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(21.5.15) 中国経済の光と影 中国の成長はいつまで続くのか?

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 世界中が中国経済の動向に一喜一憂している。21世紀に入り世界経済は中国経済に引っ張ってもらっていると言って良い状況だ。
特にリーマン・ショックでアメリカ、EU、日本が軒並み大不況に陥り、その傷跡から立ち直ることもできないのに、中国経済だけはショックを物ともせず10%前後の成長を続けている。

 自動車の国内販売台数はすでにアメリカを抜いており、造船業は世界一となり、GDPでは日本を抜いて世界第2位の地位に躍り出た。このまま推移すればいずれはアメリカを抜いて世界最大の経済大国になることが確実だと言われている。

 現状を見ると貿易収支も堅調に推移しているし、海外への直接投資も積極的だ。
ほとんど懸念材料がない中で、経済指標で唯一気がかりなのは物価指数だけだ。
4月の消費者物価指数は対前年同月対比5.3%UP生産者物価指数は同6.8%UPだった。

注)特に生産者物価指数の上昇が激しいのは石油や鉄鉱石や食料等の輸入価格の上昇による。

 中国政府の消費者物価の目標値は4%UPで、この数値を7ヶ月連続で上回っている。特に食料品の物価上昇はこの倍程度だ。
さすがに中国政府もこの物価上昇には頭を痛めており、金融引締めに転じて昨年末以来8回目の預金準備率の引き上げ(0.5%)を行い、準備率は21%に達している。

注)通常中央銀行は貸出抑制を行う手段として、預金準備率の引き上げと基準金利の引き上げを行うが、前者のほうが金融機関に対して強い強制力がある。特に不動産購入資金を抑制しようとする場合は効果が大きい。

 中国の目下の経済は相変わらず絶好調であり、物価上昇を除いて問題が見られないが、長期的に見ると3つの懸念材料がある。

① 人口が長期的には停滞し、老人人口が増大する。
② 不動産バブルによる不動産価格の上昇が止まらと、いつかは必ずバブルが崩壊する。
③ 最大の輸出先だったアメリカ・EU・日本野経済が停滞していて、貿易環境が悪化している。


 不動産バブルはどこかで崩壊するのは日本やアメリカやEUの経験から見て確実で、問題はそれがいつ発生するかと言うことだろう。
日本は1990年前後のバブル崩壊以降経済は長期低迷に陥ったし、アメリカとEUはリーマン・ショックのバブル崩壊で長期低迷に突入した。

 中国政府は預金準備率を引き上げて懸命に不動産価格を抑えようとしている。この準備率引き上げが効き過ぎれば不動産市場は崩壊し、効かなければ更なるインフレが継続する。
国内景気の牽引役が不動産価格の上昇で有る以上、「その日」は必ず来る。
ただそれがいつかは誰にも分からない。

 貿易環境についてはアメリカもEUや日本には多くは望めない。しかし一方で、アセアン等の新興国等に対する輸出は堅調で貿易収支は順調に推移している。
中国は輸出先の多様化に成功しており、この面からの経済崩壊の可能性は少ない。

 やはり日本の経験からみて経済成長がストップする最大の要因は人口の停滞と、老人人口の増大だろう。

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 日本においては2005年前後に人口は停滞から減少期に入り、65歳以上の老人人口の割合は20%越えてさらに上昇しつつある。
人口が減り、老人が多くなれば国内消費は低迷し、若い労働力がないのだから活力が衰え、GDPは良くて前年並み、政府の赤字国債頼みの公共投資がなければGDPは減少する。

 一方中国における人口ボーナスはいつまで続くのだろうか。最新の中国政府の推定では2030年ごろに14.6億人で中国人口はピークを打つことになっている。
後20年間は人口が増大するとの推定だが、これはやや予想が甘く実際はそれ以前にピークを打つ可能性が高い。

注)日本の厚生省も2005年前後に人口のピークが来るとはよもや思っておらず、将来人口のピークは相当程度遅い時期になると推定していた。

 経済成長が進むとなぜ人口が停滞するかの理由は、生活水準が向上すると子供は生産財(働き手)ではなくて消費財、それ馬鹿高い消費財になるからだ。
子供がいたら楽しく生活できないじゃない・・・
中国も今日の日本と同様に結婚年齢が上がり、実際には結婚しない若者が増え人口は急激に停滞局面に入る。

 さらに中国では急激に都市人口が拡大しており、農村部から人がいなくなっており少子化に拍車がかかっている。そして老人人国が確実に増大しており、最新の資料で60歳以上の人口が13%で日本のほぼ半分の水準になった。

注)日本の老人人口(65歳以上)の比率が13%であったのは平成3年ごろだから大雑把に言って中国は日本より20年程度若々しい国家と言える(ただし比較が中国60歳以上、日本が65歳以上と異なっている)。

 日本から見るとまだまだ若々しい国家だが、日本が停滞局面に入ったのがほぼ20年前だ。
老人が増えれば年金問題が表面化するし、人口が少なくなれば不動産に対する需要が頭打ちになる。
貿易は新興国を相手にまだまだがんばるだろうが、不動産バブルが崩壊し人口ボーナスがなくなれば、日本と同様に長期停滞局面に入るのは確実だ。

 中国が停滞局面に入るのはいつだろうか。明確なことは言えないが中国も老人病の入り口に到着し始めており、遠くない将来に日本の後を追うことだけは確かだ。


なお過去の中国問題の記事は以下のURL参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat38004871/index.html 

 


 

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コメント

山崎次郎さん

ちはら台走友会の一部員です。
本日の日経にも中国の消費に黄信号との
記事がありました。

投稿: 孝虎 お京阪 | 2011年5月15日 (日) 13時35分

先月、中国 大連に行ってきましたが、まさに、山崎さんのおっしゃるシナリオ通りに推移している様です。
現地の中国人社員から説明を受けました。
鋭い考察ですね!勉強になります。
6月後半は、久しぶりのNY、WashintonDCに行って来ますので、そちらの状況も見てきます。

投稿: T | 2011年5月17日 (火) 15時19分

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