私は外国に行く時にはリックに着替えぐらいしか入れてないので、何を見られても平気だが、この兄ちゃんはやばいものを持ち込んでいるようだった。

 しかし分からないものだ。インターネット技術の普及によって通信費用がほとんどゼロになると、アウトソーシング産業が一斉に花開いてしまった
主として欧米系の企業の電話対応のようなものから始まり、今ではさし歯の注文すら海外から受注を受けるようになっている。

 フィリピンはアメリカとの関係が強かったため良質のアメリカ英語が通じる。先日見た番組では日本人の英語の短期留学にフィリピンが選択されることが多くなってきているのだそうだが、授業料が安くてアメリカ英語を教えてもらえるからだそうだ。

 私はまったく知らなかったがフィリピンのアウトソーシングはすでにインドを抜いて世界第一位で、GDPの約5%を占めるほどになっていた。
こうしたサービス業は製造業に比較すると設備投資の金額が相対的に少なくて済み(事務所とネットワーク環境とパソコンがあればできる)、かつアキノ政権がアウトソーシング企業の誘致に熱心で税金の免除措置等を行っているため、今後とも飛躍的に伸びそうだと言う。

23624_012_2  

 映像に出てきた女性はさし歯の技工士だったが、それまでの給与の3倍の給与になり、家をローンで建設していた。
お父さんと思われる50歳ぐらいの人が「この子は本当に親孝行で家族全員を養ってくれる」と言っていたので驚いてしまった。
この女性の家族は子供と両親の総勢4人だったようだが、フィリピンでは家族福祉が普通だからそうなのかもしれないが、それにしても細腕繁盛記だ。

 アキノ大統領がインタビューに答えて「私達の時代は海外で働かざる得なかったが、今後は国内で働ける労働の場を確保することができるだろう」と述べていた。
今でもフィリピンは貧しい国だ。現在1日に2ドル以下で生活する貧困層が45%もいて、これはベトナムといいとこ勝負だが、それもようやく終わりに近づいてきた。

 マニラにはいたるところにショッピング・モールが建設され、海外で働いていた人々も国内の治安が安定してきたので帰国者が増えた。
海外から帰国した人々が郊外にある高級住宅を購入して住んでいる映像が出たが、日本で言えば1億はかかると思われるような住宅が500万円で購入できるのだという。
そんなに安いなら私も住もうかしら」思わず声が出た。

 21世紀はネットワークの時代だが、これは居ながらにして世界のビジネスとつながる時代だ。フィリピンは公用語が英語だったことが幸いして、欧米企業と完全に一体化してアウトソーシングと言うビジネスチャンスをつかむことができた。
長らく貧困の代名詞であったフィリピンがテイクオフしたのだ。

 
 

 

| | コメント (0)

(23.6.25) シンガポールの快進撃  NHK ワールド・ウェーブ

23624_025   

 「お見事!!!!

昨日(23日)のNHKワールド・ウェーブシンガポール特集を見て思わず声が出た。シンガポールの10年度の経済成長率が14.7%と中国やインドを凌駕したという。
シンガポール経済はリーマン・ショックの影響を強く受け、08年、09年と低迷していたので10年度がこのような高成長になるとは思ってもいなかった。

 私はシンガポールには何回も行ったことがあるし、街中を走ったり(朝と夕方は走れる)郊外の住宅地を歩き回ったりしたので親しみのある街だ。
なんとも美しい街並だが、警察権力に常時見張られているようなところがあり、高層ビルの踊り場で外の景色の写真を撮っていたら警備員に捕まって詰め所で尋問されてしまった。
また麻薬を保持していたオーストラリア人が死刑になってしまい、余りの厳しさにオーストラリア政府が抗議していたりしていた。

 シンガポールはとても豊かな国だ。ここ数年日本とシンガポールの一人当たりGDPの推移はどっこいどっこいだったが、2010年シンガポールが明確に日本を凌駕しこの先どこまで離されるか分からなくなっている。

注)2010年の一人当たりGDP。シンガポール48、960ドル、日本45,659ドル

 通常豊かになった国の成長率は落ちるものだが、シンガポールに関してはますます豊かになりそうだ。
それは徹底した経済成長政策をとっているからで、育成産業は観光、金融、石油化学、バイオ、ITでそうした産業の企業誘致に実に熱心であり、パイオニア企業と認定されると法人税が5年から10年間は免除される。

 この誘致策が効を奏して最近はホテル業の進出が著しく、番組では新たに建設されたホテルと、その屋上にある地上200mの展望プールを照会していた。
このプールは世界最高だね」と泳いでいたオーストラリア人が言っていたが、プールも世界最高になれば観光資源になる。
またこのホテルにはカジノも併設されており、中国や東南アジアのお金持ちの社交場になっていた。

注)シンガポール政府は2005年以降カジノを許可している。売上げは現在世界第3位だが、近いうちにラスベガスを抜いてマカオについで2位になると言う。

 私がシンガポールをしばしば訪問したのはここに私が勤めていた金融機関の支店があり監査に出向いたからだが、ここは金融市場としては世界でも屈指の自由な市場と言える。
金融業が発達するためには政府の過干渉がないことが一番で、これはなぜ日本が世界の金融センターになれないかの理由と一致する。

 日本では財務省や金融庁が金融機関の手足をしばって、預貯金のほとんどを国債消化に当てさせており、特に郵貯や簡保は国債消化以外の選択肢がない。
日本の国債利回りは1%台で、これでも確かに鞘は抜けるのだが、世界市場での金融機関の目標利回りはほぼ10%程度で、ヘッジファンドなどは20%を目指している。

 シンガポール市場に集まる資金はこうした10~20%のリターンを求めて集まってきており、金融機関もそれに答えるべく金融技術を駆使して努力している。
一方日本の東京市場は1%台で、これに満足しているのは日本国民だけだから海外から資金が入ってくることはない。
あまりの低収益性のため東京市場は世界のローカル市場になってしまい、日本の金融機関でさえ日本を諦めてシンガポール等で勝負をしているのが実態だ。

注)映像でも日本のある金融機関が1兆5千億円の資金をここで運用していると紹介されていた。

 シンガポールは海外から優秀な人材をあつめ投資を促しており、その象徴が個人所得税が20%固定でかつ相続税がないことで、世界の金持ちをシンガポールに引き付ける原動力になっている。
シンガポールの永住権は日本円で13億円程度の資産があれば永住権が与えられるため、日本人でもお金のある人はシンガポールに永住権を持っていて、所得税をシンガポール政府に支払っている。

注)税務対策として収入をすべてシンガポールで得たようにして、日本の高額な所得税を払わないようにするのが金持ちの節税対策になっている。
また相続税対策としてシンガポールに資産を移すことがしばしば行われている。

23624_019_2  
 
 シンガポールはまさにわが世の春だが、シンガポールにも悩みがないわけではない。
人口500万で山手線の内側程度の面積のこの島は住宅問題が最大のネックとなっている。
ほんの10年前まで300万人だった人口がここ10年で500万人になった理由は、外国人が永住権を取得したり、また外国企業の駐在員が増加したからで、5人に2人程度は外国人と言うことになる。

 シンガポール政府はシンガポールの住民に安価で高級な住宅を提供するのを国是としてきており、住宅公社の建設したマンションは90㎡で1800万円と言うから格安な値段だ。
市場価格はこの5倍と言うから市民が抽選であたるのも大変で、「なかなか当選しないよとぼやいていたが、これはバブル期の日本の住宅公団の抽選とまったく同じ状況だった。

注)抽選であたった住宅を転売すれば投資金額の4倍の利益が得られるので、市民のもっとも確実な投資になる。なお永住権を得た外国人は新築住宅を入手できず、購入できるのは中古住宅のみ。

 もう一つのシンガポールの悩みは水問題で、この島の住民に対して水を確保するために隣のマレーシアから水を購入しているが、マレーシアとの関係は必ずしも良好でない。
1998年にはこじれてマレーシアは水の供給を止めると宣言したほどで、以来シンガポール政府は日本の技術を導入して汚染水の再利用に取り組んでいる。

  このように住宅問題や水問題はあるものの、経済は絶好調で失業率も2%台と完全雇用の状況に有る。
今回の報道番組を見て私がつくづく感心したのは、豊かな国がさらに豊かになるヒントがあるからだ。

 成長産業の投資を促すためには法人税を免除したり、優秀な人材(特に金融業)を得る目的のためには所得税を20%に抑えたり、金持ちを集めるために相続税をゼロにしている。
そして何より企業に対する過干渉はせず、もっぱら社会インフラの整備に全力をあげて、かつ犯罪に対しては徹底的に厳罰でのぞんでいる。

 実にすばらしいノウハウだが、はたして日本はこのシンガポールのノウハウを学べるだろうか。大阪府の橋下知事のような進取の気質が有る知事が、有る特定の地域を特別区に指定して金融でシンガポール並みの規制緩和を行えばまったく無理と言うことはなさそうだ。

 ただし日本政府にそうした特区を許す度量があるかと言うとかなり怪しく、とても無理と言うのが一般的な評価だろう。
日本は豊かさをさらに豊かにする社会ではなく、静かに衰亡していく社会だと思ったほうがよさそうだ。
私は個人的にはそうした静かな社会が好きだが、より豊かな生活を求める人たちは日本を去ってシンガポールのような社会で暮らすことになるのだろう。

 

 

 
 

| | コメント (0)

(23.6.24) 今年の夏を生きて過ごせるだろうか?

23618_037  

 昨日(22日)は夏至で一年でもっとも昼が長い日だったが、同時に今年一番の猛暑日になってしまった。
私の住んでいる千葉でも気温は30度を越えたが、老人にとって急激な気温の上昇は鬼門だ。

 朝7時、いつものように清掃活動に出かけたが、帰ってくる頃はふらふらになってしまった。身体から汗が吹き出て頭が朦朧とする。
老人になってみると分かるが、老人は急激な気温の変化に耐えられない。急に暑くなったり寒くなったりすると寝込んでしまう。

 帰ってから水をかぶり1階の部屋の窓をすべて開けて風通しをよくして寝ていたが、なんとも身体に力が入らない。うつらうつらしている間に昼になってしまった。
今年は東京電力の要請を受けて我が家でも電力消費量を落とす運動をしているので、暑くなってもクーラーをつけるわけに行かない。
東京電力と一緒になってこの夏を乗り越えよう」キャッチフレーズまで作って壁に張ってある。

 しかしクーラーを使わないのは本当に大変だ。午前中はブログを書く時間なのにそれをしなかったため、午後から書くことにしたが、2階の書斎は蒸し風呂のような暑さだ。
本当は窓を開けたいのだが、窓を開けるとベランダにいるカメゴンが書斎に進入して部屋の中をグチャグチャにする。
クーラーも駄目、窓も開けられない。こりゃ駄目だ、1階でブログを書こう

 1階にもパソコンはあるのだが、そこは書斎でないので必要な書類が手の届く範囲にない。データ確認のために二階との間を往復しなければならず、まったくブログを書く気力も失った。
福島第一原発の事故でブログもまともに書けないじゃないか・・・・
仕方がないので暑い間は寝ていることにした。
昔タイの町を日中歩き回っていたら、タイのおばさんが思いっきり開け放った自宅のコンクリートの土間の上で寝ていたがそれと同じだ。
暑さ対策はタイに学ぶに限る。

 夕方になってようやく涼しくなったので、書きかけのブログを完成させ、いつものJOGに出かけたが、夕方とはいえ体中から汗が噴出した。
この夏をこんな状態で乗り越えられるだろうか」だんだんと心配になってきた。
これでは夏は東京電力に協力して死に絶えるか、クーラーをつけて生き延びるかのギリギリの選択をさせられそうだ。

 思えば昔は少々の暑さをものともせず、炎天下の下でも走り回っていたが、あの頃の自分はどこに行ってしまったのだろう。
ちょっとした気温の上昇に驚いて寝込んでしまうようなやわな体力になってしまった自分に驚いている。

 このような状態でブログを書き続けられるだろうか? 夏休みを設けたほうがいいのではなかろうか? 悶々と悩んでいる。

 

 

| | コメント (6)

(23.6.23) クローズアップ現代 医療費の無駄を減らせ 国民皆保険50年

23618_027  

 私が日本に住んでいて幸福だとつくづく思うのは、世界的なレベルの医療を安価な金額でいつでも受けられることだ。
今私は歯の根元が膿んで歯科医で治療を受けているが、最近の麻酔薬の注射がちっとも痛くなくなったのには驚いている。さらに治療もかつては麻酔を打っても手に汗握るような痛みを我慢しなければいけなかったが、そうした苦痛もなくなった。
又目の前にディスプレイがあり、レントゲンの写真がディスプレイで直ちに検索できるようになっている。

先生、日本の歯科医療のレベルは世界的にみても高いのじゃないですか?」

そうですね、やっぱり最高はアメリカで医療技術はアメリカから教わっています。その次あたりが日本、韓国、北欧諸国と言うところでしょう

 日本人としてはとても幸せな境遇にあるのだが、こと保険財政、それも国民健康保険については運営をしている地方自治体火の車になっている。
もともと国民健康保険は自由業者と農家を対象に発足したが、今では定年退職者派遣社員が多く加入し、そして一番の問題は加入者の高齢化だ。
昨日(21日)のクローズアップ現代国民健康保険の財政問題を取り上げていた。

 番組で呉市の市長が「定年退職した高齢者を引き受けるのが国民健康保険です」と言っていたが、組合保険(企業保険)の加入者が生産年齢なのに対して、国民健康保険の加入者の4割が60歳以上の高齢者になってしまったという。

 さらに問題を複雑化しているのは保険料の収納率の低下で、平成元年94%だったものが平成21年には88%になり、傾向的に下がってきているとのことだ。
一方で医療費は52兆円から111兆円に倍増しているのだから、市町村の約半分が赤字だと言うのもうなずける。

 こうした現状に呉市では涙ぐましいばかりの取り組みをしていることを番組では紹介していた。
一つは医薬品を高価な新薬ではなく、ジェネリックといわれている特許が切れた安い医薬品を利用させることで、 医院から送られてくるレセプトを分析して市民にジェネリックを使用するようにメールを送っていた。

 私は「この通知を見て本当にジェネリックに代える人がいるのだろうか? 新薬の方がいいと思うのではなかろうか?」と疑ったが、70%の人が切り替えて約1億円の経費節減になったと言う。
ただし呉市全体の医療費は260億円だそうだから、0.3%の削減にすぎない。

 また同じ医療機関に毎月15回以上診療を受けている人450名をピックアップして、そうした人を個別に保健指導を行っていた。
整形外科医に通っていた60歳の女性に「医者に行くより地域の健康サークルで活躍されたらいかがか」と言うような指導をしていたが、この女性はその気がないようだった。
そんなこと言われても医者のほうがいいわ」と言うことのようだ。

 また年間200万円以上の医療費がかかる人の大半が人工透析による治療費だと言うことに注目し、レセプトから人工透析前の糖尿病患者50名をピックアップして料理教室や健康指導を行っていた。この50名からは人工透析者は出ていないとのことだ。

 実に涙ぐましいまでの取り組みと言えるが、これで健康保険財政が健全化するかといえばしないよりはましというところだろう。
問題の本質が小手先の措置で解決するようなものでなく日本の人口の高齢化にあり、特に国民健康保険の加入者の高齢化がはなはだしいことに有るからだ。
高齢者は当然病気しがちになり病院に行く機会が多く、一方高齢者の自己負担率は軽減されている。

 国民健康保険の自己負担率は3歳未満が2割、3歳から69歳が3割、そして70歳から74歳が1割で、もっとも病院がよいが多い高齢者の自己負担が低い。

注)なお、75歳以上は後期高齢者医療制度の対象になり、市町村の運営ではなく都道府県の運営にうつっている。保険料未納者を防ぐ目的で保険料は年金からの天引きになり、包括制といって一つの病名で1ヶ月にかかる医療費の上限を定められている.。なお自己負担率は1割で残りは公費が5割、組合健保が4割

 
 後期高齢者医療制度が発足しとりあえず国民健康保険からは75歳以上の人が省かれ、その費用の4割を組合健保に押し付けることに成功したので、市町村としては財政負担が軽くはなったが日本人全体の医療費が少なくなったわけではない。
制度がどうであれ自己負担率が1割の高齢者の病院通いに歯止めをかけるのは無理だからだ。

23618_030  

 日本においては高齢者を弱者として優遇することが福祉と思われているがそれは高齢者に対する誤解である。
高齢者は確かに肉体的には弱者だが、こと経済的には強者だ。
日本の個人預金1400兆円のうち約8割は高齢者が持っており、日本の高齢者は金持ちなのだ。

注)日本の高度成長は1990年前後で終わり、それまで働いていた人は高度成長の恩恵を受けている。その後の日本の労働者は傾向的に貧しくなってきており、富は老人だけが持つようないびつな構造になっている。

 反対に若者の多くが派遣社員等で低い給与に甘んじているのが実情で、現行の国民保険制度後期高齢者医療制度を含めて)は金持ちを優遇するいびつな制度だ。
若者は老人に比較して病気になる確率が低いから病院通いは少ない。その弱者の若者から保険料を強奪して、金持ちの老人を優遇している。
私は高齢者の自己負担割合を貧しい若者と同じ3割にすべきだと思っているが、政治家は「老人はまずしい」と誤解したままだ。
こうした誤解のうえに国政や地方自治体の政治が行われており、国民健康保険制度との間で軋みが生じている。

 だからこの本質的問題を解決しない限り呉市の努力も表面的なものに止まるのは致し方なさそうだ。

なお地方財政の苦悩の例として千葉市の財政について記載した記事があります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/2284-0be0.html

| | コメント (1)

(23.6.22) NHK クローズアップ現代 アジアの舌を攻略せよ 外食産業の海外進出

23618_033  

 日本に外食産業が現れたのは1970年ごろからである。その頃から日本のあちらこちらに回転寿司ケンターキー・フライドチキンロイヤルホストすかいらーくといった店が現れた。
外食チェーン最大手のマクドナルド1971年に日本に進出している。

 ちょうど私が大学を卒業する前後で、「へー、これからはこんな店がはやるんだ!!」なんて驚きの気持ちで見ていた。
その後日本の外食産業は驚異的な成長をしたが、80年代後半に20兆円の市場規模になった頃から成長が鈍化し始め、バブル崩壊で完全に行き詰った。

 1997年20兆円前半の数字をピークにその後は長期停滞に入り、増加もしなければ減少もしないといったような高原状態が続いている。
一方外食産業相互間の競争は激しく、マクドナルドが80円バーガーをだして同業他社の追い落としを図ったり、吉野家が会社更生法を申請して実質的に倒産したりしていた。

 日本は1990年前後のバブル崩壊以降名目のGDPはまったく成長しなくなり、又人口構造も少子高齢化が進んだため、外食産業の主なターゲットである若者が少なくなってしまったのが長期低迷の原因だ。

 私はこの業界のことは単なる消費者としてしかかかわりがなかったのであまり注意していなかったが、昨日(20日)NHKのクローズアップ現代で「アジアの舌を攻略せよ」という外食産業の海外進出の話題を取り上げていた。
外食産業は製造業のような大規模な資本投下が必要ないので気軽に海外進出できるところがいい。
主として中国、台湾、タイ、シンガポールと言った所得の高い中産階級が増加している新興国が進出の対象だった。

23618_035  

 映像ではタイの成功例中国の失敗例が紹介されていた。
タイの成功例はカレーのチェーン店での進出で、タイの伝統的なカレー料理との差別化をはかり、タイのカレーの2倍の価格ではあるが日本の味そのもので勝負していた。
その成功のポイントは高級感だそうだ。

 私はタイには何回か行っているのでよく知っているが、夕方になると公園や道端に屋台が出てきて一食100円から150円程度でタイ独特の調味料をきかせたスパイス料理を食べさせてくれる。
私は好んでこうした道端の屋台で食事をするが、一般の日本人は衛生上の問題があるといって寄り付かない。

 日本から進出していたカレー店は店のつくりを高級にしてテーブル間のスペースも十分に空けて、主として中間層の女性を対象に業容を拡大していた。すでに日本の一店舗あたりの売上げよりタイの方が大きくなっているのだそうだ。
日本食はヘルシーとの評判は世界的に立っているので、健康志向の中間層への拡大は大いに有望だと言う。

 一方失敗例は中国の大連に進出した焼き餃子店で店の縮小を余儀なくされていた。
中国では餃子と言えば水餃子で、焼き餃子は水餃子があまって翌日になって食べる時の方法なのだそうだ。
焼き餃子なんて余りものよ」と言う感覚らしい。

 さらに問題は中国の食習慣で中国では個人食がはやらず、食事は家族全員といったような集団食が普通なのだそうだ。
ところが日本では餃子定食のような個人食が一般的なため、この中国の食習慣とあわないと放送では言っていた。

 それに中国料理は世界的にも一級品だから、そこで外食産業が競争するのは並大抵のことではなさそうだ。この餃子店以外にも撤退や業容縮小する外食産業が多く、進出した企業の約40%が失敗していると言う。
私なども海外に行ってもっともよく食べるのは中国料理で、これを食べている限り海外でも健康面の心配をしないで済ませることができる。

注)マクドナルドも簡単でいいのだが、毎日マックを食べていると体調を崩してしまう

 NHKの森本アナウンサーが「外食産業の新興国への進出は希望が持てますね」とジェトロのコメンテーターに言っていたが、中国を除けばかなり有望そうだ。
日本市場はすでに飽和状態でパイの奪い合いをしている状況だから、人口が増加しファッショナブルな若者が増え、所得も増加している東南アジアへの進出こそが、日本の外食産業の生き残り戦略になっている。

 

| | コメント (0)

(23.6.21) サーチュイン遺伝子をONにせよ

23618_010  

 先日見たNHK特集「あなたの寿命は延ばせる 発見長寿遺伝子」にすっかり夢中になってしまった。この長寿遺伝子の正式名は「サーチュイン」と言うのだが、普段は眠っていて活動せず、飢餓状態になるとスイッチがONになると言う。

 人類を含め生物の進化の過程において飽食は異例で飢餓が通常であったため、飢餓に強い生物種のみが生き残ってきたのだと言う。
この生き残りの方法はサーチュイン遺伝子がONになることで、サーチュイン酵素を出し、この酵素が体の中の老廃物である血管にこびりついたコレステロールや不要な脂肪を取り除いて、それを餌にして生き延びるのだと言う。

そうか、たまったコレステロールも脂肪も飢餓のときのとって置きの栄養源になるのか
こうしていわゆる老廃物が体から取り除かれると細胞内のミトコンドリアが活性化し、また免疫細胞の活動が元に戻るのだそうだ。

 ここ1週間すっかりこの説が気に入り、食事制限をして飢餓状態にしている。運動は毎日行う習慣がついているので食事制限と運動でその効果が体脂肪率に現れた。
1週間前までは腹にうっすらと脂肪の層ができており、つかむとぶよぶよしていたが、この脂肪が取れて腹回りがすっきりした。体脂肪率は18から14に落ちている。
1週間でサーチュイン遺伝子がONになったのか分からないが、脂肪が取れて身体はスリムになったぞ・・・・・・

 サーチュイン遺伝子がONになると老化が防げ現状維持できることは分かったが、はたして若返りはできるのだろうか?
禿げた頭に毛が再生したり、白髪が黒髪に戻ったりしわが取れて昔のつるつるしていた肌に戻るのだろうか?

 常識的には毛が再生するとは思われないが、それでも残った毛根から毛が生えてくることはありえそうだ。
10年ほど前にリアップという育毛剤を毎日つけていたこと思い出す。この育毛剤はそれまでの育毛剤と異なり本当に毛が生えると言うのが売りだった。

 実際につけてみて3ヶ月程度たったころから頭に産毛が生えてきた時は狂喜した。
ママさん(女房の呼び名)、見てくれ、ほら毛が生えてきた!!!!」
通常育毛剤は1日に1回か2回つければいいのだが、それから後はのべつ幕なしにつけていた。多ければ多いほど毛が再生すると思ったからだ。

 ところがつけだして2年ごろからひどい副作用に悩まされ始めた。心臓が痛むのだ。それも通常の時は痛まないのだが、マラソンレースでスタートダッシュでもしようものなら、心臓が破裂しそうなぐらい痛む。
当初は理由は分からなかったが、リアップを止めて見たら心臓の痛みはなくなった。
やはり、薬で若返るのは無理か・・・・・・」悟った。

23618_023  

 しかし今度は違う。薬ではなく自分の持っている遺伝子を活性化させるだけだ。いわゆる遺伝子治療のようなもので、副作用の心配はない。
まだ初めて1週間だから数値的には体脂肪率が落ちただけだが、信じられないことに記憶力が少し甦ってきた。
ガスコンロで湯を沸かしていることを忘れなくなったのだ。今までは3分以上たつとガスコンロのことを忘れていたが、覚えていることができるようになった。
いいじゃないか、展望が持てる!!!」

 すっかり気に入った。映像では3週間で試験者の身体にサーチュイン酵素が出ていることが確かめられているので、これからは週単位でチェックすることにした。
映像にあったウィスコンシン大学の餌を制限されたアカゲザルの毛並みは実に良かった。あのイメージが忘れられない。
俺もがんばってあのような若年寄の猿になるんだ」気合を入れている。

なおサーチュイン遺伝子関連の過去に記載した記事は以下の通り
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44501378/index.html

 

 

 

| | コメント (1)

(23.6.20) 異常気象の時代 中国の大干ばつと大洪水 そして世界

23618_001  

 この5月まではお隣の中国では南部から中部にかけて観測史上初で、100年に1度の大干ばつに見舞われていたが、6月に入って今度は大洪水になってしまった。
雨が降り始めた当初は「やれやれこれで旱魃が解消される」と喜んでいたが、今度は一向に雨が降り止まなくなり河川が決壊し長江流域は大水害になっている。

注)水害の写真は以下参照
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2807059/7358477

 この模様を放送していたNHKの解説者が「旱魃が続くと地面がコンクリートのように硬くなってしまい、そこに雨が降るとアスファルトの上に水が降ったのと同じで一気に河川に流れ込み、洪水を引き起こす」と解説していた。

 しかし私が不思議なのはこの地方に降った雨は6月1日から6日までの累計で約300mmだから、これは現在鹿児島で降っている降雨量の1日分程度にすぎない。
元々梅雨前線は中国南部から日本にかけてつぎつぎと偏西風に乗ってやってくるのだから、中国の雨量と日本の雨量にそれほどの差はないはずだ。
なぜ、中国はこの程度の雨量で大洪水になってしまうのだろうか」不思議な気がする。

 もっとも6日以降も雨は降り続いており、最近、中国の気象台は警戒レベルを最高の4に上げた。
中国は日本に比較すると防水対策が弱く洪水に脆弱すぎると私は思っているが、それにしても大干ばつと大洪水で中国は踏んだり蹴ったりの状態だ。

 世界的に見ても最近の気象の荒々しさはいたるところに出ており、日本などは毎年夏は亜熱帯の気温になり雨などはスコールと言ってよいような状況だから、電力不足の中クーラーが使えないと生きながらえるのも大変そうだ。
台風も大型化しており09年8月に台湾を襲った台風8号の雨量は3日間で3000mmと言うからすさまじい。
この大雨の影響で深層崩壊と言う土砂崩れが発生し、台湾のある村が崩壊して約500人の死者が出ていた。

 通常の土砂崩れは表層崩壊と言って地表部分のせいぜい3m程度の地層が流れ落ちるのだが、深層崩壊約80mの深さから山が一気に崩れ落ち、しかもほとんどがなだらかな常識的には崩壊するはずのない山だという。
そして今後は大雨による深層崩壊を日本でも警戒しなければいけないのだそうだ。

23618_004   
 石原都知事
に言わせると大震災を含めて自然災害は「自然の人間に対する天罰だ」ということだが、私も深い意味では同意する。
よく「人命はなにものにも代えがたい」などと人間だけを特別視して我が物顔で振舞ってきたが「なぜ人間だけの命が大事なのか」と私がオラウータンだったら異議を唱えるところだ。

 現在はたまたま生物種としての人類がはびこっているものの、地球と言う住居に暮らせられる生物種の絶対量はほぼ決まっている。
それを無理やり人類が生きのこる手段として森林を伐採し、鉱物資源を掘りまくり、地面をアスファルトジャングルにかえ、海に放射性物質を流し込んでも発電を続けてきたが、とうとう地球からの反逆が始まった。

 20世紀の気温上昇率は地球全体で1度だったが、最近は温暖化の速度が速まっているので21世紀は2度程度気温が上昇すると予想しておくのがいいだろう。
日本は完全に亜熱帯の気候になり東京は今の沖縄や台湾並みの気候になるだろう。
お隣の中国は今でも雨量が日本の6分の1程度だが、北部はますます乾燥し、南部は雨季と乾季が交互にあらわれるアフリカのサバンナみたいな気候になりそうだ。

 地球温暖化防止の取り組みは今でもそうだが利害が錯綜してまとまらず、そのうちに気象条件の悪化によって食糧生産が減少すれば、食料価格の高騰に耐えられない人類が発生しそうだ。

注)オーストラリアやロシアで乾燥化のために小麦の生産が大幅に減少している。中国長江沿岸の米どころも今年は収穫に期待できない。穀物価格は現在急上昇しており貧しい国家の国民が飢餓に直面しつつある。

 こうして人類そのものが異常気象に耐えられず死滅していきそうだから、自然と温暖化問題は解決する。
石原都知事の言う「天罰」とはそういうもので、人類が成長から発展のピークを過ぎたことは日本を含め先進国と言われるところで人口減少が発生していることでもわかる。

 20世紀はGDPの時代で人類が地球を荒らしまわったが、21世紀は地球の反逆の時代異常気象と人類衰亡の時代だと私は思っている。
GDPの信奉者は満足しないだろうが、かつての静かな自然と共生していた時代に戻るだけだから決して悪い時代ではない。
宮崎駿氏が描いた「風の谷のナウシカ」の世界である。

なお中国の大干ばつについて記載した記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/2368.html

また地球温暖化に関する過去に記載した記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat30862488/index.html

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.6.19) ベトナムと日本は戦略的パートナー  ベトナム経済の行方

23618_008  

 ベトナムは日本にとって戦略的に重要な国である。人口は84百万人程度日本の約7割であり、一人当たりのGDP中国の6割程度で、中国の人件費の値上がりに悲鳴をあげている企業にとってはもっとも注目されている国と言える。

 また政治的にはベトナムと中国は仇敵と言ってよいような間柄で、紀元前後から約1000年は中国の支配下にあったし、その後もしばしば中国の圧力を受けてきた。
最近では1979年から1989年にかけて中国と中越戦争を起こしており、ベトナム人がもっとも嫌う国は中国である。

 そして現在の差し迫った課題は南シナ海の南沙諸島西沙諸島の領有権問題に移っている。
中国の海南島とベトナムのちょうど中間地帯にある西沙諸島はベトナム戦争のドサクサで中国に奪われてしまったし(それまで半分はベトナム領だった)、それより南の南沙諸島についてはベトナムがかなりの部分を実効支配しているとは言え、中国が虎視眈々と狙って巡視船を遊弋させている。
西沙諸島を乗っ取られ、今度は南沙諸島か・・・・中国を打倒しろ!!!」

 ベトナム人のボルテージは上がる一方で、通常はデモが禁止なのに中国に対するデモだけは当局は制止しない。
元々これらの島々は漁業資源以外には何もなかったところだが、1970年代に海底油田が確認されたためひどくきな臭い場所になっている。

 一方日本では中国との間で数年おきにトラブルが発生しており、尖閣諸島の領有権問題や漁船の当て逃げ事件日本大使館に対する破壊行為等数え上げればきりがない。
中国から煮え湯を飲まされていると言う点でベトナムと日本はまったく状況が似ているため、戦略的パートナーとして手を結びやすい。

 日本はベトナムのODAの最大の援助国で、タンソニヤット国際空港カントー橋は日本の援助で建設された。
またベトナムでは南北新幹線の計画があり、その技術を日本から輸入しようとしているが、資金面の問題があって決定には至っていない。

 ここ数年のベトナムの経済成長率は6%前後だから、中国ほどではないが立派なものだ。日本のキャノンホンダ、韓国のサムスンがベトナムへの投資拡大に熱心で、中国の次の生産拠点にしようと計画している。
ベトナムを中国と比較した時の問題点はインフラ、とくに道路インフラが整備されていないことで、これは内陸部に生産拠点を建設する場合のネックになる。

23618_006_2  

 また最近は輸入物価の高騰にベトナムは悩まされているが、この原因は常に輸入超過で原油や鉱物資源をはじめ食料品の価格高騰の影響をもろに受ける経済構造に有る。
中国やタイやインドネシアの消費者物価の上昇が5%台なのに対して、ベトナムは10%~20%近くの上昇になっており、庶民の暮らしを直撃している。

注)読売新聞の解説ではベトナムでは製油施設がないため、特に原油価格上昇の影響を受けやすいと書いてあった。ただしベトナムにもわずかではあるが原油が産出する。

 このためベトナムの金融当局は経済成長一辺倒から物価上昇の抑制に舵を切っており、銀行の融資額を抑えたり公共投資削減に乗り出した。
ベトナムの高成長もインフレの影響で今後はかなりマイルドにならざる得ない。
新幹線も公共投資削減の影響を受けることは間違いなさそうだ。

 ベトナムは日本にとって共通の敵中国と言う意味でパートナーを組みやすい相手だ。
日本資本が中国からベトナムにシフトしていけば、タイのような日本企業のアセアンにおける重要拠点にすることができるだろう。
ベトナムは輸入品の物価高騰に弱い面があり、通貨ドンの値打ちも下がっているが、将来的には中国並みの経済発展が望める国と言えそうだ。

注)現在中国は東日本大震災で苦境に立っている日本を理不尽な理由でいじめないようにしているが、またいつ牙をむいてくるか分からない。そうした意味でベトナムとの間で非公式の相互援助体制を築いておくことが日本の戦略上重要になる。

 

 

 

| | コメント (0)

(23.6.18) ギリシャ危機とヨーロッパ経済

23611_014  

一体どこの経済が一番悪いのか?」先進国経済はモグラたたきになってきた。
日本経済は東日本大震災の影響下でマイナス成長が続いており、アメリカ経済は住宅価格が相変わらず低下していてサブプライムローン問題から抜け出せない。
そして今度はEUでギリシャ危機の再現だ。

 ギリシャ危機は今に始まったことではなく昨年5月、EUとIMFが総額1100億ユーロ約13兆円)の支援の枠組みを決めていた。
これは13年度までの国債償還金額に相当し(11年度全額、12年度半額、13年度一部)、ギリシャが国債の借り換え資金を調達できないことを見越してEUIMFが立替えようと言うものだった。

注)EUとIMFはほぼ3ヶ月ごとに国債償還相当分を12回に分けて融資する計画になっている。現在まで4回分、530億ユーロの融資を行っており、次回7月は120億ユーロになっていた。

 ただし条件がついていた。現政権のもとに歳出削減と資産売却を行い、約780億ユーロ(約9兆円)の歳出削減を実施することである。
パパンドレウ政権はこの緊縮財政策を受け入れるように議会に図ったが野党は大反対で、労働組合も24時間ストを打つし、アテネは交通が麻痺して緊縮財政は一向に進まない。

 EUとIMFは致し方なく国債の償還期限が来るたびに1100億ユーロの支援資金から資金を融資してきたが、とうとう切れてしまった。
これ以上待てない。緊縮財政策が決定されないと7月の償還分120億ユーロは出さない

 もっともパパンドレウ首相としても何もしなかったわけではない。懸命に野党を説得し、「私は辞任してもいい。大連立でこの危機を乗り切ろう」と提案したが、野党の新民主主義党に一蹴されてしまった。
だめだ、もう一度EUとIMFに掛け合って金を引き出して来い

注)パパンドレウ政権は中道左派政権で日本で言えば民主党政権。一方野党の新民主主義党は中道右派政権で日本で言えば自民党に相当する。
2009年の選挙で左派政権が右派政権を破って政権についている。


 ギリシャの政局は日本と瓜二つだ。与党は過半数を維持しているが造反者がいるので常に法案が通るとは限らない。
野党に大連合を呼びかけても無視されるし、一方国債の償還期限が迫ってきて、EUとIMFからは「追加融資はしない」と脅される。

23611_040  

 ギリシャは大ピンチだが実はギリシャ人は相当の食わせ物で、最後は必ずEUとIMFが資金を出すと読んで政争をしているふりをしている。
信じてください、野党は言うことを聞かないし、労働者はストを打って交通を麻痺させています。どうかもう少し待ってください

 このサボタージュに最大の支援国である真面目なドイツが怒りだした。
いったいいつになったらギリシャ問題は解決するんだ。このまま国債の償還資金を融資し続けるのか。12年度以降は自己調達すると言う計画だったじゃないか。
このままではさらに1000億ユーロの追加融資が必要になってしまう


ドイツとしてはギリシャ国債を持っている金融機関も相応の負担をすべきと考える
とうとうドイツが尻をまくった。

 この提案に欧州の銀行は震え上がった。
実はギリシャ国債は欧州の大手銀行が大量に購入してきた。なにしろ利回りが高くしかもユーロの一員だからデフォルトはありえないと思われていたからだ。
フランス大手銀行も大量に保有しているので、フランスECB欧州中央銀行)があわててドイツをなだめた。
そんなことをしたらヨーロッパの金融機関が次々に倒産する。ギリシャ支援とはヨーロッパの銀行支援でドイツの銀行もギリシャ国債を大量に持っているじゃないか

注)ギリシャ国債の残高は約2700億ユーロ(約32兆円)でこのうちの4分の1がギリシャの国内銀行、約7兆円をフランスの銀行、約4兆円をドイツの銀行が引き受けていると想定されている。

 
ギリシャ危機は一体どうなるのだろうか。パパンドレウ政権はすでに脳死状態になり、EUにすべてをゆだねている。
もしEUとIMFが追加支援をしなければギリシャは確実にデフォルトに陥る
しかし追加支援をすると、同じような状況に陥っているポルトガルやスペインがEUに泣き付く。
なぜ、ギリシャだけなんだ、私達も助けてくれ

 EUは完全にデッドロックに乗り上げた。ギリシャ問題はいつまでたっても解決せず、泣く泣く追加融資をせざるえない。
ヨーロッパ経済はギリシャやポルトガルに足を取られ、もはや回復は夢のまた夢だ。
そして最大の資金の出し手ドイツのフラストレーションはたまる一方だ。
くそ、何で遊んでばかりいるやつのためにドイツ人は働き続けなければならないんだ!!!」

なお、ギリシャ経済について過去に記載した記事は以下の通り
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat44471509/index.html


 

 


 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.6.17) 日本の政治家は中国の失敗経験から何を学ぶべきか

23611_061  
 
 信じられないような表題の記事が中国経済レポートに掲載された。
日本の政治家は中国の失敗経験から何を学ぶべきか」と言う表題だ。
書いたのは多摩大学教授で中国から22年前に来日した沈才彬教授である。
私は最初「中国の失敗経験」は誤字で「中国の成功経験」の間違いではないかと思ったが、沈教授は冗談抜きで「失敗経験」述べていた。
失敗内容は経済ではなく政治であり、それも今から50年前から30年前までの話である。

http://www.geocities.jp/mstcj182/ITEM-3A147.html

 中国の失敗経験とは毛沢東時代の吹き荒れた政治闘争の時代のことで、1959年~1978年までの失われた20年を言うのだそうだ。
私がよく覚えている中国の権力闘争は1966年頃から1969年頃に吹き荒れた紅衛兵運動(文化大革命で、ちょうど私の大学生時代と一致する。

 当時この紅衛兵運動を毛沢東が仕掛けた奪権運動だとは知らなかったので、キャンパスでは「国において精神革命が進行している」などと評価する人が多く、私の友達も毛沢東語録をかざして、「これは世紀の書物だから君も読め」なんて私に勧めたものだ。
しかし実際は劉少奇国家主席鄧小平総書記と言った実務派の失脚を狙った権力闘争で、この間数千万人の人々が虐殺された。

 そして失われた20年間の間には、上記の紅衛兵運動の他に反党集団の粛清1959年)や文化大革命推進派の4人組の裁判1976年)等もあり、とても経済政策を実施する余裕などなかったという。
当時の中国人は人民服というどう見ても貧しさそのものと言える服装をしていたし、女性はまったくかざりっけなしのおかっぱ頭だった。
今では信じられないが貧しさと中国は同義語だった時代だ。

 沈教授の言いたいことは権力闘争を繰り返して政治闘争ばかりしていると経済は停滞して貧しさだけが残ると言うことだが、日本の1990年ごろから始まった失われた20年もやはり政治闘争の連続だった。
1991年以降13人の総理大臣が就任したがこの中で2年以上の長寿政権は小泉政権の約5年、橋本政権の約2年だけで、それ以外は1年内外で政権の座を追われている。
歌手1年 総理2年の使い捨て」と1990年前までは歌われていたが、今では「歌手1年 総理1年の使い捨て」になってしまった。

 そして今菅総理が同じく1年で捨てられようとしている。
野党や民主党反主流派の意見を聞いてみると「菅総理の東日本大震災対応に不手際が目立って、これ以上首相をさせると国民のためにならない」と言うものだが、私にはさっぱり理解できない。

 福島第一発電所事故処理対応は確かに試行錯誤の連続だが、チェルノブイリ並みの原発事故を、それなら誰がやれば成功したのか聞いてみたいものだ。
もともとの原因は自民党政権の原発推進にあり、しかもM9.0の大震災を想定していなかったことに有る。

 大震災発生はたまたま菅総理の政権担当時期だが、これは菅総理の責任ではない。
谷垣自民党総裁は不信任案提出時期に「菅さん、あなたは辞めるべきだ」と絶叫し、その理由の一つとして「原発への海水の注入の停止を命じたことだ」としたが、実際は停止などしていなかった。
福島第一発電所の所長が独自判断で冷却水の注入を続けていたからだ。

23611_057  

 私は何回もこのブログで述べているが、総理大臣といえども私達とさしてかわらない人物が懸命に総理の役割を演じているのにすぎない。
総理大臣は最初から資質があって総理になったのではなく、権力闘争の結果運よくなっただけだ。

 こうした人が懸命に努力し経験を積んだりして総理大臣らしくなるのであり、当然教育期間が必要になる。菅首相にしても未曾有の東日本大震災を経験することで、ようやくアメリカからリスク管理の要諦である「リーダは最悪を想定して準備し、すばやく決断する」を学んだ。
しかしこの要諦に基づき浜岡原発を停止したとたんに、「ヒットラーのような独裁者」などといわれて政権の座から追われようとしている。 

 ようやく総理が何をするべきかを学んだとたんに、「あんたは総理として相応しくない」などと罵倒されるのだ。
これで日本の総理大臣が各国並みの元首になれたら、そのほうが奇跡といえる。

 オバマ大統領にしても胡錦濤主席にしても4年から8年はトップの位置にいて国政を担当する。
金正日総書記なんかは死ぬまで総書記のままだ。
こうしたベテラン政治家の間で、日本の総理は常にアマチュアだ。
G8G20記念写真ではいつも隅っこに小さくなっているが、これがアマチュア政治家としての宿命だ。

 沈教授でなくとも、この日本の政治情勢を見れば失われた20年失われた30年に延長されると予想するのは当然だ。
過去5年間、ほぼ1年ごとに総理をすげ替えてきたが、それで日本の政治や経済が好転したか冷静になって思い出してみてほしい。
代えるたびに日本の政治力と経済力が低下してきたではないか。

 菅総理はまもなく退陣しようとしている。しかし次に選ばれる総理も1年程度経てば、「ヒットラー」とか「宇宙人」とか「漫画ぼけ」とか言われて再び退陣の追い込まれ、一方震災対応は遅々として進まず、日本の経済力はさらに低下し、政治家は存在しないことが唯一の存在理由になることを予想しておこう。

なお菅政権に関する過去の記事は以下のとおり
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43144406/index.html

 

 

 

 

 
 
 

 

| | コメント (1)

(23.6.16) NHKクローズアップ現代 原発事故と日米同盟 日米の舞台裏

23611_033  

 たぶんそんなことではなかろうかと想像していたことが、今回NHKの日米両政府の責任者に対するインタビューで明らかになった。

・なぜ日本の対応が遅れ、アメリカの日本に対する支援表明がすばやかったのか?
・なぜアメリカは日本政府が情報を隠蔽していると疑ったのか?
・アメリカ原子力規制委員会(NRC)と日本の専門家はどの様に意思決定をしたのか?

といった疑問に対する回答がこの番組で明らかになった。

 私は日本人だから菅総理枝野官房長官、そして福山官房副長官が当初何が起こったか分からず右往左往し、情報がない中での決断を先延ばしにしていた事情はよく分かる。
福島第一原発で何が起こっているんだ。東京電力からちゃんとした説明がなければ、判断できないではないか

 これは日本特有のボトムアップ型思考で、情報は現場から整理された形で上がってきて、それを政策担当者は検討・判断して指示を与えると言う方式である。
企業や役所はすべてこのように行動し、官邸といえども例外でない

 一方アメリカはまったく異なる。こちらはトップダウン方式で、問題が発生した場合はすぐさま最高の権力者である大統領が決断し指示する。
もっともこの段階では現場からの十分な情報がないため、「最悪を想定して対処する」という行動をとる。とりあえず最悪に備えればそれ以下の状態だったなら何とでも対応が取れるという判断だ。

 私はこのアメリカの「最悪を想定したリスク管理」と言うものを今回の原発事故まで、本当の意味では理解していなかった。トップダウンであろうがボトムアップであろうがさして変わりはなかろうと思っていたのだ。

 しかし今回の東日本大震災、わけても福島第一原発事故では、ボトムアップ方式トップダウン方式のあいだに際立った相違が出た。
3月11日、地震発生と原発事故が予想された段階で、即座にアメリカは日本に「あらゆる支援をする」と言ってきたのだ。

注)これはアメリカのリスク管理マニュアルに従った措置である。日本が大震災に見舞われた場合は在日米軍が直ち救出に向かう措置になっていた。

 一方日本では今だ大震災と原発事故の詳細が分からなかったため、情報が市町村や東京電力から上がってくるまでは判断を留保して時間をつぶしていた。
日本では下部組織からの情報が来るまではトップは何もしないで待つのが普通だからだ。

 これにアメリカはいらだった。
このような大災害が発生しているのに官邸は何も行動しないのか?」
アメリカ的なセンスでは最悪を想定したリスク管理マニュアルが整備され、詳細は不明でもすぐさま大統領は非常事態宣言を発して軍隊や警察、消防の動員に着手する。
だが、日本では東京電力の判断がない限り何もしない。

 3月12日、問題はさらに悪化し福島第一原発1号機で水素爆発が発生し、さらに14日、3号機でも水素爆発が発生した。
この段階でアメリカは切れてしまった。
トモダチ作戦として2万人の米兵を投入して支援しているのに、日本からはまともな情報が入ってこない。これではアメリカ兵の安全すら確保できないではないか。せっかく専門家のNRCのメンバーを派遣したのに、日米協議すら行われない。一体菅は何を考えているんだ

 3月14日現在の最大の日米間の確執はNRCのメンバーを官邸に入れるかどうかだったと言う。オバマ大統領の督励を受けたルース駐日大使は強く要望したが、福山官房副長官は断った。
日本政府の決断のプロセスにアメリカ人を入れるわけにいかない
実際は日本では東京電力からの報告が錯綜していて何がなんだか分からなかったため、アメリカの専門家と話をすることもできなかったと言うのが実態だ。

 そして3月15日、東京電力の担当者を福島原発から撤退させるとの情報がアメリカにもたらされてアメリカの怒りが頂点に達した。
原発を放って於いて日本人は逃げ出すのか、日本人は自己犠牲と言う精神がないのか、世界中に放射能を撒き散らすと言うのか・・・・・・

日本政府は自分では何も判断できず、東京電力の判断だけで動いているではないか、それが政治家のとる態度か・・・

注)この情報は正確ではなく、東京電力は必要最低限の担当者を残して他の職員を撤退させると言う措置だった。

23611_036  

 この時ほど日本とアメリカの政策決定のプロセスの相違があらわになったことはない。
アメリカは最悪を想定して大統領が決断するのに対し、日本は下部組織(この場合は東京電力)からの正確な情報が上がってこない限り、総理が決断しないと言う違いである。
日本のようなプロセスをたどると、問題が収束する場合は大げさな対応をしないですんで国民に負担をかけないで済んだということになるが、一方事態が悪化すれば自衛隊等の逐次投入と言う第二次世界大戦での失敗と同様な結果に陥る。

 そして不幸なことに今回は情勢は刻一刻と悪化していったのだから、ボトムアップ方式は崩壊していたと言える。
その間アメリカの強い要請をいれ、3月17日からはNRCと防衛庁との間の協議が始まり、ついで3月22日には日米両組織の責任者(アメリカ:NRC、在日米軍、国防相、日本:官邸、自衛隊、東京電力)の実質的意思決定機関ができた。
危機管理のイロハを知らない日本に原発事故の収拾策を任せるわけに行かない」アメリカに押し切られた。

 しかしこの機関ができたことで、冷却水を海水から真水に変える対応や、アメリカのロボットによる原発内部の調査が始まり、その後の一連の原発事故対応はこの機関の決定によってなされるようになった。
こうしてなんとか前向きな対応ができるようになったので、3月11日から3月21日まで続いていたアメリカの対日不審は収まったという。
なんだ日本は情報を隠蔽しようとしたわけでなく、ただ何をして良いかわからずパニックになっていただけか・・・・・」ようやくアメリカも納得した。

 私は今回の原発事故の事例で、「最悪を想定して対応を図る」と言う意味を始めて理解した。問題が発生した段階では正確な情報など入手しようがないから、あらかじめ専門家によるリスク管理マニュアルを作っておいて、それに基づき行動すると言うことで、最大のメリットは行動と決断が早いと言うことだ。

 一方日本のように最悪を想定すること事態はばかられる社会では、事故前は「絶対事故は起こらない」と住民を説得し、事故が起こってからは正確な情報を入手するまで行動を起こさず、住民にいらない不信感を与えないことが最大の行動様式になる。
対応は遅く、それでも自然に問題が収束する場合はベストだが、反対になるとすべてが後手になる

 思えば日本の総理大臣はかわいそうだ。こうした緊急時でもボトムアップの情報がなければ何も決断できない。菅総理はアメリカからの要請もあって自衛隊による放水を17日に命じていたが、こうした措置を国会議員の一人が「ヒットラーのように独裁者だ」と述べていた。
ボトムアップの世界では総理が命令すると非難される。

注)阪神淡路大震災で村山総理は対応をすべて部下に任せていたが、こうしたなにもしない総理が高く評価される。

 緊急時は日本の政治でもトップダウンが必要であり菅総理は懸命にアメリカ型大統領の真似をしたが、永田町では「トップダウンの首相は首相として相応しくない。ヒットラーのようだ」と首をすげ替えようとしている。
ボトムアップの世界は危機には弱いが、しかし日本は再び1年限りの首相を選んでボトムアップの世界に浸ろうと大騒ぎをしている。

注)東日本大震災関連の記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43206851/index.html

 

 

 

 

 

| | コメント (2)

(23.6.15) 文学入門 山口仲美 日本語の歴史

23611_045  

 今回の読書会のテーマ本は山口仲美氏の「日本語の歴史」だった。この本を紹介したのは読書会でも常に独特の本を紹介するO氏である。
O氏によると「最近読んだ本の中で特に面白かったから」と言うのだが、小説でなく本格的な研究書であるこうした本を「面白い」と言って読む人は数少ないだろう。

注)この本は岩波新書として出版されている。岩波から出ているのだから、山口氏は日本を代表する研究者の一人と思われるが私は知らなかった。

 正直言えば私は日本語に関する研究書は苦手だ。特にそれが古語を扱っている場合は(私の古語の知識がひどくつたないため)、まったく知らない外国語の話のように感ずる。
この本の構成は、各時代ごとにテーマを決めてそれを記述すると言う方式で、たとえば奈良時代は「漢字にめぐりあう」だし、平安時代は「文章をこころみる」となっている。

注)このように時代ごとにテーマを決めて記述しているので理解しやすいと言うのがこの本の売りになっていた。

 真面目に最初から読み始めたが案の定悪戦苦闘の連続になった。奈良時代は「万葉仮名」の時代なのだが、万葉仮名なんかはとても読めたものでない。著者は試みに例文を読むように勧めていたが私はすぐさま本を閉じた。
平安時代は漢字ではなくひらがなで記されているから私でも分かりそうなものだが、なにしろ当時の言葉使いをまったく理解できないのだから、読んでいてもしらけるばかりだ。
こりゃ、奈良や平安時代なんかを相手にしていては、とても読書会に間に合わない
昔のことは諦めて明治以降の「言文一致」運動だけに集中することにした。

 私はまったく知らなかったが、明治政府の最初の苦悩は書き言葉ではなく話し言葉の統一だったと言う。
これはヨーロッパでも同じで、19世紀頃まではヨーロッパではラテン語が共通の書き言葉だったのでインテリの間では共通の書き言葉があったが、話言葉は国ごと地方ごとに異なっていたのと似ている。

 日本では漢文漢式和文これがどんなものかうまくイメージできない)で書けば武士階級やインテリ層は理解したが、話し言葉は江戸弁、大阪弁、京都弁、薩摩弁、長州弁、弘前弁等と言ったようにまったく統一されず、特に薩摩弁などは意図的に他国の人が理解できないように特殊化していた。
こうした中で明治政府は東京の山の手言葉を話し言葉の標準にしたのだという。

注)私は会話ではよく「お前」を「オメー」と言ったり「名前」を「ナメー」と言ったりするが、これは江戸の下町言葉で「アイ」を「エー」と延ばすのが特色。なぜ私が「エー」と言う言葉を使っていたかのルーツをこの本で初めて教えてもらった。

 話し言葉はとりあえず方がついたが(それでも標準語が正式に東京の山の手言葉と認定されたのは大正2年までかかった)、問題は書き言葉にあった。こちらは江戸時代から漢文や漢式和文で書けばインテリ層は理解できたので「いまさら書き言葉の統一でもあるまい」という状況だったという。

 しかし明治政府が五箇条のご誓文漢字かな混じり文(これは公文書としては画期的だったというで書いてからはインテリの文章も漢字かな混じり文になった。
広く会議を興し万機公論に決すべし」と言うあの文書である。
もっとも漢字かな混じり文は漢文の直訳調だったそうで、たとえば西周の文章などは「文は貫道の器なりと古人亦之を言えり、然るに今其所謂我の文章なる者言う所・・・・・」なんて感じだから私などは何が書いてあるのかさっぱり理解できない。

 こうした中で福沢諭吉は明治のインテリとしては特別に開けていて、できるだけ平易な漢字かな混じり文で啓蒙文を書いている。
たとえば「学問のすすめ」の最初は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云えり。・・・・」だからこれなら私でも分かるが、ただし話し言葉と書き言葉は福沢諭吉でも異なっていた。

23611_050  

 こうしたなかで話し言葉と書き言葉を一致させようとする「言文一致運動」は主として文学者の間で試行錯誤されたという。
小説は会話と説明部分からなっているが、「会話文」と「地の言葉(説明部分)」をなんとか口語文で書きたいと言う試みである
いわば小説をすべて口語文で書こうという試みで、それを思想的に支えていたのが坪内逍遥であり、実際に口語文で小説を書いた実践者が二葉亭四迷である。
このあたりのことはさすがに文学史で学んだことがあったが、本当の意味はまったく理解できなかった。
口語文で書いたから何なの」と言う感じだった。

注)江戸時代の戯作本は会話部分は当時の口語で書かれていたが、地の部分はあくまで書き言葉だった。

 しかし本当は日本語の歴史にとっては画期的なことだったという。
特に二葉亭四迷が悪戦苦闘の末、落語家の三遊亭円朝の「怪談牡丹灯篭」の口述筆記を参考に「浮雲」を書き、これが現在につながる小説の「○○だ」調の始まりだと知った。
それまでは「です、ます体」とか「ござる体」とかいろいろな試みが行われていたのだそうだが定着しなかった。
私は今文章を心おきなく「○○だ」と言う「だ体」で書いているが其の最初の試みが二葉亭四迷だとは知らなかった。

 その後二葉亭四迷は明治21年、ツルゲーネフの「あいびき」をこの言文一致体で翻訳して世の喝采を浴びたというが、それは小説の世界の話で学問や公用文の世界では相変わらず漢文の直訳調であり、又小説の世界でも幸田露伴が江戸時代の西鶴の言葉を真似て「風流物」を書いたり、森鴎外が「舞姫」を雅文調で書いたりして、まだ「言文一致」は完全には主流ではなかったという。

 そうした中で「言文一致」の決定打となったのは尾崎紅葉で、氏が明治24年二人女房という小説を「である体」で記載したことによって完全に「言文一致」が完成したのだそうだ。
である」がなぜ決定打となったかの山口氏の説明は「である体だけが客観的に説明するのに向いている」からで、それ以外の「でございます」「であります」「です」「」は読み手に直接働きかける主観的な語尾だからと言う。

 私は最初この山口氏の説明を理解できなかった。なにしろブログを「だ体」で気楽に書いていたからだ。
「「だ体」と「である体」とどう違うの、同じじゃないの」なんて感じだったが、実は小説では異なる。

 小説では会話地の文の二つがあるが、地の文を「だ体」で記すと作者の思いが露骨に出てしまう。それを「である体」で記すと地の文は客観的な記述になると言う。

彼はあの人がすきだ
彼はあの人が好きである

 こうしてようやく二葉亭四迷尾崎紅葉の努力で現在の書き言葉が確立したことをこの本で知った。
そうした意味ではありがたい本だが、言葉と言うものの難しい性格から読んでいてもすっきりと頭に入るような書物ではない。
やはり日本語を扱った本は難しい」と言うのが読んだ率直な感想だ。

まお、この読書会の主催者河村義人さんの感想文は以下参照
http://yamazakijirou1.cocolog-nifty.com/shiryou/2011/06/23618-4c79.html


また、文学関連の私の過去の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43898465/index.html

 

 

| | コメント (0)

(23.6.14) NHK あなたの寿命は延ばせる 発見長寿遺伝子サーチュイン

23611_048  

 最近はひどい老化現象に悩まされている。頭がはげたのはすでにずっと前からだが、最近はひどい物忘れが始まった。私は日常的に紅茶を飲むためお湯を沸かすのだが、このお湯を沸かしたことをほとんど忘れてしまう。

 何気なく台所を見てみると空になった鍋があり、ガスコンロに警告ランプがついている。私の家で使用しているガスコンロには空炊防止装置がついていて、空炊きになると自然に火が消えるので火事にはならないが、毎度のことで自分でもあきれてしまった。
なぜ3分程度時間がたつと前のことを忘れてしまうのだ」ほとんど鶏と同じだ。

 物忘れだけならまだ我慢ができるが意欲が低下している。何をするにも億劫になってしまい毎日の清掃活動ブログ製作JOGもよほど気合を入れないとできない。
しばらく前までは雨が降ろうが雪が降ろうが清掃活動に出かけていたが、最近は雨が降ればすっかり気持ちがなえて家で寝転がっている。

 JOGなども萩往還250kmを走った後は気持ちが乗らずそれでも毎日走るようにしているものの途中で歩き出すことが多い。
ああ、やだ、なんで走らなければならないんだ」なんて気持ちだ。

 腹を見ると脂肪が薄っすらとたまりだしてきている。私は中学生の頃から運動を絶やさなかったので体型がその頃とまったく変わらなかったのに、腹に脂肪がたまるなど信じられない現象だ。
俺もとうとう老化が始まったか、これも人生なのか」ため息をついていた。

 しかし昨日(12日)驚くべきテレビを見てしまった。NHKが放送した「あなたの寿命は延ばせる 発見長寿遺伝子」と言う番組で、そこでは老化を防ぐ遺伝子がついに発見され、その遺伝子を活性化すれば100歳まで老化せずに生存可能だと言う。
ほんとかい?????」目が点になった。

 この老化を防ぐ遺伝子はサーチュインといい、普段は眠っている遺伝子なのだそうだ。
この眠っている遺伝子を活性化すれば老化が防ぐことができ、番組ではアメリカのウィスコンシン大学の実験で「老化ざる」と「老化せざる」の二匹の猿の約20年間に及ぶ比較実験の結果を紹介していた。
両方とも24歳のアカゲザルで一方は私のようにはげていて皮膚がたるんでおり、他方は若さみなぎる猿だった。
若者と爺さんというくらい見た目は違っている。

この猿の違いは餌の与え方にあり、一方は十分な餌を、他方は30%ほど餌の量を減らして与え続けた」のだと言う。
日本のことわざに「腹八分目」という言葉があるがそれと同じで食料が十分でないほど長生きするのだそうだ。

 学者の説明では人類を含め生物は進化の過程で何度も飢餓状態に遭遇し、そうした条件下でも生きながらえるように飢餓遺伝子を体内に取り込んだのだそうだ。これは食料が不足すると活動し、体内にたまった老廃物を掃除してくれる。

 番組では老化の最大の原因はミトコンドリアの老化と免疫細胞の老化で、これを防げば老化の進行を遅らすことができるのだと説明していた。
ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場なのだが、老化が始まると活性酸素を放出してしまい、この活性酸素が他の細胞を傷つけて老化が進むと言う。
しみやしわや血管の老化の主要な原因で有る活性酸素をこのサーチュインはサーチュイン酵素を出して消してくれるのだと言う。

 一方免疫細胞は通常は病原菌を攻撃するのだが、年を取ると敵と味方が分からなくなって、めったやたらと攻撃が始まって特に血管を攻撃して老化を早めるのだそうだ。
ここでもサーチュイン酵素が免疫細胞をおとなしくさせる効果があり、老化を防げるという。

 私にはミトコンドリアと免疫細胞の若返りのメカニズムは今一理解しがたかったが、今井博士のサーチュイン遺伝子は飢餓遺伝子だと言う説明はよく理解できた。
私のイメージでは体内の老廃物と言えども栄養源だから、飢餓状態ではこうした不要な栄養源を食料にすることによって生き延びることになり、血管にたまっていたコレステロールなんかがすっかり掃除されてもとの若々しい血管になるのだと理解した。

そうか、飢餓こそが若々しい体力の源泉か
もっとも本当の飢餓になってしまえば今度は血管そのものを維持することができなくなるのだから、程度問題でそれが約20%から30%程度の節食と言うことのようだ。

23611_047  

 なにかこの番組を見てすっかり気持ちがハイになった。
かつて私が45歳頃から55歳頃までの10年間、食事を1食に減らしていたことがある。
目的はフルマラソンで記録を向上させるためで、当時の理論で「体重を1kg落とせばフルマラソンの記録は3分短縮する」と言うのがあった。
私は当時記録の伸び悩みに悩んでいたため、この理論に飛びついた。走るより体重を落とすほうがらくだと思ったからだ。
夕方頃になると飢餓状態になったが、それでも我慢していたものだ。
そうか、あの頃の1食主義は老化予防の実験でもあったんだ・・・・・・・・・

 今の私の希望はできるだけ長くフルマラソンを走ることだが、この番組をみてその展望が開ける思いがした。
なんとか節食を続けて100歳でフルマラソンの世界新記録を立てよう」なんて気持ちだ(この番組の導入部で100歳の宮崎さんが100mで年齢別世界新記録を達成した映像が紹介された)。

 なお番組ではこの節食方法に耐えられない人のためにアメリカではサーチュイン酵素を活性化させる方法を紹介していた。その名前はレスベラトロールといって、アメリカではサプリメントとして広く販売されていると言う。
アメリカでは節食よりもこちらの方に人気があって、「いくら食べてもレスベラトロールを飲めばいいのよ」なんて番組に登場した女性が言っていた。
しかし番組ではサーチュイン酵素は1回しか効果がないので、それを再利用できる薬がレスベラトロールだといっていたので、そもそも飽食でサーチュイン酵素が出なければ薬は何の役にもたたないはずだ。

注)医薬品メーカーはレスベラトロールを使用した薬品の開発にしのぎを削っているが、現状では薬品として売られていない。販売されているのは効果が明確でないレスベラトールを含んだサプリメント。

 やはり節食をすることでサーチュイン遺伝子をONにし、サーチュイン酵素を出して、酵素をレスベラトロールを利用して何回も再利用するというのが結論のようだ。

注)最近NHKが放送したためしてガッテンの老化防止法は糖化の予防だった。何かいろいろな方法があるようだが、おそらく老化の原因がさまざまだからだろう。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhk/index.html

 

 

 

| | コメント (1)

(23.6.13) インド経済の展望 中国に勝てるか?

23611_040  

 私とインドとのかかわりは今から25年ぐらい前にインドの子供のフォスター・ペアレントになって毎月5000円を送付していたことだ。
当初私はこの資金が私が面倒を見ていることになっているフォスター・チャイルドの元に送金されているのだと思っていたがそれは誤解だった。

 インドと日本の所得格差は約40倍程度有るのだから、日本の5000円はインドでは20万円程度の価値になる。こんなお金を子供に与えたら日本からの送金で家族全員が働かないで暮らすことになってしまう。
実際はインドに有るNPO法人の活動資金として使用され、フォスター・チャイルドには帳面とか教科書が配布されるが、それもそのNPO法人が対象としている児童全員に配られていたことを知った。

注)2010年の一人当たり実質GDP  日本42、820ドル、中国4、382ドル、インド1、032ドル

 私は長い間インドはとても貧しい国と思っていたが、それは昔の話で最近の経済成長率は目を見張るものがある。
年率で8%前後なのだから中国には及ばないが立派なものだ。

 人口は約12億人で中国とどっこいどっこいだし国土も広いので中国的なイメージを持つが、こと経済に関しては中国とはまったく異なる。
中国が改革開放で外国資本を導入し貿易立国で国の成長を図っているのに対し、インドは貿易障壁を高くしてインド資本との競合をさけ、国内産業の保護に重点を置いた成長戦略をとってきた。

注)インドは1991年から開放政策に切り替えたが、中国とことなりおっかなびっくりの解放で国内産業と競争するものは関税障壁で守っている。

 中国では製造業の躍進が目覚しいが、インドはスズキタタといった自動車産業があるものの国内生産向けであり、輸出産業としては育っていない。
これは貿易統計を見ると明らかなのだが、輸出品で最もウェイトが高いのが宝飾品であり、インドはアントワープのダイヤの下請工場だし、安い金加工も盛んだ。
2番目の輸出品は石油精製品だが、インドは海外から原油を輸入しそれを精製して主として中近東に販売している。これは中近東の精錬所を引き受けているからだ。
3番目は繊維品だからどう見ても中国のような工業国家とはいえない。

 一方輸入は自国で使用する原油と精製用の原油でこの輸入量が全輸入量の約3割を占めており、昨今の資源価格高騰によって貿易赤字は慢性化している。
この赤字を埋めるのがインド得意のソフトウェア産業で、主としてアメリカのIT産業の下請けで膨大なサービス収支の黒字を計上している。
さらにインド人は世界中に出稼ぎに行っているので出稼ぎ先からの送金が多く、サービス収支とこの移転収支の黒字で貿易収支の赤字を補填するのが基本的なパターンだ。

注1)一時経常収支は黒字化したが、昨今は資源価格の高騰で大幅な貿易赤字を計上しており、サービス収支で経常収支を補填できない状態が続いている
注2)経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支(利息・配当)+移転収支(送金)


 インドの成長戦略はソフトウェアを中心とするIT産業だが、IT 産業の従事者は最低でも大学を卒業したインテリ階層であり、一方大多数のインド人はまともな教育を受けていない。
この低学歴層を対象にしたのがインド国内の製造業やサービス業で、この職場を確保するためにインド政府は明確な関税障壁や非公式な参入規制を行ってきた。
貧しいインド人の職場を守らなければ政権が持たない」と言う感じだ。

23611_043  

 インドの経常収支は赤字だが、幸いなことに経常収支の赤字は準備通貨の減少と海外からの借入(投資)によってファイナンスされており、インドに対する成長期待が強い間は海外からの投資が細る心配がない。
現在のインド政権は中道右派だから、投資家は安心して投資が可能と思っており、最近は日本からの投資も増えている。

 インドがおっかなびっくり改革解放をとっている本当の理由は中国からの輸入品攻勢と投資攻勢におびえているからだ。
インドの最大の貿易相手国は中国で、少しでも関税率を引き下げると怒涛のごとく中国製品がインドに出回ってしまう。
これを許すとインドの国内産業はたちまちのうちに疲弊してしまうので政治危機が発生するし、又政治的にはインドの仮想敵国は中国で、その中国に経済でがんじがらめにされることを恐れているのだ。

注)カシミール紛争ではインドは中国にいいようにあしらわれカシミールを中国に支配された。インドはこの敗戦に懲りて中国との軍事バランスをとるために核兵器の開発を行った。

 そのためアセアンや日本との関係を強化し、自由貿易協定を締結してこことの貿易拡大を目指している。
もっともインドは貿易立国ではなくサービス立国だから、積極的にIT産業を誘致し、アメリカのIT産業の下請けでプログラム開発をしたりしてサービス収支の拡大する方が本命だ。

 21世紀の大国、中国とインドの勝負はどうなるだろうか。今のところは圧倒的に中国がリードし、一人当たりのGDPも中国はインドの4倍だ。
だが、21世紀はハードよりもソフトが重要になる時代だ。日本はあまりにハードにこだわったために21世紀レースで脱落した。
はたしてインドのソフト戦略は成功するだろうか?
現在はもっぱらアメリカのIT産業の下請けに甘んじているが、そのうちインドからアップルやマイクロソフトのような会社が出現するかもしれない。
10年単位で見るとインドの追い上げはかなり有望と言えそうだ。

なお、これまで記載してきたインド関連の記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat41656754/index.html

別件)「おゆみ野四季の道」、「おゆみ野四季の道その2」のカウンター10000を「おゆみ野四季の道 新」に加えました。

 

   

 

| | コメント (1)

(23.6.12) 青葉の森公園へのジョギングコースと歩く会

23611_003  
 
 青葉の森公園はとても素敵な公園で、最近ここでリレーマラソンが開催されて私も所属しているちはら台走友会も出場している。
私の家から距離的には片道7km程度なのでほんの一走りと言った距離なのだが、あまり行く気がしなかったのは交通量の多い大網街道を走らなければならないからだ。

 この近くの人はよく知っているが大網街道の歩道はほとんどないに等しい幅で、せいぜい50CM程度だ。しかも家屋の出入り口は段差になっているので走りづらいことこの上ない。
一方私の住んでいるおゆみ野周辺は四季の道かずさの道といった、日本でも有数のJOGロードが整備されているので、「わざわざ青葉の森まで行くことはなかろう」と言う気持ちになってしまう。

 ところが先日「里山を歩く会」に参加したのだが思わぬ素敵なルートで青葉の森に行ける事を教えてもらった。
この「里山を歩く会」はおゆみ野周辺に住んでいる60歳以上の健脚な人だけを対象にしたサークルで入会条件がとても厳しい。

死んでも歩き続けることができる人」と言うのが入会条件で、この規約を作ったのはほとけ姉さんである。ほとけ姉さんは民生委員をしているのだが、その経験から「人間として最も大切なことは死ぬまで歩き続けること」だと悟ったらしい。
山崎さん、人間は自分で歩けることが一番幸せで、人の手助けで生きるようになったらそれは不幸せなものよ」と教えてくれた。

23611_011  

 メンバーは厳選されていて、四季の道の名物男の「散歩おじさん(この人は時間が有る限り四季の道を一日中歩いている」や、世界中をクルージングして残された場所は里山だけだと思っている元パイロットの「パイロットおじさん」や、鎌取駅の北側の里山なら何でも知っている「エノキ姉さん」である。

 私がこの会に入れたのはフランスで巡礼の旅をしたり、北海道で伊能忠敬の足跡をたどったり、熊野の奥駆けをしていたことが評価されてほとけ姉さんの目に止まったからだ。
まあ、山崎さんなら歩けそうだから会にいれてあげるわ
この会は広く知られているわけではないが、一部の散歩好きにはなんとしても会員になりたいような名誉有る会なので、私も感激して涙にむせった。

 今回(9日)はここおゆみ野から調節池を源流とする支線みやこ川を下り、千葉東金道と京葉道路がぶつかる地点にある「都市緑化植物園」で今咲きそろっているバラを鑑賞し、さらに青葉の森まで行って森を一周し、内部の植物園を見て又同じ道を帰ってくコースだった。
案内してくれたのはこの里山なら何でも知っているケヤキ姉さんである。

 私はこの支線みやこ川の両岸に整備されていたJOG道路はよく知っていたが、そこから都市緑化植物園を経由して青葉の森に行けるとは知らなかった。
これはすばらしいJOGロードだ。行って青葉の森を走り、帰ってくれば20km程度の距離になりそうだ」すっかり気に入ってしまった。

 ここおゆみ野周辺は本当に走るのには適した場所だ。高橋尚子選手が現役時代この周辺でトレーニングをしていたし、JOGロードとして四季の道やかずさの道を紹介していた。
私はそれ以外に昭和の森長柄ダムに行く道や村田川の堤を走っていたが、今回青葉の森への道をJOGロードに加えることにした。

 私のようにJOG好きには信じられないようなベストロケーションと言っていい。とても幸せな気持ちになってしまった。

 

 

| | コメント (0)

(23.6.11) ロシアはロシア 人口減少でもGDPは拡大する

22619_020 

 ロシアという国の統計数字の中で最も目を引くのは人口減少である。日本は2005年あたりから人口減少国になっているがロシアはそれより10年以上も前の1992年をピークに傾向的に人口が減少している。

注) 1992年 149百万人  2011年 140百万人 

 信じられないような数字だがこの原因は少子低齢化である。日本のように少子高齢化の世界に住んでいるととてもイメージできないが、ロシア人の平均寿命は低下しているのだ。
ロシアがソビエト・ロシアと言われていた時代からロシア人の生活は厳しかった。
一部のエリートを除くと消費物資は満足に入手できず、食料はダーチャと呼ばれた家庭菜園で育てた野菜やジャガイモでしのいでいた。

 私にはロシア人の友達がいてバイカル湖の近くのアンガルスクと言う街に住んでいたので訪問したことがあるが、ロシア人は休日にこのダーチャで農作業をしなければ生きていけないことを知った。市場に物が出回らないためまさに自給自足経済なのだ。
そして1990年前後のソビエト・ロシアの崩壊でかろうじて機能していたソビエト式医療体制が崩壊し、1994年ごろは平均寿命はさらに低下してしまった。
この状態は2000年のプーチン大統領就任で改善されたが男性の最近の平均寿命はなんと62歳である。

注) 平均寿命の推移
    1990年ごろ    1994年    2008年
男性     65歳       58歳      62歳
女性     75歳       71歳      74歳


ロシアには高齢化問題は存在しない。なぜなら高齢者になる前に死んでしまうからだ」と冗談交じりに言われる。
男性の平均寿命は63歳だから、私などはロシアにいたらとうに死んでいたことになる。

 死因で多いのは心血管系の死因で、ありていに言えば心筋梗塞である。それと男性は自殺と他殺が多い。
世界の自殺率の順位のベスト3はベラルーシ、リトアニア、ロシアだがすべて旧ソビエト諸国であり、一方他殺率は南米のベネズエラ、グアテマラ、ブラジルやアフリカのソマリアやスーダンといいとこ勝負だ。

 ロシアは自然環境が厳しく生きるのが難しい場所だ。そうしたところで医療体制が崩壊し、かつ経済体制が崩壊すると、男は頭に来てウォッカを浴びるほど飲み体調を壊したり、思い余って自殺をしたり、酒や麻薬で殺し合いをするということのようだ。

 2000年に大統領になったプーチン氏はこうしたロシアの社会情勢を立て直そうと、これもロシア式に相当荒っぽい方法で解決をはかった。
それまで経済についてはまったく無知蒙昧だったエリツィン大統領が国有財産を切り売りして新興財閥の好き勝手な社会になっていたのを、暴力やかなりいい加減な法解釈で新興財閥のリーダーを片っ端から裁判にかけ監獄に押しこめてしまった。
こうでもしないと秩序もへったくれもなくウォッカをがぶ飲みして暴れまわる国民を統治できないのだとプーチン氏は悟っているみたいだ。


注)法を無視したプーチン氏のやり方に怒ったジャーナリストがキャンペーンを張ったが、こうした人たちはほとんどが非業の死を遂げいまだに犯人は分からない。
もちろん犯人の指令者はプーチン氏なのだが警察と検察と裁判所はプーチン氏の子飼いがボスだから誰も犯人捜査を真面目にしない。


 ロシアはいつまでたってもロシアだ。こうした手段で石油会社やガス会社を国有化しそこからの運上金で国家財政を建て直し切り盛りしている。年金も軍人の給与改善もすべてこの国有化政策の恩恵で生活は改善に向かった。
国家予算の約7割が石油会社とガス会社からの税金だからだ。

 
注)ロシア人はまともに税金を払う習慣がない。かつては全員が国営企業の従業員で企業が代表して国家に税金を払って残りを従業員に分配していた。したがって自分から税金を払っていると言う意識はなかったし、今も同じ。

 ロシア経済ほど分かりやすい経済はない。ロシアは鉱物資源と軍需産業で持っている国で、わけても石油と天然ガスの価格に左右される。
最近の鉱物資源価格の高騰はロシア経済を潤しているが、天然ガスについては問題が発生した。

 従来ロシアは世界最大の天然ガスの供給国で特に東欧や西欧諸国にパイプラインで天然ガスを供給していた。そしてウクライナのような反ロシア政権が誕生すると天然ガスの供給を停止したり縮小したりして圧力をかけてきた。
ところが最近アメリカでシェールガス革命が起こって、世界最大の天然ガス産出国はアメリカになり、さらにアメリカが天然ガスの輸出国になってしまった。

 これに驚いたのが中東のカタールで最大のお得意先のアメリカが輸出国になってしまったために輸出先をヨーロッパに変更し、ロシアと天然ガスの販売で競合し始めた。
おかげで12ドル程度だった天然ガス価格は4ドルと3分の1まで急落している。

 ロシアにとっては踏んだり、蹴ったりだ。天然ガスではヨーロッパ市場から追い出されそうになっているが、それでも石油や石炭価格が上昇しているので、ロシアのGDPは順調に伸びている

 ロシアは日本と同様に人口が逓減しているのにGDPは伸びている不思議の国だ。そのからくりは鉱物資源価格の高騰で、アメリカやEUや日本が湯水のように資金を供給して鉱物資源価格の高騰を助けているので、人口が7%程度逓減しても、石油価格や石炭価格が2倍や3倍上昇するのだからGDPは増加する。

 だから今後とも鉱物資源価格の大暴落がない限りロシア経済は安泰といえそうだ

 

| | コメント (2)

(23.6.10) 世界経済の乱気流と中国経済の行方 ソフトランディングかジェットコースターか?

21610_036_2 

 今世界の市場関係者の関心はただ一点に絞られている。中国経済が減速するとしてもそれはソフトランディングジェットコースターかと言うことだ。
もし前者であれば国際商品価格原油、鉄鉱石、石炭、銅、食料等)の値下がりは軽微にとどまるが、後者で有ればリーマン・ショックの再来で50%から75%程度の値下がりは避けられない。

 現在先進国経済についてはイエローカードが出されているのは誰の眼にも明らかだ。
日本は東日本大震災と福島原発事故の影響で11年度のGDPはマイナス成長が予想されるし、EUはいくらギリシャに資金を提供しても(ドイツ人の言葉で言えば自堕落なギリシャ人がすぐさま放蕩して)ギリシャ経済はデフォルトしそうだし、アメリカは住宅価格が相変わらず低下の一途をたどっているのでどうもがいてもサブプライムローンの桎梏から逃れそうもない。

 だから世界経済の救世主は世界経済第2の大国、中国の経済成長にかかっているが、ここでは多くの阻害要因が現れ始めた。
最も問題は輸入インフレが収まらないことで、おかげで消費者物価指数は5%程度の上昇が続いており、食料品価格だけで言えば10%程度だ。
住宅価格の上昇は中国政府の土地資金融資の絞込みによって弱含みに転じているし、は慢性的な水不足が解決できず、電力供給も石炭価格の上昇で思うに任せない。

 「もしかしたら中国経済の躍進もピークを打ったのではないか」と市場は疑心暗鬼になっている。おかげであれほど急激に上昇していた商品相場が乱気流に突入してしまった。
原油価格は一頃115ドルを突破し、リーマン・ショック前の150ドルになると市場は囃していたが、実際はそこから急降下して今では100ドルを挟んで乱高下している。

 鉄鉱石石炭も一時の一方的な値上がりは収まって、上げ下げどちらに行くのか分からないような状態だ。
先行指標と言われる株式相場はアメリカもEUも日本も中国も大きく低下し始めた。
これは単なる踊り場か、それともリーマンショックの再来か?」
市場が疑心暗鬼になるのは当然で、今までつぎ込んできた資金を引き上げるかそれとも強気でがんばるか選択を迫られている。

 おりしも米エール大学のスチーブン・ローチ教授が「中国経済が崩壊しない10の理由」と言う論文を発表した。
http://topics.jp.msn.com/wadai/searchina/article.aspx?articleid=604796

 一般的に欧米の学者は中国経済に対し悲観論を、中国の学者は楽観論を述べるのが普通なので、興味があってその紹介記事を読んでみたが思わず笑ってしまった。
かつて日本が70年代から80年代にかけて高成長をしていた時の日本経済強者論とそっくりだったからだ。

① 長期戦略
中国は1953年以来5カ年計画を作成し、特に今回の5カ年計画では生産型モデルから消費牽引型モデルに明確に舵を切った。

日本は通産省の指導により、計画的に成長産業を選択し集中的に投資を行ってきた。日本は資本主義国と言うより官僚指導の社会主義国であり、明確な長期戦略の基に日本経済を主導している

② 安定を保つ規律
中国は安定を最優先課題として、規律を重視しリーマンショックを乗り切った。

日本は終身雇用制により従業員は企業に対する忠誠心が高く、残業もいとわず仕事をする企業戦士であり、これが日本経済の原動力になっている

③ 貫徹する力
中国は企業と金融市場が改良され、一層の改革が今なお進んでいる。

日本の企業は世界企業としてシェア拡大がとどまらず、又金融機関は世界の10大銀行の約半分を占めるほど大躍進している

④ 高い貯蓄率
中国の貯蓄率は50%を越え、これが投資に向かっている。

(日本人は老後が不安のため貯蓄にはげみ消費を抑えるので、この貯蓄された資金が投資に回ってますます企業の規模拡大が進んでいる

⑤~⑧ 潜在力ある消費
中国の消費の潜在力は大きい。中国政府が投資から消費に舵を切り替えたことで消費拡大が期待できる。

日本では中曽根首相をはじめ前川レポートで国内消費の拡大に取り組んでおり、輸出主導型の経済から国内消費型の経済に切り替えようと努力している

⑨ 教育レベルの全体的向上
中国は教育に投資を増大しており、これが経済発展の原動力になる。

日本の教育水準は先進国の中でも突出して高い。特に高校までの教育は充実しておりこれが中堅技術者を大量に生み出し日本の経済を支えている

⑩ 活発なイノベーション
世界第3位の特許出願国になった中国は「戦略的新興産業の振興」に目標を据えた。

日本の特許出願件数はアメリカに迫り特に戦略的分野での特許数が多い

 私が笑ってしまったのもうなずけると思う。現在中国に言われていることは、バブル崩壊前の日本に言われていたこととほとんど同じなのだ。
成功している時は成功の原因を、失敗している時は失敗の原因を学者はそれらしくいうもので、ローチ教授の話もその例に漏れない。

 中国ははたしてソフトランディングするのだろうか、それともジェットコースターになるのだろうか、今のところ誰も予測は不可能だが、そうした疑問を呈しなければいけないほど世界経済が乱気流に入ったことだけは確かだ。


なお、中国経済に関する過去の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43974941/index.html

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.6.9) スイス経済の強靭さはどこから来るのだろうか?

Image1 

 私がスイスに有る金融子会社の監査を行ったのは今から15年ほど前のことだ。日本の中小企業が盛んにスイスで社債の起債を行っていたので、そのために日本の金融機関もスイスに子会社を設立していた。

 しかし監査に行ってびっくりしてしまった。「スイス人の従業員に対する聞き取りは一切まかりならない」という。スイスでは守秘義務が硬く守られているため、もし従業員が監査人にそのような情報を提供したらスイスの法律で厳しく罰せられ、子会社も閉鎖されてしまうと言うのだ。

 仕方ないので日本人の派遣社員に別室で隠れるようにして聞き取りをしたが、その程度の作業は2日程度で終わってしまう。監査期間は1週間だったのであとはチューリヒ湖の沿岸をジョグしたり、市場を見学したりユング・フラウの高山電車に乗ってスイスアルプスを見て時間をつぶした。
個人的には楽しかったのだが、スイスと言う国の実態を垣間見る思いがした。

 スイスは世界でも屈指の豊かな国だ。一人当たりのGDPは2010年で75,835ドルというから日本の約1.7倍だ。
EUにも加盟せず、永世中立国というのでかつては日本人のあこがれの的だった。平和でのどかでエーデルワイスが咲き乱れる国と思っていたからだ。
しかし実際は常備軍が整備され、国民の男性はすべて予備役に編入されていて家には軍事訓練用の小銃や、将校クラスは自動小銃が配備されているのだから相当の軍事国家だ。
もちろん軍需産業も立派なものがあるので、日本の平和主義者の夢を壊してしまった。
攻めてきた敵があまりの損失で征服がいやになる程度の防衛力を整備する」のがスイスの国是である。

 防衛力も相当なものだが、スイスの本当の強さは「金融機関の秘密性」に基ずく経済力に有る。スイスにはクレディ・スイスとかUBSとかいった世界的な金融機関の他、プライベート・バンクという中小の個人レベルの金融機関が多く存在する。

 こうしたプライベート・バンクはかつては世界中の金持ちに隠し預金口座を提供していた。特にユダヤ人の金持ちが利用していたがナチス・ドイツの迫害で多くのユダヤ人が死亡したために、莫大な金額の預金がプライベートバンクの所有になった。
最も最近はバミューダ諸島、ケイマン諸島、ドバイと言った競争者が出てきたのと、EUやアメリカから厳しく情報開示を迫られているため、かつてのような一人勝ちと言うわけにはいかない。

 最近スイスはマネーロンダリングの温床という汚名返上のためベンアリ一族、ムバラク一族、カダフィ一族と言った独裁者の秘密口座で不当に利益を上げたものについてはスイス当局が資産を凍結すると法改正をした。
これでスイスも国際社会の立派な一員だ」と胸を張ったが、実際は凍結前に資金はスイスより安全な場所に移されている可能性が高い。
インターネットの時代は資金はたちどころに安全な場所に移動する。

 それに大手の金融機関はEUやアメリカと言った世界中で活動しなければならないので、当局に協力するがスイス国内だけのプライベートバンクは相変わらず守秘義務を楯に知らぬ顔のはんべいを決め込んでいる。
スイスは相変わらず「秘密こそが収益」の国なのだ。

 スイスはなぜ日本より裕福なのだろうかと思う。
表面的にはとてもよく日本と似ている。貿易収支は常に黒で世界的な製薬会社やネスレのような食品会社、それに高級時計は有名だ。
しかし経常収支が黒字の本当の原因は観光業(サービス収支)と金融業(所得収支)による儲けだ

注)貿易収支の黒字国は儲けた金を対外投資(資本収支)に向けるので、利息収入(所得収支)が増える。したがって貿易収支は黒字、所得収支は黒字、資本収支は赤字のパターンになる。この収支構造は日本とスイスは同じ。

 有余る資金を投資して稼ぎまくっているという状況で、スイスの所得の源泉は金融業だと言える。
クレディ・スイスUBSもリーマン・ショック時にサブプライムローン債権を多量に抱え込んだが、スイス政府の支援で乗り切り今はわが世の春を謳歌している。

 スイス当局は金融機関の支援は行ったが日本のような金融支配を志向しているわけではない。
日本の場合は金融庁や財務省が金融機関の手足を縛って、1%を少し上回るだけの国債を無理やり買わせて金融業を低収益産業にさせている。
その対極の立場にあるのがスイスだ。

注)日本は個人預金約1400兆円のうち、1000兆円を国債や地方債の購入に当てている。国債の鞘は1%程度だが、一方ヘッジファンド等の鞘は最低でも10%程度を目標にしている。

 スイスを見ているとなぜ日本がこれほど低収益国になったのかが分かる。同じ貿易黒字を稼ぎ出し、所得収支利子や配当金)も多く金融機関は多くの預金を集めているのに、一方は最も低収益の国債購入しかできず、一方は世界の投資銀行として高収益を稼ぎ出している。
貿易立国で稼ぎ出した資金は、次は金融立国として収益の源泉になるのだが、日本はそれに失敗し、スイスは成功していると言うことだろう。
おかげでリーマンショック後はスイス・フランは円に対して20%程度上昇している。

注)貿易黒字がたまると為替操作をしない限りその国の通貨は高くなる。そのため輸出産業の立地条件は悪化するが、一方通貨高になれば今まで溜め込んできた資金や海外からの預金で金融業が隆盛を極める。



なお、スイスにおけるプライベートバンクに関する記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/23217-ba69.html

 

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

(23.6.8) 水をどこから確保すればいいか? 中国の水資源問題

22615_034 

 日本のように水資源が豊富で、「今日も雨かい」なんて国に住んでいると信じられないことだが、今中国では大旱ばつに襲われている。
通常旱ばつと言うと一部地域のことが多いのだが、中国全土どこもかしこもと言う状態で、とうとう首都北京と長江中流域の省が水争いを始めた。

 もともと北京周辺は河川が少なく、ダムだけの水資源では不足していたため足らない分は地下水のくみあげで水を確保してきた。
ところがここ数年に及ぶ旱魃でダムの水が払底したため、地下水のくみあげがひどくなり、本来の水位から30mも地下水が下がってしまった

 地下水と言うものは100年単位でたまるもので、それをくみ上げたら数年は中止して水位の回復を待たなければならない。ところが年がら年中吸い上げるので地盤沈下が発生したり、水質が悪化したりして大問題になっている。

 これには中国政府も弱り果てて、本来水資源が豊富な長江揚子江)から水を引く計画を立てた。「南水北調」と言うのだが、これで水資源が確保できると思っていたら今度は長江流域が大干ばつに襲われだした。
なにしろ過去50年間で最大の旱魃で、例年の約半分程度しか雨が降らない。
おかげで長江周辺の湖が干上がり始め、安徽省、湖北省、湖南省、江西省といった長江中下流域の省が「北京への水の供給よりわが省の水の確保が先だ」と中国政府にたてつき始めた。

 北京は水がなくなり、何か砂漠の中のオアシスのような状況になりつつある。
この状態に中国政府は危機感を強め、海水の淡水化に乗り出したが、淡水化のためには多量の石油を使用するため、馬鹿高い水になってしまう。今は差額を地方政府が補助金で埋めているから市民の使用代金は同じだが、地方政府の財政圧迫原因になっている。

注)海水を淡水化した水は通常の飲料水の約倍程度の費用がかかり、今後石油価格の上昇に伴ってさらに価格アップしかねない。

 中国の水資源問題を深刻にしたのには外部と内部の二つの要因がある。
外部は地球温暖化問題で外部と言っても中国が最も責任があり、中国が二酸化炭素を世界の20%相当アメリカとほとんど同じ)も排出した結果で、大陸部で特に乾燥化が進んでいる。

 一方内部は中国の経済成長の結果一人当たりの水使用料が伸びたのと、人口増とその人口が都市部に流れ込んでいることにある。

注)中国の現在の人口は13億3千万人程度。これが30年には14億6千万人でピークを打つと予測されている。今後20年間でほぼ日本の人口と同程度の増加が見込まれ、こうした人々に水資源を配布しなければならない。

 北京市は周辺自治体と共に節水と水資源の再利用を呼びかけたり、水田を畑に変えてとうもろこしを栽培させたり、水を多く使用する工場やゴルフ場の建設を認めなかったり、あの手この手の対策をしているが効果ははかばかしくない。

 なにしろ北京市の一人当たり水資源は年間100㎥程度で、これは国際水準1000㎥約1割だと言うからすさまじい。
日本全国の平均水資源量は一人当たり約3000㎥だから、これに比較すると30分の1だ。

注)なお中国の平均的一人当たり水資源は約500㎥だからこれでも日本の6分の1で、中国は乾いた大陸と言える。

 最近日本の森林地帯が中国人によって買い占められているとの報道がされていた。
何で森林地帯なのかい、木材が不足しているのかい」なんて思っていたが、これも水対策だという。
ダムもだめ、地下水もだめ、南水北調もだめ、海水の淡水化もだめになったら最後は水輸入だ」と言うことで、日本人が石油地域の利権確保に血眼になっているように中国人は水の利権確保に走っているのだと言う。

本当かい?????」とても信じられないが、石油がなくても生きていけるが水がなくては人間は生きられないから水の重要性は分かる。

 一方日本は山紫水明の国だ。軟質でおいしい水はいたるところに湧き出ている。これが近い将来石油と同じような戦略物質になるとは信じられないが、少なくとも中国人はそう思って日本の森林を買い占めている。

なお、中国の水資源問題についての関連記事は以下の通り
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/2248-c647.html

 

 

| | コメント (0)

(23.6.7) 為替相場から見たリーマン・ショックのその後 なぜオーストラリア経済は好調か?

22619_012 

 対円の為替相場をリーマン・ショック後の推移をたどってみると驚くべき特色がある。リーマン・ショックは円の一人勝ちであり、その後の2年間に対円の為替相場は上昇組みと長期低下ないし安定組みに分かれた。
上昇組みのチャンピオンはオーストラリアとスイスだから、ショック後オーストラリアやスイスに預金を移した人は信じられないような収益を上げられたことになる。

                   ショック前  ショック直後      最近 
・オーストラリア 100円    60円 ▲40%  85円  +40%  
・スイス      105円    80円 ▲25%  95円  +20%   
・アメリカ     120円    85円 ▲30%  80円  ▲5%   
・ユーロ      170円   120円 ▲30% 115円  ▲5%   
・イギリス     240円   130円 ▲45% 130円  -   
・中国        16円    14円 ▲10%  13円  ▲10%    


注)リーマン・ショック前までは金融の超緩和策をとっていたのは日本だけだったので、円が実力より安く評価されその分輸出企業は収益を拡大できた。
リーマン・ショック後はアメリカ、EUも超緩和に転じたため、ショック後の為替相場が実力どおりの数値になってしまった。
その後の為替相場の推移は、ここ2年余りのその国の経済状況を反映している(
ただし中国は為替管理を行っているのでこの限りではない)。

 このところのオーストラリア経済は絶好調だ。特に貿易収支の黒字化が定着してかつての日本のような貿易立国になってしまった。
輸出の目玉は鉄鉱石や石炭と言った鉱物資源であり、こうした鉱物資源の高騰がオーストラリア経済の躍進を支えている。

注)10年4月以降、貿易収支は黒字が定着しており、毎月20億オーストラリアドル前後(約1700億円)が続いている。

 鉄鉱石にしても石炭にしても又銅鉱石にしても主たる需要者は中国で、オーストラリアの一番のお得意様だ。
中国経済そのものも年率10%前後の躍進だから、その中国経済にディペンドしたオーストラリア経済が順調なのは当然といえよう。
OECDの11年度のGDP予測も他の先進国のどこよりも高く2.9%の予測になっている。日本がマイナス成長で苦しんでいるのに比較して好対照だ。

注)オーストラリアの主要輸出先は長い間日本だったが09年ごろから中国に取って代わられた。

 リーマン・ショック前まではオーストラリア経済は弱者の経済だった。
貿易収支は常に赤字で、外国からの借金で帳尻をあわせていたため所得収支(金利の支払)も赤字、おかげで経常収支は常に赤という何か万年赤字経営の弱小企業のような状態だった。

注)四半期ごとの経常収支はなお赤字だが、赤字幅は順調に縮小している。

 しかし世の中とは分からないものだ。リーマン・ショックで日本、アメリカ、EUが競争で金融緩和を行い資金が市場にあふれてしまった。
この資金をヘッジファンドが希少資源得のための投機資金に使用したため、瞬く間に鉄鉱石が2006年対比約2倍、石炭が3倍になって、オーストラリアの交易条件は劇的に改善された。
中東湾岸諸国が石油で潤ったが、オーストラリアは鉄鉱石と石炭で潤ったわけだ。

 おかげで外国からの資金調達のために高く設定されていた金利(現在の指標金利は4.75%、リーマン・ショック前は7.25%)も低下傾向だし失業率も減少しているし、財政赤字も解消の目処が立ってきた。
しかも人口も移民の増加等で順調に増加しているから、当面オーストラリアに懸念材料はない。

注)オーストラリアの高齢化率は10年度で13.7%、これはアメリカの12.8%に近く、若い移民者が高齢化率を引き下げている

 元々オーストラリア人はアメリカ人に比較するとシャイで自己主張が少なかったが、最近は捕鯨問題やイルカ問題を見ても分かるように、やたらと口うるさくなっている。
経済成長がオーストラリア人の自信につながったと言うことだが、たのみの中国経済が順調である限りはオーストラリア人の自信拡大は続くだろう。

なおオーストラリア経済について記載してきた記事は以下のとおり。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat37400255/index.html

 

 

| | コメント (0)

(23.6.6) 台湾経済の繁栄 どこにも欠点はみあたらない

22620_019_2 

 台湾はとても親日的な国だ。私が台湾に旅行したのは20年ぐらい前のことで、台北から基隆に向かうバスに乗っていたのだが、後ろの席から日本の軍歌が聞こえてきた。
思わず振りかえると老年の台湾人の夫婦が互いに知っている軍歌を歌いあっていた。
それも一つではなく次々に歌うものだから私の方が驚いてしまった。

 台湾の親日ぶりは今回の東日本大震災の日本に対する義援金でも際立っていたし、又元総統の李登輝氏などは日本人以上に流暢に日本語を話す。

 しかしこと経済に限ると台湾経済はほとんど中国経済と一体化したのではないかと思われるほど中国との関係が深い。
5万社以上の台湾企業が中国に進出して、100万人の台湾人が中国に常駐していると言われている。

 台湾のメーカーは日本やアメリカから注文をとってそれを中国本土で生産して販売するスタイルがほぼ定着している。
エイサーアスースといった世界に誇るIT産業もほとんどがそうした生産形態をとっており、中国は台湾の工場みたいだ。

 おかげで台湾は中国経済の発展を完全に取り込んでGDPは毎年6%前後の伸び率だし、外貨準備は中国、日本についで世界第3位だ。
物価も安定していてまったく問題はなさそうだが、ここも少子高齢化の人口問題が将来の不安材料になっている。

 台湾はほぼ韓国と同様な人口動態推移をたどっている。高齢化率は10%を越え、いわゆる出生率は日本より低く韓国といいとこ勝負だから、高齢化の速度は日本を上回ることは確かだ。

 現在の推定では高齢化率が14%(これを高齢社会と呼)を越えるのは2018年頃と予測されているが、ここでも予測値を実績が上回っているから韓国と同様に2015年ごろには高齢社会に突入しそうだ。

 問題は高齢社会になると福祉予算や医療保険が増大し、一方で働く若者が少なくなって社会が停滞するのだが、台湾の場合はどうなるのだろうか。
台湾社会の特色は日本と異なり家族福祉が基本となっており、一方で公的保険制度が遅れていることに有る。

 老人は子供が面倒を見るのが当然で年長者は相対的に敬われて、子供との同居率も約6割と高く、子供が働くようになると親はさっさと働くのをやめてしまう。
なにしろ65歳以上の就業者は10%程度だが、これは韓国の40%程度、日本の30%程度に比較すると極端に少ない。
息子が働いてくれるから後は日本軍歌でも歌って余生を過ごそう

 台湾経済は現状順風漫歩というところで、ほとんど問題は見られない。
台湾ドルはドルにペッグしているが為替操作を中国や韓国のようにはしていないから日本円に対して25%程度の値下がりに止まっている。
株式市場もリーマンショック前まで戻っており、経済の順調さを反映している。

 少子高齢化といっても家族福祉が中心だから、公的資金は相対的に少なくて済むので財政事情の悪化もマイルドになるだろう。
どう見ても台湾経済に弱点は見られないが、あえていえば中国の景気減速が台湾経済にも影響が出ると言ったところだろう。

 日本と北朝鮮以外のアジア経済はどこもかしこも元気いっぱいと言った感じだ。

注)リーマン・ショック直後の台湾経済の状況については以下の記事参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/201219-78aa.html

 

| | コメント (1)

(23.6.5) ペテン師由起夫ちゃんの真っ赤な真実

22620_032 

 由起夫ちゃん
が「ペテン師」と騒いでいたものだから、ぼくはすっかり由起夫ちゃんが自分のことを言っているのだと思っていた。
なにしろクラスでは由起夫ちゃんのことを「嘘つきやろう」とみんなが言っていたし、そういわれても仕方がないほど由起夫ちゃんは平気で嘘をつくんだ。

 もうだいぶ前のことになるけれどアメリカからの交換留学生でオバマ君がこの小学校に来たんだ。
由起夫ちゃんはその時級長だったので、オバマ君を学校中案内したんだけれど、オバマ君がふと足を止めて「この花はとても綺麗だけれど1本もらえるかい」と由起夫ちゃんに聞いたんだ。

 それは辺野古草といってとても珍重な草で校長先生が大事に育てていた草だから、ぼくはとてもあげることができないと思ったんだ。
けど由起夫ちゃんは「トラスト・ミー」なんてすごい英語を使って答えたものだからクラスの全員はびっくりして「さすがに級長だ」と尊敬のまなざしで見たんだ。

 ところがその後で校長のナカイマ先生からこっぴどくしかられて、辺野古草は絶対にあげることはできないと言われてしまったんだ。
仕方なく由起夫ちゃんオバマ君に「国外か県外で辺野古草を絶対に見つけるからしばらく待って」なんていうし、「案がある」とまで言っていたものだから、その頃はまだ少し信頼があった由起夫ちゃんをオバマ君は信じて待っていたんだ。

 でも最初から「」など何もなく口先だけだったので、窮地に陥った由起夫ちゃんは「おれ級長を辞める」なんて突然言い出して辞めてしまったんだ。
そして辞めるときに「一度級長をしたものは二度とクラスの級長にならない取り決めにしよう」なんて言っていたんだけど、それも空約束だったんだ。

 由起夫ちゃんはすぐにクラスのいじめっ子の小沢君と仲良くなって、今の級長の菅くんを辞めさせて又二人で級長をしようなんて言い出すものだから、みんなはあきれて「ペテン師由起夫ちゃんの真っ赤な真実」は何だろうなんて噂したんだ。

 じつはぼくの小学校では今とても大変な問題があって、この問題をどうしたらいいかみんな悩んでいるんだ。
問題と言うのは昔谷垣君たちが学校中のグランドに穴をほって「原発遊び」と言うゲームをしていたんだ。

 穴がどこにあるかわからないようにカモフラージュして誰かが穴に落ちれば、「メルトダウン」なんて言ってはしゃいでいだけれど、段々と穴を大きくしたために先日福島君が大きな穴に落ちて大怪我をしてしまった。

 驚いた菅君はすぐにこの穴を塞ごうと提案したんだけれど、谷垣君たちは「遊びがなくなるのはだめだ」なんて反対するから、クラス会でなかなか結論が出せないんだ。
菅くんと谷垣君がけんかしているのを見て、由起夫ちゃんがそれなら菅くんを級長から引き釣り降ろせば又級長になれると思ったらしく「菅降ろし」を始めたんだ。

 でも本当の真っ赤な真実は、菅くんといじめっこの小沢君はとても仲が悪く、そして由起夫ちゃんは小沢君の金魚のウンコなので、小沢君が由起夫ちゃんを使って菅くんをいじめることにしたんだと思う。

 由起夫ちゃんはクラス会で「菅、お前がだらしがないから穴を塞げないんだ、小沢君もそう言ってるぞ、菅、級長を辞めろ!!」なんて言ったんだけど、菅くんは「穴を塞ぎきれば級長を辞めてもいい」と言ってクラス会を乗り切ったんだ。

 でも谷垣君たちが掘った穴は大きくてそしてどこにあるかも分からないから、穴を塞ぐにはどのくらい時間がかかるか分からないんだ。
だから「穴を塞ぐまで」とは何年も級長を辞めないと言うことだけど、由起夫ちゃんはそうは思っていなかったらしいんだ。

 だから今になって菅くんを「ペテン師」なんていっているけれど、ペテン師は由起夫ちゃんの専売特許だし、それに由起夫ちゃんは金魚のウンコだとみんな知っているから、クラスのみんなは由起夫ちゃんの話を誰も聞こうとしないんだ。

東日本大震災と政治関連の記載済みの記事は以下参照http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43890139/index.html

または鳩山内閣に関する記載済みの記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat42923318/index.html

 

 

| | コメント (2)

(23.6.4) 四季の道のケヤキとシラカシの剪定について 

 23515_001

 今年のおゆみ野四季の道夏の道ゾーンケヤキは元気だ。昨年はケヤキの剪定を行わないで様子を見ることにしていたが、そのかいあって芽吹きが昨年より半月も早かった。
今は葉が生い茂ってかつてのケヤキの樹形が少しずつ甦りつつある。

 昨年の秋千葉市みどりの協会の依頼で樹木医中村さんに夏の道ゾーンのケヤキのチェックをしてもらった。
3年ほど前に行った強剪定の結果ケヤキの樹勢が極度に弱っていたからだ
「2・3年剪定をしないで様子を見てみましょう
」中村樹木医の提案で、今年に冬場の剪定は行わなかった

 今日(2日)はその後のケヤキの様子と、昨年内部が腐っていたため手当てを行ったケヤキ2本の再生具合を見るために、中村樹木医、みどりの協会、おゆみ野地区の景観の会長の佐藤さん、それに私と地区の代表者が集まった。

 中村さんからチェック後の説明がされたが「もう1~2年程度剪定を行わずに様子を見れば樹勢は完全に回復し、樹形はケヤキ特有の樹形にもどる。その段階で強剪定でなく枝抜きの作業をすればいいでしょう」と言うことだった。
どうやら夏の道のケヤキ並木は往年の美しさを取り戻せそうだ。

23516_007 

 今回はこの夏の道ゾーンのケヤキだけでなく、秋の道ゾーンの常緑樹シラカシにつても中村樹木医に見てもらった。
今年の3月に強剪定をしたのだがその後の回復がはかばかしくなくとても心配していたのだ。

 私が特に心配していたのは最近まで新しい芽が出ず、一方昨年まで残っていた葉も落ちそうになっていたからだ。
このような剪定をして大丈夫でしょうか」聞いてみた。
シラカシのような常緑樹の剪定は通常今頃が最適で、寒い時期に行うと寒さに弱く新しい芽を出すことができないのです。ですから芽が出てきた段階で枝すきを行うのが一番です
今は枯れ枝等が相当有りますが、それでも3年程度このままに放っておけば、前の姿に戻ると思います

 私はまったく知識がなかったがケヤキのような落葉樹は冬場に、そしてシラカシのような常緑樹は夏になる直前の今頃が剪定の最適期で、その時期をはずして強剪定を行うと樹勢が弱ることを知った。
そうか、予算措置の関係で3月に常緑樹の強剪定を行ったのが問題だったのか・・・・・」納得した。

 最近になってシラカシの新芽が出てきたので私が当初心配したような半分程度全滅すると言うことはなさそうだ。
それでも何本かは枯れてしまいそうだ。

 樹木には元々自己剪定という能力があり、不要な枝は自分で枯らして樹形を維持している。剪定もその樹木の性質に準じて枝抜き等の弱剪定による剪定をして樹木を枯らすことだけは避けてほしいものだと思う。

ケヤキ等の剪定問題の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43992470/index.html

 

| | コメント (0)

(23.6.3) ひどいドタバタ劇だ 菅総理不信任決議案否決

Dscf0018 

 こんなひどいドタバタ劇が有っていいのだろうか。自民党と公明党が中心になって提出した菅内閣不信任決議案はどんでん返しのような大差で否決された。
賛成152票、反対293票だから圧倒的多数による否決である。

 しかし昨日までの票読みでは小沢派鳩山派が賛成に回るので不信任案が可決されるかもしれないとメディアは報じていたし、実際その通りだったのだが直前に行われた民主党代議士会で形勢が逆転した。

 代議士会で菅総理が「東日本大震災と福島原発事故に一定の目途がついた段階で辞任する」と表明したからである。
これで民主党の代議員のほとんどが不信任決議案に反対することになったのだが、菅総理の辞任表明演説に二つの相反する解釈がある。

 一つは鳩山前総理の解釈で「復興基本法を与野党で協力して成立させ、二次補正予算成立の目途が立った段階で辞任すると言うことで、すぐさま辞任と変わらない」と言うものである。
それに対し岡田幹事長の解釈は「復興法案成立や2次補正予算編成成立があっても、福島原発事故の対応が済むまでは辞任しない」と言うもので、鳩山氏と岡田氏は同床異夢と言っていい。

 確かに復興法案や二次補正予算は政治の世界の話だから、政治的決断で解決が可能だが、福島原発事故対応は科学の世界の話だ。
汚染水の除去対策や放射性セシウムの除去対策、それに燃料棒の冷却などと言うことは政治家がいくらがんばっても解決の仕様がない。
だから福島原発事故の目途などすぐさまたちようがないのだから、そうした意味では菅総理の辞任は当分ありえないことになる。

 だから鳩山前総理の「直ちに」と岡田幹事長の「原発事故収拾後」とは天と地との差が有るのだが、なぜか民主党は小沢派を除いて不信任決議案に反対に回った。
なんともひどいドタバタ劇だ。

 ただし今回の内閣不信任案についての私の個人的見解は「否決されて良かった」である。
私は歴代の総理大臣がほとんど1年ごとに代わるのには辟易していた。
安倍、福田、麻生、鳩山、そして菅総理も1年でやめることになったら、外国の元首が日本の総理大臣の名前を覚えることもできない。

 それに菅総理を辞めさす理由もさっぱりわからなかった。
谷垣自民党総裁が「菅総理の下では災害復興がおぼつかない」と盛んに強調していたが、では誰がやったら災害復興がおぼつくのだろうか。
谷垣総裁がやれば菅総理より効果的な災害復興政策が取れるとでも言っているのだろうか。

 私の正直な感想は「誰がやっても難しい」と言うもので、特に原発事故対応などは政治的判断と言うよりは、科学的対応がどの程度できるかと言う問題だから、いくら政治家が「早く収束しろ」と行っても無理難題といえる。

 私が日本の政治の最大の弱点と見ているのは、総理大臣を次々に代えていくことだと思っている。
これでは腰の座った政治的対応ができないだけでなく、海外の政治家からまったく馬鹿にされて相手にされない。
すぐに変わる相手といくら約束しても無駄だからだ。

 日本の周りの政治家を見てほしい。金正日、胡錦濤、プーチン、イミョンバク、馬英九、オバマと日本の首相より任期が短い首脳は誰一人としていない。ほとんどが4年、場合によったら8年の任期を全うして、国政を担当している。

 何度も同じことを言って恐縮だが、総理大臣は始めから総理に相応しい資質を持っているのではなく、経験を積んで総理大臣になるのだ
我々とさして変わらない人物が懸命に総理を演じているうちに総理大臣としての判断力や決断力が磨かれていくのであって、最初から大宰相なんて人はいない。

 それなのに1年前後で総理大臣を代えてしまっては、日本は素人政治を常に行っているのと同じだ。
だから「まったく無能」と非難するよりは国民は総理を支えて少しでも総理大臣らしくさせてあげるのが国民の務めといえる。

 現在日本の経済力はほとんど二流になり、さらに政治力が三流のままで世知辛い世界政治のなかで日本が生き続けることは至難のワザだ。
誰がやっても同じならば、菅総理には福島原発の事故対応を十分にやって総理としての経験を積んでもらおう。

 それが数年に及ぶならばそれまで首相の地位にとどまってくれればいいと私は思っている。

なお東日本大震災と政治に関する過去の記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43890139/index.html

 

 

 

 

| | コメント (1)

(23.6.2) 韓国人の心配性 韓国が日本になる日 高齢化問題

2262_020_2 

 韓国の新聞や経済論調を見ていると、韓国のインテリは根っからの心配性ではないかと思ってしまう。
日本のように長期経済停滞にならないためにはどうしたらよいか」と日本経済をチェックしていつもそのことばかり考えてるみたいだ。

 目下のところ韓国経済は絶好調である。10年度のGDP伸び率は6.2%増で、サムスン現代グループは過去最高益を謳歌していた。輸出も29%増だが、これはライバルの日本が円高で苦しんでいる間の抜け駆けだ。
韓国の為替相場はドルにペッグしているので、大幅なウォン安に支えられて、特に中国への輸出が好調だ。

注)韓国銀行はリーマンショック後、積極的に為替介入を行ってウォン安に誘導してきた。しかし最近は経常黒字幅が大きすぎて対応できず、ウォン高に振れ始めた。

 まったく心配などしなくてもよさそうだが、韓国人の心配の種は少子高齢化が日本の後を追うように急速に近づいてきて、社会の活力が失われるのではないかと言うことだ。

 通常人口問題の用語では65歳以上の人口比率で以下の3段階に分けている。

① 7%以上   高齢化社会
② 14%以上  高齢社会
③ 20%以上  超高齢化社会


 2010年現在で日本が23%の超高齢化社会、韓国は11%の高齢化社会で日本に比べてまだまだ余裕がありそうだが、心配の種はこの比率の上昇が激しいことだ。
韓国の公式な予測では14%以上の高齢社会になるのは2018年と言うことになっているが、実績数値が上ぶれておりどう見ても2018年以前に高齢社会に突入しそうだ。

 日本が長期低迷に入ったのがバブル崩壊後の1990年頃からだが、この頃日本は高齢社会に突入していた。
まずいじゃないか、高齢社会になれば社会福祉や医療費が増大し、一方働き手が少なくなり、税収が低迷して財政は急激に悪化する。日本経済シンドロームに韓国経済も落ち込むのではないか・・・・・・

 人口と経済発展の相関性については人口ボーナス理論と言うのがある。
これは生産人口16歳~64歳)を分母にして、非生産人口15歳以下と65歳以上)を割った数字が減少していく時期を人口ボーナス期といい、反対にこの値が増加していく時期を非人口ボーナス期と言う。

 ありていに言えば働き手が増えていく社会はGDPが増大し、反対に老人が増えていく社会はGDPが減少するという常識を述べているに過ぎない。
日本がこの人口ボーナス期から非人口ボーナス期に転じたのは1995年から2000年の間で、まさに失われた10年といわれた時期に符合する。

 一方韓国がこの時期に入るのは2015年から2025年の間と推定されているが、人口の高齢化の進展が早いので2015年には非人口ボーナス期に入りそうだ
韓国が日本のようになるのはあと数年だ、どうしよう・・・・・」これが韓国インテリ層の心配の種になっている。

 人口推移と経済発展の相関は非常に高いが、それだけが経済発展の要因ではない。韓国と日本の最大の相違は韓国ウォンがドルにペッグしている関係から、リーマン・ショック後円に対して4割程度ウォン安になっていることだ。

 韓国と日本は輸出競合品が多い。最近世界市場でサムスンや現代が日本のソニーやトヨタを圧倒しているのはこのウォン安の要因が大きい。
反対に言えば韓国銀行が為替操作に成功している限りはウォン安が続き、その間は輸出にかげりが見られないと言うことだから、まだまだ韓国のGDPは成長しそうだ。

 しかし韓国のインテリは「あと数年で日本になる」と毎日うなされるほど悩んでいるのだから根っからの心配性と言えるだろう。

なお、韓国経済に関する以前に書いた記事は以下を参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat33145289/index.html


テスト動画は昭和の森です
http://www.youtube.com/watch?v=vZ3Tgo7hmCc

 

 

 

    

 

| | コメント (1)

(23.6.1) 東電の賠償責任とその可能性 最後に払うのは誰か?

22619_0091  

 福島第一原発の事故にかかる賠償を誰がするかで迷走している。
菅総理は「賠償責任は第一義的には東電にあるが、政府も原発行政を進めてきた責任がある」と発言し政府支援を行うことを明確にした。

 しかしその具体的なスキームとなるとなんともよく分からない。
政府がまとめた案は直接東電が賠償するのではなく賠償機構を設立し、この機構を通して賠償を行うと言うものだ。

 そして賠償機構には電力会社10社を強制加入させて出資金を提供させ、この出資金で賠償を行うのだが、もし資金が不足した場合は政府が交付する交付国債を資金化して賠償資金に当てると言うスキームだと言う。

 何か分かったようでわからないスキームだ。一番の問題は賠償額に上限を設けないとしていることで、これでは出資金をいくらにし、交付国債をいくらにするのか確定できない。
無限に出資金をだせ、そして交付国債も無限だ」と言っているに等しい。

 このため東京電力以外の電力会社が出資金の支出に躊躇している。
自分のとこで事故を起こしたわけでもないのに、無限に出資金を出して経営を破綻させる訳に行きません。第一株主に対して説明できません

 もっともこのスキームでは賠償金は一旦機構から出すのだが、支払った出資金の穴埋めは事故を起こした東電がすることになっている。
現状では賠償金がいくらになるかわからないので東電の経営を考慮して毎年の利益の範囲内で穴埋めを行うと言うスキームだ。
大丈夫だ、東電が生きている限りいつかは返済されるだろう

 だが、本当にこのスキームはうまく行くだろうか
一生負債を背負って生きろ」と言われて「はいそうですか」と東電は社長以下職員全員が給与を返上しながらがんばるだろうか。
馬鹿馬鹿しくなって東電が自己破産でもしたらどうなるのだろうか。

 やはりこの問題はどこかで線引きが必要だ。ある程度賠償額が見えたところで東電の負担と政府の負担を明確にし賠償額を確定しなれば東電は資金計画も建てられないし、政府は予算編成もできない。

 それでなくても東電は市場から見放されている。
東電の社債は原発事故が発生する前は日本で最も信頼できる社債とみなされていて、国債よりわずか0.1%高いだけの金利で取引されていた。
それが今では国債とのスプレッドは約3%になってしまい、この先どこまで拡大するかわからない。

 しかも格付会社S&Pは東電の長期債務格付を投資不適格にしてしまったので、もはや債券市場からの調達が不可能になっている。
原発事故が発生する前までは東電は内部留保が厚い会社だったので、新規投資(毎年大体6000億円程度)を自己資金でまかないさらに社債や長期借入金を返済していた超優良会社だった。

注)以下の東電の資金調達の推移参照。http://www.tepco.co.jp/ir/keiri/plan-j.html

 ところが原発事故後は一転して社債市場から締め出され、あわてて金融機関から2兆円の資金を調達したものの、今後どの程度借入を増やせばよいかわからない状況だ。
なにしろ11年3期だけで特別損失が1兆円を越したがこれはまだほんの序の口に過ぎない。

 東電の毎年の内部留保は1兆円弱だから、特別損失(毎年の賠償額)が1兆円規模であれば賠償はできそうだが、一方毎年6000億円程度の設備投資資金が出てこない
誰かが金を貸してくれなければメンテナンスもまともにできない会社になってしまう」東電の悲鳴が聞こえる。

 本来は金融機関に頼み込んで資金調達をしなければならないのだが、枝野官房長官は金融機関に債権の棒引きを要請した。
借金は棒引きだ、金を貸せ
これで金融機関が融資に応じたらお笑いものだ。

 社債市場から締め出され、金融機関から相手にされなければ東電の運命はJALと同様の国有化しかない。
国有化とは国の資金で賠償や設備投資を行うことだが、一体いくらになるのだろうか。

 現状ではまったく暗中模索としか言えない。毎年の賠償額が1兆円規模で収まるならば、内部留保の範囲内だから、後は設備投資資金6000億程度を政府系金融機関が毎年融資すればよいと言う計算になる。

 こうして世紀の原発事故はその収拾のフレームワークがまったく見えないまま、東電を国有化する以外に対応策はないと言う状況に追い込まれている

注)日本経済研究センターが内閣府原子力委員会に提示した試算では、向こう10年間で20兆円の資金が必要とされている。それによると廃炉費用が約15兆円、賠償費用が約5兆円と試算された。
東電の毎年の内部留保は約1兆円だから、半分は税金の投入が必要になる。なおこの試算に毎年のメンテナンス費用が含まれているかどうかは分からない。


東電の経営問題については以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43519325/index.html


今日の動画はマッスルさんが撮った飯豊山の写真を再掲します。
http://www.youtube.com/user/yamazakijirou#p/a/u/0/eZimS1L0mck

 

 


  
 



 

 

 

 

 

| | コメント (2)

« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »