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(23.4.23) 少子高齢化と衰退のメカニズム なぜGDPは伸びないか

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 私が高校の世界史を学んで一番不思議に思ったのは、なぜ中世と言うような暗く文化の香りがしない、あるのは宗教と宗教裁判だけの暗黒時代が出現したかということだった。

 それ以前の古代には古代ローマに代表される華やかで建築技術の粋を集めた大都市があり、そこにはコロッセウム凱旋門公共浴場や、そして何よりも上下水道が完備していた。
道路は帝国の隅々まで延長され、海上貿易はいたって活発で、商業は栄えていた。発掘された都市を見ると現代と同じような生活様式が存在していたことがわかる。

「中世??? 何か時代が逆転したのではないか」そう思ったものだ。
私は当時(そして長い間)歴史は進歩するという進歩史観の信奉者だったので、この中世と言う水溜りのような動かない世界に失望したものだ。
なんとくだらない時代があったものだ・・・・・・・歴史の恥だ

 しかし今日本のおかれている状態を見て、私は中世と言う時代がなぜ出現したか理解できるようになった。
今日本がその中世に突入しようとしているからだ。

 20世紀はGDPを極限にまで増大させようとした進歩史観の時代だが、日本においては1990年ごろからいかに財政と金融を総動員してもまったくGDPは増加しなくなってしまった。

注)名目のGDPは成長が止まったが、デフレが進んだため実質のGDPはデフレ分だけ増加した。だから日本は低成長だが進歩していると言い続けて来た。

 政治家も経済人もGDPが成長しなければ失業者が増大して社会不安が起こると口をそろえていたし、国民も素直にそうだと思っていた。
しかし日本はどうやっても成長しない世界に入っていたのだ。

 本質的な原因は少子高齢化であり、ここではGDPの約6割を占める消費が逓減する。それは老人になれば分かるが食欲はわかないし、着るものは異性を引き付ける必要がないからジャージで十分だし、家はすでに購入しているのでメンテ需要以外はないし、旅行も体力勝負だから時差のあるところはなるべく避けようとする。

注)なぜ高度に進歩した社会で少子高齢化がおきるかと言うと、高齢化は医療水準の向上、衛生環境の充実、年金等社会保障制度の拡充により平均寿命が延びるから。
一方少子化は子供が生産財でなく高い消費財になるためで、大学や大学院を卒業させてもなおパラサイトシングルで親に寄生するので、こんな馬鹿高い消費財にうんざりし、できるだけ子供を生まないようにするためである。


 おかげでデパートもスーパーもコンビニも売上げ減少に悩み、観光地は閑古鳥が鳴くし、地方のアミューズメントパークはほとんどが倒産してしまった。
今では東京近在の私鉄さえも利用客が減りだし、地方では鉄道そのものが成り立たない。
このように少子高齢化社会では消費は必ず頭打ちになり、次に逓減する。

注)日本と同じように高度に発展したアメリカがなお成長しているのは若者の人口が増加しているからである。正式な移民と不法移民の流入でアメリカはまだ若い国家でいられる。また西欧も最近まではアフリカの旧植民地とトルコ等からの移民を受け入れていたし、EUと言う枠組みで東欧の若者を取り入れることに成功していた。
進んだ先進国の中で日本だけが少子高齢化に悩まされている。

 こうした日本に投資をするのは投資効率が悪すぎるので民間資本はそっぽを向いてしまう。
仕方がないので政府や自治体が公債を発行して無用な飛行場やダムや高速道路や港や公園を作りまくったが、こうした施設はそもそも利用者が存在しないので、維持管理費ばかりがかかって国や自治体の財政をさらに圧迫する。

 十分に成長し、さらに少子高齢化した社会にはそれ以上の効果的な投資物件は存在しない。何をやっても無駄なのだから、そんなところに投資するくらいなら中国や東南アジアといったまだ貧しく、若者がわんさかいて消費意欲が旺盛な場所に投資するのが当然だ。

 実際21世紀にはいってその傾向が誰の目にも明らかになってきて、とうとうGDPも中国に抜かされてしまった。
さらに今回の大震災に伴う福島第一原発の事故でGDPは確実に減少に転じようとしている。

 なにしろ電力供給は制限され、日本の輸出品には放射能検査が義務づけられ、観光客は日本を敬遠し、国民は不要な外出や支出を行わなくなり、何よりも東北3県の避難民をどう受け入れるかで政府は頭がいっぱいになっている。

 菅総理は復興計画を新しい日本のために作るといっているが、それは実際はGDPが毎年減少する社会のことだ。
古代ローマもこれ以上の投資物件がなくなり少子高齢化が進むことによって中世に席を譲った。今日本も古代ローマと同じように新しい中世の入り口に入り込んでいる。
時間差は有るが次はヨーロッパが中世化し、アメリカもあとを追うだろう。
進歩した社会が少子高齢化すれば必ず起こる歴史のメカニズムと言ってよいだろう。
もう一度言うが、少子高齢化社会ではGDPは必ずピークをうち、そして逓減する。

注)新しい中世に入る順序はほぼ平均寿命の高い国から入り始める。日本が世界有数の平均寿命大国であるため、成長の限界を最も早く経験することになった。

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コメント

おっしゃる通り少子化(わたしは高齢化はセットにすべきではないと思います。)がGDPの成長を止めていると思います。
豊かに生きるという、いわゆる既得権をもった大人がもっとチャレンジしないといけませんね。
わたしも微力ながら頑張りたいと思います。

投稿: 孝虎 | 2011年4月23日 (土) 06時27分

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