« (23.3.28) 東日本大震災 街が消える時 | トップページ | (23.3.30) 東日本大震災 地震保険の強制加入化について »

(23.3.29) 東日本震災 縮み始めた21世紀の日本 20世紀GDP精神の終焉

22317_036 

 日本が確実に縮み始めている。90年前後のバブル崩壊以来名目GDP円換算)ではほとんど横ばいになっていたが、円高120円が80円と3割以上アップ)でドルベースでのGDPは成長していた。
ところが円ベースでの名目GDPさえも今回の東北関東大震災に伴う電力供給のネックで確実に低下し始めている。

 現在東京電力は計画停電を実施し、現行の3850万kWの電力事情の中で何とかやりくりしているが、これはJRや私鉄各社、および大口需要先のデパートやスーパー、および家庭が懸命に節電に協力しているからである。

 東京電力は夏までに回復できる電力量の見込みを4650万kwとし、一方夏場の需要は最大5500万kwと見込こんで、夏場は850万kwの電力不足に陥いり、計画停電は継続すると発表した。

 しかし問題は本当に夏場だけでその後は電力不足が解決するかと言うことだ。


注)福島第一原発の総発電量464万kw、第二原発の総発電量は440万kw、この二つの原発の再稼動ができない。


 日本における原子力発電のウェイトは約30%だが、今回の福島第一原発の事故で徹底的に原子力発電に対する反感が強まった。
おそらく今後の原発の稼動には非常に高いハードルが設定され、たとえば今回のM9.0に耐えられる耐震構造や津波対策ができたとしても住民は納得しないだろう。

M9.0以上の想定外の地震や津波が発生したら、絶対安全か????」

 こうした住民の問いに答えることは不可能で、結局原発は炉の休止を次々に余技なくされ、結果的に日本の電力供給の30%が失われると思われる
この失われた30%に対する対応は10%程度が火力発電での電力供給増、残りが節電になる可能性が高い。

 10%程度と言うのは火力発電には火力発電の問題点があり、そうした立地を確保することが難しいのと地球温暖化対策に逆行するからだ。
結局は現在行っている計画停電や節電が夏場だけでなく今後継続的に行われると思ったほうがいい。

 その原風景は実際に目の前に存在している。
鉄道網は間引き運転になり昔のようなぎりぎりの間隔運転がなくなっている。ディズニーランド上野動物園は電力の供給が確保できる間の開園になり(現在は閉園している)、アミューズメントパークは人出がまばらだ。
プロ野球Jリーグナイター照明をつけようとすれば文部大臣や蓮舫節電担当大臣が烈火のごとく怒りそうだし、城郭や巨大な橋や東京タワーのイルミネーションも節電の対象になるだろう。

注)東京スカイツリーもイルミネーションが許されず昼間だけの威容になりそうだ。

 企業はこの計画停電に悲鳴を上げ、特に半導体関連の部品メーカーは操業すら危ぶまれている。こうしたメーカーは東京や東北の電力事情の悪い場所を諦め、関西か海外に活路を見出そうとするだろう。
病院も自家発電がなければ人口呼吸器一つ安全に操作できないのだから、大幅に業務短縮になる。

 東京の夜は不要な照明が消されて昔の漆黒とは言わないまでも薄暗くなり、エスカレーターは朝と夕方しか動かず、動く歩道も止まったままだ。そして関東や東北のスポーツは福島第一原発の事故対応が収束しないかぎり開催されることはないだろう。

注)石原知事が積極的に支援してようやく開催ができた東京マラソンも福島原発が落ち着かない限り開催されない。

 このような状況は現在は一時的なものと思われているが、そうはならない。電力事情は原発反対運動の高まりで常に不足したままで、節減が常態化するからだ。
人々は最初は不満を持つがそのうちに慣れてくる。
まあ、昼間のお天道様が照ってる間だけ仕事をすればいいじゃないか・・・

 こうして今までGDPを無理やりに押し上げていた無駄がなくなり、日本のGDPは名目の円ベースで20%程度縮小する。
しかしそれが不幸だとは限らない。

 20世紀のGDP神話の時代は無駄だろうが何だろうがGDPを押し上げればの時代だった。
無駄に道路やダムや飛行場や津波に弱い防波堤を作り、必要もない照明できらびやかにし、家庭でオール電化がもてはやされていた。
みんなが無駄をすればみんながハッピーだ
そうして過労死までして努力していた時代だ。

 今そうした20世紀型のGDPの時代が終わり、日本は電力事情に合わせて約20%の経済活動の縮小を図ろうとしている。
無駄がないから生活は至って簡素になり、時間はゆったりと流れるようになり、それが特に不幸だとは誰も思わなくなる時代が今そこに来ている。

 この東北関東大震災は、騒がしく物に溢れたあのGDPの時代を終わらせたという意味でエポックであり、本は21世紀と言う静かで簡素な時代を真っ先に体現する国になるのだと私は思っている

 

 

|

« (23.3.28) 東日本大震災 街が消える時 | トップページ | (23.3.30) 東日本大震災 地震保険の強制加入化について »

災害 東日本大震災 心に与える影響」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« (23.3.28) 東日本大震災 街が消える時 | トップページ | (23.3.30) 東日本大震災 地震保険の強制加入化について »