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(23.5.28) 世紀のドタバタ劇 海水注入を止めたのは誰か?

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 こういうのを世紀のドタバタ劇と言う。
福島原発事故原因をめぐって政府と東電が責任のなすりあいをしていたが、決着はなんともお粗末なものだった。

 問題視されていたのは福島第一原発1号機海水注入を55分間止めた犯人は誰かと言うもので、犯人扱いされていたのは菅首相、斑目(まだらめ)内閣府原子力安全委員長、それと東電本社である。

注)3月12日、淡水の注入ができなくなったため午後7:04分に海水の注入を始めたがその20分後に海水注入を一旦停止し、再開したのは55分後になったと報告されていた。

 問題の所在は「海水注入を止めたために1号機はメルトダウンし、水素爆発を誘発した」というものでこの注入停止が「決定的な判断ミスだ」と自民党の谷垣総裁菅総理を追及していた。

 菅総理は「私がそのような判断をするはずはない」と否定し、斑目委員長「(海水を注入しても)再臨界の可能性はゼロではないと言ったが、再臨界の危険性があるなどと断定はしていない」と懸命に逃げていた。

 東電本社は「海水注入は首相が判断する感じがあり、その判断がない中で注入できないと言う空気を官邸にいた副社長が伝えてきたので、本社と工場の間での電話会議で中断を決定した」と言うものだった。

「犯人は誰か」国会はこの中断の責任追及で紛糾したが、実際は海水注入は中断されていなかったと、最近になって東京電力が訂正発言をした。
第一原発の吉田所長「(何も知らない連中の大騒ぎにあきれて)所長権限で海水注入を継続していた」と言うのである。
東電の内部規則では海水注入の権限は吉田所長に有る。

 メルトダウンと水素爆発は海水注入を停止したから起こったのではなく、停止しなかったのにもかかわらずそれまでの空焚きの結果起こったと言うのが実情のようだ。

 しかし収まらないのは犯人扱いされた菅首相斑目委員長だ。
ほれ見ろ、俺がなんと言おうと現場は言うことを聞かないのだから、海水注入の中断はなかったんだ」と居直ってみたが、なんともしまらない結論だ。

 実際今回のような大震災に遭遇すると想定外のことばかり発生して、現場は大混乱に陥る。
私はシステムの責任者だったからこうした状況はよく分かるが、たとえばトラブルが発生しATMや送金ができないことは分かってもその原因を特定するのは並大抵のことではない。

 最も信頼できるSE(システム・エンジニア)が懸命に試行錯誤してようやく原因がわかるのだが、その間そのSEに近づこうものなら怒鳴りちらされてしまう。
今はそれどころじゃ、ないんだ、。あんたはあっちに行っててくれ
私がそのシステムの責任者であってもそんな具合で、能力のないものは相手にもしてくれない。その間現場は怒号が飛び交っている。

 こんな状態で本部に報告することは、「今対処してます」ぐらいだから本部は何が起こっているのかさっぱりわからない。
今回は菅首相の下に適切な情報が入らなかったと言うことだが、それが当たり前で、報告があるのは問題が解決してからに決まっている。

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 今回はその解決もできなかったため途中で未確認情報が飛びかい、「一号機の海水注入を止めたのは誰か」という犯人探しにまで発展してしまった。
福島第一原発の吉田所長としては、「何も知らない連中の指示など待っていたら、チェルノブイリになってしまう」と思って決断(手続き上は問題ない)したのだが、東電本社が菅首相のヒステリーにおびえた結果過剰反応してしまったというのが実情のようだ。

 一般的にサラリーマンから昇り詰めた大企業のトップは権力に弱い。上の覚えがめでたくないと社長や副社長や役員にはなれないからだ。
こうした人が最高権力者の菅総理から怒鳴られればどうなるか想像がつく。
清水社長は病気になって会社に出られなくなってしまったし、副社長は「菅総理が怒っているので海水の注入は停止したほうがいい」なんて本部に連絡してしまう。

 私の想定では福島第一原発の吉田所長はとても有能なのだが、上司に媚を売らなかったために地方の原発の所長として追いやられていた人だろう。
こうした人は権力に媚を売らないから独自の判断で物事を決める。
本部の腰抜けが菅総理の言葉に一喜一憂して、海水注入を停止しろなんていっているが、そんなことをしたら大変なことになる。いいから海水を注入し続けろ」といった具合だ。

 おそらく吉田所長の判断のおかげで1号機のメルトダウンはかなりの程度抑えられたはずだ。こうしたつわもの所長がいたおかげでこの程度で収まったと言うところだろうが、しかし東電本社はひどい恥をかかされたので吉田所長を処分するといきまいている。

 想定外の状況下では想定外の所長が必要だ。
しかし国会も政府も東電本社も吉田所長に完全に馬鹿にされいっぱい食わされたものだから、「この恨み、なんとしても晴らす」という状況だ。
かくして想定外の津波が思わぬ人生模様を教えてくれた。

なお菅総理の性格分析は以下のURL参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/2359-8fed.html


 

 

 


 



 

 

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評論 日本の政治 菅内閣」カテゴリの記事

コメント

吉田所長への処罰は無しになったようです。もし処罰されてたら、現場の部下の志気にも関わる所でした。

元社員で、事故当時は近隣に住んでいたところ、被曝して低線量障害を発症したことも発言されてます。
【驚愕】元東電社員の内部告発~書き起こし~
http://blog.goo.ne.jp/banbiblog/e/dfe604984455e39920f3ce53ad85b5a0

WSPEEDIが速やかに公開されないのは、世界規模で予測できる、のが仇になったためでは、との推察。
http://twitter.com/#!/xxcalmo/status/75230879319990272
安全神話に溺れて保険なんかいらねえ、と原発賠償条約の加盟すら見送ったのを今頃、というのも。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201105280573.html

6.11 には各地で脱原発に関する催しが予定されています。千葉でも行われます。
ドイツではパレードを取材する日本のメディア向けに、わざわざ日本語でプラカードを描いたり、日本語を覚えたりしてくださってるそうです。

(山崎)処罰はなしになったのですか。手続きどおりしていたのだから処罰されたらそちらのほうがおかしいので、良かったと思います。

投稿: 横田 | 2011年5月31日 (火) 03時40分

菅首相は地震発生日の翌朝、すでに、東電本社から蚊帳の外に置かれ、何もやることがないので、吉田所長と対面して自分の意見を伝えている。

この意味は大きい、吉田所長が東電の指示を無視できたのもこの対面があったからだ。この対面で吉田所長は自分がどういう立場に置かれているかを理解した。

投稿: pij | 2013年10月20日 (日) 02時15分

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