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(23.6.28) 美男・美女対決はどちらが勝利するのか? タイの総選挙

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 タイは民主主義と強権支配の中間にあるような国だ。
なにしろ選挙を行うとタクシン派と言う元タクシン首相(2006年のクーデタで失脚。現在外国に住んでいるが率いる政党(今回はタイ貢献党と称している)が第一党になるのだが、そうなると軍隊はクーデタを起こし、最高裁判所はタクシン派の選挙違反を追求し、首相をでっち上げ容疑で有罪にしてタクシン派を引き釣り降ろしてしまう。

 日本の場合は選挙結果がすべてで、クーデタなど起こりようがないが、タイでは何でもありだ。
今回の総選挙は3年半ぶりなのだが、世論調査では現首相のアピシット氏が率いる民主党が振るわず、野党のインラック氏(タクシン氏の妹)が率いるタイ貢献党が再び第一党になると予想されている。
アピッシット氏はことの他美男子で、インラック氏も美女なので、美男・美女対決なのだそうだ。
もっともどちらも過半数には届きそうもないので、少数政党との連立は避けられそうもない。

 アピッシト首相は危機感にかられて、昨年タクシン派が焼き討ちしたバンコクのショッピングセンターの前で支持者を前に演説した。
タクシン派のような暴徒集団に政権を渡していいか!!! 見てみろ、あの派の候補者は暴徒ぞろいだ!!!」

 
もっともアピッシット派も野党の時の2年前には首相府を占領したり、空港に座り込んで空港を閉鎖したりしていたのだからどっちもどっちなのだが、昨年は90人余りの死者が出たところが今までと異なる。
それまでタイではクーデタがいくら起こっても流血騒ぎになることはなく、デモも流血を避けようとしていたし、一方警察も軍隊もデモ隊の排除をしないのが普通だった。
人が死なない限り警察も軍隊も動かない」のがタイの不文律といわれていた。
それが微笑みの国と言われた所以だが、昨年は一転してアピッシット首相が警官隊を導入して実力でタクシン派を排斥したため大量の死者が出てしまった。

 外部から見ていてなんとも不思議なのは民主党にしろタイ貢献党にしろさして政権公約に違いがなく、違いといえば支持層の違いだけだ。
民主党はバンコクの富裕層や中間層、および軍隊や官僚層に支持されており国王も民主党の味方のように見える。日本的な意味では自民党といった感じだ。

 一方タイ貢献党の支持者は北部や東部の貧しい農民層と、都市部の貧困層でこうした人々にクレジットカードの交付や安価な医療保険、それと村落開発基金を約束している。
もっぱらばら撒き政策が中心で、日本的な意味では民主党と社民党をミックスしたような政党だ。

注)従来タイでは階級闘争と言う側面はなく農村と都市の対立が主だったが、昨年頃から都市部の富裕層と貧困層との対立がこれに加わった。昨年の90名余りの死者が出たデモは従来の対立に加えて階級闘争の側面が出て先鋭化したもので、強硬派が封鎖を解かなかった。

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 タイは都市部を除くと貧しい農民が大半なので選挙を行うと必ずタイ貢献党の勝利になる。
それを実質的権力集団が実力でひっくり返すのがタイ式の政治になっている。
タイの経済はリーマン・ショック後立ち直り、10年度のGDPは7.8%の上昇だったが、四半期ごとに成長率は鈍化しており、最近(11年度第一四半期)は4%程度に落ち込んでいる。
最大の理由は2009年から始まったバーツ高と世界各国の経済が下降線をたどっていることでGDPの6割にもなる輸出の伸び率が振るわなくなりつつあるからだ。

 さらにタイ当局の頭を悩ましているのがここでも消費者物価の上昇で平均では4%を少し越えるぐらいだが、特に食料価格の上昇が激しくこれが都市貧困層の不満となってタクシン派の支持を広げている。
選挙はタイ貢献党の勝利で終わるだろが、問題はそれからだ。従来であれば実質的権力集団が軍や裁判所を使って巻き返しに出るのだが、今度はどうなるだろうか?

 私はタイを見ていると、一人当たりGDPが5000ドルを越えた中級国家の中での富める者と貧しい者の対立の構図に見える。
金持ちはいいが、俺達貧乏人の生活も見てくれ」ということだが、民主主義国家だけに(中国とは異なって)選挙では数が多い貧しい者が勝利し、それを富めるものが実力で覆すパターンが繰り返されるのだろう。



なおタイの経済・政治について過去に記載した記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat35184635/index.html

 

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