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(23.6.23) クローズアップ現代 医療費の無駄を減らせ 国民皆保険50年

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 私が日本に住んでいて幸福だとつくづく思うのは、世界的なレベルの医療を安価な金額でいつでも受けられることだ。
今私は歯の根元が膿んで歯科医で治療を受けているが、最近の麻酔薬の注射がちっとも痛くなくなったのには驚いている。さらに治療もかつては麻酔を打っても手に汗握るような痛みを我慢しなければいけなかったが、そうした苦痛もなくなった。
又目の前にディスプレイがあり、レントゲンの写真がディスプレイで直ちに検索できるようになっている。

先生、日本の歯科医療のレベルは世界的にみても高いのじゃないですか?」

そうですね、やっぱり最高はアメリカで医療技術はアメリカから教わっています。その次あたりが日本、韓国、北欧諸国と言うところでしょう

 日本人としてはとても幸せな境遇にあるのだが、こと保険財政、それも国民健康保険については運営をしている地方自治体火の車になっている。
もともと国民健康保険は自由業者と農家を対象に発足したが、今では定年退職者派遣社員が多く加入し、そして一番の問題は加入者の高齢化だ。
昨日(21日)のクローズアップ現代国民健康保険の財政問題を取り上げていた。

 番組で呉市の市長が「定年退職した高齢者を引き受けるのが国民健康保険です」と言っていたが、組合保険(企業保険)の加入者が生産年齢なのに対して、国民健康保険の加入者の4割が60歳以上の高齢者になってしまったという。

 さらに問題を複雑化しているのは保険料の収納率の低下で、平成元年94%だったものが平成21年には88%になり、傾向的に下がってきているとのことだ。
一方で医療費は52兆円から111兆円に倍増しているのだから、市町村の約半分が赤字だと言うのもうなずける。

 こうした現状に呉市では涙ぐましいばかりの取り組みをしていることを番組では紹介していた。
一つは医薬品を高価な新薬ではなく、ジェネリックといわれている特許が切れた安い医薬品を利用させることで、 医院から送られてくるレセプトを分析して市民にジェネリックを使用するようにメールを送っていた。

 私は「この通知を見て本当にジェネリックに代える人がいるのだろうか? 新薬の方がいいと思うのではなかろうか?」と疑ったが、70%の人が切り替えて約1億円の経費節減になったと言う。
ただし呉市全体の医療費は260億円だそうだから、0.3%の削減にすぎない。

 また同じ医療機関に毎月15回以上診療を受けている人450名をピックアップして、そうした人を個別に保健指導を行っていた。
整形外科医に通っていた60歳の女性に「医者に行くより地域の健康サークルで活躍されたらいかがか」と言うような指導をしていたが、この女性はその気がないようだった。
そんなこと言われても医者のほうがいいわ」と言うことのようだ。

 また年間200万円以上の医療費がかかる人の大半が人工透析による治療費だと言うことに注目し、レセプトから人工透析前の糖尿病患者50名をピックアップして料理教室や健康指導を行っていた。この50名からは人工透析者は出ていないとのことだ。

 実に涙ぐましいまでの取り組みと言えるが、これで健康保険財政が健全化するかといえばしないよりはましというところだろう。
問題の本質が小手先の措置で解決するようなものでなく日本の人口の高齢化にあり、特に国民健康保険の加入者の高齢化がはなはだしいことに有るからだ。
高齢者は当然病気しがちになり病院に行く機会が多く、一方高齢者の自己負担率は軽減されている。

 国民健康保険の自己負担率は3歳未満が2割、3歳から69歳が3割、そして70歳から74歳が1割で、もっとも病院がよいが多い高齢者の自己負担が低い。

注)なお、75歳以上は後期高齢者医療制度の対象になり、市町村の運営ではなく都道府県の運営にうつっている。保険料未納者を防ぐ目的で保険料は年金からの天引きになり、包括制といって一つの病名で1ヶ月にかかる医療費の上限を定められている.。なお自己負担率は1割で残りは公費が5割、組合健保が4割

 
 後期高齢者医療制度が発足しとりあえず国民健康保険からは75歳以上の人が省かれ、その費用の4割を組合健保に押し付けることに成功したので、市町村としては財政負担が軽くはなったが日本人全体の医療費が少なくなったわけではない。
制度がどうであれ自己負担率が1割の高齢者の病院通いに歯止めをかけるのは無理だからだ。

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 日本においては高齢者を弱者として優遇することが福祉と思われているがそれは高齢者に対する誤解である。
高齢者は確かに肉体的には弱者だが、こと経済的には強者だ。
日本の個人預金1400兆円のうち約8割は高齢者が持っており、日本の高齢者は金持ちなのだ。

注)日本の高度成長は1990年前後で終わり、それまで働いていた人は高度成長の恩恵を受けている。その後の日本の労働者は傾向的に貧しくなってきており、富は老人だけが持つようないびつな構造になっている。

 反対に若者の多くが派遣社員等で低い給与に甘んじているのが実情で、現行の国民保険制度後期高齢者医療制度を含めて)は金持ちを優遇するいびつな制度だ。
若者は老人に比較して病気になる確率が低いから病院通いは少ない。その弱者の若者から保険料を強奪して、金持ちの老人を優遇している。
私は高齢者の自己負担割合を貧しい若者と同じ3割にすべきだと思っているが、政治家は「老人はまずしい」と誤解したままだ。
こうした誤解のうえに国政や地方自治体の政治が行われており、国民健康保険制度との間で軋みが生じている。

 だからこの本質的問題を解決しない限り呉市の努力も表面的なものに止まるのは致し方なさそうだ。

なお地方財政の苦悩の例として千葉市の財政について記載した記事があります。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/2284-0be0.html

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コメント

今の老人は、まだ多めの年金をもらえているから良いかもしれませんが、年金受給額が減る一方なら、低所得の老人を、生活保護で賄う時代がくるのだろうか、と不安に感じています。

投稿: ふくだ | 2011年6月26日 (日) 16時40分

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