« (23.5.12) 東日本大震災 ようやく地震保険に加入した | トップページ | (23.5.14) 東日本大震災 収束工程表は大本営発表 その2  工程表のメルトダウン »

(23.5.13) トヨタが日本を去る日 製造業王国日本の黄昏

2356_054

 11年3期のトヨタの決算をみて、製造業が日本で成り立っていく条件はなくなったとしみじみ感じてしまった。
連結の営業損益は4682億円の黒字だが、国内単体では4809億円の赤字で、トヨタは国内で生産すればするほど赤字が増える体質になっている。

 かつてトヨタは世界のトヨタだった。なにしろ06年、07年と連結の営業利益が2兆円を越していたのだからあの頃がトヨタの最盛期だったことが分かる。
その後はトヨタにとって悪夢の連続だ。

 08年リーマン・ショックで世界の自動車需要が急激に落ち込み、かつて26兆円規模だった売上高は20兆円規模になり、営業利益が5000億円程度の赤字になってしまった。

 09年はアメリカ政府がGM再生のためにトヨタ・バッシングを行い、アメリカ市場からトヨタを追い落とすことに成功した。
おかげで売上高は20兆円を切って、営業利益は1500億円がやっとになってしまった。

 そして10年は回復の年と意気込んだが東日本大震災の影響で営業利益は4682億円に留まり、かつての優良企業がただの企業になってしまった。

 特に今回の東日本大震災によってトヨタはどの程度痛手を蒙るのかわからない状況になっている。
11年3期の決算に1100億円の震災損失を計上したが、12年3期についても震災損失を計上せざる得ないだろう。
なにしろ生産は50%の水準で、6月以降ようやく7割程度の生産規模になり、震災前の水準に回復するのは11月か12月にかけてだという。

 決算内容を見ると11年1月~3月にかけての第四・四半期は散々だった。
営業利益は前期比約半分461億円にとどまり、売上高も12%も落ち込んでいる。
GMを抜いて世界トップになったのは07年だが、今やGMとVWにも抜かれ世界第3位のメーカーになってしまった。

 なぜトヨタがこれほどまでに凋落したかの最大の理由はやはりリーマン・ショックだろう。それまで日本政府と日銀は低金利と金融の超緩和策を推し進め、おかげで円は120円前後の円安で推移した。
ところがリーマン・ショック以降アメリカEUも日本と同様の低金利と金融の超緩和策を採用し、互いに通貨安政策をとったために急激に円高が進んだ。

注)日本だけが超緩和の時代は円安に誘導できるが、アメリカとEUが超緩和策を取れば緩和の度合いの大きい通貨が相対的に安くなる。

2356_043

 120円程度のドルが80円程度の円高になり、170円程度のユーロが110円程度になり、約35%もの円高になってしまった。
これで競争しようと言うのがどだい無理だ。
トヨタの小沢副社長は「80円前後の昨今の一段の円高を見ると、収益を預かる立場として日本でのものづくりを続ける限界を感じる」と正直に述べている。

 作れば作るほど赤字の日本で東日本大震災は最後の一押しをしたと言ってよい。震災地区にあった部品工場からのコアの部品が届かなくなり、トヨタ自慢の看板方式が崩壊してしまった。
通常の状態では在庫を持たないことが利益を上げることになるが、工場が壊れて部品が供給されなくなれば在庫がないと致命的だ。

 そして原発事故によって原子力発電所は次々に停止させられており、中部地区の浜岡原発が休止に追い込まれ電力事情も逼迫してきた。
日本の生産環境は急激に悪化している。

 豊田社長はなお、日本での300万台生産体制の維持を公言しているが、それは不可能な選択だ。
小沢副社長が言うように国内生産の約6割(輸出相当分は日本での生産を諦めて、直接需要が発生している新興国等で生産するのが最も経済合理性がある。
だがトヨタの約6割生産移転で日本の製造業は決定的な痛手を蒙るだろう。
トヨタ以外にもホンダニッサンが輸出相当分の生産を海外に移せば日本の自動車産業は国内需要をまかなうだけの細々とした産業に変わる。

 円高、バッシング、そして大震災の3重苦でトヨタは日本で自動車生産を続ける体力を急激に消耗した。
結局は国内需要に見合った生産体制を残して残りは新興国に生産をシフトしなければトヨタ自身の生き残りができない。

 日本の製造業を支えていた自動車産業が今こうして日本から急激に海外にシフトしようとしており、ものづくり大国日本の黄昏がそこに迫っている。

なお、トヨタバッシングについては以下のURLを参照のこと
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat38892627/index.html

 

 

 

|

« (23.5.12) 東日本大震災 ようやく地震保険に加入した | トップページ | (23.5.14) 東日本大震災 収束工程表は大本営発表 その2  工程表のメルトダウン »

評論 日本の経済 トヨタ自動車」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (23.5.12) 東日本大震災 ようやく地震保険に加入した | トップページ | (23.5.14) 東日本大震災 収束工程表は大本営発表 その2  工程表のメルトダウン »