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(23.5.5) 日銀の11年度経済見通し GDP0.6%成長は当たらない 

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 日銀4月28日に発表した11年度の経済見通しを見て、これはほとんど政策的なアナウンスメントだと思った。
大震災の影響を考慮して1月時点の見通し1.6%0.6%に引き下げるとしたのだが、まだ日本経済が成長するとした見通しにびっくりしてしまった。

 通期で成長が0.6%になる根拠は秋口以降景気が回復すると言うもので、部品の調達難も解消し、電力不足も解消すると言ういたって楽観的な見通しになっている。

 日銀や政府や、また多くの経済研究所等が「直前はだめだが、半年後は回復する」と言うような見通しの発表をよくする。
これは経済予測の常套手段で、直近についてはデータがそろっているので甘いことは言えないが、先は分からないのだから景気回復を歌い上げて国民(企業も消費者も)をその気にさせようとする心理作戦である。
さあ、景気はよくなるぞ、生産に励んで大いに消費活動をしろ

 しかし今回はこの心理作戦は失敗に終わるだろう。
なにしろ東北地方を中心に重要な生産基盤が失われて、鉱工業の生産は震災後凋落してしまった。
3月全国鉱工業生産指数82.9前月比15.3の減少である。これがどんなにすさまじい数字かというと8年のリーマン・ショックの8.6減少のほぼ2倍になっていることから分かる。
今回の大震災の影響はリーマン・ショックより確実に2倍大きい

 なぜこんなことになってしまったかと言うと、たとえば自動車の主要部品のマイコンを作っていたルネサスエレクトロニクス那珂工場茨城県ひたちなか市)が大被害にあって生産をストップしてしまったためだ。
ルネサスはこのマイコン生産の世界トップ企業だったので、国内の自動車生産がこの影響で軒並みストップしてしまった。
なにしろ3月の国内自動車生産は6割も減少したのだからすさまじい。

 現在ルネサスは懸命に復旧活動を続けて6月に生産再開するが、フル生産にいつ戻れるかはまったく見通しが立っていない。
さらにルネサスを悩ましいているのは東電の電力供給が夏以降も安定的に供給できるかと言うことだ。マイコン生産の鍵は安定的な電力供給に有る。
東電は水に浸かった火力発電所や老朽化した火力発電所を再稼動して万全を期すといっているが、想定外の事変が起こればどうなるか分からない。

 消費動向も散々で、あれほど買占めをしたのだからさぞや消費は上向いたかと思っていたが、3月の実質消費支出は対前年比8.5%も落ち込んでしまった。
人々は旅行や外食をほとんどせず家に閉じこもってスーパーやコンビニから購入してきたラーメンやパンを食べていたことになる。

 4月についてもまったく期待できず、5月の連休も成田を利用する観光客等は例年の半分程度だ。
福島原発の収拾はまったく目処は立たず、福島県周辺での工業や商業活動は停滞したままだし、いつまた周辺地域への放射性物質の放出が行われるかわからない。

  こんなひどい状況下にあるのに、「秋口以降は景気が回復する」とはよく言ったものだが、日銀も本音では民間の生産や個人消費が回復するとは思っていない。

 日銀の本音は「第二次補正予算が10兆円~20兆円の大盤振る舞いになれば震災特需がでて景気が上向く」はずだと言うもので、政府の復興特需頼みなのだ。
だが果たして第2次補正予算がそんなにすっきりと国会を通過するだろうか。

 とくに民主党のばらばら撒き体質を自民党は厳しく追及しようとしているから、赤字国債(震災国債)を好きなだけ発行しようとする民主党政府の政策はそのまま採用できないだろう。
どうしても子供手当て等のマニフェスト案件を削って復興費用に当てることになるから、真水で10~20兆円と言う規模にはならない可能性が高い。
だから日銀の震災特需を当てにしたGDPの伸び率予想は過大で、本年度はどう見てもマイナス成長になるだろうと私は思っている。

 

  

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評論 日本の経済 経済成長」カテゴリの記事

コメント

山崎さん
萩往還完踏おめでとうございます。
目標に向かう気持ちを再度奮い立たせる
事ができました。
本当に感動をありがとうございました。

(山崎)応援のおかげで走りきることができました。感謝しております。

投稿: 孝虎 お京阪 | 2011年5月 5日 (木) 09時44分

マイナス成長になる旨、同感です。
公然と嘘をつく体質が、かえって国民を苦しめるのでしょう。
嘘をつけばつくほど、世界からの信用を落としていくのですから。

サラリーマン社会でも、到達見込みのない目標を課せられ、うんざりされている方が多いと思います。
(私は、その1人です。)
現実を直視できないからこそ、つぎはぎの対策に追われることになるのに、直視する勇気がない日本を情けなく思い、つらいです。

投稿: 福田 | 2011年5月 5日 (木) 11時44分

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