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(23.5.27) OECDの正直な経済予測 日本経済▲0.9%

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 ようやくまともな経済予測が出てきた。OECDが5月25日に発表したエコノミック・アウトウックで日本経済の11年度の成長率を0.8%から▲0.9%に引き下げたからである。

 OECDが発表する以前のIMF日本銀行の経済予測は東日本大震災の影響を過小評価し、IMFが1.4%、日本銀行が0.6%といづれもプラス成長を予測していた。
私はプラス成長予測に呆れ返って、「日本経済が必ずマイナスになる」(この記事の下欄のURL参照)との記事を掲載したが、正直者のOECDがまともな予測をしてくれた。

 しばしば日銀IMFはありえない楽観的な数字を公表するが、それは政治的な意図の元にするためで、一方昔から正直な数字を出すことで有名なOECDはやはりマイナス数字を公表した。

 OECDがマイナス予想に転じたのは日本政府が発表するその後の経済実績がほとんどリーマンショックを上回るほど惨憺たる数字だからだ。
たとえば3月全国鉱工業生産指数82.9前月比15.3の減少である。これがどんなにすさまじい数字かというと8年のリーマン・ショック8.6減少のほぼ2倍になっていることから分かる。

 さらにショックだったのは4月の貿易統計速報)の貿易収支4637億円の赤字だったことだ。日本の貿易収支は基本黒字で、赤字になるのは原油高等でたまたま赤字になる月に限られる。
ところが今回東日本大震災の影響で30年ぶりに4月としては赤字になり、しかもその赤字幅は過去7番目に高い。

 赤字の原因は自動車を中心とする輸出産業がサプライチェーンの崩壊で国内生産が停滞したためと、一方で輸入が石油や原材料や食料価格の上昇で16ヶ月連続で上昇したためである。
輸出産業の復興は秋口以降で、一方輸入原材料の高騰は相変わらずだから上期の貿易収支は赤字になることがほぼ確定した。

 そしてこれがとても重要なことだが、貿易収支が赤字になればそれだけ日本のGDPを押し下げることになる。

注)GDPに計測される貿易収支は(輸出-輸入)のネット純輸出かネット純輸入になり、前者であればGDPに加算、後者であればGDPから減算される。

 日銀は下期から輸出産業が立ちなおって、通期で黒字になると言っているのだが、私の予想は「輸出産業は立ち直らない」であり、その結果GDPはOECDの予測より悪化すると思っている。

 なぜそういえるかと言うと日本の輸出環境はリーマン・ショック以降劇的に悪化したからだ。
リーマン・ショック前まで政府・日銀は実質ゼロ金利と金融緩和で日本円を安く維持し、対ドルで120円、対ユーロで170円程度の輸出産業にとってはわが世の春の環境にあった。

 それがリーマン・ショック以降、アメリカとEUが日本並みに低金利と金融緩和策をとった結果、対ドルで80円、対ユーロで115円程度の円高になってしまった。ドルもユーロも3分の2に下がったのだからすさまじい
これで輸出産業に競争しろと言うほうがどうかしている。

 それでもトヨタなどは全生産量の30%は日本国内で生産するとけなげな努力をしていたが、東日本大震災が最後の一撃を加えてしまった。
サプライチェーンが崩壊し、一時は生産がまったくできなくなったからだ。

 日本は輸出産業にとっては地獄のような場所だ。円高で韓国や中国の同業他社とはとても競争できず、しかもサプライチェーンは一時的とはいえ崩壊し、さらに電力供給は夏場は15%の制限を受ける。

注)中国の元、韓国のウォンはアメリカのドルにペッグしているため日本の円に対してほぼ3分の2の引下げになっている。

 2011年4月貿易収支は赤字になったが、これは従来のような一時的な赤字とは異なる質的な変化だ。
日本は輸出産業が稼いだドルを再投資してその収益金(配当や利息)で食っていた国だ。
しかし今後はその貿易収支が良くてトントン、場合によったら赤字になる国に変わる。

 その結果GDPは傾向的に低下する国になるだろう
私はそれが当然だと思っているが、GDP成長派にとっては精神的に苦痛な日々だろう。
しかしGDP成長派がいかに公共投資を拡大しても無駄で、いらない道路や飛行場や港湾等を作えば後でメンテナンスに苦しむだけだから、実情を受け入れた方がはるかに苦痛は少ない。
また金融緩和は輸入財の高騰を後押しするだけだから自ら首を絞めているのと同じだ。

注)金融緩和で市場に放出された資金は日本国内には投資先がないため海外に流れて原油や鉄鉱石や食料価格を上昇させる。

 20世紀GDPの世紀は日本では1990年前後のバブル崩壊で終焉し、そして東日本大震災で最後のダメ押しをされてしまった。
日本が輸出産業主導で成長する時代はすでに過ぎているのである。

注)日本のGDPは1990年前後のバブル崩壊以降、名目ではほとんど伸びていない。2000年の前半に日本のGDPが延びたとされるのは実質GDPのことで、物価が傾向的に下がっていたのでその分実質GDPは上昇した。


経済成長予想の記事は以下のURL参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43696146/index.html

 

 

 
 

 

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コメント

家電メーカーで働いている者としては、輸出産業だけでなく、製造業も規模の縮小やむなし、と随分前から思っています。
世の中の方々は、今でも政府が発表するGDP 予測を信じているんでしょうか。

早く経済成長を信仰せず、国民の幸福度を追求する社会になってもらいたいです。

(山崎)日本が次に目指すのは幸福の経済学です。そうした考え方のチェンジができれば21世紀のパイオニアに日本になれます。

投稿: 福田 | 2011年5月28日 (土) 16時22分

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