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(23.6.7) 為替相場から見たリーマン・ショックのその後 なぜオーストラリア経済は好調か?

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 対円の為替相場をリーマン・ショック後の推移をたどってみると驚くべき特色がある。リーマン・ショックは円の一人勝ちであり、その後の2年間に対円の為替相場は上昇組みと長期低下ないし安定組みに分かれた。
上昇組みのチャンピオンはオーストラリアとスイスだから、ショック後オーストラリアやスイスに預金を移した人は信じられないような収益を上げられたことになる。

                   ショック前  ショック直後      最近 
・オーストラリア 100円    60円 ▲40%  85円  +40%  
・スイス      105円    80円 ▲25%  95円  +20%   
・アメリカ     120円    85円 ▲30%  80円  ▲5%   
・ユーロ      170円   120円 ▲30% 115円  ▲5%   
・イギリス     240円   130円 ▲45% 130円  -   
・中国        16円    14円 ▲10%  13円  ▲10%    


注)リーマン・ショック前までは金融の超緩和策をとっていたのは日本だけだったので、円が実力より安く評価されその分輸出企業は収益を拡大できた。
リーマン・ショック後はアメリカ、EUも超緩和に転じたため、ショック後の為替相場が実力どおりの数値になってしまった。
その後の為替相場の推移は、ここ2年余りのその国の経済状況を反映している(
ただし中国は為替管理を行っているのでこの限りではない)。

 このところのオーストラリア経済は絶好調だ。特に貿易収支の黒字化が定着してかつての日本のような貿易立国になってしまった。
輸出の目玉は鉄鉱石や石炭と言った鉱物資源であり、こうした鉱物資源の高騰がオーストラリア経済の躍進を支えている。

注)10年4月以降、貿易収支は黒字が定着しており、毎月20億オーストラリアドル前後(約1700億円)が続いている。

 鉄鉱石にしても石炭にしても又銅鉱石にしても主たる需要者は中国で、オーストラリアの一番のお得意様だ。
中国経済そのものも年率10%前後の躍進だから、その中国経済にディペンドしたオーストラリア経済が順調なのは当然といえよう。
OECDの11年度のGDP予測も他の先進国のどこよりも高く2.9%の予測になっている。日本がマイナス成長で苦しんでいるのに比較して好対照だ。

注)オーストラリアの主要輸出先は長い間日本だったが09年ごろから中国に取って代わられた。

 リーマン・ショック前まではオーストラリア経済は弱者の経済だった。
貿易収支は常に赤字で、外国からの借金で帳尻をあわせていたため所得収支(金利の支払)も赤字、おかげで経常収支は常に赤という何か万年赤字経営の弱小企業のような状態だった。

注)四半期ごとの経常収支はなお赤字だが、赤字幅は順調に縮小している。

 しかし世の中とは分からないものだ。リーマン・ショックで日本、アメリカ、EUが競争で金融緩和を行い資金が市場にあふれてしまった。
この資金をヘッジファンドが希少資源得のための投機資金に使用したため、瞬く間に鉄鉱石が2006年対比約2倍、石炭が3倍になって、オーストラリアの交易条件は劇的に改善された。
中東湾岸諸国が石油で潤ったが、オーストラリアは鉄鉱石と石炭で潤ったわけだ。

 おかげで外国からの資金調達のために高く設定されていた金利(現在の指標金利は4.75%、リーマン・ショック前は7.25%)も低下傾向だし失業率も減少しているし、財政赤字も解消の目処が立ってきた。
しかも人口も移民の増加等で順調に増加しているから、当面オーストラリアに懸念材料はない。

注)オーストラリアの高齢化率は10年度で13.7%、これはアメリカの12.8%に近く、若い移民者が高齢化率を引き下げている

 元々オーストラリア人はアメリカ人に比較するとシャイで自己主張が少なかったが、最近は捕鯨問題やイルカ問題を見ても分かるように、やたらと口うるさくなっている。
経済成長がオーストラリア人の自信につながったと言うことだが、たのみの中国経済が順調である限りはオーストラリア人の自信拡大は続くだろう。

なおオーストラリア経済について記載してきた記事は以下のとおり。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat37400255/index.html

 

 

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