(23.3.12) アメリカ版振り込め詐欺は日本のコピー
3月2日のNHK「きょうの世界」の特集は「アメリカ版振り込め詐欺の実態」だった。
この特集を見てしみじみ感じたのは「日本は振り込め詐欺の先進国で、アメリカではまだ初期の段階だ」と言うことだ。
アメリカの振り込め詐欺は日本でも当初はやった「オレオレ詐欺」で、年寄り宅を狙って孫を装うもので、放映された例では「おばあちゃんの大好きな孫だよ」から始まっていた。
「サムかい」なんていうと「今カナダにいて交通違反でつかまり、保釈金を支払わないと留置所に入れられるから、おばあちゃん、助けて」と大騒ぎをする。
そうしてこの例では保釈金として3200ドル(約26万円)をせしめられていたのだが、アメリカではこの種の詐欺にいとも簡単に引っかかるのだと言う。
アメリカで実際にお金をせしめる手口は国際送金と言うシステムを利用することで、この国際送金の場合は銀行口座を開設する必要はなく、送付する金額と手数料を払って送金依頼をすると8桁の番号を窓口で教えてくれるのだと言う。
この8桁の番号を送付先に知らせると受取人は国際送金の窓口で8桁の番号を示し、別途偽造された運転免許書(サムという名前の免許書)を提示して3200ドルをせしめていた。
アメリカのオレオレ詐欺の特色はこうした初歩的なもので、日本との違いは金額が相対的に少ないこと(平均で40万円程度)と、送金先がカナダのような外国であることだった。
このためアメリカでは警察がまともな捜査をせず(殺人事件等が多発しているので、こうした微罪は見向きもしないのと、外国がからむ事件なので国際協力が難しい)、ほとんどが泣き寝入りをしているか、詐欺にあったことすら気がつかないのだという。
私がしみじみ思ったのは日本との相違だ。
日本の場合は金額が数百万単位であることが多く、大抵の場合は「会社の金を使い込んでこのままでは警察に逮捕される」と言うような理由か、「交通事故の示談金が必要だ」と言うような理由になっている。
そして実際に数百万(場合によっては一千万円単位)の金が送金されるのだが、これは日本の年寄りが世界一金持ちだからだ。
日本の個人預金は1400兆円といわれているが、そのほとんどを年寄りが持っている。
この資金を巻き上げようと日本では詐欺集団が詐欺の手法に磨きをかけ、日本を世界最大の振り込め詐欺王国にした。
さすがに日本では情報が行き渡って初歩的なオレオレ詐欺に引っかかる年寄りが少なくなったので、この初歩的な手法がアメリカに輸出されたのだという。
日本が「振り込め詐欺王国だ」なんて言うのは少しも名誉ではないが、今そのノウハウが世界各地に伝播して、アメリカだけでなく韓国や中国でもこうした手口で金を巻き上げられる人が増えているのだそうだ。
こうして振り込め詐欺のグローバルスタンダードは日本が確立したのだが、さすが年寄りの金持ち王国・日本と驚いてしまった。
この記事に関連するブログは以下の通り
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat40090319/index.html
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