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(23.5.9) 東日本大震災 原発行政の終焉と菅総理のヒステリー

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 「無茶が通れば道理が引っ込む」とはこうしたことを言うのだろう。
それまで国の安全審査で「まったく安全面で問題がない」と評価されていた静岡県の浜岡原子力発電所の稼動を、菅首相が突然「停止しろ」と要請したからである。

 これには中部電力もびっくりした。
何が問題なのでしょうか、国の基準を十分クリアーしているのに、総理は何をお考えなのでしょうか。法律を守ることがそんなにいけないことなのでしょうか」と、詰め寄ってみたが菅首相の意向を受けた海江田経済産業相は「停止しろ」の一点張りだった。

 それもそうだろう、まさか「菅首相がヒステリーを起こして、浜岡原発を停止させようとしている」とは口が裂けてもいえない。

 5月6日、菅総理は緊急記者会見を開き静岡県御前崎市に有る中部電力浜岡原発全機(3,4,5号機)の運転中止を突然中部電力に要請した。

 浜岡原発は東海沖地震が発生した場合、福島第一原発と同様に津波被害に耐えられず、原子炉が溶融する可能性の有る原発といわれてきた。なにしろそばに活断層があり、東海沖は地震の巣だ。

 そのため中部電力は過去何回も地震対策を強化してきており、それでも足らず、仕方なく1・2号機は廃炉にし、残りの3・4・5号機を守るために海側に15mの防潮堤を建設中だった。
中部電力は国の安全基準を満たすために努力してきたのである。

 ところが菅総理は文部科学省のデータを元に「30年以内にマグニチュード8程度の東海沖地震が発生する確率が87%」だから、「15mの防潮堤が完成する13年度末まで浜岡原発を全面停止」するよう要請した。
国の安全基準を無視してなぜ急に菅総理が運転中止を言い出したのかの理由は「恐怖感におびえたから」である。

 私には菅総理が何を恐れていたかは良く分かる。菅総理の任期中にもし東海沖地震が発生して福島原発と同様な事故が発生すると、放射性物質は風(西から東に向かって吹くことが多い)に乗って首都圏に到達する。
そうなると東京から人々が逃げ出し、東京がパニックに陥り廃墟の都市に変わってしまう。そのイメージに菅総理はおびえた。
そうなるとヒステリー体質の菅総理は法律も何もあったものではない。
法律なんてどうでもいい、大事なのは原発事故を二度と起こさないことだ。俺の言うことを聞いて原発を止めろ」怒鳴り散らした。

注)私には過去にひどいヒステリー体質の人物との遭遇があるのでヒステリー体質の人の行動がよく分かる。こうした人物は恐怖感にかられると無理難題をそれまでの経緯を無視してわめき散らす

 この措置に対してさすがに賛否両論が出た。
静岡県の川勝知事は「安全性の確保に対する地元の要望を最優先にした英断」と絶賛したが、当の地元の御前崎市長は「話が唐突過ぎて言葉がでない。原発交付金に依存する自治体をどうするのか」と困惑を隠せなかった。

 従来日本の原発は政・官・業・学の鉄の結束で推し進めてきた。
日本の原発は絶対安全で、発電効率が高く二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーなので、現在のシェア30%を40%引き上げよう」が合言葉で、そう口をそろえて国民を説得してきた。

 ところがこれが今回の東日本大震災でまったくの虚構だったことがばれた。
元々自然界に絶対安全などと言うものはないから想定外には対処できない。
そしてこの事故処理の責任を一手に負わされた菅総理があまりの対応の難しさに切れてしまった。
しかも菅総理がいくら真面目に対処しても対応が遅れたと国民も野党も非難ばかりだ。

何が安全なんだ、自民党のやつ、おれに事故処理を押し付けやがって、頭にきた。それならこっちも考えがある。原発など一機たりとも許さん
ヒステリーが爆発した。

 今回は13年末までに完成する高さ15mの防潮堤ができるまでは原発を稼動させないと言うことだが、おそらく防潮堤ができた段階で(菅総理が首相で有れば)再び難題を持ち出して原発再開を阻止するだろう。
想定外のことを想定して対策を打て
そんなことはできっこないから結局浜岡原発は廃炉になるしか方法はない。

注)私は菅総理がやめても浜岡原発は廃炉になると思っているが、それは地域住民が「想定外を想定して対処」を求める様になると思っているからだ。

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 私はこの文書で菅総理を皮肉っているのではない。そうではなくて歴史の転換期には通常の首相ではだめで、菅総理のように恐怖感にかられると、法律などまったく無視して浜岡原発の停止を求める、そうした一種独特のキャラクターが必要だと感じている。

 もし他の常識人が首相になっていた場合は、絶対に「政・官・業・学」が築き上げた「原発推進」の鉄の団結を打ち破ることなどできそうにない。
うるせい、俺は総理だ、俺の言うことを聞け」なんとヒステリックで断固とした雄たけびだろう。

 今回の菅総理の中部電力に対する要請は、本人がどのように考えているかを別にして、日本の原発行政の転換になり日本から原発が消え去る端緒になると私は思っている。
法律を無視して原発を停止させようとしているのだから、菅総理のヒステリーはまさに歴史的偉業を行っていると言えそうだ。

 

 

 

 

  
 

 

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