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(23.4.27) 通貨の権威失墜と金相場の上昇

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 これほどまでに金相場が上昇するとは夢にも思わなかった。
直近では1トロイオンス=1500ドルとなっており、1年ほど前は1200ドル程度だったので年率で25%程度の上昇だ。しかもこの先どこまで上昇するのか分からない。

 元々金は持っていても利息がつくわけではないからドルやユーロが健全であればドル預金やユーロ預金に資金が流れて、金の購入意欲が衰える。
しかしほぼ3年前に発生したリーマン・ショック以降世の中はすっかり変わってしまった。

 アメリカとEUと日本が競うようにして金融緩和を推し進めたため世界に資金が有余ってしまい、ドルやユーロや円をもっていても価値が下がるだけになってしまった。
ヘッジファンドも個人も通貨をすぐに希少性のある価値あるものに換えようとして貴金属や石油や鉄鉱石や食料に資金を移し換えている。

 昔ロシヤの友達がルーブル紙幣の給与をもらうと、即日闇市場でドルに交換していたが、そうでもしないとルーブルがたちまち紙切れになるから生活防衛のためにいたし方がない行為だった。
今はドルもユーロも円も信用を落としているので、誰もが通貨を持っているよりは貴金属等を持とうとする。

 この動きは通貨相互間の動きだけを見ていては良く分からない。実際は通貨のたたき売りがされていて、ドルもユーロも円も互いに弱さを競い合っているのが実情だ。

注)弱い通貨ほど輸出環境が好転するので、景気回復のためより通貨を弱める政策をとっている。確かに輸出は増えるが、入手する通貨の価値は下がっている。

 金は1971年ニクソンショックまでは1トロイオンス=35ドルだったので、FRBに35ドル持ち込めば金に交換できた。
あれから40年、金相場は40倍以上に上昇したが、見方を変えればドルは金に対して40分の1に減価したことになる。

 もっとも金価格は直線的に上昇したのではなく、1980年に約600ドルの値をつけてから長期停滞局面に入った。
その後は少し価格が上昇すると財政が厳しい国家筋から金売却があってすぐに価格が下がり、2000年前後までほぼ半値の270ドル程度になっていた。

 金は毎年の産出量が4000トン以下と少なく、そこに国家筋から100トン程度の金の売却が出るとすぐに価格が低下したからだ。
この金価格の低下にたまりかねて、ヨーロッパの11カ国が金の売却カルテルを結んだのは1999年で、年間の販売量を400トン以下、5年間の累計を2000トン以下と決めてから、金価格は上昇するようになった。

注)これを第一次ワシントン条約という。ワシントンと名がつくのはたまたま国際会議があってワシントンに集まっていた西欧諸国が、そこで金の販売カルテルを結成したのでこの名前がついた。
その後5年ごとにこのカルテルは更新されている。


 その後はカルテルのおかげでほぼ一本調子で上昇したが、本当に金価格が急上昇し始めたのはやはりリーマン・ショック後の金融緩和をうけてで、最近ではほとんど手がつけられないような上昇になっている。

注) 1トロイオンス当たり、06年 600ドル、07年 700ドル、08年 900ドル、09年 1000ドル、10年 1200ドル、現在 1500ドル

 リーマン・ショック以前の金価格の上昇は主として日本が低金利政策で放出した資金を利用した投機によるもので、リーマン・ショック以降はアメリカ、EU,日本が競って金融緩和策をとったことによる。
市場から見れば通貨の価値が競争するように低下しているので、貴金属を購入してヘッジしているだけに過ぎない。

注)投機筋が悪意を持って通貨の下落を操作しているような説明がよくあるが、実際は通貨当局が節操なく通貨の供給をするので、安くなった通貨を売って金等を購入する経済行為をしているにすぎない。

 ニクソンショックから40年、その間は管理通貨制度と呼ばれアメリカのFRBが責任をもってドルを管理している制度だったはずだが、リーマンショック以降は糸の切れたタコになってしまった。

 通貨の信任がなくなれば、後は最後の通貨と言われる(そして銀やプラチナ)がアンカーとして購入されるのは当然だ。
そしてこの金価格の上昇はドル管理制度に変わる新たな通貨管理制度ができるまで続きそうだ。

 新たな通貨管理制度とは、ドルだけでなく主要な通貨(ユーロ、円、元、ルピー、ルーブル等)をバスケットに入れて、各国の信任の総和(アメリカのドル一国支配の終了)で通貨価値を支えようとする新制度になるはずだが、そうした新通貨管理制度が構築されるまでは金価格の上昇傾向は続くだろう。

注)なお金の上昇が一本調子に上昇することはない。アメリカやユーロや円が引締めに入って国債の利回りが上昇したりすれば、資金は当然国債等に流れる。上記の金価格の上昇傾向とは長期トレンドを意味して、短期トレンドの説明ではない。

 

 

 

 

 
  

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