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(23.4.1) 東日本大震災 宮崎駿氏の先見性と「風の谷のナウシカ」

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 最近の福島第一原発事故を見てあらためて宮崎駿氏の先見性に驚いた。宮崎駿氏がアニメ「風の谷のナウシカ」を世に問うたのが1984年のことで、今から25年以上も前のことになる。

 私はこのアニメがとても好きで何回も見直しているのでその筋は良く覚えているが、今までは良くできたアニメとばかり思っていた。
しかし今回の福島原発事故を目の当たりにすると、このアニメが本当に伝えたかったメッセージが非常に奥深いものだったことが分かる。

 氏はこのアニメの最初でこの物語のテーマを述べている。

ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った。
大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は1000年後に絶頂期に達しやがて急激な衰退をむかえることになった。

『火の7日間』と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく永いたそがれの時代を人類は生きることになった


 この物語の世界では「腐界」という瘴気しょうき 有毒ガス)を撒き散らす菌類がはびこる人の住めない世界があり、この腐界がますます拡大し、人類の生存が危ぶまれている世界になっている。
そして舞台になっている「風の谷」は風が常に腐界に向かって吹き、瘴気を寄せ付けないまれな場所だ。
そのため人々の生活は風を読むことでなりたち、主人公のナウシカは風を自由に操る少女である。

 人々の生活は古代の科学文明を一部使用しているが、電気やガスや水道や電話といったインフラはなく、人々の移動は飛行機(なぜかこれだけが残っている)を除けばラバや馬が主体だ。
生活は中世のヨーロッパそのものと言う世界が広がっており、主人公ナウシカが住む村も人口500名程度の小村に過ぎない。

 私が宮崎駿氏のこのアニメを思い出し、その先見性に驚いたのは次の二点が頭をよぎったからだ。

① 福島第一原発周辺の市町村は放射能物質に汚染されて人々の住めない場所になる(腐界とおなじ)。また原発事故が収拾しない限り日本そのものが腐界とみなされる。

② 人々の生活は原子力の利用に対する拒否反応が強まり、便利で快適な生活よりも不便でも安全な生活を求めるようになる。GDPは年々減少し、20世紀的意味では21世紀は貧しい世界になる(
中世化する)。


 大地震、大津波、そして原発事故と言う3重苦に見舞われた後の世界が、それ以前の世界と同じわけがない。
東日本が崩壊する」と菅総理が言った大惨事だ。
人々は文明というものは常に進歩する(これを進歩史観というと思っているが、実は違う。
トインビーが「歴史の研究」で言っていたように、文明は生まれ成長し発展するが、ピークを迎えると徐々に衰退し、最後は死滅する。

 日本と言う20世紀文明に最も良く適合した社会は、1990年頃から停滞局面に入り、GDPは名目でまったく伸びなくなり、時の政府は最大限の財政・金融政策(ケインズ政策)を繰り返した。
これだけ資金をつぎ込んでなぜ成長しない

注)なお実質のGDPはデフレが進んだ分だけ上昇している。

 実際は無駄な道路や橋や飛行場や堤防を作り、無駄に補助金を与え続けただけだから成長などするはずはない。文明はすでに頂点を向かえこれ以上の投資は投資効率ゼロだったからだ。

 そして今回の大震災を契機に衰退し始めたのは止む終えないことだ。財政は逼迫しもはやつぎ込む金も枯渇し、東電の補償もままならないだろう。
これからは宮崎駿氏が描いた「風の谷」のような世界が始まるとおもわれ、それは新たな中世といってよいような世界になるだろう。

注)政府と経済界は夏場の電力需要を25%削減する指針を出した。これは夏場の一時的措置と思われているが、実際は今後長く続く日本の原風景になる。
鉄道も間引き運転になり、デパートやスーパーのエスカレーターもとまり、家庭でも無駄な電力の使用がなくなる。

企業は日本での生産を諦め海外に進出し、若者は職場を求めて海外に出て行く。日本は人口がますます少なくなり、GDPは急速に縮小する。
そうした世界を「新たな中世」と呼ぶ。


(別件) 「おゆみ野四季の道」「おゆみ野四季の道その2」のカウンターの数字の合計が前回加算時より10000増加したため、「おゆみ野四季の道 新」に加算しました。

 

 

 

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災害 東日本大震災」カテゴリの記事

コメント

今回の事件を受けて、「パエトーン」がwebで特別公開されています。
http://www.usio.co.jp/html/paetone/index.html
生物学的に、好適よりも最適を好む生物は滅ぶのだそう。
適度な寒さなどに「耐える」力を失えば抵抗力の低下から病気にかかりやすくなる、というのは理にかなっている。

投稿: 横田 | 2011年4月 1日 (金) 12時58分

『ナウシカ』は、25年も前の作品なんですね・・・映画館で見て立てないくらい感動した作品でした。でも、福島原発事故の映像を見た時、コメントされてる通り 宮崎駿監督の先見性・・・いえ、予言とも取れる作品内容に驚いたのを今でも忘れられません。巨神兵を復活させる為に覆われていた網のようなモノが、爆発し建屋が吹き飛ばされた後の原発に見えてならなく、又 巨神兵は巨大な力を持っているが、(原作を勝手な解釈すると)放射能・・・目に見えない有害なものをまき散らす 人がコントロールしきれないものとして描かれているようで・・・。そして、『ポニョ』に出てくる黒い大波のシーン・・・これも、今回の津波を見た時 すぐ思い出してしまいました。何故、海なのに・・・いつもキレイなブルーを使う監督なのに波が黒いのか不思議でなりませんでした。勝手な解釈だとは思いますが、宮崎駿監督や手塚治さんは、アニメや漫画を通して、色々警告してくれているような気がします。

投稿: ピリカコタン | 2012年4月 1日 (日) 01時41分

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