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(23.5.31) 日本版ケース・シラー指数の誕生と不動産価格

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 世に不動産価格ほど訳のわからないものはない。
一応土地については指標なるものがるのだが、目的によって使い分けられており実勢価格とは異なる。大雑把に言って4つの価格帯がありその利用方法は以下の通りだ。

① 実勢価格 そのときの取引事例
② 公示価格 公共工事の収用価格  実勢価格の約90%
③ 固定資産税評価額          実勢価格の60%~70%
④ 路線価   相続税の評価額    実勢価格の70%~80%


 基準は実勢価格にあるのだが、この評価もかなり難しい。土地価格はその立地条件や大きさや権利関係に左右されるから、それをならして横並びで評価するのはかなり難しいからだ。

 私の不動産鑑定士の友達がよく笑って言っていたが「不動産評価なんてのはお客の要望しだいよ。借入のための評価だったら目一杯高くするし、購入目的だったら低く評価して安く買えるようにしてやるのさ」といった具合だ。

 それでも土地の評価は何とか基準があるのだが、住宅についてはまったくなかった。
ところがこの4月26日に東証住宅価格指数が公表され、ようやく日本にも住宅の不動産価格がわかるようになった。

 この東証住宅価格指数はアメリカのケース・シラー指数の日本版で、アメリカでは最も重要な指標としてこの指数があるのだが、これは一戸建ての中古住宅価格を20都市で指数化したものだ。

 日本の場合は5箇所東京、埼玉、千葉、神奈川、首都圏総合)の指数で、アメリカとは異なり中古マンションの価格指数である。
なぜ中古マンションかと言うと売買事例が中古住宅より多く日本に適しているからだそうだ。

 今回東証から発表された指数を見て、やはりと言おうか当然と言おうか日本の住宅価格が1993年をピークに傾向的に下がっていることが確認された。
詳細に見るとリーマンショクの直前はミニバブルがあったのだが、その時以外は低下の一途と言う状況だ。
大雑把に言って1993年価格の3分の1と言うレベルといえる。

注) 実は私はバブル崩壊の前後、東京の京王線沿線に有る堀の内に都住宅公社が販売していたマンションを購入する予定で契約をしていた。
93㎡で約7000万円だった。
ところがバブルがはじけて価格が低下し始めたので、私は都住宅公社にかけ合った。
周りの住宅の価格が低下していて7000万円は高すぎます。値引きをしてください
いえ、都では絶対に値引きはいたしません

 仕方なく私は手付金(
100万前後だったと記憶する)を捨てて、このマンションをキャンセルしたのだが、その後の経緯がすさまじかった。入居者が次々にキャンセルしたらしく、残ったマンションを最後は定価の3割で売り出したのだ。まさに3分の1である
これには当初の購入者が切れて裁判沙汰になってしまった。私もキャンセルしなかったら約7割の含み損を抱えて裁判を起こしていたことになる。


 また地域別に見ると東京のマンション価格の低下は千葉や埼玉に比べればマイルドだ。東京都心は相対的に人気があり、私の住んでいる千葉は残念ながら人気がない。

 日本でバブル崩壊後住宅価格が低迷する最大の原因は、少子高齢化人口が逓減しているからだ。
人口が少なくなれば相対的に住宅はあまってきて買い手市場になるのは当然で、今後も人口が減少する限り不動産価格は低下する。

 そうした中でリーマンショック前や、東日本大震災前に東京を中心にミニバブルが発生したのは、主として外国人ほとんどが中国人)がマンションの購入に向かったからである。

 中国レッドチャイナ)では不動産は国家の所有物だから、一定期間国家から借りているだけという原則がある。このためいつ公共工事のために土地やマンションを収用されるかわからないので、金持ちは海外に不動産を密かに保有して財産を守るようにする。
当初はアメリカやイギリスに投資していたが、日本の不動産が値下がりしたため中国人にとって魅力の有る物件になってきた。

注)また中国政府は昨年から不動産売買に関する規制を強化しており、特に金融機関からの融資を絞っている。このため中国国内の不動産価格は頭打ちになり、一部は低下し始めた

 この東日本大震災までは、中国人が積極的に東京のマンションを購入していたが、3月11日以降は放射能の風評被害が出ているので、このところ購入が手控えられている。
今後の動きは中国の経済状況と日本の風評被害の収束条件にかかっているが、日本の不動産価格の上昇は中国人次第になっていると言ってよい。

 日本人だけに限ればもはや十分すぎるほど住宅を保有しているので更新需要以外の需要は期待できない。特に地方は人口が逓減しているので価格の上昇はありえない。

 日本版ケース・シラー指数は毎月発表されるが、バブル時期のように毎月上がっていくなんてことは夢の又夢で、前月と同じであったらホット胸をなぜ下ろすといったところだろう。

なお、ケース・シラー指数をグラフ化したものは以下の論文に掲載されている。
http://www.keieikikaku-shitsu.com/report/393/

また本件と関連ある記事は以下の通り
「資産デフレはどこまで続くか 土地公示価格の低迷」

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/22321-4d29.html


(別件)映像のトレーニング用動画 下野街道
http://www.youtube.com/watch?v=LfD1oY2FYw4

 


       

 
  

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評論 日本の経済 不動産価格」カテゴリの記事

コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 伝わる履歴書 | 2014年1月 4日 (土) 11時38分

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