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(23.3.28) 東日本大震災 街が消える時

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 現状は目先の被災対策に追われ、何が起こっているか分からないままに蝉噪に巻き込まれていているが、実際は東北の太平洋岸の海に面した市町村がいま消えようとしている。

 日本を襲った大地震大津波、それに伴って発生した福島第一原発の事故で菅総理をはじめ関係閣僚が全力を挙げて復旧に努力しているものの、残念ながら復旧作業は遅々として進んでいない。

 特に問題なのが福島第一原発の事故対応で、問題だった3号機の溶融こそ防げたものの、その後の通電対応で異状に高い放射能が検出され作業員が被爆してしまった。
この原子炉の復旧対応はこの異状に高い放射線量との闘いになり、実際に2号機と3号機は燃料棒から放射性物質が漏れ出している可能性が高い。

 政府もこの事実を認め、現在の避難勧告や退避勧告が相当程度長引くと説明し始めた。
福島原発から半径30km以内の住民は避難や退避をしており、その範囲に存在した自治体は住民とともに会津若松市のような原発から遠くはなれた場所に移り住むようになってきた。

 自治体は住民に対し「これが一時的避難だ」と説明しているものの、かつての三宅島の噴火の時がそうであったように、問題が収まり安全が確認されるまで数年の月日が流れるだろう。

 そして避難命令が解除されても、必ずしも全員が帰ることはない。
放射線量の値が人体に害がないと説明されても、乳幼児小さな子供を持つ家庭は放射線被害を恐れてこの場所から離れるだろう。
また数年の避難生活のうち、多くの人は避難場所周辺で職を持つようになり、子供は近くの学校に通い生活の場が変わってしまう。
そしてなにより帰っても職場がなければ帰宅はできない。

 結局避難命令が解除されふるさとに戻ってくるのは、ふるさとに愛着を持った高齢者だろうが、その結果若者がいない町は高齢者の寿命がその町の寿命になる。
だから避難解除がされても福島原発周辺は住む人の少ない過疎の街や村になることは確実だ。

 これは福島原発周辺だけでなく、今回津波の被害にあい町ごと押し流された三陸海岸の周辺の市町村にも当てはまる。
こうした場所は住民の半数以上が津波に巻き込まれて死亡している場所が多い。日本の地方はそれでなくても過疎化が進み残っている人々が懸命に支えあってどうにか町や村を維持してきたのに、そのメンバーの半数がいなくなっては再建もおぼつかない。

 そして津波で根こそぎ家や洗い流された場所は、安全な津波防波堤が出来上がるまでは建設許可を降ろすこともできない。実際は防波堤の工事は巨額の予算と時間が必要なため、それを作るよりも高台に仮設住宅を建設する方法を政府も自治体も選択するだろう。
だから現在津波で家屋が散乱している場所は、建設不可の場所になり河川敷の公園と同じ扱いになりそうだ。

 そしてこうした高台に建設された仮説住宅に住もうと言う人の多くは年配者で、働き盛りの人々は職そのものが失われているのだから、職を求めて東京やその近在に移り住むことになるだろう。
ここでも老人の寿命がその町の寿命になりそうだ。

 先日NHKが被災者に対するアンケート調査をしていた。記憶で記載すれば住民のほぼ80%程度がもといた場所に帰りたいが、その半分がそれは無理だろうと答えていた。
だから約60%の人がもうかつての場所では住むことができないと諦めていることになる。

 この東北地方を主として襲った地震と大津波、そして原発事故は東北の太平洋側の市町村を根こそぎなぎ倒し、そして復興をなしえないほどの痛手を与えてしまった。
町や村が天然の災害や原子力災害で消え去ろうとしているのを見たのは私の人生でも初めてだ。

 阪神淡路大震災の時は奇跡の復興を成し遂げたが、あの時は地震だけだった。今回は地震、津波、原発事故の3重苦であり、住む人がいなくなり、また復興のための予算措置もおぼつかない日本の財政事情を考えれば、昔に戻るのはかなわぬ夢に終わりそうだ。

)なお復興支援の資金を増税や他の予算からの振り替えで行わず、赤字国債の発行でまかなうと日本の財政は確実に崩壊過程に入るだろう。
   

 

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コメント

たいへん、優れた洞察と思います。
僕も東北の方々が西日本に大移動して、西日本の過疎地を活性化するのが結果的によいのではないかとぼんやりとイメージしています。

震災前の本ですが、『撤退の農村計画』という本を著して、
過疎地域からの戦略的撤退をして、縮小していく経済に見合った自治体の再配置を考えようという研究グループがあります。ご興味おありでしたら、土曜日持っていきます。

(山崎)本を持ってきてください。

投稿: ささき | 2011年3月28日 (月) 12時07分

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