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(23.4.2) 東日本大震災 東電の実質的倒産

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  4月1日、毎日新聞が驚くべきスクープを行った。

東京電力実質的に倒産するという。政府が公的資金の出資を行って政府管理にすると決めたとの報道である。
この報道の事実関係を問われた枝野官房長官は「否定された選択枝の中には入ってない」と事実関係を認めた。
東電の株は売り浴びせられ400円を割り、これは戦後間もない60年前の株価に等しい。

 この福島第一原発の事故が起こる前までは、東電は日本を代表する優良企業だった。
内部留保も厚く、また給与も非常に高かったから日本の優秀な理科系の学生は東電の社員になることにあこがれたものだ。

 しかし今東電は福島第一原発の事故対応でのた打ち回るような苦悩の最中にあり、この苦悩からいつ逃れられるか見通しもつかない。
福島原発から30km範囲の住民は実質的に域外の移動を余儀なくされ、家も家財もそのままに避難生活をさせられている。

 放射性物質はこの30kmを越えて拡散し、福島だけでなく茨城・栃木・群馬の農産物がまったく販売できなくなってしまった。
そればかりではなく海外ではこの地域以外の農産物までがまったく売れない。

 日本を代表する優良企業だった東電は約3兆円の純資産内部留保)があり、かつ金融機関から約2兆円の資金調達をして災害復旧対応に備えている。
しかし問題はその程度で足りるかということだ。

 福島原発周辺30km以内の住民に対する損害賠償や風評被害にあった農家に対する損害賠償、それと海を汚染したことによる漁業補償等が今後どこまで膨らむか分からない。
さらに風評被害は日本全国に広がっており、日本製と言うだけで被曝をしていない証明書の発効を求められている。

 現時点でアメリカのバンクオブアメリカ・メリルリンチが賠償額は2兆円~3兆円になるだろうというレポートを発表したが、本当のところは誰にも分からない。

 実は原発事故においては原子力損害賠償法で「異状に巨大な天災や社会的動乱」が発生した場合は、「電力業者の賠償責任を免責する規定」がある。
客観的に見れば今回の想定外の地震と津波はこの免責条項に当てはまる。
裁判で東電が争えばおそらく東電は免責されるだろう。しかしそれでは国民が納まらないのは政府が一番良く知っている。
大正時代の米騒動のように、東電は怒った民衆の焼き討ちに会うかも知れない。
絶対安全だといっていたではないか・・・・責任を取れ!!!

 政府がこの時期に無理やりにでも出資をして政府管理下に置こうと決心したのは、東電が必ずしも政府の方針を素直にしたがわないからである。

 燃料棒が溶融しそうになって政府は「海水であろうが真水であろうが何でもいいから炉心に水を注入して燃料棒を冷やせ」と命じたが、東電は海水を注入すると内部が腐食し二度と原発の使用ができなくなるためグダグダと理由を言ってすぐに対応をしなかった。

 また菅総理が「すぐに現状報告を上げろ」と命じても実際は東電内部でも大混乱だったためとても報告ができるような状況下になかった。
東電は上記の海水の件も報告遅れも否定しているが菅総理は東電を信用していない。
これで今度東電が免責規定を持ち出してまたグダグダ言い出したら大変だ。そうならないように東電を国家管理にしろ菅総理が命じた。

 なにしろ菅総理は直前にフランスのサルコジ大統領と会談している。フランスは世界第2位の原発大国であるだけでなく、国家資本主義の国で当然原発会社は政府の実質的な管理下に有る。
国家管理をしなければまともな原子力行政はできませんサルコジ大統領からそう示唆されたのだろう。

 東電JALGMと同じように国家管理に置かれるとは思いもしなかったが、今回の事故対応がどこまで拡大するか分からない状況下では、いたし方がない対応だろう。
なにしろ国家存亡の危機で東電だけの危機ではない。

 そして30km圏内の避難者や近隣の農業者にとって最後に頼りになるのは国家で東電ではない。
普段は何気ない存在の国家だが、国家が国家存亡の危機に遭遇した時にアンカーにならなければ他になれるような組織は存在しない。

 

 

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